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はじめに専門学校でしばらく「建築史」の講座をやっていたのですが、教科書を丸暗記する、というのがどうも面白く無いのです。 教科書のトピックスをなるべく面白く講談調でやってみたり、補助教材をプリントにしてみたり、周辺のまちなみを観察する、というのを混ぜてみたのですが、皆相変わらずケータイでゲームをやっています。教える方が面白く無いのだけはちゃんと伝わるのですね。 だいたい法隆寺の配置図とドリス式の柱を暗記したところで、実務で役立つ見込みは限りなくゼロに近いのです。 そこで去年からは授業に教科書を使うのを廃止。周辺の都市景観がどうしてこうなったか、というところから、実務で役に立ちそうなトピックスで、講義を組み立ててみることにしました。 教科書は編年通史としてよくまとまっているので、わから無いことがあったら参考書として使う。資格だけ取得すれば良い、という人は私の授業は適当にやって、資格試験の前に教科書の太文字の単語をすべて暗記すれば、建築史に関しては80点取れる、というわけです。 日本建築史では江戸時代の建物は三代将軍家光公の代に、天下普請で全国の神社仏閣を作り直し、その後は畳替以外は禁止、門構えを変えれば改易お家断絶みたいなもんですし、それ以前の建物といえば神社仏閣のごとき、日常生活にはあまり関係のない、覚えたところで設計料があまり見込め無いものでありますから、やってもしょうがない。 ルネサンスの鼻祖といわれるフィリッポ君は、ヴァザーリ先生の講談調で読むと誠に面白いのですが、美術史アカデミーの皆さんは絵画と彫刻にしか興味がない、建築史アカデミーの方々は「あれは講談本だろ。」と取り上げない、といった具合です。
バウハウスは「施工図まで建築家が用意しなさい。」と提唱したのですが、そうした実務から見て肝心なことは、アカデミーの方々はあまり興味がないらしく、教科書には出ていません。
新国立競技場の可動式屋根は、某社が
と言う具合にアカデミーとはあまり関係ない、建築設計者の偏見による建築史みたいなものです。自然環境・東西文明の違い・近代技術などが、建物の姿を変えてきている、といった内容になっています。
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