[‘09シーズン開幕だ〜!]('09/4)
 

気がつけばもう4月の後半。
毎年のことだが、保育園の年度末・年度当初というのは、死ぬほど忙しい。
でも、お別れ会や卒園式は感動的だったし、4月になれば新入児が朝から「おかあさんがいい〜」と大騒ぎをしていてなかなか楽しいぞ。
保育園というところは不思議なもので“涙で始まり、涙で終わる”ところなのだ。
良い仕事をさせてもらって感謝しているぞ。(給料は安いんだが・・)

昨年の11月に指と膝をパックリ切った父ちゃんは、またまた一月以上もバイクに乗れなかった。
つい数年前までは、ひと月もバイクに乗れないなんて考えられなかったことだが、この頃は、すっかりこんな状態にも慣れていく自分が怖い・・。

でも、年末から年初にかけては、みんなでバイクに乗れて楽しかったぞ。
父ちゃん一家のここ数年来の走り始めは天竜川だ。
2月の第1戦が天竜川からだし、
お正月には、ブルも入れてくれてとっても走りやすいからだ。(ありがとう〜)

もうひとつのお楽しみは、ほとんど同窓会のようになってしまう事だ。
その昔、一緒にレースをやっていたオヤジ達がゾンビのように蘇ってくる姿を見るのも楽しいものなのだ。
(レースは引退したが、まだバイクにだけは乗り続けているんだな〜)
今年は、イノシシのバーベキューまでご馳走になってしまったぞ。
思ったより臭みもなく、とっても美味しくですっかりイノシシファンになってしまった父ちゃん一家だったのだ。

この日は、父ちゃんのライバルである“長野の怪人”と“掛川の種馬”も練習に来ていた。
長野の怪人は、昨シーズンは、あまりレースに出てこなかった。
聞けば、娘が入院してしまいレースどころではなかったらしい。
そして、病状も回復してきた娘に「父ちゃん、レースで頑張って!」と言われて復活したという涙なくしては語れない物語もあったそうだ。
それに比べて“掛川の種馬”は、相変わらず筋肉モリモリの黒光りで、スケベな話ばかりしている。
その上、自分の5人の子どもの年さえ分からない有様。あ〜情けない!

そんなゾンビのようなオヤジ達と練習をしていると改めてこの一年間のブランクが襲いかかる。
長野の怪人の気合いの入った走りは理解できるとしても掛川の種馬にさえついていけない有様。
とくにジャンプが得意な種馬は、「あれ〜、なんであの2連、飛ばないんすか?ちょー簡単っすよ〜」とギラギラと黒光りした顔で言ってくる。
子作りでも負けてるし(もちろん、アッチもとてもかなわない)ジャンプでも負けて、悔しいったらありゃしない!
でも、オヤジ達とのバトルは、楽しかったな〜。

そんなほのぼのとした時間を過ごしているうちにあっという間に第1戦。
トヨタショックと言われた不況のせいで外国人を初めエントリー数も例年の開幕戦より少ない気がする。
(やっぱり中部地方は、トヨタで持っていたんだな〜)

しかし、エントリーリストを見るとなかなか豪華だぞ。
中部の固定ゼッケンがすべて揃ったわけではないが、それでもテッペイ、リョウスケ、リュウジ・ショウを初めとした「8.11.13.19.36.47」が揃っている。
(ノリだって去年までは固定ゼッケンだった、20番の下野君は、今回はお休みか?)
この固定ゼッケン組と間違いなく絡んでくるNBチャンピョンのタカシ、ババナショップの御曹司ダイキ、タイチにスグルとあげればきりがない。
シンやアレジ・ショウゴ・ヒロシ・ロウタだって全日本の予選を通る力は持っている。
ちょっと年取っているが加藤くんだって頑張っているぞ。
う〜ん、一昔前の中部では考えられないくらいレベルが上がっている。

そんなメンバーに父ちゃんは挑もうとしている。
ちょっとビビっていた父ちゃんは、IB2だけのエントリーにしてしまった。
タカは、受験生なので今年いっぱいレースはお休みだ。(哀れなヤツだ)

IB2は、エントリー台数32台。今年は予選なしだった。
去年の最終戦から練習もしてきた。少しずつだが、ジャンプも飛べるようになってきた。
スターティングマシンの前に立つと気合いが入ってくるのが分かる。
「大きな花火を打ち上げてやるわい!」と叫んでスタート。

第1コーナーにうなりを上げて突っ込んでいくモトクロッサーの一団。
あちこちでぶつかり合う。父ちゃんだって負けてはいないぞ。
15位くらい?で第1コーナーを抜ける。父ちゃんは頑張ったぞ。一生懸命に走った。
20分があっという間に過ぎてしまった感じだった。

いそいそとショウゴと二人で結果を見に行った。
ショウゴは、10位。まぁこのメンバーならこんなもんだろう。
「あれ、俺が載っていない?20位以内には入っていたと思ったのに・・」と言うと
ショウゴが「じぃさまは、ベリの方だろ、載っているわけないじゃん」とさも当たり前といった口調で言う。
「おかしい、おかしいぞ〜」と結果表の前でひとり叫ぶ父ちゃん。
「そうだ、きっと21位だったんだ、このメンバーならまぁしょうがないか!」とひとり納得する父ちゃん。

夕食の時には、家で待っていた母ちゃんとタカとナホに報告会だ。
ショウゴがレースの様子を話すとタカや母ちゃんが頷く。ナホはテレビを見て笑っている。
「俺も頑張ったが、メンバーがメンバーだから21位だった、もうひとり抜けばポイント取れたのに・・」

誰の反応もなかった。
沈黙を破ってショウゴが言う。
「いや、じぃさまは、ベリの方だったな、転んでリタイヤした人以外は抜いてないはずだ」
「バカタレ!俺は何人も転んでいるヤツを抜いたぞ」
「だからリタイヤした人以外ではベリだろ!」
「バカタレ!転んでもまだ走っていたヤツは何人もいたぞ」・・・

二人の醜い言い争いを誰も気にせずに父ちゃん一家の夕食は和気あいあいと進んでいくのであった。