海外産業博物館 NO.4


アイアンブリッジ峡谷博物館 The Ironbridge Gorge Museums ・鉄の博物館 Coalbrookdale Museum of Iron

ダービーの高炉

コークスによる製鉄法の創始、鋼鉄の時代の幕開け


石田正治 by ISHIDA Shoji


コールブルック製鉄所の遺構・動力源の水車があった

 アイアンブリッジのビジターセンター・川の博物館から北へ500メートル、アーチの鉄道橋を通り抜けたところに鉄の博物館がある。この一帯はダービー一族のコールブルック製鉄所があったところである。博物館の建物は、コールブルック製鉄所が世界一の生産規模を誇っていた時代、1838に建てられた三階建ての倉庫である。隣の細長い建物も倉庫で、こちらは産業考古学研究所、教育資料センター、エルトンギャラリーの施設となっている。
 ここで見るべきものは、エブラハム・ダービー一世の溶鉱炉の遺構である。
 産業革命以前の製鉄は、燃料として木炭を使っていた。精錬には大量の木炭が必要であったために、やがてイギリスの森林は禿げ山と変わり、木炭は枯渇状態となりつつあった。そのために石炭の利用が試みられた。ところが、石炭に含まれている硫黄が不純物として残るためにそれは使い物にならないものであった。そこで、ダービー一世は、石炭を蒸し焼きにして不純物を除いたコークスにより、1709年に成功する。製鉄技術の大革命であった。この地が産業革命発祥の地と言われる由縁である。
 鉄の博物館の前には、製鉄所の遺構が残る。最も重要な遺産、タービーの最初のコークス高炉は、ピラミッド型のガラスで覆われて大切に保存されている。羽口(送風口)には、1638、1777の年号が鉄枠に書き残されている。1777年とは、ダービー三世がこの炉を増築した年である。2年後の79年、アイアンブリッジの鉄材はこの高炉で造られたのであった。
(いしだ しょうじ・愛知県立豊橋工業高等学校教諭)


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