直線上に配置直線上に配置

Exhibition 2008



北欧モダン デザイン&クラフト
2007年11月3日-2008年1月14日 東京オペラシティアートギャラリー

 デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧4カ国のデザイン展。といっても、その特徴は北欧というひとつの範疇にはまとめられない。風土や歴史によってその国独自のスタイルを持つ。共通するのは、どこか素朴で安心感が漂っているところだろうか。自然にインスパイアされた作品も数多い。アアルトの花瓶「サヴォイ」は波、ウィルカラのカラス器はキノコや氷山、ヘニングセンの照明器具はアーティチョーク、ヤコブセンの椅子は白鳥やタマゴ、という具合だ。身近にある自然を抽象化したデザインだからこそ、生活密着であり、洗練されすぎない心地よさがあるのだろう。「自然において規格化は最小の単位、つまり細胞だけにあてはまる」(『アルヴァ・アールト』タッシェン・ジャパン、2007)というアアルトの言葉に集約されている。


ブルーノ・ムナーリ展 しごとに関係ある人出入りおことわり
2007年10月25日-2008年1月27日 Shiodomeitalia クリエイティブ・センター

 風変わりなタイトルの展覧会。ということは、実は私も出入り禁止なのだろうか。確かに、遊び心あふれる彼の作品を鑑賞するには、仕事を忘れなければならない。機能や実用性は二の次にしなければならない。いや、心の片隅に置くことも許されないのかもしれない。「短い訪問者のための椅子」は、座面が前下がりになっている。これに座るにはふんばるために脚の筋力がかなり必要だ。よって訪問時間が短くなるというわけだ。招かざる客を早く追い返そうというブルーノならではのユーモアが感じられる。





バウハウス・デッサウ展 BAUHAUS experience, dessau
2008年4月26日-7月21日 東京藝術大学大学美術館

タッシェン社の『バウハウス』(建築ベーシックシリーズ)翻訳中というグッドタイミングで開催された展覧会。勉強のため、厳しいスケジュールのなか日帰りで東京まで飛んでいった。まず上野公園の緑を背景にしてオレンジ色のナイスなポスターが道案内してくれる。会場は2フロアで、バウハウスに影響を与えた作品、デッサウ・バウハウスのプロダクト、グラフィック、建築が部門ごとに展示されていた。なかでも興味深いのは、カンディンスキーやパウル・クレーなどバウハウスで教えたマイスター別クラスの作品。どのマイスターも個性豊かな授業を行っていたことがわかる。グロピウスの校長室は、5m×5mの立方体を再現するのはスペースの都合上無理なのかもしれないが、せめて四角を繰り返した照明器具はつけてほしかった。オスカー・シュレンマーのバウハウスダンスは、一騒動あったらしいが、衣装も振り付けもコミカルで興味深かった。ポスターも図録のデザインもバウハウス的で一味違う。





チャールズ・イームズ写真展 100 images×100 words
偉大なるデザイナーのメッセージ
5月20日-6月8日 アクシスギャラリー


イームズは家具デザインで最も有名だが、実は数多くの映画や写真も残している。今回は、チャールズの写真と名言に焦点を当てた展覧会。会場内には、写真と名言が裏表にプリントされたパネルが吊り下げられている。凡人ならシャッターを切らないモノや瞬間がチャールズの手にかかると大胆な構図の優れたアート作品になる。設置されたイームズチェアに座ってゆっくり名言を読む。チャールズの名言集『100 quotes by Charles Eames』は、シンプル&クリアな装丁。





Moderne Deutsche PLAKATE ドイツ・ポスター 1890-1933
2008年4月29日-6月1日 豊田市美術館

商業ポスターからプロパガンダポスターまで、黄金時代や第一次世界大戦時代を映し出すポスターが展示されていた。画風だけでなくタイポグラフィも時代とともに流行が移り変わる。現代のコンピュータ技術を使えば簡単に制作できそうなポスターもあるが、その味わいや質感はデジタルツールでは出せない。バウハウスもこの時代に含まれているので、カンディンスキー、モホリ=ナギ、ヨースト・シュミットの作品も展示。



―世界遺産への歩み― 20世紀モダニズム建築の巨匠
 ル・コルビュジエ 光の遺産
2008年4月26日-6月22日 四日市市立博物館


「四日市でル・コルビュジエ?!」と目を疑った。国立西洋美術館をはじめとする代表作の写真パネル、模型、図面とともに、絵画や彫刻を展示。ロンシャンの礼拝堂、ラ・トゥーレット修道院、フィルミニの教会の映像で「光の空間体験」ができる。また。ブリュッセル万博フィリップス館で上映された映像「電子の詩」も上映。エドガー・ヴァレーズの電子音楽がバックグラウンドに流れる。まっしろのイメージが強いサヴォア邸はパネル写真では妙に薄汚れて見えた。なにしろ、1930年頃の作品だ。これが本当なのかもしれない。昨年も森美術館とは規模が違うが、それなりに楽しめた。



映画「鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン」
2008年9月20日−10月3日 シネマテーク

北京オリンピックのメインスタジアムを設計したのは、日本ではプラダ青山店を手がけたことで知られるスイス人建築家デュオ、ヘルツォーク&ド・ムーロン。設計から施工、竣工までを描くドキュメンタリー映画。ジャン・ヌーヴェルらをおさえてコンペに勝利した。デザインが決められた経緯や建設中の難題などを、本人たちや中国側担当者が語る。当初は中央に帽子(スライディングルーフ)設置予定だったが、予算上の理由で取り付けないことになった。結果として、「鳥の巣」のような形状になったのか。デザインを決めるに当たって中国の伝統的な模様を研究したそうだが、私は中華料理の「ツバメの巣」から発想を得たのかと思っていた(というくだりはなかったが)。透けてみえる赤も中国らしさが感じられる。中国の経済成長を象徴する奇抜なデザインだけが注目されがちだが、中国の伝統も表しているのだ。ヘルツォークは「パリ万博のエッフェル塔のように、50年後も使われる建物にしたい」と語っていた。鳥の巣は高い入場料にもかかわらずオリンピック終了後も見学者がたえないという。確実に中国の新名所になりつつある。



ブルーノ・ムナーリ展 あの手 この手
2008年9月13日-10月26日 刈谷市美術館


今回の展覧会は汐留のムナーリ展とは異なり、絵本が中心。ただの絵本ではない。「しかけ」が随所に光る。といっても、ロバート・サブダのゴージャスなしかけ絵本と違い、ムナーリ流のしかけはいたってシンプルだ。子供も大人もふとめくりたくなる小ページ、のぞいてみたくなる切り抜き窓。そこには驚きの発見がある。『ぞうのねがい』は、「隣の芝生は青い」ことを再認識させられる。ぞうの頭の小ページをめくると鳥が現れる。ぞうは鳥になりたい。鳥は魚になりたい。みな自分には満足しないのだ。
原題は"Mai Contenti"(決して満足しない)。.




HOME


直線上に配置