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1996年度(平成8年度)論文

コミュニケーション能力を高める英語体験授業

-実際の英語使用場面を教室に-

 

刈谷市立刈谷東中学校 犬塚章夫

1 主題設定の理由

 インターネットという言葉をごく身近に聞くようになり、WWWで世界から情報を入手したり、電子メールで外国と交流することが物理的に容易になってきた。また、海外旅行も一般的になってきており、英語と接する機会や、その必要性を感じる場面が増してきている。そのような社会の中、英語教育への期待は、単に文法の習得だけではなく、実際の場面で使えるコミュニケーション能力の習得に向けられてきているのではないだろうか。

 本校では、小学校から市のALTと接している生徒も多くなってきており、本年度入学してきた1年生たちは、ALTと廊下で会うと気軽に日本語で話しかけ、会話を楽しんでいる。外国人と抵抗なく接することができるのはすばらしいが、国際語として英語がコミュニケーションにどれだけ役立っているのかにも気づかせたい。外国人に日本語を話すことを期待するのではなく、いろいろな国の人と接していくには、英語が必要であることを感じさせ、英語で外国人と気軽に話ができる力を育てていく必要を感じた。

 そこで私は、インターネットを使ったり、生徒にとって初対面のALTの協力を得て、実際の英語使用場面を教室に作ることで、生徒にコミュニケーション能力を育てていきたいと考えた。本論文では、1年生の授業実践を通して、「英語が使えた。」と実感できるコミュニケーション単元について考えてみたい。

2 研究の概要

(1)研究の仮説

仮説1…実際の英語使用場面を教室に作ることで、生徒に英語の必要性を感じさせることができ、英語学習への意欲を高めることができるのではないか。

仮説2…会話の基礎技能を育てる手だてを通して、生徒のコミュニケーション能力を高めることができるのではないか。

(2)研究の構想

ア、実際の英語使用場面を持ったコミュニケーション単元

 下に示すような構造のコミュニケーション単元を設定した。単元の導入段階と最終段階に、「実際の英語使用場面」を位置づけてある。「実際の英語使用場面その1」は、読んだり書いたりするコミュニケーション場面で、インターネットを通してアメリカの中学生との電子メール交流体験である。そして、「実際の英語使用場面その2」は、聞いたり話したりするコミュニケーション場面で、留学生のブライアンくんとの会話体験とした。さらに、これら2つの場面の橋渡し活動として、「コミュニケーション練習」を位置づけ、それまでに基礎表現の暗記や、会話の組み立て練習、日本人英語教師(JTE)との会話リハーサル練習などを段階を踏んで行うことにした。このように同じテーマの活動を繰り返すことで、いかに正しく英文を作るかという統語能力と、いかにうまく会話を進めるかというコミュニケーション方略が身につき、生徒のコミュニケーション能力を高めていくのではないかと考えている。

 コミュニケーション単元では、実際の英語使用場面を設定する必要上、ALTなどのスケジュールに会わせて授業を構成していく必要がある。本単元では、教科書の学習が終了してから9時間まとめてコミュニケーション単元の時間とした。場合によっては、コミュニケーション単元と教科書の学習が並行して進んでいくことも考えてよいだろう。

(↓コミュニケーション単元構造図)

イ、コミュニケーション単元を支える4つの手だて

(ア)年間を通して行う「会話カード」練習

 「会話カード」は、気軽に英語で会話をする習慣をつけるために、年間を通して実践していく。生徒は、JTEやALTと英語で2往復以上の会話をすると「会話カード」をもらうことができる。教科書で新出表現を学習した時などに、教師との会話の中で気軽に実際に使ってみることにより、表現の定着と会話への慣れにつながると考えている。

(イ)基礎表現を支える「コミュニケーション・パターン」の暗唱

 会話にはそれぞれのテーマに特有の表現がある。教科書で学習した文法表現は、なかなかそのままでは会話に応用することが難しい。そこで、今までに学習した表現を復習しながら、実際の会話場面を想定した4行対話の形式に組み直し、すぐに会話に使える表現集として「コミュニケーション・パターン」を作成する。対話文は暗唱させ、実際の会話に役立てていく。ここに出てくる様々な表現は、会話リハーサル練習や実際の会話場面でも繰り返し使うことができるので、より定着していくものと考えている。さらに下位群の生徒にも基本表現を覚えさせ、一言でも会話に参加させるきっかけとしていきたい。

 本単元では18パターンを準備したが、実際の会話を意識し、@会話開始の場面、A会話展開の場面、B会話終了の場面の表現を与え、さらにアメリカの生徒からもらった電子メールで実際に多く使われていた表現を含めながら構成した。

(ウ)段階を踏んだコミュニケーション練習

 最初に、「コミュニケーション・パターン」を練習し、暗唱させる。そして、ALTと「いきなりチャレンジ会話」に挑戦させ、覚えた会話表現を使ってみさせる。会話の難しさを感じさせるとともに、「コミュニケーション・パターン」を覚えれば何とか会話になりそうだという見通しを持たせ、さらに暗唱を進める。次に、どんな内容で、どんな風に会話を進めていくか、@会話開始の場面、A会話展開の場面、B会話終了の場面を意識させながら、じっくり考え準備させた、JTEとの「会話リハーサル」で試してみる。そして不足部分を補いながら、ALTとの「最終チャレンジ会話」に挑戦させていく。

(エ)3人のティーム・ティーチング

 本校では全学年に週4時間の英語の授業のうち1時間、JTE同士でティーム・ティーチングができるようになっている。また、3週間に1週の割合で刈谷市のALTがやってきて、JTEとALTとのティーム・ティーチングができるようになっている。これを組み合わせ、本単元の「チャレンジ会話」のような場合は、2人のJTEとALTの3人で授業ができるよう、授業を組んでいる。つまり、「チャレンジ会話」では、ALTと6人前後のグループが会話をするわけで、主のJTEが会話の評価とグループの交替を指示し、副のJTEが順番待ちの生徒の指導(たとえば「コミュニケーション・パターン」の暗唱チェックなど)にあたっている。

(3)検証方法

 本論文の主旨は、生徒にいかに英語の必要性を感じさせ、英語学習への意欲を向上させ、コミュニケーション能力を高めていけるかであるので、日本語での会話は得意であるが英語が苦手な生徒と、会話には消極的であるが英語には興味を持っている生徒からそれぞれ抽出生を決め、本単元を通して、その抽出生の会話での様子や意識の変容を調べることで、仮説を検証していきたい。

3 研究の実践 1年コミュニケーション単元「外国に友達を作ろう」

(1)授業の実際

1時間目

 新しいコミュニケーション単元との出会いである。「(刈谷市のALT)マット先生の紹介で、アメリカのミドルスクールの生徒からインターネットを通して電子メールが届いているが、交流をしてみたい人?」と、切り出した。ほとんど全員が挙手をした。生徒は興味津々である。メールの長さはまちまちなので、できるだけ英語が得意な生徒に長いメールを、苦手な生徒には短かめのメールになるよう配慮しながら、配布していった。相手の名前を頼りにあれがいいこれがいいと言いながら、生徒は楽しそうにメールを眺めていた。まずは、解読だ。英和辞典を渡し、メール内容解読に取り組ませた。メールの英文はかなり難しい表現も含まれているので、生徒には分からないところは質問するようにと伝え、あまり1語1語完璧に訳そうとせず、大筋をつかむようにアドバイスした。しかし生徒は、分からない単語をいちいち辞書を引き、大奮闘。地名や学校名が、辞書にないと質問をしてきたり、「全部わからない。訳して。」など、反応は様々。英語が得意な生徒は、何とか自力で解読しようと努力していたのが印象的であった。英語が不得意な生徒には、興味をなくさせてはいけないので、どんどん訳してやり、内容に興味を持たせることを中心とした。

2時間目

 英文で返事を書くことに挑戦させた。和英辞典を配り、なるべく日本語で下書きを書かず、習った表現を用いて英語を直接書くことを勧めた。生徒は今までに、簡単な自己紹介や自分の1日の生活を紹介する文を教科書の学習を通して学んできているので、それを骨組みにさせた。英語が不得意な生徒には、教科書の本文の単語を少し変える程度の短い文でよしとし、得意な生徒には、自分の伝えたいことで肉付けをしていくことを勧めた。分からない表現については、英訳してやり、相手を意識して楽しんで返事を書くことに重点を置いた。生徒は、相手のメールに書いてある質問に一生懸命答えながら、自分のことを書いたり、さらに質問をしたりと、コミュニケーションを楽しんでいるようであった。

3時間目

 ワープロを6台ほど用意し、自分の英文メール原稿が完成した生徒から、入力に取り組ませた。1学期に入力練習は一応やっているものの、不慣れなキーボード、どこにどのキーがあるのか分からず、けっこう時間をかけて入力をしていた。しかし、カチカチとキーをたたきながら、楽しそうに作業をしている顔が印象的であった。2時間目、3時間目で入力をしていったが、どうしても時間内に入力できない生徒については、残念であったが、こちらで入力した。そして、その日のうちにコンピューターで電子メールとしてアメリカに向け送っておいた。なんとか自力で入力ができた生徒は、自分で電子メールを打ったんだという満足感を得たようであった。

4時間目

 ここから、「実際の英語使用体験その2」に向けての「コミュニケーション練習」が始まる。まず生徒に「最終チャレンジ会話」の内容を次のように発表した。「来週、学校にカナダからブライアンくんという留学生が来ます。みんなは英語で会話をし、彼と友達になってください。」すると、「えー、本当に来るの?」「ブライアンくんっていくつ?」などなど、生徒の興味関心は高まったようである。「分かってるのは、カナダから来ると言うことだけ、あとは直接質問してください。」と生徒に伝え、「じゃあ、次の授業では、マット先生にカナダからの留学生マットくんになってもらうので、練習の会話をやってみよう。」と予告しておいた。

 授業後半では、「コミュニケーション・パターン」を導入した。まだ習ってない表現も、実際の会話に出てくる可能性が高いので導入した。読みの練習を一通りした後、生徒相互の読みチェックと教師による暗唱チャックを行った。「手紙に出てきた表現もあって、覚える気になった。」「これをしっかり暗唱して会話ができるようにしよう。」などの感想が聞かれた。

5時間目

 2人のJTEとALTとのティーム・ティーチングの授業である。クラスを6つのグループに分け、1グループずつ、隣接した教室に通し、そこで会話を約5分間ずつ行っていった。会話の順番を待っている生徒には、「コミュニケーション・パターン」の暗唱を進めさせ、副のJTEにチェックをやってもらった。会話の様子を観察していると、何を言っていいのか分からず、沈黙が続く場面もかなりあった。マット先生は日本語もかなり分かるので、適当に助けたり、簡単な質問をしたりしてくれ、生徒は少なくとも一言は英語を話すことができた。順番を待っている間も、暗唱がかなり進んだ様子であった。

6時間目

 この時間も引き続き暗唱チェックを行った。生徒は、実際の会話で使えそうな表現や、短くて覚えやすそうな表現から、次々に暗唱をこなしていった。英語が不得意な生徒も、会話のきっかけの挨拶の表現など、ごく簡単な表現に挑戦し、合格してうれしそうな顔をしていたのが印象的であった。英語が得意な生徒は完全暗唱を目指して、勢いよく暗唱チェックを繰り返し受けに来ていた。完全合格した生徒には、ミニ・ティーチャーとして、暗唱合格のチェックをする権限を与えて活動をさせた。完全暗唱を終えた生徒もほこらしげに、他の生徒の暗唱を聞いていた。

7時間目

 「最終チャレンジ会話」に向けての会話準備を行った。まず、コミュニケーション・パターンを参考に、自分の話をしたい話題を選ばせ、それを中心に会話を組み立てさせた。会話はまず簡単な自己紹介のあいさつで始めさせ、自分の得意な話題で自分のことを話した後で、1つ疑問文を言わせた。実際の会話はどう返事が返ってくるか分からないが、一応その答えを予想させ、さらにその返事までを考えさせた。ノートに対話文の形式で書かせ、わからない表現については質問させた。自分の趣味や、家族紹介、一日の生活など、電子メールの時に使った表現を中心に使わせた。「何とか会話ができそうだ。」という感想が聞かれた。

8時間目

 「最終チャレンジ会話」を前に、副のJTEと「会話リハーサル」を行った。前時にノートに書いておいた対話文を暗唱し、隣接する教室にグループごとに入って会話をした。準備した疑問文は言えるが、その返事が分からなかったり、逆に質問されたりで戸惑う場面もあった。

9時間目

 いよいよ「最終チャレンジ会話」である。隣の教室にスタンバイしてもらっていたALT、ブライアン先生にはカナダからの留学生という設定で会話をしてもらった。生徒にとって初対面の新しいALT、緊張の面もちで会話をしている生徒の顔が印象的であった。いつもより緊張して自己紹介や質問が始まっていった。すらすらとは言えないが、なんとか会話を終えていたようだ。授業後、ALTのブライアン先生に会話のレベルを尋ねたが、1年生でこれだけ話せればいいとお褒めの言葉をいただいた。

(2)検証と考察

 抽出生として日本語での会話は得意であるが英語が苦手な生徒(N子)と、会話には消極的であるが英語には興味を持っている生徒(T子)を、それぞれ抽出生を決め、彼女たちの本単元への取り組みを通して、先にも述べた次の2つの仮説を検証していきたい。検証には、生徒の授業日記での感想と、授業メモ、会話の様子を録画したビデオを用いる。

仮説1…実際の英語使用場面を授業の中に作ることで、生徒に英語の必要性を感じさせることができ、英語学習への意欲を高めることができるのではないか。

仮説2…会話の基礎技能を育てる手だてを通して、生徒のコミュニケーション能力を高めることができるのではないか。

ア、N子は、このコミュニケーション単元を通して、英語の必要性を感じ、英語学習への意欲を高めることができたか

 N子は、「実際の英語使用場面その1」の電子メール交流で、実際に外国と友達と交流することに非常な意欲を燃やしている。授業日記にも、次の様に書いている。「外国人のいろいろな人と、インターネットで交流できるなんてすばらしいと思う。でも英語だから訳したりするのがとても面倒だから、それがちょっと苦労するけど、その苦労があってようやく訳せたらとてもうれしいことだと思う。楽しい交流ができそうになりたいと思った。名前しか知らない子と話すなんてすごいと思った。」書いているメールの向こうには顔が分からないけど確実に相手がいる。その事実が彼女に、英語は得意じゃないけど、和訳・英訳はたいへんだろうけど、やり通したいという気持ちを起こさせている。その学習意欲は、電子メールの入力の授業後の授業日記にも現れている。「英語で手紙を書いてみて、初めてだったので文がむちゃくちゃになってしまったりした。コンピューターに自分では入力できなかったけれども、どこかにコンピューター(ワープロ)置き場を作って、いつでも打てるようにしてもらいたい。そおしたら、いつでも好きな時に交流ができそうだから。」英文の返事を書くのに時間がかかってしまって、彼女は授業中にワープロへの入力ができなかった。残念に思いながらも、意欲的に自由にワープロが使える環境があれば、進んで交流をしていきたいという学習意欲へと転換している。

 その後、コミュニケーションの練習の段階になっても意欲は持続しており、苦手の英語暗唱にも意欲を出している。授業日記で、彼女はこう言っている。「暗唱は1回しかできなかったけれども、いろいろな例があり、2年・3年生で習うような英単語が出してありとてもよかった。」「暗唱は、今日3回もOKをもらった。」「暗唱は、今日1回しかできなくて残念だったけれども、1回でもしっかりと暗唱できて良かったと思う。」コミュニケーション・パターン18では、結局3分の1しか暗唱できなかったが、一つ一つ着実に表現を覚えていく意欲は見られる。

 さらに、最終チャレンジ会話を終えて、彼女は授業日記にこうまとめている。「初めてじゃないので、かなり話せれたけれども、ペラペラ話せなかった。また今度あったら絶対に話せれるようにする。」会話の得意な彼女は、ものおおじせず英語での会話に取り組んできた。そして自分の会話にある程度満足しながらも、もっと話せるようになりたいと意欲を持ち続けて、この単元を終えている。

 人と接することの好きな彼女にとって、電子メールの交流やALTとのチャレンジ会話は意欲を高めることにつながっており、それは暗唱などの具体的行動にも現れている。具体的に英語を使う場面があり、そのために何を学習すればよいのかがはっきりしているので、英語が苦手な彼女も取り組みやすかったのではないだろうか。その意味で、この単元は有効であったと考えられる。

イ、T子は、このコミュニケーション単元を通し、英語の必要性を感じ、英語学習への意欲を高めることができたか

 T子も電子メールでの交流には意欲を見せている。授業日記を紹介する。「外国人からの電子メールの文は、いろいろなことが略されていたりして、解読するのがたいへんでした。でも外国のことを知れてよかったです。だからもっと外国人と電子メールをして、相手のこととか、いろいろ知りたいです。」外国の文化や相手への興味が高まってきているのがわかる。「ワープロはたくさんの機能があるから、使うのに大変でした。でも打っていて、どんどん文章ができていくと、とってもうれしくなりました。これが外国の人の所に届くなんて、心がドキドキしています。こういうのはたくさんあってほしいです。でも最後まで打てなくて、それが心残りです。」相手を意識して、ドキドキしながらワープロが打てるのは、やはり実際の英語使用場面ならではの感覚ではないだろうか。

 彼女は単元を振り返り最後にこうまとめた。「このようなコミュニケーションは楽しかったので、増やして欲しいです。英語の授業をやっているのは、外国人と話すためだから、その時のために練習してやっておきたいです。文法も大切だけど、どんな風に話せばいいのかとか、どんな風に答えればよいのかを、本当の外国人と話しているうちに自然と身につきそうな気もするし、慣れておけば大事な時に緊張しなくてもいいので、これからもあって欲しいです。」英語の学習の目標をはっきりと外国人と話すためと認識し、そのために英語の授業をがんばりたいという意識がある。つまり、英語の必要性を感じていると言えるであろう。会話に対する感動は、先のN子ほどはなく、最終チャレンジ会話を終えた授業日記にも、「今日は初めて会ったので、緊張しました。」とだけある。しかし、文法を覚え、会話の仕方を覚えて、会話ができるようになりたいという意欲が見られる。したがって、彼女にとってもこの単元は有効であったと考えられる。

ウ、N子は、会話の基礎技能を育てる手だてを通して、コミュニケーション能力を高めることができたか

 ALTとの2回の会話の内容を比べてみたい。

抽出生N子:マット先生とのいきなりチャレンジ会話
ALT: はい。
N: (ど忘れして困っている)
ALT: 趣味? Are you from?
N: Are you from Kariya?
ALT: No, I
'm not. I'm from Canada. Are you from America?
N: No, I
'm not. I'm from Kariya.
ALT: Do you like music?
N: Yes, I do.
ALT: OK. Thank you.
抽出生N子:ブライアン先生との最終チャレンジ会話
.N: Hi. Nice to meet you. My name is N. How manys member are there in your family?
ALT: Six. How about you?
N:
何だったっけ。 There are five.
ALT: Five. Do you like pizza?
N: Yes, I do.
追加の会話で
N: Do you play table tennis?
ALT: No, not really.
N: I play table tennis. I ...
(考えて)...am a very good player.

「いきなりチャレンジ会話」では、ALTが会話の主導権を握っていて、N子は3語程度の文しか言うことができなかった。しかし、「最終チャレンジ会話」では、元気よく自己紹介をした後、少し文法的には間違っているが家族を尋ねた。この前の時間に行ったJTEとの「会話リハーサル」でも家族のことを聞き非常に誉められたので気をよくして、元気いっぱいの質問であった。しかし、ALTにあっさり数字だけで答えられ少しがっかりした様子が見られた。ここで「それは誰ですか。」などと話題を発展できればよかったのだが、「あなたは?」と逆に聞かれしまい、返事をしただけになった。しかし、There are five. と文の形で答えられているのは、コミュニケーションパターンの表現が生きている。話題はここで発展せず、「ピザは好きか」と話題を変えられてしまった。しかし彼女はこの会話では物足りなかったようで、最後に少し時間があったので進んで「卓球が好きか」と尋ねる積極性も示した。

 まだまだ彼女の会話は覚えてきた疑問文を言うだけの段階で終わってしまった。でも、自分が卓球部なので、相手に卓球好きかと尋ねるとか、JTEのとき家族のことを聞いて喜ばれたので、ブライアン先生にも尋ねるなど、本当に聞いてみたいと話題を何とか英語にして答えを聞いてみたいという態度はできている。彼女の場合、コミュニケーションの練習の中で、コミュニケーションパターンの暗唱に意欲を出し、会話表現を覚えようとしていた。このような活動を続けることで、使える表現の幅ができてくるように感じた。そしてさらに、話題のつなぎ方を学べば、自分の得意の話題で会話が続けられるようになる感じが見られた。その意味で、彼女にとって、このコミュニケーション単元は有効であったと考えられる。

エ、T子は、会話の基礎技能を育てる手だてを通して、コミュニケーション能力を高めることができたか

 T子の場合も、2回のALTとの会話の内容を比べてみたい。

抽出生T子:マット先生とのいきなりチャレンジ会話
ALT: はい、Tさん。
T: Nice to meet you. My name is T. What is...(つまってしまう。) What... (少し沈黙) What are your hobbies?
ALT: My hobbies are playing sports and watching TV. Do you like watching TV?
T: Yes, I do.
ALT: OK. Thank you.
抽出生T子:ブライアン先生との最終チャレンジ会話
T: Nice to meet you. My name is T. My hobbies listening to music and watching TV. What are your hobbies?
ALT: Music. I like to play music and I like to sing.
T: I like variety program. How about you?
ALT: Ah, variety program. Not so much. I like comedy. Thank you

「いきなりチャレンジ会話」では、全体に大きな声が出ず聞き取りにくかったが、自己紹介まではできた。しかし、次の質問を忘れてしまい戸惑った。ALTが返事をして、「テレビを見るのが好きか」と尋ねてきても、「はい」と答えるだけであった。時間がなかった、せいもあり、ここで会話を終えられてしまった。「最終チャレンジ会話」では、会話の組み立て練習が生きていて、自分のことを話し、続いて相手に質問ができている。ここまでは覚えてきた台詞であったが、会話が途切れたときに、彼女の方から、同じ話題でさらに「私はバラエティー番組が好きだけど。あなたは?」と、話しを切り出し、相手に質問もできている。このことから、かなり、会話の組み立て方が身についているようにみられる。

 T子の場合、コミュニケーションの練習の授業日記を見ても、「1つ目と2つ目の文の組み合わせ方がむずかしかったです。急に話を変えるとへんだから、とてもなやみました。」と、会話の進め方に関するこつが分かってきて、その結果が実際の会話に現れているように考えられる。2回目の会話では、声も大きくなり、緊張している様子はあるが、自信がでてきているように思えるので、この活動を続けていくことで、会話への自信がつき、さらに会話が続けられるように感じた。その意味で、彼女にとってこのコミュニケーション単元は有効であったと考えられる。

4 まとめと今後の課題

 今回の実践は中学に入って初めてのコミュニケーション単元であり、この1回の実践でコミュニケーション能力がついたと判断しにくいが、考察で述べたように、それぞれポイントをつかんでおり、このような単元を続けて経験することで、コミュニケーション能力は確実についてくると考えたい。また、実際の英語使用場面を教室に作ることで、私が今までに経験したどのコミュニケーション単元よりも、いきいきと活動ができたように思う。授業日記にもどの生徒からも意欲の向上が読みとることができた。電子メールの実践では、冬休みに入ってしまい、返事待ちの状態だが、さらに続けることで、相手を意識した英作文の練習を積ませて、学んだことを実際に使う場を保証してやりたい。

 今後の課題としては、今回試みた実際の英語使用場面をいかに組み込んでコミュニケーション単元を構成していけるかが重要であると思われる。2年での買い物や、道案内、3年で日本の文化紹介など、今までの実践から考えられるが、今回のコミュニケーション・パターンを基礎にして、積み重ねていけるよう、繰り返し復習していく段階も設けて、定着を図っていける単元にしていきたい。

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