2007.12.15
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建ぺい率と容積率

現在の日本で広く採用されている密度の基準は建ぺい率60%、容積率200%というものですが,全ての敷地で限度いっぱいに建物が建てられてしまうと,かなり高密度な市街地が出来上がります。現実にはどの程度の建ぺい率・容積率がどのような住宅地景観を作るのでしょうか,試してみました。

浜松近郊でも見かけそうな分譲地を想定してみました。9mx18mの敷地に2階建て、一部小屋裏3階ありの32坪から48坪の家が24軒並ぶ,というものです。道路などを入れない敷地内密度は、

建ぺい率 40.75%
容積率 81.875%

と密度の限度、特に容積限度の半分以下、ということが分かります。しかし1990年代までの地価高沸時代、地価は容積率によって決まると言われ、容積限度を下げることは誰も望みませんでした。



仮に全ての敷地で容積限度まで建物が建てられると,どんな姿になるでしょう。建ぺい率の限界である敷地の60%の広さの建物を建てれば3.3階で容積率が200%になりますが,4階建てにして1階あたりの広さを敷地の50%にする、ということが考えられます。ところが、床面積の1/5までは駐車場として使う場合には容積が緩和される,というボーナスがあるのですね。すると敷地50%の広さの5階建ての建物が混じることになり,下の図の様な景観が出来上がります。あまり快適な住宅地という感じはしません。



誰もが駐車場を必要とする今日、「地面は駐車場に使うべきだ。《という考え方も生まれてきます。300坪程度の敷地があれば高層マンションを建てることが出来ます。しかし自家用の2-3台分の駐車スペースであれば庭の緑の中に埋め込むことが出来るのですが,椊栽スペースを挟まない大規模駐車場は冬には寒いだけでなく,風害の危険性もあります。逆に夏には地面に染込んだ太陽熱が巨大な熱プールとなります。



高層マンションは日照を遮る,遠くから見ても邪魔だ,などの理由から4-5階程度の中層マンションが建てられる事もあります。しかしこれも高さが低くなる分,遠くからは目立たない割に、すぐ裏の敷地から見た場合,あまり気持ち良いものではありません。



高度経済成長期には基本的財産権、と考えられてきた建ぺい率60%、容積率200%という密度が、21世紀にも快適な住宅地を作り出す基準かどうか,もう一度考えても良い時期にさしかかっているのではないでしょうか。