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TIPS for Grammar

中部地区英語教育学会愛知県支部月例会(平成15年5月実施)において、「文法」指導のこつ・留意点などについて話し合い、次のようにまとめてみました。

1ドリルの前にたくさん聞かせる(インプットを大量に)。
 新出文法事項は口頭で導入をしたい。

2TPR(Total Physical Response)などの手法で動作を伴って意味をわからせる。
  (例)現在進行形を導入するのに、教師が教室を横切りながら、I am walking . I am walking.と言って動作が進行していることを示すことで意味を教える。

3教える表現を使う状況を設定してやる。文法は文脈の中で教える。
 例)進行形の場合、電話での会話で使われることが多い。What are you doing now?は、相手が目の前にいて使うのはおかしい。電話口で相手が見えない状況で、「今何やってたの?」と尋ねるのが自然。
 例)相手にお願いする次のような表現の場合、Can you...?は、友達など仲のよい相手に対して使うなら自然だし、Could you ...?ならたとえば旅行会社に無理を言って注文するときなどで使われるのが自然であったりする。

4文字でのインプットもできる。
 (例1)進行形の文をたくさんならべておいて、その意味が示す絵とマッチングさせるなどをすることで、is ...ing などの共通点を見つけさせることができる。

5パターンプラクティスなどのドリルも必要。
 英語の流暢さを習得させるには、チャンク(文字のかたまり)で教えるのがよいとされる。基本文など耳につくまで音の固まりとしてひとまとまりにして記憶させることは役立つ。

6ドリル的なコミュニケーション活動で、少し意味を意識させる。 
 パターンプラクティスだけのドリルでは、無味乾燥なものになってしまうので、少し意味を意識させながらも、形式を重視したドリルとしてのコミュニケーション活動を体験させるのが次のステップ。

7最後は、本物のコミュニケーション活動で仕上げをしたい。
 最後は、形式への意識を少なく意味への意識を重視した、本物のコミュニケーション活動を教室内で確保することで、実際の使用場面での文法表現使用を実現させたい。

8インプット、アウトプット、フィードバックに動機付けが大切。
 学びたいという意欲がなければ、どんな活動も無意味。生徒それぞれにあった動機づけを工夫したい。

9訂正は状況に応じて行う。決して否定はしない。
 学習者が間違いを犯していたら、訂正してあげるのが正しい。ただし、学習者に応じた対応が必要になる。学習者の性格やレベルに応じた対応が必要であろうし、活動内用においても、形式重視の活動なら訂正をし、意味重視の活動なら流していくことも必要。会話の自然な流れの中で、正しい表現で切り返してやることでミスに気づかせることもできる。

10ミス=悪いこととは考えない。
 学習者の犯すミスは、母語の影響でしかたない場合もあるし、言語習得の発達上必要な過剰一般化などの場合もある。目標言語を習得するまでに学習者が使う中間言語の一部と、ミスを考えていくことが大切。

11テストには波及効果がある。テストを通して文法を定着させる。
 テストがあることで、学習者は意欲的に習得へのステップを踏むこともある。どのくらいできないかを見るテストではなく、どれだけできるようになったかのテストを実施し、できるようになったところを意識させたい。

12文法=目的ではない。文法問題だけを授業でやっていてはいけない。
 あくまで言語習得、つまり英語が使えるようになることが学習の目的。そのために文法を理解しておくことで効率的に正しい英文を話したり書いたりすることができる。テストで点数をとるだけの勉強をしていてはいけない。教師がその態度をとることが大切。

13日本語の文法との比較の中で英語の文法を教えるとわかりやすい。
 もっとも違うのは、@語順・・・主語があって、動詞が来て、目的語がくる。A必ず主語をつける・・・日本語では多くの場合省略する。または、主語ではなく主題が来ている。例)「明日の日曜日は、名古屋に行く予定だ。」の中の「明日の日曜日は」は主語ではない。あくまで動詞「行く」の動作主(=主語)は、書かれていないが「私は」のはず。B動詞は1つの文に1つ。例)「私が好きな歌手は宇多田ヒカルです。」をよく I like singer is Utada Hikaru.とやってしまうことが多い。

14学習者の文法レベルを把握し、効率的に指導しよう。
 選択肢問題、クローズテストなども有効であるが、学習者の文法レベルを知るには、英文を書かせてみるとよい。そして、学習者の知らないことを集中的に教える。コミュニケーションにさほど支障がないエラー(文法事項)よりも、意味不明にするような重大なエラー(文法事項)から扱った方がよい。

15学習者の犯しやすい間違いのパターンを覚えよう。
 学習者がよく間違うパターン 例)日本語にたよってしまって意味の違いがわからない。 make と letの違い。make me eat nattoと let me eat nattoの違いは、「私に納豆を食べさせる。」と訳してしまっては区別しにくくなる。その人がしたい行動ならletでしたくない行動ならmakeとなるはず。

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