20021115el-yuigi
テーマ:有意義
かりがね小学校学校訪問資料

平成14年11月15日
小学校英語活動指導委員
刈谷東中学校 犬塚章夫

「HRTが中心となる英語の授業において、
楽しく有意義な活動にするための留意点や手立てについてどんなものがあるか」

、HRTの役割、ALTの役割 

(1)ALTの役割
 ア、ネイティブの発音を児童に聞かせることができる。
     児童の反応を見ながら何度も聞かせる。速度、回数など変化させられる。・・・CDやビデオとの違い
 イ、存在自体が外国文化である。
     日本の文化習慣との違いを説明できる
 ウ、コミュニケーションの目標になる。
     「外国の人に英語が通じた。」という達成感

(2)HRTの役割
 ア、他の教科や学校生活・行事などに関連させて英語学習の雰囲気を作ることができる。
     朝の会でのワンポイント英語レッスン、集会で英語の歌を歌う、国際交流会などの利用
 イ、児童の理解度・意欲度が把握できる。
     どの児童が困っているのか、調子が良くないのか、様子を見て手助けしたり、ALTに情報提供できる
 ウ、ともに学ぶ仲間意識を与えられる。
     児童といっしょに学ぶ、「学びのリーダー」になれる

、楽しい活動にするための留意点

(1)児童を動かす。
    体を動かせば、頭が働き、頭を動かせば、心が働き、心が働いて始めて記憶となる。(松香洋子)
    元気いっぱい体を動かして始めて、楽しく言語の学習ができる。

(2)ゲームが楽しめる。
    そのためには、
     @ しっかりとインプット(入力)
     A 何度も繰り返しのドリルで定着
     B 勝負に走り過ぎない簡単なゲーム を仕組むことが大切。(下の□参照)

(3)英語が使えたという実感がもてる。
    児童同士の会話活動、ALTとの会話活動での達成感が次への意欲となる。
    失敗させない配慮、失敗しても良いという雰囲気作りも大切。

(1)たくさんのインプットを与えてください
  私たちだって、1度や2度フランス語の単語を聞いても発音できないように、子どもたちにとっても、何度も何度も繰り返し英語を聞かせることから始めたい。NHK「えいごリアン」などは、ひとつの表現を、場面を変えて繰り返し繰り返し見せてくれる。その中で子どもは発音を吸収していくもの。
  ましてやカタカナなどをふってしまってはせっかくの発音が台無し。カタカナの代わりに発音を繰り返し20回聞かせてください。もちろん、ALTの先生やビデオ・CDなど活用をしましょう。
  ただ、聞かせているだけでは飽きてしまうので、ゲーム性を持たせて聞かせることが大切です。歌を聞かせる。リズムで繰り返し聞く。ある動作を示す英語を聞かせて行動で示させる(TPR)などがあります。

(2)すぐに発話させること、正しい英語を話すことを要求しないで
  子どもは文字を介さずに英文を理解しています。大人が文字を思い浮かべて、文法の知識を加えて英文を理解しているのとは違います。なんとなくそれに近い発音ができることが大切です。1つ1つの単語としては発音が間違っていても、もっと大切なイントネーション(文を1つの音の流れとしてとらえるもの)をつかむことが大切です。
  細かい文法的な間違いは、中学で英語を勉強したときに気づけます。しかし、文全体を音の流れとしてとらえることができるのは小学校の時が最適です。文字が導入されてしまうと、どうしてもその影響で単語と単語がばらばらに認識されて、いくつかの単語がくっついて1つの音のかたまりとして聞こえることに注意が向きません。

(3)すぐにみんなの前で一人で発音させないで
  自信がないのに、みんなの前で発音させてしまって、恥ずかしい思いをしてしまったら、・・・・もう、英語がいやになりますよね。みんなで何度も繰り返し発音させてあげてください。そのときには言えなくてもいいと思います。
  十分なドリルが必要です。ALTが3回くらい発音してリピートさせただけでは覚わりません。飽きずに繰り返し練習するドリルには工夫が必要です。リズムボックスやタンバリンなどリズムをきざんでリピートさせたりすると、練習に変化がつきます。楽しみながらドリルをしているうちに、自然に覚わってしまうのが一番いいですね。

(4)複雑なゲームだけで楽しまないで
  ゲームだけに集中させないで。今やっているゲームは、本当に今学習している表現を覚える(使う)ために有効なのか、考えてみてください。あまりに勝負にこだわりすぎるようなゲームや、複雑でルールを理解するのに時間がかかりすぎては無駄な時間になってしまいます。

(5)家になにかおみやげを
  家の人もどんな英語の授業が展開されているのか興味があるはず。家に帰ってきた子どもに「今日の英語の授業で何勉強してきたの。何か英語でしゃべってごらん。」と質問されたら子どもは何と答えるのでしょう。学校で口頭で英語を学び、ゲーム活動をしただけで、親が満足いくような英文をどれだけの子どもが家で話せるでしょうか。「わからん。」などと答えたら、親も不安になり、「塾にいかせたほうがいいかしら。」ということになりかねません。学校で勉強した単語の絵がプリントになったものを持ち帰ったら、子どもは、「apple, grape, banana,..」など発音してくれるかもしれません。親も、「うちの子、英語しゃべれるようになった。」と思ってくれるかもしれません。英語活動で、楽しみながら工作のようにカードを作らせ、おみやげとして持ち帰らせたり、教室掲示として授業参観に見せたり、学習の成果として残る「ものづくり」も有効だと思います。

3、有意義な活動にするための留意点

(1)本当のコミュニケーションになっているか
    形だけのパターン練習では、英語が使えるようになったという実感は持てません。
    自分のことを表現する機会、友達と心通い合うコミュニケーションができて初めてことばを習得できたと言える。

(2)珍しいものの提示
    見たこともない物、知らなかったことを示すことで知的好奇心を喚起したい。
    国際理解につながる一瞬。

(3)ほめる機会に
    「教え込まない」英語活動だから、できない子への手立ても大切だが、それ以上にできる子をほめたい。
    他の教科では見られないような「良い動き」が見られることがある。

4、担任の先生にお願いしたいこと

(1)英語活動を楽しんでください。
    まず先生が外国文化に興味を持ち、コミュニケーションを楽しんでいる姿を見せることが大切です。

(2)英語は実技教科(教科じゃないけど)です。
    音楽のピアノと同じで、英語を担任だけで教える場合、CDやビデオをうまく使いこなすか、英語の実技練習を。
    海外旅行などに役立つし一石二鳥。将来的には「教科」になるかも。(現在、教科としての英語実験校が研究中)

(3)英語を教え込まないでください。
    英語の歌を歌わせたいと、カナをふったりしないで。
    単語を覚えさせようと、カナをふったり、テストをしたりしないで。
    雰囲気作りに教室掲示に英語の単語が書かれていてもよいが、児童に書かせないで。
    (名前などはローマ字学習の延長ですからかまいません。
     ちなみに今年から中学の教科書では名前は、姓名の順(例 My name is Inuzuka Akio.)となりました。)

(4)教材・教具を整理保管してください。
    カードやゲーム、何度も使えるようにパウチをして、使い方が分かるようにメモをして整理して保管したい。
    備品として、NHKの「えいごリアン」などのビデオや、歌やチャンツの入っているCD、ビンゴカードなどそろえたい。