韓国事情(歴史・文化) 国内TOPへ
龍谷大学国際文化学部
教授 権 五定(コン オジョン)先生

 
名前の説明をしよう。
権 は権家と言う意味である。
五 は三十五代目を表す。
定 が固有の名前である。

韓国の歴史を語るためには、両班を抜かすことはできない。 
両班とは、 武と文 ・・・支配階級 を表す。

科挙では、朝鮮時代500年を通して「権家」が最も高い合格者を出してきた。しかし、実際に公務員にはならなかった。それだけへそ曲がりだったのである。それが権家の誇りである。

ここ数年で韓国は大きく変わる。この時代に、国際理解をどう考えるかは大切だ。

1 異文化を理解するときはどういう姿勢で見るべきか

異文化理解という言葉が使われだしたのは1970年代後半からだ。では、どうすればいいのか?
ある程度の枠組みが必要だ。
  
日本では韓国の文化が類似しているという。 ルーツが同じものがたくさんある。しかし、似ているものがややこしい。

日米は似ていないから摩擦が起こらない。

日韓は似ている中に相違点がある。
 例えば、
  ・ 日本人は茶碗をもって食べる。これは韓国では野蛮になる。
  ・ 韓国はスプーンをなめるが、日本では行儀が悪い
 異文化であることを前提に考えなければならない。

(1)「一般化」 日本人は○○だ。 ・・・ここに危険性がある
   よく韓国人はイデオロギーが堅い、保守的と言われるが、私は違う。こういった表現では個性が無視される。

(2)比較する  → 善し悪しを評価してしまう これが問題!
   相対主義的な立場で異文化を見る。言葉として優しいが、実際には難しい。

 日本人が韓国を見るときには、韓国に内在する物差しで見なさいと言われるが、韓国の物差しがわからない。難しい。
アメリカとアフガンでも同様な問題が起きている。

 それでは具体的に異文化をどう見るか
(3)構造的認識  
    文化には3つの層がある  深層文化  ・・・公式的文化  : 価値観や信念など
                     準深層文化 ・・・非公式的文化
                     表層文化  ・・・技術的文化  : 目で見える部分 氷山の一角
 ※ 見える部分が少ないから、異文化を理解するのは至難の業である。  
 
文化の要素・・・どの文化にもこれらはある。異文化を理解するには、これらの要素に分けて具体的に考えていく必要がある。   
   相互作用
   連合
   開発
   防衛
   時間
   空間
   遊び
   性
   教育
   生計
  これらの要素はつながっている。構造として、これら(技術・非公式・公式)に入っている。
たとえば 言語・・・技術的   
      ジェスチャー・・・非公式
      tone(間)・・・公式的(深層)

(4)異文化を理解する能力  3つの側面を総動員する必要がある
    認識的側面(知識) 
    情緒的側面
    行動的側面

   日本とアメリカはあまりにも違うから、できるだけ接近してあげようとする。
   日本人と韓国人は、似てるから近寄ろうとしない。隙間ができる。

2 韓国の文化はどのように形成されてきたか
   日本人は韓国の文化を儒教で説明してしまう。
   でもそれだけではない。
   時間的順序で言うと
     シャーマニズム  神と人がつながっている。話ができる。
       (この考えは日本にもあった。生と死の未分化)  巫女の存在。 自然と共に生きる。
                死の世界も自然の中に入っている。西洋はそうではない。
         ↓                  
     農耕文化     年寄りを敬う
                 農業は経験がものを言う
         ↓
     仏教文化     王室    ・・・ 宗教を通して住民とつながりたい
                 貴族・豪族・・・ 反対。王と住民の間に入りたい。住民を直接支配できるから。
                  王権が確立して、中央集権的になった。
                 祭り   舞う・飲む・歌う 
                      儀礼食   
                 仏教は韓国文化に大きく影響を与えた
         ↓    
    儒      教    紀元前からあった。国としては朝鮮時代から国の政治の基本になる。
                儒教的な制度を作り上げる。
                  これにより理念的になる。実質より名分を大切にする。堅い。
                  歴史教育問題でも、もっと柔らかく言ってもいいのではないか。
                そこから交流を中断してしまう。堅い証拠。被害者意識から抜け出して、
                成熟した姿を見せたいが・・・・      
                  儒教のおかげで教育熱心になった。高校までは100%、大学も62%。
                日本より高い。
                  先生を敬う。先生の前でたばこは吸えない。先生が大臣になっている。
                  韓国の大学の教授は待遇が大臣クラスだった。
         ↓
   植民地としての経験  ナショナリズムが生まれた。これが儒教的理念と結びついた。
         ↓
   キリスト教        34%ぐらい。積極的に教会へ行く。
                 仏教徒は30%ほど。あまり熱心ではない。
                 金大中も カソリック。その前の金はプロテスタント。今や、政治的には大きな影響。 
                  民主化運動・独立運動の時に大活躍したから、大きく勢力を広げた。
 
  以上、韓国の文化はいろいろな要素を含んでいる。
  例  同姓同本禁婚 
       祖先の出身地が同じで同姓だと結婚できない。・・・儒教の影響と 少数民族として近親結婚は遺伝的に悪いとわかっていた。農耕民族として村を作り定住するので、必ず違う村の人と結婚させた。日本はいとこでも結婚できる。韓国では野蛮と考える。

    おまけ  日本の社会に軍国主義的なところが残っているのがおもしろい。
   
 韓国は女が強い。昔から・・・
 性の自由度=女性の社会的地位が高い 
 韓国は儒教の影響が強かったが、いろいろな例外があった。抜け道であり、知恵。
新羅のお坊さん ウオンヒョ  もっとも尊敬されているがエッチだった。
王女との間に産まれた子供がソルチョン。最初の仮名文字を作る。
   
 夫婦別姓  少数民族としての血族を重んじる
   姓は絶対変わらない。子供は父方の姓を名乗るのは、儒教の影響。

教科諸問題・・・ 中国やアメリカの教科書に対しては何も言わない。日本の教科書にだけ言う。
   それは被害者意識から。
中国と朝鮮の関係・・・・安保的に日本と米国のような関係。
            朝鮮は中国の傘の下にいた。
            日本と朝鮮の関係は違う。
  例外 漢の時代に4郡を置いたことがある。それだけが唯一の植民地関係で、他は違う。