[憧れの北海道!その2]('12/3.18)
 

[憧れの北海道!]シリーズだったが、あっという間に3月!
それも今日は、せっかくの日曜(18日)だというのに昨日から雨!雨!雨!!
これでは練習にも行けないので、午前中に、バイクの整備をし、午後にパソコンに向かってしまったぞ。

なかなか更新できなかったので、ほんの僅かな読者の、ほんの一部のオヤジたちが
「ついにくたばったか?」とか「ついに母ちゃんに出て行かれたか?」とか好き勝手に言っていたが、
唯、忙しかっただけです・・。
でも、もう今シーズンも始まったので、何とか4月頃までには、追いつきたい。
というのも、今シーズンのレース(中部選)にもすでに様々なドラマがあったのだ。

ここからは、昨年の続きです。

I
Have a Dream(私には、ゆめがある)

 夢だけはたくさんある父ちゃん一家ご一行は、なんとか北海道行きのフェリーに乗り、
金曜日の朝に憧れの地:北海道に着くことが出来た。
北海道の雄大な景色に一同大騒ぎ、牛を見つけてはまた大騒ぎ、
熊、出没注意」という看板を見つけてはまたまた大騒ぎ・・といった感じで、
それはそれは、大盛り上がりでわっさむサーキットに向かった。
そして、夕方に高速を降りればすぐに全日本コースのわっさむサーキットがあった。
すごいぞ、北海道!高速出口のこんな近くに全日本コースがあるなんて!!

初めてのコースなので、パドックがあちこちに分かれていて、どこに車を止めて良いのかさえ分からない。
ウロウロしたあげくに牧草地のような草の上に場所を取ることが出来た。
日が沈みつつある中、コースに行ってみれば、ずいぶんとイメージと違う。
北海道の全日本コースなので、さぞかしAMAのような雄大なコースかと思っていたら、
結構こぢんまりとまとまっていて、コチャコチャしているところも多い。
しかし、昔のSUGOにもあったようなヒルクライム(アップダウンが連続しているところ)にはビックリしたぞ。
あまりの長い急坂にこの日は見るだけで断念したほどだった。

コースの全体像も分からないうちに日が暮れてしまい、いよいよ夕食だ。
今回の旅では、北海道ならではの食べ物にも期待していた。
なんてたって、「でっかいど〜、ほっかいど〜」なのだ。(これが分かる人は相当の年寄りだな?)

近くでお風呂に入れるところを探したのだが、ここでミスを犯してしまう。
旭川市という大きな都市があるのだから、そちら方面に行くのが鉄則なのに、
なぜか山間の寂れた温泉に行ってしまった父ちゃんたち。
500円でひなびたお風呂に入れたまでは良かったのだが、近くには食べるところがない。
結局、迷いながらコース近くのセブンイレブンでいつものお弁当を買ってしまう父ちゃん一家。
う〜ん、これではいつもの中部選と一緒だ〜(泣)。

コースに帰れば見慣れた中部の連中も来ていた。
特にヒロシとタクミのパドックは隣だった。
聞けば、中部からは、ゼッケン2番のウキョウを始め、イブキやユウトも来ているようだった。
そうなるとこの北海道に中部勢が何と父ちゃん一家の3台を入れると8台もエントリーしているではないか!
う〜ん、なんか頼もしいぞ。
さっきまでの薄暗いコース脇では、群れからはぐれた子羊のように心細かった父ちゃん一家だったが、
このパドックでは、少し元気も出てきた。

土曜日は、朝早くからショウゴとタカをたたき起こしてコースに行った。
しかし、すでにたくさんのライダーがコースの下見をしていた。
さすがは全日本だ。みんな本気だぞ!
こんな北海道まで来て予選落ちだったら目も当てられない。
父ちゃん一家だって、あわよくば全員予選突破を狙ってやってきたのだ。
世の中そんなに甘くないので、悪くても2台予選突破、
まぁ、最悪ショウゴだけでも予選突破はするだろう。(一応固定ゼッケンだしな・・)
久々に決勝の日曜日が忙しくなるぜ!

そんなウキウキ父ちゃん一家にたくさんの子どもたち(ジュニアライダー)を引き連れてくる一団が見えた。
あ、美杉のアッキーだ。
今は北海道に帰って活動しているアッキーだが、IBやIA時代は、美杉のコース近くの一軒家に住み込み、
ナヤッチや美杉三男と一緒にモトクロス合宿なんかもやっていたんだ。

ジュニア時代のショウゴやタカもずいぶんとお世話になったものだ。
このアッキーの家は、魔界の巣窟とも呼ばれていて、IAタカシを始めとして中部の少年たちは、
ここで大人になるんだな。

そのアッキーが少年たちにコースの走り方やライン取りを教えている。
その姿は、あの当時のモトクロス合宿と同じだった。
ついつい昔を思い出してしまったぞ。
80に乗り始めたタカは、あの合宿で美杉のキャメルジャンプが飛べるようになったんだ。
あの恐がりのタカが飛んだから、みんなで驚き、大騒ぎしたんだよな〜。

そんな思い出に浸っているうちに、段々と父ちゃん一家に現実が迫ってくる。
このバカでかいアップダウンのヒルクライムをどうやって走ればいいの?
登るのも大変だけど、下りはもっと怖い!
ビビって固まっている親子三人の横をIAライダーが
ここが勝負所なんだよな、○○は、止まり切れなくってバンクを飛び越えて落ちていったぜ」と笑いながら歩いて行く。
やっぱり、IAライダーは、どこかおかしい・・?

そして、練習走行が始まった。
案の定、このバカでかいヒルクライムに戸惑う。ここが上手く走れないので、コース全体でもリズムに乗れない。
ショウゴやタカもバシバシと抜かれている。
父ちゃんに至っては、ほとんどツーリングだ。(情け無い・・)

ここで信じられない事実が発覚。
なんとIBクラスのエントリー数が53台!
1クラスに26・7台もいるじゃん!!
ってことは、予選通過ラインの15位でも、後ろに11・2台もいるわけ!!!

不安が不安を呼び、結局、コースを何とか覚えたぞ?程度で予選に突入。
IB2の予選では、ショウゴもタカも後ろの集団、父ちゃんに至っては最後尾だった。
いかん、いかんぞ〜〜〜〜!
すでにほとんどの中部勢は、IB2の予選で通っている。
これではシャレにもならん。

追い詰められた父ちゃん一家は、IBオープンの予選までに、
IAの予選を見ながら必死になってラインを探る。
しかし、IAのような走りが出来るわけでもなく、
結局、不安だらけのままでの予選スタートになってしまった。

IB2の事を考えれば、まず父ちゃんは無理だ・・(さすがに経験だけはあるので、こういうことはすぐ分かる)
タカを見れば、捨てられた子犬のような顔だ。(いつもの根拠のない自信はどこにいった?)
ショウゴは、バイクをクイに立てかけて、ギリギリまでラインを考えている。
お〜、腐っても固定ゼッケンだぞ。
そのちっちゃな目には、まだあきらめていない輝きがある・・。
いけー、ショウゴよ。お前の450なら余程のことがない限り、第1コーナーまでで前に出られるぞ。
名阪だって、スタートバーにさえ引っかからなければ、いけたはずだ。

いよいよIBオープンの予選A組だ。
ショウゴの450CRFがゆっくりとスタートラインに着く。
エンジン音が高鳴り、スタート。
でも、明らかに出遅れるショウゴ。
お〜、名阪でスタートバーに引っかかったのが、すっかりトラウマになっている!
ほとんどベリで第1コーナーに消えていく・・。
そこから追い上げたが、あえなく予選落ち・・。

予選B組のタカは、そこそこ頑張っていたが、予選落ち・・。
父ちゃんは、ツーリングのように走って予選落ち・・・・。
意気消沈してパドックに帰ると、タクミとヒロシは、このIBオープンも予選を通ったようだった。

「どうでした?」ヒロシが聞いてきた。
「ダメだった・・」力なく言葉を返す父ちゃん。
「全員ですか?」とヒロシ。
「みんなダメだった」ますます落ち込む父ちゃん一家。
マジっすか?・・・掛ける言葉もありません・・・・」とうつむくヒロシ。
ヒロシの後ろを見れば、ヒロシ・タクミご一行が葬式の参列者のように神妙な顔でこちらを見ている。

いたたまれなくなって、その場を離れる父ちゃん一家。
みんなが明日の決勝の準備をしているときに、すでに帰り支度だ。
「明日の決勝はどこまで見ていく?」とタカ。
「ま〜、午前中だけ見て帰ろう」とショウゴ。
「そうだな、せっかく北海道まで来たのだから、その後に近くの旭山動物園にでも行こう!」と父ちゃん。

少し元気の出てきた父ちゃん一家は、その夜に監督の中村さんと合流。
中村さんに連れられてジンギスカンの美味しい店に連れて行って貰い、そのうまさに感激!
ショウゴもタカも始めて羊の肉を食べたが、すっかり虜になってしまったくらいだぞ。
(保育園で飼っている羊のムフランちゃんを少しだけ思い出してしまった・・)
その後に名物の札幌ラーメンまで食べて、やっと北海道に来た!って感じになって元気も出てきた。
ありがとう、中村さん!

旭山動物園も良かったし、北海道の雄大な景色も見られてたし、
フェリー乗り場の近くの回転寿司も上手かったし・・、とすっかり元気を取り戻した父ちゃん一家は、
フェリーに乗って北海道をあとにしたのだった。

しかし!
この旅はまだ終わっていなかったのだった・・。