20020620jh-kiso
テーマ:基礎基本のドリル学習
刈教研一斉研修会資料
平成14年6月20日
刈谷東中学校 犬塚章夫
「会話につながる効果的な基礎基本のドリル学習とは」
1、会話能力=コミュニケーション能力とは?
コミュニケーション能力を構成する4つの要素
能力1 文法能力 grammatical competence
能力2 社会言語学的能力 sociolinguistic competence
能力3 談話能力 discourse competence
能力4 方略的能力 strategic competence
文法がわかれば(文法テストで点が取れれば)話せるようになるのではない。
会話の決まり文句を覚えれば話せるようになるのではない。
会話文を暗記すれば話せるようになるのではない。
上の4つの能力を育てる基礎基本のドリルが必要。
2、文法能力を育てるために
一番、必要な基礎基本は、単語と文法の習得
単語練習やパターンプラクティスは、短時間に十分繰り返したい。
常に教師→生徒だけでなく、生徒同士のペア練習なども取り入れて同じ活動をより主体的に取り組ませたい。
3、社会言語学的能力・談話能力・方略的能力を育てるために
相手が変われば、使わなければいけない表現も変わることを理解させる。
会話の仕組みについて理解させる。
話の切り出し方→話の展開の仕方→話の終結の仕方
あいづちなどの利用で会話の主導権を与えたり奪ったりする方法 turn taking
コミュニケーション・ストラテジーの理解と使うためのドリル練習
相手が言っていることがわからないときの対処の仕方
自分が言いたい単語や文が思いつかないときの対処の仕方
4、そしてなにより大事な「心通い合うコミュニケーション」を求める態度
@ 意味のあるコミュニケーション活動に取り組ませよう
レベル1 記号的意味
I like....を覚えるためのパターンプラクティス
↓
レベル2 場面や文脈に適合した意味
一応事実に対応 Who is your homeroom teacher?
でも同じクラスで別の生徒に聞いても価値や伝達ニーズを
伴うとは限らない
↓
レベル3 伝達ニーズのある意味
話者と聞き手との間に伝達するニーズがある
information gap, task activities, debate
↓
レベル4 人間的な価値をもつ意味
自分にとって価値のある意味をもった伝達
自己受容、自己防衛、自己向上、他者理解
人間関係作り、啓示的価値、芸術的価値
A 最終的なコミュニケーション活動を考え、それまでにどんな基礎基本ドリルが必要か考える
レベル4の活動を目指したい。
単なるドリルの会話に終わらせず、
人と人との出会いのきっかけになるような会話活動に高めたい。
教師が指定したカード情報の交換では、伝達ニーズがない。
相手がどんな答えを言うか聞くのが楽しみになるような活動にしたい。
資料1
コミュニケーション活動の特徴 静岡大学 三浦孝 (1)「言葉」を実際に使用することによって言葉は習得される。 (2)コミュニケーション活動は、言葉を使って意味のある情報を伝達すること。 (3)目的・必要があるところにコミュニケーションが起こる。 (4)コミュニケーションの目的を教室にどう作るかが鍵。 (5)情報は未知だからこそ聞く必要がある。 |
資料2
生徒は話したがっている、それをどう引き出すか 静岡大学 三浦孝 (1)生徒にとって意味のある人物・事物を用いる。 (2)適度なコントロールを与えて、安全・簡単に自己表現させる。 (3)英語をネタにして、出会いを実現する。 (4)意見の違いを許容する活動 (5)想像の世界を取り入れて、発想を開放する。 |
お願いとお誘い
刈教研英語自主研修会
7月10日(水)6時半から8時 勉強会
刈教研夏季自主研修会
8月9日(金)2時から4時 場所未定 講演会 静岡大学 三浦孝先生
参考図書
「だから英語は教育なんだ 心を育てる英語授業へのアプローチ」
三浦孝・引山貞夫・中嶋洋一 編著 研究社