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英語コミュニケーション活動の人間形成
「人間形成」を意識して授業をやっていると、生徒の英文の正しさよりも内容が気になってくる。点数よりも、生徒の成長に目が向いてくる。1文1文の英文の中に、その生徒の気持ちを読みとろうと思う。間違った英文でも、日本語混じりの英文でも、その中から生徒が一生懸命表現しようとしていることをつかもうとするようになる。そして、生徒の意欲的な顔を見るために、日々の授業の中にどれだけレベル4のコミュニケーション活動を仕組めるだろうかと思案するようになってくる。ちょっとした意識の違いで、こんなにも授業が変わってくるのか、そんなことを実感したコミュニケーション活動研究であった。(犬塚2006)
「本来の英語授業」と「現実の英語授業」の相関図
| 本来的目標 | 現実的目標 | |||||||
| ↓ | ↓ | |||||||
| (1)人間教育的目的 英語教育を通して人格の完成をめざす |
(4)受験対策目的 入試や採用試験の 英語問題に合格する 技術を養う |
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| (2)運用的目的 英語の運用能力を 高める |
(3)文化的目的 英語や英語圏の 文化の探究 |
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コミュニケーション活動に於ける「意味」の4レベル
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レベル4のコミュニケーション=人間的な価値のある意味の授受 | 発信者と受信者の間で、自分や相手にとって価値ある意味をもった伝達を行うこと。Maslow(1954)の「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」の充足につながらう内容や、自己受容、自己防衛、自己向上、他者理解、人間関係作り、啓示的価値、芸術的価値などを含む意味のレベル | ||||
| レベル3のコミュニケーション=伝達ニーズのある意味の授受 | 発信者と受信者の間で、伝達するニーズのある意味をやりとりすること。インフォメーションギャップが存在する。 | |||||
| レベル2のコミュニケーション=場面や文脈に適合した意味の授受 | 事実との対応のある意味の伝達だが、その意味は価値や伝達ニーズを伴うわけではない。例えば、同じクラスの中で Who is your homeroom teacher?と問う活動 | |||||
| レベル1のコミュニケーション=記号的意味の授受 | 単なる字面の意味の伝達であり、事実との対応や伝達ニーズは考慮されていない。例えば機械的なパターンプラクティス | |||||
| レベル1のコミュニケーション | レベル2のコミュニケーション | レベル3のコミュニケーション | レベル4のコミュニケーション | レベル4の意味伝達のコミュニケーション活動というプロセスを通じて、生徒の英語コミュニケーション能力を高め、ひいては母語を含めたトータルな言語コミュニケーション能力を育成しようとする指導法 |
これは、犬塚章夫・三浦孝編著、中部地区英語教育学会課題別研究グループ著『英語コミュニケーション活動と人間形成』から引用しました。
英語コミュニケーション能力養成の中長期的デザイン
←20種類の活動(「葉」) 三浦孝・中嶋洋一・池岡慎著『ヒューマンな英語授業がしたい』第2章Cに、紹介がある。
←3本のプロジェクト(「枝」)@Strategic Interaction 的活動 Aプレゼンテーション的活動 Bディベート的活動
←授業の「幹」 @目の前の生徒の実態に対する理解と、A学習・教育の理論的知識に基づいて、B教師が授業目標を立て、目標に達成するための道筋を立て、提案する
英語のタスク活動とタスク
文法知識は、言語形式 ( form ) とその意味 ( meaning ) の結びつきだけでは十分ではなく、具体的な場面を意識した use (言語使用)が伴わなければ、知識として理解したとしても、言語使用には繋がらない。 高島(2005)
| タスクを補助的に実施した教授法 Task-Supported Language Teaching ( TSLT ) |
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| タスクを志向した活動とは、 | タスク活動とは、 | タスクとは、 |
| Task-Oriented Activity | Task Activity | Task |
| 言語形式の定着を重視するために、モデル・ダイアローグや語彙を与えながらも、Task や TA と同様に、課題解決を目標に持つ。 | タスクと同様に問題解決が目的であるが、学習者がその目的に到達しやすいように、活動に会話の進行を段階的に示す。 | 達成すべき目的のみが示され、課題解決に至るまでの過程、つまり、会話の展開方法などは学習者が考える。 |
TOAとTAとTaskの主な特徴の比較
| 主な特徴 | TOA タスクを志向 した活動 |
TA タスク活動 |
Task タスク |
| 意味内容の伝達に重きを置く | ○ | ◎ | ◎ |
| 活動目標の達成(過程)に重きを置く | ◎ | ◎ | ◎ |
| 情報の授受・交換の有無 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 情報(量)の差 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 段階を迫った指示の有無 | ◎ | ◎ | × |
| モデル・ダイアローグ、または使用する文法構造などの指定の有無 | ◎ | × | × |
| 2つ以上の文法構造の比較 | × | ◎ | ○ |
| 意味のやりとりの有無 | △ | ◎ | ◎ |
| 活動や得られる情報に対する興味、動機付けに重きを置く。 | ○ | ◎ | ○ |
小学校・中学校・高等学校でのコミュニケーション活動
| 高等学校 | |||||||||||||
| Task | |||||||||||||
| 中学校 | |||||||||||||
| OA | |||||||||||||
| 小学校 | |||||||||||||
| TOA | |||||||||||||
これは、高島英幸著『文法項目別 英語のタスク活動とタスク―34の実践と評価』から引用しました。
国語教育・総合の時間におけるコミュニケーション学
平成19年11月9日、刈谷市立かりがね小学校の研究発表会で、スピーチコミュニケーション教育研究所の村松賢一氏の講演を聞いた。国語教育あるいは総合的な学習の時間・生活科におけるコミュニケーション能力育成のためのステップについての話を聞くことができた。ここに氏の理論を紹介したい。英語教育で追究しているコミュニケーション能力育成と共通する考え方だと感じている。(くわしくはスピーチコミュニケーション研究所ホームページへ)
コミュニケーション能力の育成のための5つのポイント
(1)コミュニケーションさせる場の工夫
@価値のある課題の協同的探求
A技能の取り立て学習・・・きちんと話せる、きちんと聞けるなどのスキルの習得
(2)学習課題の工夫・・・交流したい、交流せざるを得ない課題作り
@インフォメーション・ギャップ・・・知っていることを、知らない人(かつ、知りたいと思っている人)に伝える
A意見の対立・分化・・・意見のずれや対立こそ話し合いの好機
(3)活動形態の工夫・・・交流が生じやすい形態を作る
@ペアトークが基本
Aインフォメーション・ギャップを生かすグループ編成
B発表方法の工夫・・・聞き手参加型の発表に
例)原稿を書かない、半分だけ話して質疑応答にする、1対1の発表にする
ポスターセッションではポスターにキーワードのみ書き、言葉で伝える
C座り方の工夫・・・机1つのまわりに4人が座って話し合い
(4)ことばの工夫・・・交流を本物にするためには、形式よりも機能
きれいな発表よりも、ごつごつでもいいから子どもたちの言葉で伝えさせる
(5)つけるべき「態度・力」を明確に
コミュニケーション能力の5類型とそれぞれに必要な力
| タイプ | 1 | U | V | W | X | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 共有する目的 | 感覚・感情 | 気持ち・思い | 情報。・知識 | 考え・意見 | 問題解決策 | |
| 名称 | 親和型 | 心情交流型 | 情報交流型 | 意見交流型 | 問題解決型 | |
| 1、情意的要素 | ・相手に関心を持つ ・特定の友達に限らず会話を楽しむ ・自分から進んで話そうとする |
・相手の話の内容に関心を持つ ・進んで話し合いに参加しようとする ・自分の思いを伝えようと意欲を持つ。 ・相手の気持ちを考えながら聞く |
・相手から学ぼうとする ・(話を聞く)相手の立場になる |
・考えを深めたり広い見方を作りだしたりして話し合う ・相手を尊重し、自分と違う意見にも耳を傾ける(反論されても切れない) ・臆せず自分の意見を述べる |
・協力してよりよい考え方や解決策を作り出す気持ちで話し合う ・ねばり強く自他の一致点をさぐる |
|
| 2、認知的要素 | ・聞いてもらいたいことを自分で見つける | ・できごとや体験から「意味」を引き出す | ・情報を整理し分類する ・聞き手に理解しやすい順序に構成する |
・理由と根拠を考える ・意見を論理的に構成する |
・問題を分析する ・原因を考える ・解決策を考える |
|
| 3、技能的要素 | @聞く | ・相手の話を最後まで聞く ・手遊びなどをせずに聞く ・楽しそうな表情で聞く |
・自分なりの興味・関心を持って聞く ・共感駅態度で聞く ・話の中心をつかむ ・自分の経験などと比べ聞く |
・大事な要素を落とさずに聞く ・話を再構成するつもりで聞く ・事実と感想・意見憶測などを区別して聞く |
・片言隻句(へんげんせっく=ちょっとした事)にとらわれず、相手が何を言いたいかを聞きとる ・相手の意見の根拠に気を付けて聞く ・論証の過程を吟味して聞く ・自他の異同を聞き取り、自分の考えをはっきりさせる |
・相手の意見の元になった考えを推し量りながら聞く ・自分の意見との一致点、相違点を考えながら聞く |
| A話す | ・相手の聞きやすい声で話す ・相手の顔を見て話す |
(体験や出来事について) ・時間の順序をおって話す ・具体的に話す ・自分の「思いや感情」などを表現する |
・要点を明確にして話す(ナンバリング、ラベリング) ・相手の理解力や理解度を確かめながら話す ・メモや資料を使って話す |
・賛成・反対など自分の立場とその理由を明らかにして発言する ・論理的に組み立てて話す |
・自分の案の特色や問題解決性を丁寧に説明する ・根拠となる事例や資料を活用しながら話す ・相手の案を尊重する態度で話す |
|
| B受けて返す | ・あいづちを打ったり、うなずいたりして聞く ・分からないことをそのままにせず率直に尋ねる |
・感心したり、驚いたりした気持ちを素直に表す ・詳しく知りたいことを尋ねる ・相手の持ち出した話題に関連したことを話す |
・確かめたいことや詳しく知りたいことを質問する ・話されるべき大事な要素をとらえ質問する ・途中で話を整理する |
・相手の意見の内容や根拠を丁寧に質す(ただす) ・適切に、相手が気分を害さないような言い方で反論する |
・単に批判するのではなく、皆の考えを生かせる案を提案する | |
| Cはこぶ | ・交互に聞いたり、話したりする ・話題からそれずに話し合う |
(友達に対するインタビューの場合) ・「初めに」具体的な事柄や客観的な事実を尋ねる ・「次に」「その時の気持ち」を聞く ・「最後に」経験が今の生活にどう生きているか聞く |
(ポスターセッションの場合) ・「初めに」全体像や前提となる情報を伝える ・「次に」内容を項目に分け、理解しやすい順序で話す ・「最後に」質疑応答で深める |
(主に司会が気を付けること) ・「初めに」全員が意見をのべる ・「次に」論点を整理し、互いに質し合う ・個々の発言を分類したり、まとめたりしながら進行する ・「最後に」話し合いで得たことを述べ合う |
(主に司会が気を付けること) ・「初めに」現状の問題点を整理する ・「次に」原因を探求する ・「最後に」解決策を考える |
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