ごぼうを知らない人はいないと思いますがごぼうの花については見たことがないと言う人が多いと 思います。ごぼうはキク科の植物で野菜としては普通春に種をまいて秋から冬にその根を収穫しま す。しかし、そのまま放置すると翌年の夏には茎が人の背丈ほどに伸びて枝分かれした先にまるい 花が咲きます。初めての人は「これがごぼうの花?・・・」と思うことでしょう。花は筒状花ばか りで紫色または白色です。花の下の総苞片がかたくなっていてそり返り衣服などにひっかかるよう になっています。もちろん花が咲けばやがてタネが採れます。花が咲くまで放置したごぼうの根は 地上部に栄養分を摂られてスカスカになってしまうので簡単に引っこ抜けるそうです。こうなると 食用にはなりません。 ごぼうは野菜であるとともに薬草でもあります。と言うよりもごぼうはヨーロッパ原産の植物で古 い時代に中国から薬草としてわが国に入って来たものです。根を食べる今のごぼうはわが国で改良 されたもので外国では根を食用にしません。しかし、ヨーロッパではごぼうの若葉をサラダとして 食べるそうです。薬用には種子がはれもの・のどの痛み・むくみに効くとされています。生薬名は 牛蒡子(ごぼうし)、悪実(あくじゅつ)です。 さて、ついでにゴボウと名のつくもののお話もつけ加えておきます。ヤマゴボウ、ヨウシュヤマゴ ボウ(アメリカヤマゴボウ)、マルミノヤマゴボウです。ゴボウと言う名前がついていますがこれ らはいずれも有毒です。 ヤマゴボウは中国からの帰化植物、ヨウシュヤマゴボウは別名のアメリカヤマゴボウの名前の通り 北アメリカ原産の帰化植物でインクベリーとも言います。マルミノヤマゴボウは山地に生える在来 の種類です。ところで山間部のお土産として「やまごぼう(きくごぼう)の味噌漬け」を目にする ことがあるかと思います。この味噌漬けのヤマゴボウはあざみの仲間であるモリアザミ(フジアザ ミも使われる)の根なのです。もちろんヤマゴボウのような有毒成分は含んでいませんから安心し て食して結構です。 |