植物豆知識の頁 38

野草の時間的棲みわけ

 

越年草とは「種子が発芽しても年内に開花しないで、翌年になって開花、結実して枯れる植物」

のことでありますが、秋に発芽して越冬、春になって花が咲き種をつけて枯れる草花と言う方が

わかり易いかも知れません。それに対して春に発芽、開花と結実を秋までに終える草花は年を越

さないので1年草と言います。越年草は年をまたがるので2年草とも言います。また、種子の他

に地下茎で越冬し毎年開花結実するものを多年草あるいは宿根草と言います。

2〜3の例を挙げると

1年草 イヌタデ、スベリヒユ、ツユクサなど
越年草 オオイヌノフグリ、ホトケノザ、 ハハコグサなど
多年草 ススキ、タンポポ、キクなど

さて、ここで取り上げたいのは越年草なのです。それはなぜ秋に発芽し植物にとって最も生育条

件の悪い冬を乗り越えるのかと言うことなのです。氷点下になるる厳しい冬を生き延びるために

はそれなりの仕組みを備えていなければなりません。しかも春に向けての成長も遅々としてでは

ありますが進めているのです。オオイヌノフグリなどは霜で凍りつきながら花を咲かせているの

を見ることさえあります。それはなぜなのでしょうか。答はひとえに生存競争を生き抜くためで

しかありません。

1年草は春の訪れとともに発芽、成長を始めます。多年草も芽吹き成長を始めます。越年草は秋

から冬を越して発芽成長をしていますからその分大きく(早く)育っています。1年草や多年草

に先駆けて一足早く花を開き種子を実らせるのです。そうすることによって生存競争を生きてい

るのです。

ある意味で空間的な生育場所の棲みわけに対する時間的な棲みわけとも言えるかと思います。