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中部地区英語教育学会愛知県支部月例会(平成15年4月実施)において、「学習意欲・動機付け」指導のこつ・留意点などについて話し合い、次のようにまとめてみました。
「おもしろそうだ」「もっと知りたい」という知的欲求をくすぐる授業を。
(例)Show and Tellで日本文化の紹介、英語でクリスマスカードを送るなど、生徒がおもしろそうだと思う活動(プロジェクト)を行わせたり、インターネットによる異文化紹介など、「もっと知りたい」と思うような活動を行わせることで、生徒の学習意欲を喚起する。
先輩から学べ。学習の見通しとチャレンジ精神を持たせよう。
(例)英語の自己紹介パブリックスピーチなど、ビデオに録画しておいて、翌年度の生徒に単元開始時にモデルとして見せることで、まじかな「あの先輩」があんなにがんばってるんだと、チャレンジ精神を燃やさせる。また、あんなふうにスピーチすればいいんだと、学習の見通し(目標のイメージ)ができる。
自己決定の場を増やすことで責任ももたせる。
例)少人数授業において、ディベートに挑戦するグループと、ゲーム的なコミュニケーション活動に取り組むグループを、生徒の自己選択によって決めさせることで、責任を持って活動を続けていくことができる。
生徒のニーズに合った内容を。「これは役に立ちそうだ」「力がつきそうだ。」と思える活動。
アンケートを行い、「書く力」をつけたいと思っているようならライティング活動を、「話す力」をつけたいと思っているならスピーキング活動を、「聞く力」をつけたいと思っているのならリスニング活動を展開していく。また、生徒が「この活動をやっているうちに、リスニングの力がついてきたみたいだ。」と感じさせるような、自らの学びの跡を振り替えれるような活動をさせる。
作品を残したりビデオに活動を撮ることで緊張感と達成感を味わわせる。
「会話テストをやるよ。」と言うだけで緊張感が生まれる、ましてやビデオに録画されるとなると、生徒もよりいっそう意欲を燃やしたりする。隣の空き教室にビデオをセットしておいて、一人一人がまわしっぱなしにしておいたビデオカメラの前でスピーチなどのパフォーマンスを行わせる。作品を完成させる目標ができ、やり終えた達成感にもつながる。
ポートフォリオ評価(学びの振り返り)の機会を持たせ、できるようになったことを実感させる。
(例)10の例文を30秒間に何文読むことができるか、とか60秒間に日本語を見て英語を瞬時に言うことができるか、などのタスクにチャレンジさせる。その回数をプリントに記録することで、その回数の伸びを数字で見ることができる。自分の進歩の度合いを確認でき、自信につながってくる。
生徒同士や教師と生徒の人間関係と授業の雰囲気作りを。
間違いをばかにしたり笑ったりする雰囲気があったのでは、臆病になってしまってなかなか話そうとしなくなる。間違ってもいいよ。と多く言い、実際に授業の中で教師がそれを認めたり、進めたりすることでクラスの雰囲気を作っていきたい。隣同士ペアでの会話活動も、中1の頃から男女ペアでやっていけばそれに慣れて中3になっても男女ペアで気兼ねせずに活動できるが、その習慣がないと、ぎくしゃくして活動に身が入らないこともある。雰囲気を長い目で教師が育てていく姿勢を持ちたい。
教師がやる気を見せることで、生徒はついてくる。
教師が楽しそうに元気よく授業に臨んでいる。教師が活動のための小道具を両手いっぱいに抱えて教室にやってくる。そんな教師の授業に対する意欲が、生徒のやる気を喚起する。
活動は「楽しいか」「力をつけているか」を常に生徒からも評価してもらう。
アンケートに「今日の授業は楽しかったか。」だけではいけない。ゲームがおもしろかった。=授業が楽しかった。では、本当に生徒に力をつけたことにはならない。楽しくてかつ英語の力がついたと教師も思え、生徒も実感できるような授業をめざして、生徒に評価させるのもいい。生徒が教師の授業をいくらでも評価してくれる。
「ほめる」「賞を与える」なども活動し始めるための良いきっかけとなる。
外的動機づけも、学習の第一歩としては有効である。ただし、いつもそれをのぞむようになってしまってはいけない。早く本来の内的動機付けに移行させていく必要がある。
(例)先生と2往復以上の会話を行うと、「会話カード」がもらえ、カード1枚で2点もらえる。(授業の宿題プリントは1枚1点なので大きな点数。)学習した表現をすぐに英語教師と会話をするなかで使ってみる活動へのとりかかりには有効。しかし、早く会話をすることで学びが定着してきたという実感を生徒に味わわせ、点数に関係なく、英語を覚えるために、また英語を使いたくて会話カードの活動に参加したいと思うようにさせたい。
なぜ学校で英語を勉強するのかの意味を考え協同学習で高めあえる活動をしくむ。
家で一人で勉強している、コンピュータに向かって一人で勉強している、ラジオから流れる音声で勉強している、そんな狭い学習では英語の世界を楽しむことはできない。文法力やスピーキング力など特定な技能を身につけるために必要な場合もあるが、学校の授業で英語を学んでいる最大の意義はすぐにコミュニケーションすることができる環境にあることである。これを生かさない手はない。教師が言うよりも、友達のアドバイスを聞くこともよくある。
(実践例)Bottom-
個人差を考え、やれる子がどんどん「こる」ことができる活動をしくむ。
(例)中1の最初では、アルファベットが完璧に書ける90%の生徒と、アルファベットの認識すらあやしい10%の生徒が同じ教室内に存在する。クラスの大半がアルファベットがすらすら書けるので、それ以上授業でアルファベットを扱わないでいったら、できない10%の生徒はどうなるだろうか。英語学習のスタートで置いてきぼりにされてしまっては、それから何年と続く英語の授業でつらい思いをするだけになる。2つのレベルに合わせた活動、できる子にはさらに難しいタスクに挑戦できるような活動が必要になる。
(例)スキッと作りなどでは、できない子はシンプルな基本文のせりふを、できる子はどんどんこって英語の世界を作っていける。そんな個人差に応じた活動ができるような場面も大切であろう。
英語へのあこがれ、外国へのあこがれを喚起するような活動ををしくむ。
(例)自分の好きな世界旅行の計画を立て、実際に飛行機のチケットを買い、パスポートを入手して、飛行機に搭乗、機内放送を聞き、入国審査を経てついにあこがれの外国に入国、観光地をめぐり、おみやげを買う。こんなあこがれの世界を教室の中で再現してみたらどうだろう。
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