20030625jh-kaiwaryoku
テーマ:会話力
雁が音中学校要請訪問資料

平成15年6月25日
刈谷市英語指導委員   
刈谷東中学校 犬塚章夫

「一人一人が会話力を高めるための手だて」

1、基本的な文法表現導入パターン

(1) 大量のインプット
  耳につくほどのリスニングでインプット
  文字にしてルールを予想しやすくしながらさらにインプット

(2) パターンプラクティスで定着
  一斉に読む中で徐々に口ずさめるようになる
  全体で読めるようになってきたら、個人にも当ててよい
  不十分なままみんなの前で発話させるのはまずい

(3) コミュニケーション活動で使ってみる
  会話の中で学習した文法表現がどうつかえるのか、実際にためす場面を作る
  会話パターンをしっかりと暗唱できるまで練習してから、会話活動に取り組ませたい
  「形式」に焦点をあて、正しく使えるように配慮する

(4) 本物のコミュニケーションを実現させる
  学習した表現が自然な状態で使えるような「状況」をセットする
  覚えた表現が役に立ったという実感を与えたい
  「意味」に焦点をあて、コミュニケーションの目的が達成できるよう配慮する

2、学習した表現をすべて使うための英語学習プロジェクト

(1) 何か挑戦しがいのあるタスクを与えて居よく付け
  「海外旅行にでかけよう」
  「修学旅行の英語レポートに挑戦」など
  学習意欲を高める工夫が必要
  先輩の会話ビデオや英語優秀レポートなど見せることもよい

(2) 会話や英作文には慣れが必要。単元内に3回、活動を繰り返そう
  1回目は、「こんな感じでやるのか」と学習の見通しをもたせるためと
        「もっとこんな力をつけたい」「〜ができるようになりたい」という目標を持たせる
  2回目は、「なんとかできるようになってきたぞ」と学習の成果を感じさせる
        「もっと〜ができるようになりたい」と意欲を持続させる
  3回目は、「〜ができるようになった」と、満足感を与える
        「これからも〜できるようにがんばろう」と次回への意欲も喚起できる

(3) 作品を残そう
  自分がやった成果を、会話ビデオやレポート作品として残したい
  次年度のスタートでも利用できる

3、会話力(コミュニケーション能力)

(1) 文法が正しく使えるだけがコミュニケーション能力ではない
  コミュニケーション・ストラテジー(方略)も教えたい
   会話の主導権の受け渡しに関するルール 
     自分がまだ話すという意思表示
     相手の半紙の主導権をうばう方法
   相手の言ったことがわからない場合
     予想して確認する
     繰り返し言ってもらう
   自分の言いたいことがうまく言えない場合
     別の表現を探す
     ジェスチャーや絵を利用する
   会話をつなぐ
     あいづちをする
     関連した話題で話を盛り上げる

(2) 生徒の性格を知ることも必要
  日本語の会話(コミュニケーション)でおとなしい生徒が、英語の会話で急に積極的になることはない
  大きな声で発表するのが好きな子には、みんなの前で発表を
  小さな声で話している子には、仲のよい子とペアで会話練習ができるように配慮も必要
    たとえば、「誰となら恥ずかしがらずにわからないところを教えてもらえますか?」とアンケートをとり、グループ編成する

(3) 生徒のニーズをうまく利用
  会話の勉強をしたいと思っているのか、ライティング力をつけたいと思っているのか生徒の実態把握は大切
  生徒の興味のある話題では、生き生きと会話できる=話題についての語彙(スキーマ)が豊富

(4) 生徒の個人差にも配慮
  同じタスクを与えた場合、早くできた生徒を遊ばせない
  「できた子は、〜していてね。」とさらに難しい活動に挑戦させることで意欲付けにもある
  常に、できた子用の活動の指示を準備しておく

4、ティームティーチングで試してみたいこと

(1) 少人数とディームティーチングの利点を生かそう
  ティームティーチングでは、メイン教師と、サブ教師が存在することになる。
    メイン教師tが授業を進行し、サブ教師が手助けの必要な生徒の個別指導をするパターンが一般的。
    ティームティーチングの利点は個別学習の支援にあるので、一斉授業ではなく、ペアやグループでの活動を増やし、個別にグループの指導に入る
    少人数では人数が少なくて寂しくなってしまう音読や、会話活動もティームティーチングでは活発に展開させられる。
  少人数では、自然に静かな状態になるので、一斉音読練習などはやりにくい、ペアやグループ活動での個別支援を仕組みたい
    少人数では、暗唱チェックなど静かな状態で行うと緊張感が増してよい。

(2) ALTとのティームティーチング
  少人数授業では、ALTとのティームティーチングを組むと通常授業よりも2倍の会話時間が確保できる
    内容のある長い会話には少人数授業がよい
    ただ、ALTとのティームティーチングの授業を2倍セットしなくてはいけない
  ティームティーチングでは、JTE2人とALTとの3人のティームティーチングが可能になる
    ALTが生徒と個別に会話する。jTEがその会話をその場で評価する。もう一人のJTEが他の生徒の掌握をする、という展開が可能になる

5、教師の会話力を高めよう(英語力アップのための自己研修)

(1) 文部科学省の「英語教員のコミュニケーション能力の向上のための研修」が始まった
  2003年から5年計画で全国の中・高の英語教師に研修を課する
  「英語で授業をする力」が必要とされている
    英検準1級、TOEIC730点、TOFEL550点はもってるかな
    参考、「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想(文科省HPより)

(2) 自分が会話力を高める研修(練習)をすることで、生徒の気持ちを理解したい
  自分が英会話ができるようになるために何をすべきか?
    語彙力のアップ?  リスニング力のアップ?  表現の暗記?  実地訓練?  英文読書?

(3) 人の実践を学び取ろう
  研究発表会への参加、研修会への参加、英語教育雑誌や書籍を読むなどして、実践例を学び取ろう
  実際に自分で同じようにやってみて失敗しながら、コツをつかみとりたい
    参考 犬塚ホームページに 指導のこつ集があります