海外産業博物館  NO.15


マンチェスター科学産業博物館 The Museum of Science & Industry in Manchester

注意深く見る目を養う

−ユニークなガイドブック−


石田正治  by ISHIDA Shoji


蒸気エンジンが並ぶパワーホール

 マンチェスター科学産業博物館の開館は1983年。開館時は、年間約20万人の入館者であったが、1994年には約2九万人となっている。その内の約2割が学校の生徒である。
博物館は、1989年に教育センターと図書資料センターを開設、五人の専任教育担当者の他、多くのフリーの教育担当者を置いて学校教育のためのサービスを行っている。
 博物館には、教育専用施設として、幼児のための教室がひとつ、通常の教室が2つ、他に生徒のためのワークショップがあり、それぞれの教室毎に、テーマが決められていてグループ単位で自由に選択し、学習できるようになっている。
 学習内容は、例えばキー・ステージ2(教育階梯二・日本では初等教育に相当)では、エルネギとエンジン、機械とメカニズム、光と色、紙の製造、ビクトリア時代の鉄道など17のテーマが設けられている。
 ところで、このマンチェスター科学産業博物館は、学習用テキストとしてユニークなアクティビティ・ガイトを発行している。博物館での学習は、基本的に展示されているモノとの対話である。モノが発信している情報は実に豊富であるが、その情報をつかむには、それなりの理解力がなければ漫然と見ているだけに過ぎない。このアクティビティ・ガイドは、そのモノとの対話の方法を教えている。例えば、大小様々な蒸気エンジンが並ぶパワー・ホール、ガイドは展示されているエンジンひとつひとつについて、シリンダーが有無、ビームやクランクの有無、フライホイールや遠心調速機の有無などを形から調べることを教えている。その作業によって、それぞれの違いやエンジンを構成するメカニズムとその発達過程が自ずと理解できるようにしている。技術の世界を学ぶには、まず注意深くモノを見る眼を養う必要があるようだ。
(中部産業遺産研究会事務局長、豊橋工業高校教諭・石田正治)


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