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Exhibition 2011




ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展
2011年7月9日−9月4日 三重県立美術館


最終日、台風で川があふれるなか根性で行ったが、その甲斐はあった。
福田繁雄はふたつの顔を持つ。東京オリンピックのポスターなどグラフィックデザイナーとしての顔、視覚トリックを用いた立体作品などアーティストとしての顔だ。
ちらしにもなった《VICTORY 1945》は、黄色と黒色のたった2色で大砲の筒と逆さまになった弾が描かれている。シンプルなグラフィックに明確な反戦メッセージが凝縮されているが、ユーモアのセンスも忘れていない。《福田繁雄のヴィナス》は、見る方向によって、福田自身の顔になったり、ミロのヴィーナスになったりする。2D作品にも3D作品にも共通するのは、とにかく人の視覚に訴えるということだ。



岡本太郎生誕100年企画展
顔は宇宙だ
2011年9月3日−9月26日 PARCO GALLERY


写真撮影可という珍しい展覧会。
展示されている写真を見ると、なんとル・コルビュジエやヴァルター・グロピウスと親交があったことがわかる。ル・コルビュジエは建築家として有名だが、実は絵も描いた。岡本太郎が「動」なら、ル・コルビュジエは「静」という印象だが、色使いは似ている。
出口で三角くじを引くと、岡本太郎からのメッセージがもらえる。「行きづまったほうがおもしろい。だから、それを突破してやろうと挑むんだ。」 今の私の状況を知っているかのようなメッセージだった。





大須コスプレパレード2011
2011年8月6日 大須観音+大須商店街


世界コスプレサミット2011(World Cosplay Summit)の一環として、大須コスプレパレードが行われた。世界各国で選考会を勝ち抜いた代表者と一般コスプレイヤーが、手製の衣装を身につけアニメキャラクターに扮し、大須商店街をパレードした。狭い商店街なので至近距離で見られるのがうれしい。オアシス21で行われる本大会では、パフォーマンス、コスチューム、原作への忠実さが審査基準となり、チャンピオンが選ばれる。

いつのまに名古屋はコスプレの聖地になったのだろうか? 東京や大阪にいつも遅れを取る名古屋がコスプレでは一歩リードした。今やコスプレは、市民権を得て、世界に認められた。いや、世界に認められて、市民権を得たと言ったほうが正しい。




  





視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション
2011年7月20日−9月4日 京都国立近代美術館


バウハウスのマイスター、アーティスト、写真家、デザイナーとして多彩な顔を持つハンガリー人モホイ=ナジ・ラースローにスポットを当てた初の展覧会。キュビズムやロシア構成主義の影響を受けた絵画、カメラのレンズを通さない写真の技法「フォトグラム」を用いた抽象的なアート写真、記録映画、タイポグラフィ、グラフィックデザインなど幅広く展示。

キネティック彫刻作品《ライト・スペース・モデュレータ》は実演もあった。実際に動くのを見るのは初めてだ。作品が動き出すと、音は意外に静かだ。小さな穴が多数開いた金属製円盤、金属棒、金網、ガラス棒、アクリル板、スパイラルが複雑に絡み合い、これらが動くと光と影が交錯して床や壁にさまざまな像をつくり出す。小さなボールが金属棒に挟まれた軌道を左右に転がる。シーソーのように重みがいっぱいになると、カタンと音を立ててボールが軌道を転がるのだ。これはもしや日本庭園にある「ししおどし」の原理?水がいっぱいになると竹筒が動くしかけだ。というのは私の勝手な想像でしかない。モホイ=ナジが来日した記録はないものの、日本人との交流はあったので、なんらかのヒントを得た可能性はある。

CIAM近代建築国際会議の記録映画は、フェリーに乗ってマルセイユを出港する場面から始まる。船上会議ではル・コルビュジエが講師をつとめ、参加者は床や階段に座って聴いている。ドリンクをリレーで手渡ししたり、休憩時間にデッキでお昼寝したり、アットホームな雰囲気が漂っている。見学先のアクロポリスは、初のライトアップが行われたという。現代の国際会議とは一味違う雰囲気を伝えていた。

国際シンポジウム「モホイ=ナジ再考」も同館で開催。基調講演1「画家モホイ=ナジの誕生」、基調講演2「モホイ=ナジと生命中心主義(バイオセントリズム)」他、パネルディスカッションが行われた。基調講演2では、モホイ=ナジが影響を受けた思想について語られた。とりわけハンガリー人生物学者ラウス・ハインリヒ・フランセのBios概念の影響が大きかったという。一見、技術的な作品が多いモホイ=ナジとBiosは矛盾するように思われるが、フランセは「技術の自然化」を唱えていた。後に、モホイ=ナジは、「すべてが有機的に発展する」という世界観や技術との共存を提唱した。
また、音楽家であり教育者でもあるハインリヒ・ヤコビーの「すべての人に才能がある」という考えは、モホイ=ナジのバウハウスでの教育学に影響を与えた。





写真家・東松照明 全仕事
2011年4月23日−6月12日 名古屋市美術館


名古屋出身の写真家の回顧展。「被爆」「アメリカニゼーション」などをテーマに、戦後の日本を独自の視点でとらえた。《チューインガムとチョコレート》に象徴されるように占領下の日本は好むと好まざるとにかかわらず、アメリカ式ライフスタイルを受け入れていく。画像の奥には憧れと憎悪が入り混じった複雑な感情が隠されている。出身地名古屋をはじめ、沖縄、長崎、京都、新宿など地域をテーマにした作品では、それぞれの地域のアイデンティティを浮き彫りにし、過去から現在への変遷を記録する。
前半の「記録」と打って変わって、後半は「創造」の世界。砂浜を背景にして対象物を抽象的な感覚でとらえたアート作品だ。日本の写真の「ヌーヴェル・ヴァーグ」と称されたことにちなんで、会期中、「ヒロシマ・モナムール」などフランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画を上映。




スウィンギン・ロンドン 50's-60's
「ビートルズとその時代」
2011年1月29日-3月21日 岡崎市美術博物館

 1950年代と1960年代、イギリスはとにかく元気だった。ビートルズが誕生し活躍したこの時代に、因習的な文化を打ち破る新しい文化が花開いた。この展覧会は、インダストリアルデザイン、ファッション、音楽など幅広い分野を扱い、必ずしもイギリス発ではないが、スクーター「ヴェスパ」、自動車「ミニ・カブリオレ」、ソニーのポータブルTV、マリー・クワントのミニドレス、ジミー・ペイジ愛用ギターをはじめ、「アント」チェアやタイプライター「ヴァレンタイン」、レコードブレイヤー「白雪姫の柩」などミッドセンチュリーのアイコン的デザインを展示。ビートルズ・コピーバンド「ザ・ベアーズ」によるスペシャルライヴも大盛況!







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