植物豆知識の頁 62

エライオソーム その2「カタバミ」


大きさ約1oの種子(右)とエライオソーム(左)
  植物豆知識の頁 46「アリ散布植物(エライオソーム)」で、植物の種類によっては種子

 にエライオソームと言うアリの好む物質を付着させて巣へ運ばせ、種子だけ捨てさせる

 仕組みがあることを紹介しました。

 今回、偶然にカタバミの果実にくっついているエライオソームをともなった種子を見つけ

 ました。よく見るとカタバミのエライオソームは種子よりも大きいのです。これはなぜで

 しょうか。

 カタバミ(ムラサキカタバミやイモカタバミは別)には種子を勢いよく弾き飛ばす仕組み

 があります。それなのに、なぜ大きなエライオソームが必要なのでしょうか。

 さらに、このカタバミのエライオソームを見つけたのは11月も半ばでした。この時期に

 なると気温の低下からアリの活動も見られなくなる時期になってきます。種子の運び屋さ

 んがいなくなるのです。

  どうやら運んでもらう目的よりも接着の役目をしているようです。ビニール袋の中で種が

 飛び出さないようにして、果実に刺激を与えるとたくさんの種がエライオソームとともに

 飛び出してきます。袋の中に落ちた種子を観察すると種子とエライオソームがくっついた

 もの、エライオソームが複数くっついたもの、種子だけのものなどがあります。ひとつの

 種子に2〜3個のエライオソームがくっついているものもあります。飛び出すときはひと

 つの種子にはひとつのエライオソームだっはずですが、袋の底に落ちてからくっついたも

 と考えられます。

 アリに運んでもらうことよりも、飛び散った種子を動物など移動物体に接着して運んでも

 らう手法と考えられます。エライオソームにはアリの餌手法とは別の接着役目のものもあ

 ると言うことだと思います。

 なお、この接着のはたらきについてはHPの検索から確認することができました。