(1)知らなきゃ損する!面白法律講座 2011年 6月13日 第581号
「罹災証明書とは・・・」
今回の地震でお墓の灯籠が壊れたりしたのですが、罹災証明って家の他にどんな物が申請できるのでしょうか。 (20代:女性)
□回答□
罹災証明書とは、自然災害などにより住家などが破損した場合、市町村がその程度を判定し、発行される証明書です。
この証明書は、保険の請求や税の減免などの手続きに必要とされます。
また、大規模災害が発生した場合に行われる各種救援措置もこの罹災証明書に基づいて行われます。
罹災証明書は、あくまで「住宅」の全壊や半壊を証明するものであり、お墓の灯篭などは、罹災証明の対象とはなっておりません。
もっとも、住宅以外のものが自然災害などによって損壊した場合、これを証明するには、被災証明書の発行を申請することが可能です。
被災証明書とは、災害の事実を証明する書類のことで、住家以外の全ての被害を証明するためのものです。
被災した場合の保険の請求や休業証明など各種制度の手続きに必要とされます。
したがって、震災でお墓の灯篭が壊れた場合には、お住まいの市町村に被災証明書の発行を申請されるとよいでしょう。
申請に必要なものは、各市町村によって微妙に異なるようですが、基本的に以下の物が必要となるようです。
1. 申請書(各市町村の書式または保険会社のもの)
2. 被災状況写真(被災状況、範囲がわかるもの)
3. 修繕に係る見積書(業者の印鑑があるもの)
4. 印鑑
[関連情報]
(2)東書メール 130号 from 東京書籍 '11.6.10
連載:新学習指導要領の実践課題と方策(1)
研究授業の活性化を図る一方策〜授業課題の明確化と事後研究の充実〜
國學院大學人間開発学部教授 安野 功
5月の連休が明けると,研究会のシーズンである。
そこで今回は,社会科の研究会にまつわる雑感を述べた上で,研究授業の活性化を図るいくつかの方策を提案してみたい。
私は仕事の関係で,全国各地の研究会に招かれる機会に恵まれてきた。その多くはそれぞれの地区を代表する実践者たちによる授業であり,いずれも大変すばらしいものばかりである。
何より,子どもの育ちがすばらしい。
その背景には,授業者やそれを支える研究部員の並々ならぬ努力が窺える。研究授業を迎えるまでの学級経営,何度も積み重ねてきた事前の学習指導案検討等々。そうした事前の努力の賜が,1時間の研究授業で見られる生き生きとした子どもの姿であり,自信あふれる教師の姿である。
ところが,そうした研究授業の成果が授業者や授業づくりを支えた一部の先生方だけに留まってしまうという傾向が見られる。研究会に参加したその他の先生や,さらに広い範囲までには広がっていかないことが多いのだ。実にもったいない話である。
そこで,こうした現状を打破し,研究授業の成果をもっと多くの先生方が共有する方策を3つほど提案してみたい。各地域の研究会,先生方におかれては,本提案をたたき台にして,それぞれの研究会独自の方策を編み出して欲しい。
提案1 : 検証可能な1時間の『授業課題(仮説)』の設定
授業課題(仮説)とは,1時間の授業を構想し展開する上で,中心となる教師の指導の手立てと期待する指導の効果を,例えば,次のように簡潔に表現したものである。
Aをすれば・・・となる。Bをすれば・・・となる。そのAとBの手立てを通して・・・となるだろう。
なお,AやBは多くても2つ程度。1時間の授業で検証可能な数に絞ることがポイントである。また,AやBが本時の学習活動の山場となるように授業を構成する。そして,AとBの時間を十分に確保するために他の学習活動のムダをそぎ落とすのだ。
提案2 : 授業記録の交換・交流
授業を参観する教師は,必ず自分で授業記録をとるようにする。その形式は様々でよい。ポイントは,教師については発問や指示,説明,資料提示の仕方などを,子どもについてはその反応のすべてを,可能な限り克明に記録していく。そして,全員の教師がそれぞれの授業記録を見せ合ったり交換し合ったりすることを通して,授業を見る目,子どもを見る目を磨き合うのである。
提案3 : 事後研究の充実
私は,常々,研究授業後に行う事後研究にもっと時間を割くべきであると主張してきた。それは,研究授業の事前と事後を比べると,事前研究に費やす時間・労力の方が,事後研究をはるかに上回っているからである。
研究授業における授業記録(特に子どもの反応)は,授業課題(仮説)に正対しながら自らの授業を分析する際の根拠となる貴重なデータである。
そのことを踏まえ,まず,授業者が授業課題(仮説)と授業記録を照らし合わせながら,自らの授業を記述・分析しながら手立ての有効性を自己評価する。次に,参観した先生方と討議し合い,よりよい授業の在り方や指導の方向性を探っていく。なお,事後研究では討議の結果を生かした修正指導案を練り上げることも1つの工夫である。
(3)メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」 102号 2011年6月14日発行
1 現代史のワークショップ型授業
「ワークショップ」編集委員 山形大学 江間 史明
この5月に、山形大附属中の先生と協力して、現代史をあつかうワークショップ型授業をつくってみた。中学高校の学習指導要領は、「近現代史」から「現代史」を独立項目として重視する方向である。この教材開発について、紹介したい。
1 現代史の「節目」
「討論・対話」型のワークショップ型授業を念頭におくと、生徒各々の見方が自立していて、相互に適度な差異があることが必要になる。現代史学習で、どういう主題を設定すれば、そうした活動空間をつくれるか。ヒントは、中学校学習指導要領解説にあった。現代史の扱いについて次の指摘がある。
「沖縄返還、日中国交正常化、石油危機などの節目となる歴史的事象を取り扱うようにすること」
「沖縄返還は、現代史の節目である」と教えれば、それでおしまいである。だが、「現代史の節目」となる出来事は何かと問えば、生徒の意見は分かれそうである。よりはっきり、「戦後史を2つに分ける節目」としてみよう。戦後66年間について、分岐点となる出来事を生徒が一つ選び、その理由を説明するのである。「時代を分ける」には、基準が必要になる。
日本国の独立や国交回復(国際社会の動き)、経済動向(所得倍増計画、オイルショック、バブル経済崩壊)などが基準になると考えられる。
そうすると、単元名は「戦後66年を斬る」。単元終末に「戦後史の区分」の活動を予告しつつ、戦後史の学習をすすめることになる。
2 生徒の選んだ出来事
生徒が区分する戦後史の出来事は、ポツダム宣言から東北大震災まで20項目を、教師が用意した。これらの選択肢から、あるクラス(中3)の生徒は、戦後を二分する節目として次の出来事を選んだ。サンフランシスコ平和条約3人、日米安保条約1人、日ソ共同宣言5人、東京オリンピック24人、日韓基本条約1人、沖縄返還3人、日中共同宣言1人、である。
このクラスの場合、生徒のほぼ半数が、東京オリンピックを選んだ。理由は、簡単に言うと、経済復興や国際社会への平和のアピールになったということである。ほかの出来事を選んだ生徒の理由は、次の通り。サンフランシスコ平和条約は日本の独立、日米安保条約はアメリカとの関係、沖縄返還は「祖国復帰がなければ日本の戦後は終わらない」、日ソ共同宣言は国連加盟、日韓基本条約や日中共同宣言は、韓国や中国との戦争終結(友好関係の始まり)とみる意見である。
相互交流の時間のあと、意見をかえたのは5人。独立を重視すればサンフランシスコ平和条約よりは沖縄返還。平和と友好を重視すれば、東京オリンピックより日中共同宣言という変更である。各々が考えた「区分」の基準自体を組みかえる意見変更は、ほとんど見られなかった。
3 現代史への「立ち位置」
戦後史の区分に「正解」があるわけではない。生徒が、自分の見方で、戦後史の出来事を分類し、「節目」を考えてみたということである。この意味で、戦後史学習で学んだ出来事を、自分にひきつけて考える学習になったと言える。
他方、選択肢には、3月11日の東北大震災も加えていた。だが、この震災を戦後日本の「節目」として選んだ生徒は、4クラスで2人程度しかいなかった。今、生きている自分とつなげて戦後史をみるというのは、難しいのかもしれない。現代史に向き合う自分の「立ち位置」の自覚ということである。この点を、現代史学習にどうくみこめるのか。新たな課題として受けとめて考えていきたい。
授業づくりネットワーク誌
(4)日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第2857号☆
2011年6月6日:月曜日発行
■「理科で使える模型を作ろう!」(6)
原口栄一(鹿児島) eiichi-h@po4.synapse.ne.jp
◆放射線模型(1)
平成24年度から中学理科で「放射線」「イオン」を扱うことになります。しかし,私は、ここ数年間、教えた学年では、発展的な学習として放射線について実験とともに教えてきました。今年も2月末から3月にかけて放射線の基礎知識を学ぶ講義型授業,放射線の特性を調べる実験,実験をまとめるレポート作成の時間を設定し実施しました。その最中に痛ましい東日本大震災、福島第一原発による放射線被害が起きました。放射線は浴びれば浴びるほど危険です。浴びる量は少ないほど良いに決まっています。
ではどれくらいか、いろいろと議論はありますが、一般公衆被曝量は年間1ミリシーベルト=1000マイクロシーベルトと以前から決まっています。これを時間に直せば0.114マイクロシーベルトでしょうか。
γ線測定用「はかるくん」を財団法人日本科学技術振興財団から毎年のように借用していますが、そのときの自然放射線測定量は、だいたい0.04マイクロシーベルト前後でした。海辺では低くトンネル内では高い等いろいろな特徴があります。
このような基本的なことを学んでいれば、風評被害も防げたのではないかと考えます。また逆に避難命令や退避計画にも役立つのではないかと考えます。
もちろん、情報が速やかに詳細に公表されていればなのですが。
さて、今回模型は「放射線の基礎知識を学ぶ」という目的で講義形式の授業に活用したものです。講義内容は,次の通りです。
・原子の中の構造 ・3つの放射線 ・原子炉の構造 ・放射線と放射能の違い
・放射線の利用 ・日常生活と放射線
教具は,100円ショップやホームセンターで材料を入手し自作した物がほとんどでした。
・γ線・α線・β線の模型(図1)
100円ショップにて大きめの発泡スチロール球,木棒を購入した。
γ線は、スチロール板を適当に切り矢印のようにして木棒につけた。
α線は、ヘリウムの原子核なので大きめの色のついた発泡スチロール球を4球(陽子を青、中性子を赤)、ばらばらになっても組み立てられるようにマジックテープで貼り合わせて木棒につけた。
β線は電子なので分子模型で使った30mm球を黄色の水性ペイントで塗って木棒につけた。
・中性子・陽子・電子の模型(図2)
陽子には+,電子には−の黒テープを貼り付けている。中性子には何も貼らず。電子はで塗っている。
・原子の直径1m拡大モデル(図3)
黒いプラ段ボール(約2m×1m)を購入して直径1mの円に切り出し,中心部には0.1mm程度の穴を開けて裏から赤のLEDを点滅させている。(図4)原子の中で原子核がいかに小さいかを示すための模型である。ちなみに赤のフラッシュLEDも100円ショップで入手した。
・原子のイメージモデル(図5・図6)
ウランなど陽子中性子の多い原子をイメージさせている。天体観察用の透明半球2個,ガチャポンのカプセル,赤とクリーム色のBB弾,中のしきりに使うために透明プラ板を使って作成している。
・ペレット模型(図7)
原子力発電所見学の際に入手した物。見学場所、時期によって入手できるか不明。
・1/200原子力発電所模型(図8)
顧問をしている科学同好会の生徒が文化祭に向けて作成したペーパークラフトである。ダウンロード先は、最近、日本に来た「アレバ社」
である。ダウンロードした1/800のものを印刷時に2倍にして組み立てた。約3週間かかった。ちなみにそのままの大きさでは小さくて逆に作りにくい。4倍でも細々としていて、本当によく作成できたものだと感心してしまう。
最近知ったのが下記の「ブリティッシュエナジー社」のもの。
こちらの方が簡単だと思うが、まだ作っていない。燃料集合体のモデルもある。
授業後の生徒の感想を載せます。
・今までは,名前だけ知っていて,あまり内容を知らなかったけれど,今回の授業は,よくわかった。α線やβ線は,どんな違いがあるのかが模型などでわかりやすく楽しかった。
原子力や放射線について、科学的真実を誇張なしに教えるべき時期が来たと考えます。教材教具もなかなかそろっていない現実もありますが、今回の模型作りは比較的入手しやすいもので作っています。今回の記事が放射線授業の役に立つことができれば幸いです。
次回は、エネルギー関連模型です。