はじめに

干潟とは?

干潟は、内湾の河口に広がる遠浅の海です。満ち潮の時には、海となり、引き潮の時には浜になります。1日2回の潮の満ち引きによって大きく姿を変えます。
 干潟には、川の上流から運んばれた有機物が堆積しています。干潟では、その有機物を餌とする様々な生き物が複雑な生態系を築いてきました。
 バクテリアや細菌が、微細な有機物を分解し、活性汚泥を作り出します。その活性汚泥をゴカイなどの底性生物が食べ、そのゴカイを魚や鳥が食べる。と言う具合に、食物を巡る精巧な循環系が成り立っているのです。これを生物の食物連鎖と呼んでいます。
 このような生き物たちの活動で、河川水は浄化されてきれいな海が保たれてきました。ところが、経済の発達によって私たちの生活も様変わりし、河川水は生活排水などであまりにも汚れてしまい、もはや生き物たちの力でだけでは、美しい海を保つことができなくなってしまいました。追い打ちをかけるように、私たちは、水の浄化に大きな役割を果たしてきた、干潟をどんどん埋め立てしまいました。海、特に内湾の汚染は進み、赤潮、苦潮の発生は、今では日常茶飯事です。
 干潟などの様々な自然の果たす役割を評価し、私たちは、今後どのように共存していくかを考えていかなくてはなりません。

汐川干潟はどんな所?

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 汐川干潟とは、渥美半島の付け根、豊橋市と田原町にまたがって広がる干潟のことです。地図には、田原湾と記載される内湾の最深部にあたります。昭和30年代までは、約2000ヘクタールにも及ぶ広大な干潟でした。1961年(昭和36年)以降、愛知県企業庁などにより開発が始まりどんどん埋め立てられて、現在では、わずか280ヘクタールの干潟を残しているに過ぎません。
 しかし、この280へクタールという面積でさえ、現在の日本では、「最大級の干潟」になってしまうのです。
 面積だけでなく干潟の質も、干潟に注ぎ込む、汐川、蜆川、境川、紙田川の河川上流部での宅地開発や農地開発に伴う赤土の流失、河川改修工事、干潟内の浚渫工事などで、異質の砂が堆積し、泥質から砂質へと変わりつつあります。そして、そこに生きる生物も変わってきました。
 250種(1997年3月)にものぼる様々な鳥類の他に、干潟特有の無脊椎動物や植物を見ることができます。また、大潮の時には、潮干狩り(アサリ)ができますし、秋にはハゼ釣りも盛んです。
日本地図(11KB)


探鳥に適した季節は?

 最も適するのは、渡り途中のシギ、チドリを見ることのできる4月中旬から5月中旬までと、8月中旬から9月中旬までです。
 春は、夏羽の美しいシギ、チドリを見ることができます。
 秋は、9月になってからよりも8月中の方が種類も個体数も多い傾向があります。

お勧め探鳥コースは?

 境川河口から堤防沿いに、紙田川河口へ行くのがよいでしょう。
 紙田川河口を遡ると国道259号線にでます。帰りは、天津(あまづ)のバス停から豊橋駅に戻ります。
汐川干潟の地図(78KB)

交通手段は?

 JR東海の東海道新幹線(東京から約2時間半)あるいは、東海道本線で豊橋駅下車。豊橋駅から、豊橋鉄道バスの伊良湖本線・伊良湖岬行きに乗ります。谷熊だいのバス停で下車。バス停すぐ横の境川(ドブのような小さな川)に沿って北西へ徒歩10分で、干潟を巡る堤防に出ます。
 バスは、1時間に2本ぐらいしかありません。特急伊良湖岬行き、フラワー号などは途中止まりませんので、バスに乗る時にローカル線かどうか確認してから乗って下さい。所要時間約50分 谷熊台まで580円
 バスの他に豊橋駅前から豊橋鉄道渥美線を利用することができます。時間当たりの本数も多く料金も安いのですが、駅から汐川干潟までは、30分ぐらい歩かなくてはなりません。鉄道利用の場合は、豊島駅で下りて、蜆川に沿って干潟へ出る方がよいでしょう。谷熊駅で下車すると、干潟まで1時間弱かかってしまいます。

その他、注意事項

 干潟の生き物は、潮の動きに合わせて暮らしています。潮の時間を事前に調べてから出かけることをお勧めします。干潟の鳥を見るには、大潮の満潮時の2時間後がベストです。(問い合わせは、汐川干潟を守る会まで)
 汐川干潟の回りの後背地では、農業が営まれています。くれぐれも農作業の邪魔にならないように気をつけて下さい。
 付近に公衆トイレはありません。国道沿いの喫茶店に入るか、緑が浜公園のトイレを利用して下さい。
 バスは国道259号を走っています。迷子になったらとりあえず国道を捜しましょう。国道沿いを歩けば、必ずバス停が見つかります。

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汐川干潟を守る会(eriko@tcp-ip.or.jp)