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TIPS for Culture

中部地区英語教育学会愛知県支部月例会(平成15年10月実施)において、「国際理解・異文化理解」指導のこつ・留意点などについて話し合い、次のようにまとめてみました。

1異文化との出会いを教師もいっしょに楽しもう。
 世界は広く、様々な文化が存在している。教師も生徒といっしょになって(あるいは、教材研究として)異文化に興味を持ち、追究を楽しもう。教師の考えを押しつけるのではなく、いっしょに新しい発見をしていこう。

2素材はいろんなところにある。
 調べ学習では、市販の書籍の他にインターネットでも探すことができる。キーワードで検索をしてみる。生徒に調べさせる場合は、URLをメモさせること、インターネットの内容が全て正しいわけではないことを知らせる。教師があらかじめ検索したものを与えると効率よく調べ学習が行える。あまりに整理されたものより、いろいろな情報の中から情報を整理させることも、レベルに応じて有効。
 (実践例)「絵本から学ぶ異文化」 挿し絵の中に登場する人物の足下に注目させてみる。裸足なのかどんな履き物をはいているのか。世界の絵本を見比べることで異文化にふれることができる。そのほかにも、絵本に登場する人物名探し、世界のおうち、習慣の違いなど、テーマを変えると絵本から多くのことが学べる。

3異文化理解は、人と人とのコミュニケーションが基本。自分を理解してもらい、相手を理解する活動を組み込みたい。
 最も身近な異文化は、自分とまわりの人との考えの違い。いろいろな人がいることを認めることから始める。様々な価値観の違いが存在するなかで、自分をわかってもらい、相手を理解しようとする気持ちを育てたい。そのためにも、活動は、グループで行わせたい。
 (実践例) 世界のおやつを調べ、それをグループで紙芝居にする。ストーリーを考え、絵を描き、文章化していく。誰が何を担当するのか話し合ったり、どんな展開にするのかアイディアを出し合ったりするなかで、うまくいったりいかなかったりしながら、小さな異文化理解を体験させる。

4一人一人の成果を集めて、1つの大きな成果とするカードの利用。
 調べ学習などでは、一人一人が調べたこと(データ)をカードに書かせ、それを集めることで1つの大きなテーマをもった調べ学習とすることができる。さらにそれを分類したり、付け加えることで学習を発展させることもできる。
 (実践例) 絵本に出てくるおかしを調べよう。おかしを見つけたらカードにその絵を描き(焦点化させる)、文字で説明させる。どの国でどんなおやつがあるのか分類したり、同じおかしがいろいろな国ででてくることに気づかせたりできる。そして、それを掲示することで、他の学習者がそこから学ぶことができるし、さらに興味をもって学ぶきっかけになり、新しいカード(データ)が生まれることもある。

5実際の人と触れ合う機会を持ちたい。
 本やインターネットで調べるだけでなく、それを実際に人と触れ合いながら確かめさせたい。本で食べ物を調べたら実際にその国の人にそれを作ってもらい食べてみる(経験してみる)。外国の遊びを調べたら、実際にその国の人とその遊びをしてみる。
 インターネットの電子メールのやりとりを通して、調べたことが事実かどうか確かめたり、実際に外国でアンケートをとってもらったり、意見を聞くこともできる。

6異文化への興味を喚起する文化クイズ。
 いきなり調べ学習などを行わせるのではなく、まず教師の持つ知識を用いて生徒の興味を喚起するような活動を仕組むことが大切。生徒の興味関心のあるテーマで、異文化をクイズにしてみるのも効果的。

7異なることばかりでなく、同じことにも注目させたい。そして共通の中の異にも気づかせたい。
  国によって違うことはわかりやすく、興味を持つところだが、どの国でも共通のこともあることに気づかせたい。また、同じ物の中にもさらに違うことがあることも教えたい。
  (実践例) 世界中でポケモンが大人気。でも、それぞれの国で「ポケモン人気ベスト10」をアンケートで調べてみると、人気のポケモンが違っていたりする。どうしてそうなのか考えてみるのもおもしろい。
  (実践例) 世界でカレーが食べられている。日本のカレーは、インドのカレーとすごく違う。世界のカレーを比べてみたり、日本のカレーがどこから入ってきたのか調べてみるのもおもしろい。

8感じて考える活動をさせたい。
 「おもしろい」と思う好奇心を喚起するようなテーマ(活動)を与えることで、意欲に結びつき、理解できるようになる。難しいことばかりでなく、生徒の興味にあったものを、何かの活動を通して体験させることで、学びが深まる。

9言葉の働きを考えさせたい。人にあっても言葉だけでは伝わらないこともある。
 言葉なしで(たとえば絵やジェスチャーだけで)どれだけ伝わるか、逆に言葉だけでどれだけ伝わるか考えさせる。言葉だけでも伝わらないことがあるし、言葉がないと伝わらないこともある。また、人と話をするとき、いくら言葉がぺらぺら話せても、相手に興味を持ち話をする内容がなければコミュニケーションは成立しない。

10掲示板で意見の交流をさせたい。
  中学校や高校では、教室の壁に、活動の成果(調べ学習の成果やレポートなど)を掲示し、お互いに友達の書いた物を読んだり、それにコメントを書いたりすることで、学習が深まる。大学などでは、インターネット上の掲示板を使って同じように学習の成果を公開したり、コメントを送ることで同じような学習の深まりを体験させることができる。

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