20011012el-tannin
テーマ:担任による英語授業
平成小学校学校訪問資料

平成13年10月12日
刈谷東中学校 犬塚章夫

「担任が小学校英語活動に取り組むために」

1、だれが教えるのか  「小学校英語活動実践の手引」文部科学省2001より

(1)学級担任 HRT ( Homeroom Teacher )

 小学校では基本的に、学級担任が学級の子どもの学習指導と生活指導の両方を担当している。これまでに英語活動の指導の経験をまったく持たない学級担任が指導することは、中学校や高校における英語教育と大きく異なる点である。しかし、これはマイナスであるとばかりは言えない。小学校段階では、学級担任が子どもの実態を把握していることが、学習指導上の重要な要素である。子どもの個性を生かしながら活動を組織することができるし、従来の英語教育にとらわれない新鮮な発想で教材・教具を開発することができる。また、各教科との関連付けで指導を行い、子どもが各教科で見につけた知識や技能を英語活動に取り入れることができるのは、全科担任制ならではの良さである。

(2)ALT ( Assistant Language Teacher 外国語指導助手 ) または AET ( Assistant English Teacher 英語指導助手 )

 ALTはネイティブスピーカーとして、生きた英語の提供者である。また、直接授業をすることだけでなく、日本人教師と協力して教材や教具を準備することも重要な役割である。ALTが学校に常駐していない場合でも、日本人教師だけの授業の場合にも活用できるように、ALTが来校したときに、対話のビデオやテープ教材を作るなどの工夫も考えられる。

(3)日本人英語教師 JTE ( Japanese Teacher of English )

 研究開発校では、研究のために英語教師を配置し、学級担任やALTと協力しながら指導に当たっている。指導計画や活動などを提案したり、学級担任とALTの打ち合わせを補助したり、調整する役割を果たしている。授業中には子どもの反応を見ながら、ALTの言葉が通じていない場合には、補足の説明や言い換えで補ったり、また、子どもがALTと直接かかわってコミュニケーションを図るように調整したりする。

2、学級担任による単独授業

 学級担任は、子どもの扱いに幅広い経験があり、担任としてクラスの子どもの実態も把握している。子どもの興味・関心に基づいて様々な活動を工夫して授業を構成することもできる。また、各教科の指導内容を取り込んだり、算数や体育を行う際に英語活動を取り入れるなどの工夫も可能である。
 授業の展開の方法としては、歌やチャンツ、クイズやゲーム等を取り入れ、視聴覚教材を併用すれば、学級担任一人で授業は可能である。また、テープやビデオを使わず、担任の先生が教室のオルガンやギターで弾き語りしながら進めていく授業も自然で、子どもに安心感を与える。
 教師の英語力に不安があり、英語のモデル提示などが不十分な場合には、ビデオ、放送番組などの併用とともに、授業計画の段階で専門家の援助を受けられるようにすることや現職教育に対する再教育として十分な語学研修が必要になる。

3、子どもが楽しむ活動のいろいろ

(1)TPR ( Total Physical Response )

 教師が出す指示に従って体を動かす活動。英語の音やリズムに慣れるのに有効である。また、言われていることが分かるがまだ発話には至らない状態の子どもたちがストレスを感じることなく安心してできる活動でもある。

(2)歌

 歌を取り入れることで次のような効果が期待できる。英語の音やリズムに慣れる。表現や語句が自然に身に付く。場の雰囲気作りやウォームアップができる。体を動かせるようなリズミカルなもの、歌詞に繰り返しのあるもの、ジェスチャー化したり、替え歌にしたりして変化をつけやすいもの。メロディが知られているものが適している。

(3)チャンツ

 リズムにのって英語を話す活動は、英語独特の音とリズムに慣れるのに有効である。チャンツ仕立てにすることによって、比較的長い表現もいつの間にか楽しく習得できる。リズムボックスなどを利用して正しいストレスとリズムで行う。短い英語表現を会話形式にして繰り返して用いるとよい。

(4)ゲーム

 語句や表現を豊かにすることができるが、それだけに終始せず、やり方を工夫してコミュニケーションが成り立つようにして取り入れる必要がある。
 カルタゲーム
 ビンゴゲーム
 インタビューゲーム

4、指導上の留意点  「小学生は英語が大好き」松香洋子著松香フォニックス研究所1999より

(1)机のないl空間が理想
 大いに生徒を動かす。自由な空間でこそ、伸び伸びとしたコミュニケーションが達成されます。

(2)声を出したり、体を使うクラスに慣れる
 英語を知識としてではなく、体験として学ぶには声を出したり、体を使う必要があります。私語をしない、はめをはずさないなどの約束を守りながら、よく声の出ているクラスが理想です。

(3)日本語でいちいち解説しない、訳さない
 新しい単語や英文を教えるときには実物を見せる。ジェスチャーをする。簡単な絵を描いてわからせるなど工夫して、全部日本語で解説するとか、日本語に訳すことを避けてください。

(4)カタカナをふらない
 せっかくALTがよい発音を教えた直後にすべての単語をカタカナで書く心配症の学級担任がいます。もっと子どもの耳を信じ、今日できなくても、次はできるぐらいのおおらかな気持ちで、カタカナをふるのをやめてください。カタカナをふると、すべての英語をカタカナに置き換えるというくせがはじめからついてしまいます。

(5)積極的に遊ばせる
 子どもは体を動かすと、頭が働きはじめ、頭が働くと心が動き、興味関心が増し、習得もおこります。だから英語の単語や表現や文法について詳しく説明し、よくわからせてから活動するという中学生向きの教え方は小学校には向きません。「先生だから教えなくては」という考えを捨て、子どもと一緒に遊ぶつもりで指導してください。

(6)単語で教えないで文単位で教える
 子どもにとっては一つの文を覚えるのも、一つの単語を覚えるのもほぼ同じ努力でできるので大人が思うほど長いから言えないということがありません。

(7)国際的なマナーを教える
 特に高学年の子どもに指導したいことは、「よく他人の発表を聞き、聞いたらほめること」と「じょうずに発表する」ことは、表裏一体だということです。一人の子どもが発表している間、他の何十人の子どもは聞いているわけですから、静かに、礼儀正しく、しかも好意的に、友だちを励ますつもりで聞くというマナーが確立されなければ、発表する活動はできません。同時に、人前に立ち、自分ができる範囲の英語で堂々と自分のいいたいことを発表する訓練は、これからますます国際化する社会で生きていくためには不可欠です。自分から積極的に手を挙げることも国際的なマナーとして日本の子どもに学んでほしいことです。

(8)リズムを使って繰り返す
 外国語の学習は繰り返しを避けて通れません。子どもはそえが楽しければ繰り返しをいやがりません。何か音の出る物(リズムマシン、タンバリン、太鼓など)を利用すると覚えることに対する負担が大幅に減ります。

5、教師の研修

(1)NHKテレビ「えいごりアン」を見る

(2)小学校英語の授業を見る

(3)簡単な英語ゲームやチャンツを実際にやってみる

(4)学年で教材を共同で作ってみる