さて、写真は野原に普通に見られるイガオナモミ(左)とオナモミ(右)
の実です。それを縦に切ってみると写真のように2個の種子が入っていま
す。秋に実ったこの種子はかぎ状のトゲでヒトや動物にくっつくなどして
様々なところへ運ばれます。地面に散ったこれらの種子はやがて条件が整
えば春には発芽します。これは他の種子植物でも同じです。ところがこの
オナモミの仲間は不思議なことに春には2個の種子のうち1個しか発芽し
ないのだそうです。もう1個の種子はもう1年後の春になって発芽するの
だそうです。もし、2個が同じ時に発芽し、成育の環境条件が不利だとす
ると生き延びることができません。片方の発芽を遅らすことによって生存
の確率が高くなるわけです。
自然の営みには実に巧妙にして不思議なことがあるものですね。