20030516jh-kaiwa
テーマ:会話活動の評価
依佐美中学校指導委員訪問資料

平成15年5月16日
刈谷市英語指導委員   
刈谷東中学校 犬塚章夫

「会話活動の評価のつけ方」

1、4つの観点ごとの評価規準

ア、コミュニケーションへの関心意欲態度
   @言語活動への積極的取り組み
   Aコミュニケーションを継続する努力

イ、表現の能力
   @正確さ(言語規則に照らした時の正しさ)accuracy
   A適切さ(実際の言語使用における正しさ)appropriateness

ウ、理解の能力
   @正確さ
   A適切さ

エ、言語や文化に対する知識理解
   @言語についての知識(言語についての知識、言語運用についての知識)
   A文化についての理解(家庭社会における風俗習慣、人々の身方や考え方)

2、本課の目標を立てる

 まちがいをおそれず積極的に話す。
 be going to, SVOOなどの文の意味・構造を理解し、コミュニケーションの手段として運用できる。
 機内や入国審査など、場面や相手に応じて適切に表現を選択して話したり応答することができる。

3、本課の評価規準を策定する

  「話すこと」の規準 本課の評価規準
@積極的取り組み まちがいをおそれず積極的に話している
A継続する努力 つなぎ言葉を用いるなど沈黙せず話し続けている
@正確さ be going to , SVOOの文を正しく用いて話すことができる。
A適切さ 機内や入国審査を適切に話したり応答できる
なし
@言語知識 be going to , SVOOに関する文法知識がある
A文化理解 文化によってジェスチャーが違っていることを理解している

4、評価場面(方法)と評価基準

(1)テストによる方法
   ペーパーテスト、音読テスト、スピーチテスト、インタビューテスト、小テスト

(2)観察による方法
   活動、生徒の応答、録画チェック

(3)作品や提出物
   作文(会話の原稿として)、スキット、レポート、ワークシート、録音テープ

(4)自己評価・相互評価
   自分の学習を振り返る (指導の一環であり、評価に用いるのはだめ)

観点
ALTとの会話 コミ
ア@
準備していた原稿を完全に暗唱している 準備していた原稿をほぼ暗唱している 原稿を読まないと会話が進められない
コミ
アA
会話に5秒以上の間が空かない 自分から話し、会話を続けようと努力している 話しかけられたら何とか答えられる
理解
ウA
ALTからの質問に常に正しく答えられる ALTlからの質問にはほぼ正しく答えられる。 ALTからの質問にうまく答えられない
食卓での会話 コミ
ア@
自分から会話を組み立てている 友達の手助けを借りながら自分のセリフを英語で言っている 食卓での会話で英語が使えていない。使えても意味が通っていない
言語
エA
食卓でのマナーを正しく理解して行動している 食卓でのマナーを理解しているが行動で示していない 食卓でのマナーを理解していない
意見の発表 表現
イ@
比較表現を用いて、自分の好きなものを5文以上の英文で書き、発表することができる 比較表現を用いて、3文以上の英文を書き、発表することができる 自分の好きなことについて話すことができない
ディベート 表現
イA
設定したテーマにそって、まず賛成か反対かを主張し、その理由を必要かつ十分の長さで述べることができる 設定したテーマにそって、賛成か反対かという主張とその理由を自分なりに述べることができる 自分の意見を述べながら参加できない
言語
エ@
英語での議論で有効な独特の表現(相手に同意したり、反論する表現)を知り、議論中の最適な状況とタイミングで使うことができる 英語での議論で有効な独特の表現を知り、議論の中で使うことができる 英語での議論で有効な独特の表現を、議論の中でほとんど使うことができない

5、ALTにも評価に加わってもらう

会話テスト(次のような質問をALTからしてもらい、その反応をALTに採点してもらう)
1, What's your name?
2, What time did you go to bed last night (get up this morning, eat dinner, come to school)?
3, Will you ...?
4, How many ... are there on the table? ( showing something on the desk )
5, What do you like to do ...?
6, What is your dream? Why?
(それぞれ授業でやったこと、あらかじめ英作文させておいたこtなどを尋ねてもらう

A+ no mistakes, excellent volume, response time, eye contact
A- almost perfect, but parhaps lacking one area
B+ a few small mistakes but generally good
B- a lot of mistakes, poor volume, eye contact, response time
C doesn't respond, fails to communicate

6、「道案内」ロールプレイにおける評価例

(1) 生徒に「道案内」のロールプレイ(即興会話)をさせる
 「道案内」を扱った教科書ページを学習し、「道案内」のスキット作りなどの活動をした後のテストとして
 ロールプレイカードには、道を尋ねる役割の生徒には、行き先への交通手段を尋ね、所要時間を聞き、最後に礼を述べよなどと記します。
 道を教える役割の生徒には、行き先への交通手段を教え、所要時間を教え、行き先について自分の考えを付け加え、最後に返礼せよなどと記します。
 このようなロールプレイでの生徒の発話は、英国学校外国語教育の物を利用して次のような評価基準で評価できます。

(2) 評価基準

レベル2 主に単語を使い、例として示された疑問文だけを使う。 ・短く単純な応答
・ほぼ正確な発音
・意味が明瞭
レベル3 主に記憶した言葉を用いて会話を始め、応答し、大体において示されたモデル通りに会話する。
レベル3の生徒が発する英語の例は次のようなものである。(略)
・準備済みの2,3のやりとり
・開始し、応答する
・短い、個人的な応答
・主に暗記した言葉
・疑問や陳述で語彙を変えることができる
レベル4 詳細な点を正確に追加し適切に改造したり差し替えたりする。
こうした生徒はより難しいタスクに取り組む準備ができている。
レベル4の生徒が発する英語の例は次のようなものである。(略)
・3,4のやりとり
・1つの語や句を状況に応じて変えることを始める
・全体に正確な発音と抑揚

(3) 評価するポイント
 評価基準には(略)としてあるが、評価の実際には凡例と呼ぶ、各レベルの実際の生徒のできばえのデータが書かせない。
 教師は生徒が評価用タスクに取り組んだ際の様子を、オーディオ・カセットやビデオ・カセットに録音・録画して保存し、これを用いて複数の英語教師が評価基準を共通理解するようにトレーニング・セッションを持ちます。こうした生徒の実体に基づいた調整会議をすることで初めて、評価の信頼性を確保することが可能になります。

7、指導と評価の一体化

参考図書
「英語教師のための新しい評価法」松沢伸二著、佐野正之、米山朝二監修 大修館書店 2002
「中学校英語科の絶対評価基準づくり」平田和人編 明治図書 2002
「観点別学習状況の新評価基準表」北尾倫彦、長瀬荘一編集 図書文化 2002