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報告者  土 井

 2013年12月19日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました 。

 参加者(勤務校)は、土井、早川先生(宮田中)、大野先生、坪内先生(犬山中)、天野先生(大口南小)、尾関先生(岩東小)、勝村先生、大藪先生(楽田小)、鈴木先生、玉置先生(城東小)、大島先生(古北小)、竹野先生(門弟山小)の12名でした。


土井が資料提案した資料を紹介します。 

1 再び思考力について考える
2 「学費無料、テストなし」で世界トップレベルの理由 

3 ブログ「政治学に関係するものらしきもの」紹介
4 お役立ち資料
5 書籍紹介

 
  次回、1月9日は、土井による授業です。
 
 「いいつあよたまみの通知表−人の評価は誰がするのか−」
 2回構成の1回め。
 「いいつあよたまみ」とは、江戸時代の代表的な政治家、家康・家光・綱吉・新井白石・吉宗・田沼意次・松平定信・水野忠邦のことです。
 みなさんは、これらの政治家をどう評価するでしょうか?
 この評価が、実は現代の世界の見方にも大きくかかわるとしたら・・・。
 
 人の評価は誰が決めるのか、いっしょに考えましょう!
 
 
第404回 1月16日(木) 高橋先生にお願いします。
第405回 1月30日(木) 名古屋大学教育学部 柴田好章先生
第406回 2月13日(木) 宮田中学校 発表リハ、柴田先生のLINEについて
第407回 2月27日(木) 鈴木先生による模擬記者会見
第408回 3月13日(木) タイで活動した馬場さんの活動報告
 
 第403回から405回までは、集会室A、集会室B、学習室を借りてあります。
 駐車場は、出口方向に向けて、縦列駐車にしたいと思います。それでも、相乗りにご協力ください。警察署駐車場も適時ご利用ください

 
 再び思考力について考える

 最近の社会科研究の潮流が、「思考力・判断力」に重心が移っていることを以前に確認した。
 それでは、その「思考力」とは何か?コンピュータを例に考えてみたい。
 
 @ CPU(中央処理装置)のクロック数:頭の回転の速さ。
 A CPUのコアの数:同時に処理できる能力。先週配られた職場のパソコンはクアッドコ  ア。4つの仕事を同時にできるので、思考の柔軟性というべきか。           B メモリ:記憶力に例えられるが、思考する場合、いちいち記憶を引き出す(ハードディ  スク)わけにはいかない。瞬間的な記憶物(知識)が常にメモリ上になければ使えない。
 C OS、ワープロ等ソフト:どんなに性能の良いCPUやメモリがあっても、ソフトが   なければ働かない。思考法がこれにあたるか。
 
 人間に例えると、@ABは、脳トレや食事、睡眠といった健康の領域である。授業の中でレベルアップするのは難しい。
 やはりCをいかに考えるかである。Cは、授業次第で、進化させることはできると考える。
 
 さて、私はいつもの自作用語集には次のようにとらえている。あくまでも仮であるが…。

(1)思考とは
・ 外からの刺激によって生じた問題を,それぞれの人が持っている記憶をもとにして,自 分から適応していく過程
・ 疑問や課題を知的な概念の操作によって解決していく過程
 

(2)思考力とは
・ 社会科の学力の中心的要素であり、社会的事象を、客観的に、より広く深く、より精密 に、より間違い少なく、すなわち科学的に捉える力
 
 上記「思考とは」の思考と、とらえが異なるが、説明としてはわかりやすい。
 社会的思考力を分析すると、私は5つに分けている。他にも、いろいろな説がある。

(3) 社会的思考の5因子
 関連思考・比較思考・条件思考・因果思考・発展思考
 

(4)思考力の育成・・・確か有田先生か?
@ 経験と思考が互いに働き合い、発展性のある経験が続く時思考が深まる
A 書く。追究的な思考活動が発展していく
B 「なぜ?」に答えない。自分の考えを出させ、それを確かめるための新しい経験をさせる
C 訓練。分析と総合の経験を積む。
 
 これらは、速さはともかく、内容的にはコンピュータCの内容である。
 
 ここで、以前に紹介した日本教材文化研究財団作成の資料、「思考力・判断力を問う中学校社会科テスト問題の開発研究」の目次、思考力の考え方を別紙で紹介したい。
  日本教材文化研究財団 http://www.jfecr.or.jp/


「学費無料、テストなし」で世界トップレベルの理由
 中日新聞が社説でフィンランドの教育を取り上げている。
 かつて大きく注目され、一時期下火になったのだが、最近再び脚光を浴びている。それは、学力調査の公表問題が影響していると思われる。
 毎日チェックしている The Huffington Post が、18日にフィンランドの教育を取り上げている。 http://www.huffingtonpost.jp/ 
 一部紹介したい。
 大学までの学費は無料。授業時間が他国に比べて少なく、基礎教育課程では全国共通の学力テストもない。それにも関わらず、国際的な学習到達度テストでは常に上位を誇っている国が、フィンランドだ。来日していたフィンランドのクリスタ・キウル教育科学大臣が11月、日本記者クラブ(東京都千代田区)で会見。世界から注目を集めるフィンランドの教育制度について語った。その背景にあるものは、「信頼」なのだという。
(中略)現在のフィンランドの教育は、1968年から始まった大胆な教育改革に起因する。
(中略)その結果、フィンランドでは国家および自治体の予算の11?12%が教育にあてられ、就学前教育(6歳)、基礎教育(7歳?16歳)、高等教育、大学院は無償となっている。就学前教育と基礎教育では、教科書や給食、遠隔地に住む児童の送迎にかかる費用もすべて無償で提供。成人に対する生涯学習も手厚いサポートがあり、学びたい意欲があれば、そのチャンスが与えられるように制度が整えられ、公平性が保たれているという。
 
■修士課程を修了した優秀な若者が教師を目指す
(中略)
 そして、フィンランドの教育制度の成功の重要な点として、「若者が教師になりたいと思っていること」を指摘する。フィンランドでは、教師になるためには大学院で修士課程を修めなければならない。保育所(デイケアセンター)と就学前教育(プレスクール)の教師も、大学を卒業している。それでも若者の間で教職課程は人気が高く、教育学部には定員の5倍にあたる志願者が集まる。教師が信頼され、尊敬を得ているということから、若者は教師に憧れを持っているのだという。
 
■持続可能を実現するためのキーワードは「生涯学習」
 教育制度は子供たちだけのものではない。フィンランドでは、大人になっても、学び続ける姿勢が大切なのだ。「生涯教育こそ、キーワードです。私たちができることは、今の最高の知識による教育を続けるということです。卒業した後も学習を続けなければ、持続可能は実現できません。世界の国々やその構造も急速に変化し続けています。何が成功や幸福に結びつくのかわからないからこそ、ずっと学び続けることが大事です」
 
 
 
3 ブログ「政治学に関係するものらしきもの」紹介
 「日中関係(主)+興味のあることを。」と説明がある通り、東アジアの政治動向が中心です。  http://blog.livedoor.jp/amuro001/ 
 最近のテーマです。
 
・中国のためにアメリカに頼り、韓国が嫌いな日本
・韓国人に言わせると「アメリカは常に日本の味方」?
・「地元」に対する中間所蔵施設の受け入れ要請について
・防空識別圏を念頭においた日アセアン共同声明は意味があったか
・マンデラ氏追悼式の手話に対する批判
・教師の都合とそれで大学進学を決めて苦労する学生
・政党交付金と「野合」
・中国の大気汚染(PM2.5)に対する開き直り
・韓国の防空識別圏拡大に関する見方
・中国人自身も厭きれている中国の汚職
 
 
 ここでは、2013年10月13日 日本と中国の「詰め込み教育」と平均点 の一部を紹介します。
 
 経済協力開発機構(OECD)が初めて行った国際成人力調査に関する記事です。「24ヶ国・地域が参加。「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」の3分野から出題され、年代ごとに、レベル1未満からレベル5までの6段階で、集計された」そうです。
 結果、「日本は、3分野の内、「読解力」と「数的思考力」の平均得点が、参加24ヶ国・地域中トップ、「ITを活用した問題解決能力」においては10位」でした。
 この結果に対して、「ガーディアン紙は、日本人の学力の高さを、学生時代の知識の「詰め込み」の賜物だと紹介している」そうです。
 そして、「しばしば機械的な暗記学習に偏りがちで、独創的な思考や実際に役立つスキルよりも理論が重視される傾向が強いとの批判もあるとはいえ、「こうした伝統的なアプローチが他国の学生をしのぐ結果を生んでいるのは確かだ」と評し」ているとしています。
 他にも「繰り返されるテストが、学生の基礎的な学問のスキルを底上げすると指摘」し・・
(中略)
 日米の平均点比較が興味深く、日本の場合、レベル1と、レベル1未満が少なく、「レベル4~3が目立って多い」という特徴があります。「一方のアメリカは、まったく対照的に、レベル5だけで見ればさほど悪くはないのだが、レベル1、レベル1未満の人数の多さが足を引っ張ってしまっている」という結果になっています。
(中略)
 中国の場合、大学の授業も基本的に教師の話を聞いて、それを覚えるということの繰り返しです。(中略)というのは、中国共産党の一党独裁が大原則で、言論の自由がなく、それに対する反対は認められていない中国では、社会科学の分野では、有る程度答えが最初から決まっているからです。それ以外の「正解」が存在しないため、その「正解」を覚えることが要求されるというわけです。
 
 社会科教師にとっては、とても参考になるサイトです。ぜひご覧ください。

4 お役立ち資料
(1)岩手県立総合教育センターの資料
 @ 授業改善を図るための校内授業研究の進め方に関する研究/岩手県立総合教育センター
   http://www1.iwate-ed.jp/tantou/kyouka/seika/jugyouken/jugyouken_guide_h19.pdf 
                          
A 校内授業研究の進め方ガイドブックV      
   http://www1.iwate-ed.jp/kenkyu/h24/h24_1501_2.pdf
    上記の解説改訂版です。    
 
 B 小学校社会科におけるデジタルコンテンツ集の作成
   http://www1.iwate-ed.jp/kenkyu/h24/h24_1001_0.pdf
 
(2)佐賀県教育センター
 @ つくりだす喜びを味わう児童を育てる図画工作科学習の指導法研究    http://www.saga-ed.jp/kenkyu/kenkyu_chousa/h24/07%20zugakousaku/index.htm
 
 A 夢や目標の実現に向けて、努力することの大切さを実感させる道徳の時間の研究    http://www.saga-ed.jp/kenkyu/kenkyu_chousa/h24/09%20doutoku/index.htm
(2)文部科学省
 @ 平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について
    http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/1341728.htm
 
 A 道徳教育の充実に関する懇談会(第10回) 配付資料
    http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/096/shiryo/1342012.htm 
 
(3)やる気.com  http://yaruki.com/index.html 
  これはおもしろい! 
 
(4)名作のあらすじ
   http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/arasujipeji.htm 
 
5 書籍紹介
『大人が知るべき一覧表』 (アントレックス サプライズBOOK)
 
第1章 身近なIT・家電の常識
(1)モバイル・ITの基礎 (2)家電の扱い
 
第2章 知っておきたい暮らしの知恵
(1)住居と生活に役立つ知恵 (2)健康の常識 
 
第3章 知って役立つ暮らしの制度
(1)困ったときに役立つ制度 (2)暮らしに必要な届出
 
第4章 知っておきたいマネーライフの基礎
(1)お金を守り増やすには (2)マネートラブル対策 (3)身近なマネー
 
第5章 社会人として知っておくべきマナー
(1)歳時記 (2)冠婚葬祭のマナー (3)お付き合いのマナー
 
番外編 現代を読み解くデータ集
 
☆★☆ コメント ☆★☆
 そもそも論になるが、そもそも教科とは何か?人類がこれまでに積み上げてきた学問体系を類別し、発達段階に合わせて、系統的に並べたまとまりといえるであろう。
 それではどのような内容を選択するのか?
 一つのポイントが、「大人として知っているべきこと」であることに異を唱える人はいないであろう。 
 この本の内容の多くは、本来、学校で教えるべきことではないのか?
 それでは、いつ、どの教科で教えたらよいのか?
 それを考えながら読むと面白い。