この頃の親?

先日、あるベテランの先生が嘆いていました。

「ちょっと風邪をひいても、園でうつされたなんていわれちゃったり…。

社会のルールやマナーの守れない方は他のお母さんたちにも迷惑をかけているようですし・・。

園を会場にした講演なんかでも、お母さん同士でのお話をしにきたみたいに、 講師に背を向けて話しまくり…。

周りのお母さんたちに睨まれても迷惑をかけてるのがわかっていない。

送り迎えの時の車の停め方も、 どう見ても迷惑になってるのに言われなくっちゃわからない母親。

ほんのちょっと前まではこんな事まで言わなくてもっていうお母さんたちだったと 思うのですが。

私が年をとったのか…。 悪気はないと思いますが、どこまで許されるのか…。」

そして、続けて

「子育てよりも親育てというくらい、 子どもを通して家庭と地域と園とがいっしょに育っていくことの必要性を感じています。

いろんな困った親がいても、突き詰めていくと 親だけに問題があるんじゃないなあと思います。」と言っていました。

「この頃の親はおかしい。」

「学級崩壊を初めとして、ルールを守れない子が増えた。自己チュー児に手を焼いている。 そして、その親たちにも・・」

マスコミを初め多くの場所で、親御さんへの風当たりが強くなっています。

「我慢が出来ない子が増えたのも、子どもを甘やかしている親のせいだ。」

「25年間教壇に立っているような先生のクラスでも、学級崩壊がおこるぐらいなのだから、 やはり子どもがおかしくなった、

だから、どんな先生のクラスでも起こりうる時代だ」 という人もいます。

これも親のせいでしょうか? しっかりとしたしつけが出来ない親のせいでしょうか?

僕には、そうとは言い切れません。

大人の言いなりになる子どもが良い子ともいえません。 先生に気に入れられる子がいい子とも思えません。

いつの時代でも、子どもたちの姿は変化しています。特に大人から見るとですが・・。 (本質は変わっていないと思います)

当たり前のことですが、子どもたちだけに限ったことではなく、社会や地域も変化しています。

どこかの洞窟の壁画に「今の若い者は…」とかかれていたと聞いたことがあります。

子どもにも悪いところはあるでしょう。 でも、変わりつつある子どもの姿を認めずに25年間も同じやり方で、

同じ評価をしようとする先生にも無理があるのではないでしょうか?

今の子どもたちが、昔の子と比べて劣っているとは思えません。 良いところもいっぱいあります。

ただ、昔と同じやり方を押しつけて、 「言うことを聞かなくなった、自己中心的だ」と断定するのも問題です。

確かにどう考えても、自己中心的な親、自己中心的な子どもはいます。

集団の中で自分を表現できない子も増えています。 他人に迷惑をかけたり、ルールが守れないのは、もちろん良いことではありません。

しかし、そのことを避難するだけでは問題は何も解決しません。

この頃は、園長先生たちが集まっても、 まず始まるのは、親たちの非常識ぶりの話です。

確かに、そんなお母さんがいるのかと驚くような話が次々に出てきます。

でも、そんな話ばかりを聞いていると、悲しくなってきます。

本人は、親のことを言っているつもりでも、 僕には、「自分の園を悪く言っている、貶めている」ように聞こえてきます。

だって、自分の園の親御さんのことなんですよ!

その非常識な親御さんを、園長としてどうしたいのか、 どう接していこうとしているのか、

どのようになってほしいかなどの視点が感じられないからです。 (職員のことを悪く言う園長先生も同じように感じます)

始めて入った園で、 最初からこのように見られている(原因は自分にあっても) 親御さんも可哀想になってきます。

始めて園に来た親御さんに、いちいち、先生の動きや環境をチェックされて、 「あの先生、私語が多いわね」とか

「園庭に石が落ちている、空きスペースの使い方もまだまだね」なんて言われたら、 園長先生だっていい気はしないでしょ?

似たようなことを、園長先生たちは無意識のうちに親御さんにしているのではないでしょうか?

せっかく子どもという大切な架け橋で出会ったのですから、 まずはお互いの良いところを認め合ってからの話だと思うのです。

親に文句を言うのは、自分たちが出来ることをやり尽くしてから、 堂々と胸を張って言うべきなのです。