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TIPS for Listening

中部地区英語教育学会愛知県支部月例会(平成15年3月実施)において、「リスニング」指導のこつ・留意点などについて話し合い、次のようにまとめてみました。

1リスニングは受容的なものではなく、能動的なもの。
 学習者に聞き取りのプロセスを意識させる必要がある。
 「与えられた言語情報には、さまざまなノイズ、あるいは、いい間違えや繰り返しのような余剰的なものが組み込まれていたり、さらには、聞き手側の責任で聞き取れない部分を含んでいることがよくある。そのような現実の状況下で、聞き手は、最大限の努力を払いながら、そのような現実の状況下で、聞き手は、最大限の努力を払いながら、必要な情報を取捨選択し、欠落している部分を補いながら、既存の知識や文脈などに基づいて、情報を処理し、意味を構築していく。」『現代の英語科教育法』(石黒他2003)

2テープやCDの音声だけに頼らず、英語を聞かせる場面を増やしたい。
 教室内の指示などを英語で行う「教室英語」や日常の話題などについて教師が生徒との掛け合いの中で行う「Teacher-talk」などの機会を使い、たえず生徒の耳に英語を慣らせさせる環境づくりに努めたい。

3Pre-Listening・・・リスニングの前に英語で口頭導入を。
 状況を正しく認識させ、そのための必要となる背景知識をあらかじめ与え、スキーマを活性化させることが大切。口頭導入の際は、教師が英文を学習者のレベルに合ったわかりやすい英語を用い、絵や図などの視覚の助けを借りて行うとよい。学習者との英問英答は、yes,noなどで済むようにし、完全な英文での返事を期待しないほうがよい。英文を読むスピードはノーマルスピードとし、意味のまとまりで切って読むと良い。

4リスニング活動は、単なるリスニングテストに終わらないように活動を工夫する。
 (実践例1)英語を聞いて、絵を描かせる。地図の地点を示す。指示に合せて体を動かす。
 (実践例2)ジグソー・リスニング=グループの成員それぞれが別の不完全な情報を聞き取り、その情報をグループ内で交換しながら、課題を解いていく。
 〈実践例3)「20の扉」など英語の質問を聞いて、解く。

5リスニング活動では、教室外でも使えそうなシチュエーションのタスクを工夫したい。
 (実践例)道で出会った見知らぬ人との会話や何かのしかたを説明するような英文を聞かせる。タスクには、会話の返事を考えさせたり、英文の順序を並べ替えたりするような活動を工夫する。

6ALTに写真や実物を見せながら話をしてもらえば異文化理解にもなる。
 (実践例)ALTの出身国についてや、その国の習慣などについて話をしてもらう。生徒が興味を持つような内容について話をしてもらい、生徒との掛け合いの中で楽しんで知らない(おもしろい)情報が手に入るような情報入手の場とする。

7テープやCDで英語を聞かせる場合は、いろいろな英語を聞かせる。
 いろいろな国の人の話す英語、いろいろな年齢の人の話す英語、いろいろな場面で話される英語などに慣れさせたい。

8コミュ二ケーション・ストラテジーに関わる積極的なリスニングを体験させる。
 (実践例)1人がある内容についての説明を行い、もう1人が、聞き取れなかったことを尋ねたり、これであっているのか確認したりという会話を交わしながら、必要な情報を入手していくコミュ二ケーション活動を経験させ、2人がお互いに話し手・聞き手になりながら相互作用をさせていく。
 (コミュ二ケーション・ストラテジー例)
Repetition ... Could you repeat the part about ...?
Paraphrase ... Could you say that again? I don't understand what you mean by ....
Verification ... Did I understand you to say that ...? In other words, you mean ... Do you mean ...?
Clarification ... Could you tell me what you mean by ...? Could you explain ...? Could you give us an example of ...?
Elaboration ... Could you tell us more about ...?
Extension ... What about ...? How is this related to ...?
Challenge ... What did you base ... on? How did you reach the conclusion of ...? How did you ...? What did you ...?

9映画や歌など生徒が興味を持てる素材からリスニングを。
 (実践例)英語のいくつかの場面を見せ、その内容、使われた単語、などについてリスニングクイズにする。
 (実践例)英語の歌を穴埋め問題化してリスニングさせる。また歌を歌うことで英語のリズムや発音に慣れさせる。

10リスニングには、内容をつかませるTop-downプロセスと、個々の発音や単語・文法に焦点をあてたbottom-upプロセスを両立させる必要がある。
 
(実践例)Top-down ... まとまった英文を聞かせて要点を捕らえさせたり、必要な情報(単語や文)を聞き取らせるリスニング活動。
 (実践例)Bottom-up ... 一つの音の違いや単語の違いなど細かい部分の聞き取り判別の練習をさせる。.

11カセットテープ、CD、MD、ビデオ、DVDなどメディアの特徴を生かして使う。
 カセットテープでは、特定の部分を繰り返し聞かせるときに、手動ですぐに巻き戻しし再生できる。CDは、頭出しが容易なので途中で繰り返しが必要がない場合は便利。MDは、CDの内容などを編集できる。何度も録音しなおすこともできる。ビデオでは、ネイティブの発音に加え、視覚的な情報も伝えることができる。ただ、視覚情報にたよってしまう心配もあるので、必要に応じて画像なしで英語を聞かせることも大切。DVDは、英語と日本語の字幕を入れたり消したりできるし、音声を英語にしたり日本語にしたりできるので、活動内容の変化が持たせられる。また、一定区間を繰り返し流す設定もできる。これから活用していきたいメディアでもある。

12単語や語法に注目させるためにもディクテーションが有効。
 〈実践例)リエゾン(語と語の音声の混合)に注目させたり、複数形など語の変形に目を向けさせるためにも、ディクテーションをさせるとよい。1つの英文を聞き取らせる。英文は3回読む。1回目はナチュラルスピードで、2回目は意味の固まりで切って書き取る時間を作りながら読み、3回目はもう一度ナチュラルスピードで書き取った文を確認させる。

13リスニング・マラソンなどの教材があるように、個人で多くの英語を聞かせるプログラムも有効。
 とにかく自分が好きな(興味のある)内容の英語を聞く。聞いて内容がわかる容易な英語(それぞれの学習者のレベルにあった英語 i-1の英語)を聞かせたい。

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