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英国と日本の各種指標
日本 英国
面積 378 244千平方km
人口 124,043 57,367千人(1991)
人口密度 333235人/平方km(1991)
GNP 3,337,191963,696百万ドル(1991)
GNP/人口 26,92016,750ドル(1991)
世帯数
住宅総数 約4,500約2,000万戸
年間住宅供給 約150約17.5万戸
乗用車登録台数 3,4922,312万台
乗用車1台当り人口 3.62.5

わりと最近に発表された政府の交通政策と都市白書の概要版、滞在中の新聞記事でそれに関連したものの切り抜きを並べてみる。


とにかく英国は古色蒼然としている。例えば単純に住宅戸数を年間着工件数で割ってやると、 日本の住宅の寿命が30年ならば英国のそれは115年となるのだが、 新築数と滅失数の差、人口動態などを考慮するとそれが60年、800年になるのだそうだ。 スルメでも齧る様に大英帝国の干物を数百年掛けてしゃぶっている感じ。
1769年にワットが蒸気機関、1825年にスチブンソンが岡蒸気を考え出すと、19世紀後半にはクモが巣を張る如くに鉄道網が広がった。 1910年頃の地図を見ると、ロンドンの中心部から半径10km程までは最寄りの駅まで2-3kmというまでに鉄道が敷き詰められている。 それも「ライト・レ−ル」などではなく、堂々たる広軌鉄道で、1841年ロンドン・ブリストル間に開通した西部鉄道など、 高速安定性を確保するため、開業後長く7フィート(2,134mm)ゲージであったという。

住宅の新築は北イングランドの山間地で数軒の工事を見たばかり。ロンドン郊外では住宅地を見ていると、模様替えをして売り出す、 という工務店の社長に出くわした。もっとも同じロンドンでもドックランド、テムズ南岸などでは再開発が進められていて、結構バブッテいたぞ。 そういう国なので、都市計画という時にも「国家百年の計」として立てられるのだろう。 気が付いたのはどこへいっても中心市街地ではゾーンシステムが徹底して取り入れられていること。 1960年代にミルトン・ケインズ、ランコ−ンなどで始まった歩行者用道路システムが急速に広がっている背景には、 1995年に「障害者差別禁止法」が改正されたこともあるらしい。それまで障害「者」に福祉の手を差し伸べる、 という政策だったのが、どんな人であれ、不自由を感じる様な「環境」を無くそう、というもの。

記者クラブ発の同じ記事が全ての新聞・テレビ・ラジオに流される我が国と違い、週刊誌の無い英国では新聞に様々な特ダネ記事が並んでいて面白い。 右寄り、左寄りと色々有るらしく、毎日、みっともない写真を乗せては皇族方をおちょくる、という新聞もあった。 都市問題、交通問題に関してはイブニングスタンダードに記事が多かったような気がする。これはハットフィ−ルド事故の後遺症で鉄道が混乱し、 あおりを食ってロンドンが大渋滞に巻き込まれていたことも関係しているのだろう。どの新聞だったか忘れたが、労働党寄りの新聞、 というのには政府をけなす記事は無く、御目出度い記事ばかりで面白く無かった。
政府、行政が発表する表事情だけで無く、新聞がこぞって裏側を突き廻ることで、逆に公共機関の信頼性が保たれているのでは無かろうかとも思う。


古山恵一郎
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