20030107(2)jh-hyouka
テーマ:指導と評価
群馬県中之条町立西中学校講演(2)
平成15年1月7日
刈谷東中学校 犬塚章夫
「英語科における指導と評価の在り方、考え方」
6、英語の評価、4つの観点
(1) 規準と規準
@規準(のりじゅん)・・・具体的に何を目標とするのか
目標の内容的、質的な面
A基準(もとじゅん)・・・A、B,Cの間の線を引くためのもの
実現の状況を量的に表現したもの
観点別学習状況 | 評定 | ||
A | 十分満足できると判断されるもの | 十分満足できると判断されるもののうち、特に高い程度のもの | 5 |
十分満足できると判断されるもの | 4 | ||
B | おおむね満足と判断されるもの | おおむね満足と判断されるもの | 3 |
C | 努力を要すると判断されるもの | 努力を要すると判断されるもの | 2 |
一層努力を要すると判断されるもの | 1 |
(a) 達成の程度(実現の状況)を質的特長から判定する場合
「関心・意欲・態度」などの観点は点数化が難しい。そこで特徴をあらかじめよく調べておき、評価の基準として利用する。
(b) 達成の程度を量的な面から判定する場合
テスト得点で表すことができる場合。「○○点以上をAとする」というように判定の基準を設定する。
絶対評価 | (a) の評価基準例 | (b) の評価基準例 |
評価場面 | ALTに日本文化を説明する英作文(エA) | 新出文法事項の受身形が理解でき運用できるか文法テストで評価(エ@) |
A | 日本文化についてさらに詳しく調べたりして豊富な知識をもっている。 | 文法問題が80%以上得点できている。 (ただし、文法問題は、基本問題を50%、発展問題を50%として構成する。) |
B | 日本文化について一般的な知識をもっている。 | 文法問題が40%以上得点できている。 |
C | 日本文化についての知識が欠けている。 | 文法問題の得点が40%未満である。 |
(2) 4つの観点 (平田2002)
評価の観点 | 評価規準の考え方 | 説明 |
ア、コミュニケーションへの関心・意欲・態度 | @言語活動への取組 | →言語活動に積極的に取り組んでいるかどうか |
Aコミュニケーションの継続 | →実際の言語活動のなかでコミュニケーションを継続する努力をしているか | |
イ、表現の能力 | @正確さ(言語規則上の正しさ) | →文法的に正しいなど言語規則に照らして正しいかどうか |
A適切さ(言語使用上の正しさ) | →コミュニケーションを行ううえで、場面や状況、言語の働きなどに照らして正しいかどうか | |
ウ、理解の能力 | @正確さ(言語規則上の正しさ) | →文法的に正しいなど言語規則に照らして正しいかどうか |
A適切さ(言語使用上の正しさ) | →コミュニケーションを行ううえで、場面や状況、言語の働きなどに照らして正しいかどうか | |
エ、言語や文化についての知識・理解 | @言語についての知識 | →語彙、音声、文構造、表現方法などとともに、言語運用、つまり実際に言語を使用することにかかわる知識 |
A文化についての理解 | →言語の背景にある文化についての理解 |
コミュニケーションへの関心・意欲態度
・・・コミュニケーションの場を授業に設定しなければならない。
インタビューテストで見る(観察する)。何度か繰り返してトータルで評価
表現の能力・理解の能力
・・・単語や文法を知っている→言語についての知識で見る。
表現させて(書く、話す)評価する。
理解しているかどうか(聞く、読む)評価する。
(3) のぞましいのは
全員が3以上(B以上)を取ってくれること
2や1(C)を出したくない→追加の指導が必要となる
形成的評価としても使いたい。
単元の途中で評価し、Cの生徒にはBになるよう手立てを講じ、単元最後にもう一度評価する。
(また、Aの生徒にはさらに発展的な学習への挑戦もさせたい。)
(4) ペーパーテスト以外の評価場面例
@ALTとの会話
一度きりの会話ではなく、1つの単元で3回体験させたい。
同じような状況で何度も会話することで自信がつく。
単元構成例
1 時間目 「ゴールデンウィーク何してた」というテーマでALTと一人1分の会話
2〜5時間目 教科書の学習(未来形の導入)
6 時間目 「来週の日曜日何する予定」というテーマでALと一人1分の会話
7〜9時間目 会話をスムーズに行うための練習
10時間目 「今度の夏休み何する予定」というテーマでALTと一人1分の会話
日常的な会話練習として「会話カード」の取り組みを
放課などに英語教師と1回2往復以上の会話をすると「会話カード」がもらえる。
カード1枚2点と換算し、評価に入れる。
英語の授業で習った表現がすぐに使える。使いながら覚える。
A英文レポート
修学旅行でのエピソードを英文レポートにまとめる。
コミュニケーションへの意欲、表現の能力などとして評価。
形に残すことで満足感となる。
作品として仕上げることで、人に見られるので、英作文にも気合が入る。
B教科書本文の暗唱
ぜひ覚えてほしい英文を10選び、暗唱チェックを行う。
8文以上暗唱できればA,4文以上でB,と評価する。
評価基準を伝えることで、やる気がでる。
教師も全員にAが取ってもらえるよう、本文音読練習に気合が入る。
C自己表現英作文
10文以上の文を書くことを目標とする。
8文以上でA,4文以上でB,と評価基準を示して、意欲を喚起する。(コミュニケーションへの意欲)
英文は主として内容を評価する。(表現の能力:適切さ)
7、評価規準表と総括評価の出し方
(1) 刈谷市の評価規準表パターン
単元名
単元の評価規準(4つの観点ごとの目標)
評価基準表(単元の授業にそって、評価の場面を書き、ABCの基準を示す)
(2) 愛知県総合教育センターの総括評価の出し方 (愛知県総合教育センター2002)
@各観点別の評価の出し方
A=2、B=1、C=0として学期ごとに合計を出し、「満足の度合」を計算する。
「満足の度合」=得点点数を全てBの場合を基にしてその合計点数(つまり、評価の回数)で割った達成率
例えば、学期に5回評価場面があるとして、AAAAAなら各2点で10点。それを5で割って「2」が満足の度合。
「満足の度合」の数字でABCを決める。(下の表参照)
各評価項目の評価合計例 | 満足の度合 | |
AAAAA=2.0 AAAAB=1.8 AAABB=1.6 |
AAAAC=1.6 |
1.5以上はA |
AABBB=1.4 ABBBB=1.2 BBBBB=1.0 BBBBC=0.8 BBBCC=0.6 |
AABBC=1.2 AABCC=1.0 ABBBC=1.0 ABBCC=0.8 |
0.5以上1.5未満はB |
BBCCC=0.4 BCCCC=0.2 CCCCC=0.0 |
ACCCC=0.4 |
0.5未満はC |
A総合評定の出し方
各観点別の「満足の度合」の平均を出す。
この場合、各観点のそれぞれの合計を1:1:1:1とするのか、ある観点を増やして1:1:1:2にするかなど検討して合計点を出す。
4つの観点別評価 | 満足の度合の平均 | 総合評価 |
AAAA AAAA |
2.0 2.0 2.0 2.0 = 2.0 1.8 1.8 1.8 1.8 = 1.8 |
1.8以上は5 |
AAAA AAAA ABBB |
1.8 1.8 1.8 1.6 = 1.75 1.6 1.6 1.6 1.6 = 1.6 1.6 1.4 1.4 1.4 = 1.45 |
1.4以上1.8未満は4 |
ABBC BBBB BBBB |
1.6 1.4 1.4 0.4 = 1.25 1.4 1.4 1.4 1.4 = 1.4 0.6 0.6 0.6 0.6 = 0.6 |
0.6以上1.4未満は3 |
BBBC CCCC CCCC |
0.6 0.6 0.6 0.4 = 0.55 0.4 0.4 0.4 0.4 = 0.4 0.2 0.2 0.2 0.2 = 0.2 |
0.2以上0.6未満は2 |
CCCC CCCC |
0.2 0.2 0.2 0.0 = 0.15 0.0 0.0 0.0 0.0 = 0.0 |
0.2未満は1 |
B本校では、以上の計算を、表計算ソフト「エクセル」で自動計算させて評価をしている。
参考文献
愛知県総合教育センター 2002. 『評価規準、評価方法等の開発の手びき』愛知県総合教育センター
平田和人(編) 2002. 『中学校英語科の絶対評価規準づくり』東京:明治図書