2008.5.19

事務所の入り口で「ワンワン」という声がするので見ると,犬ではなくてカラスであった。先日から猫どもが入り口を見張っていたのは,こやつが相手だったのかもしれない。それにしてもカラスのくせに「ワンワン」である。良く公園などで、木に繋がれた犬が飼い主を呼ぶ様な、甘えた、ちょっとあわれな鳴き方だ。

公園で暮らしているカラスが、犬の鳴くのを聴き、ああやって鳴けば人間から餌を貰える,と学習したのだろう。猫の餌をくれたら良く鳴く様になった。そのくせ他のカラスがおこぼれに預かろうとすると,「カアカア」とカラス語で追い払っている。立派にバイリンガルなのだ。

人間の方は相変わらず、「中学高校の6年間を掛けても英語がしゃべれないのは、深刻な問題である」という劣等意識丸出しの一部文教族が、小学校から英語を習わせたらどうだと、馬鹿な論議を続けているらしい。

語学学習は1-2年間「基礎の基礎」をやっておけば、後は必要に応じて習熟、というのが理想的な形だろう。人格形成期に母語できちんと思考する能力を身につけないまま、外国語を教え込もうとすると、自己喪失という「バイリンガルの悲劇」が待ち受けているだけだ。バイリンガルの意味を理解しない「論語読み」はカラス以下かもしれない。

「身に付いた言葉」ということからすると、先週はこのところ急に「多民族国家統合の象徴」という顔つきになってきたバラク・オバマ氏の失言騒ぎが面白かった。しつこく食い下がるテレビ局の女性レポーターに「ちょっと待っててね。」と言って、ついでに「sweetie」と付け足したのには、多分本人も気付かなかったのだろう。

"Hold on one second, sweetie, we'll do a press avail, thanks"

レポーターさんは鬼の首でも取った様に騒ぎたかったようだが、ここを突つくとキング牧師以前の「黒人が自立した経済的人格として認められなかった時代」「女性が自立した経済的人格として認められなかった時代」のウミが噴出して、収拾が付かなくなる恐れから,「守る方」も「攻める方」も、話題にするのを避けてフタをしてしまったようだ。

さて我が国はというと、「女性が自立した経済的人格として認められた国」では信じられない様な、「メイドファッション」なるものが全盛期なのでございますわ、御主人様。そして「御主人様、餌を下さい、ワンワン」というわけで大量の娘どもを送り込んで来る南の国、北の国にも事欠かないカアカア。