浜名湖立面図のCD作成に協力して、陸上に建っている建物を、水上から見ると大分見え方が新鮮だ、
という事が実感できました。実はあれも建築士の職業柄で、水上の一点に制止して見たら、
という仮定の元に描かれた図であって、実際には数百分の一秒という時間であっても撮影している船は動いているのです。
CDのファイルを画面で横に動かしてみると、普通のアニメーションのように画面が動いているのでは無く、
自分の方が動いている、という見え方が少しは味わえるかと思います。
新居町には種田山頭火の「水のまんなかの道がまっすぐ」という句碑が有る事を今度教えていただきましたが、
この道も国道橋のような陸に繋がる構築物であれば、同じ地面に立って考える限り真直ぐである事は動かせません。
ところが水に浮くものであると、船は真直ぐ進んでいても、外から見れば水の流れに従って弧を描いていたりします。
真直ぐな飛行機雲も空気の流れに従って次第に歪み、ぼやけていきます。アインシュタイン式にいえば相対性理論、という事になるのでしょう。
この動くものと動かないものの対比を古代中国式にいえば「儒教」と「道教」という事になるのだそうです。
東アジアの文化の基底には、統治に便利な儒教だけで無く、水、或いは船が生み出す相対的な文化が流れているというあたりから、
日本文花の「船」の部分を考えている本があり、なかなか面白かったので紹介しておきます。
吉野が里遺跡の頃、天皇家では何を信仰していたか、等ということも実証されています。
「馬」の文化と「船」の文化
福永光司
人文書院/1996/2884円
この手の二分法は、結構仕事の上でのヒントを掴む手助けにもなりそうです。ちょっとやってみよう。
北南
馬船
乗る乗せる
儒教道教
孔子老荘
黄河長江
畑作水田
麦米
建前本音
絶対相対
正邪浄穢
上下水平
直線曲線
堅固柔弱
モダンポストモダン
檜の角柱黒木の曲った柱
イデオロギー環境
東大一直線僕といっしょ
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建築におけるポストモダン、冷戦後の環境問題の認識、等を考えても、
ここ二十年程の間に、欧米でも上の右側に並べた物の見方、いわゆるタオイズムの系譜が再認識されてきていることが解ります。
連れ合いは例の「具の大きな漫画家」を毛嫌いしておるので、
彼のマンガのタイトルを記す事で「何だろうと思ってマンガを買うヤツがあるかも知れんから載せてくれるな。」と申します。
「僕といっしょ」は「稲中卓球部」の作者による「中学生ホームレス」もので、絵がババッチイのが欠点ですが、
読み込むとやはりタオイズムの系統に属する事が解ります。今の子供はそこまでいっている。
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