「刑事くん(第2シリーズ)」長坂作品エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 刑事を辞めて旅に出ていた鉄男が東京に戻ってきた。彼は近所でおこった窃盗事件に巻き込まれた事をきっかけに、刑事に復職する決心をする。


第5話「青空の待つ日」

放送日:1973/05/14
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:麻丘めぐみ/沢木 順、原 ひさ子/田辺雄三、高野隆志/長根敏行、藤田敏美、辻 直行

 作曲家・御園豊が自宅で殺害された。鉄男は凶器が部屋から姿を消した青銅の置物だと推理、近辺を捜索するが見つからなった。しかし、それが単なる凶器ではなく、最初からその置物が目的だと気が付いた鉄男は質屋を捜索し発見。そのルートから、御園の弟弟子・マキハラシンを疑う。しかし、マキハラは犯行時刻に豊橋発の新幹線に乗り込んだと主張、その道中で御園の兄弟子・ヤベが同車両に新横浜から乗り込んで合流したという証言もあった。だが、そのトリックを見抜いた鉄男は実際に同時刻の車両に乗り込み実証、御園を殺害したマキハラが小田原に向かい、そこで東京方面へUターンしたのだと証明した。マキハラを心の支えとして慕っていた御園の娘・アケミはマキハラを庇うが、そんなアケミを盾にしてマキハラは逃亡。鉄男と宗方の必死の追跡でマキハラは逮捕された。アケミは、「自分を支えるのは自分だけだ」という鉄男の言葉を胸に明るく振る舞うのだった。

 ゲストは麻丘めぐみ氏。予告では「ゲストに麻丘めぐみを迎えて送る」と紹介されている。劇中で流れた歌は「女の子なんだもん」(1973年)。なお、麻丘氏はこの放送の2か月後に発売されたシングル「わたしの彼は左きき」が大ヒットとなった。
 本作では列車の時刻表トリックが使用されているが、その駅として使われているのは愛知県豊橋市にある豊橋駅。豊橋市は長坂氏の母校でもある豊橋工業高校がある街である。
(※御園豊の漢字表記は供述書のシーンを参照、アケミ、マキハラシン、ヤベの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第8話「この子の涙は母を求めて」

放送日:1973/06/04
脚本:長坂秀佳
監督:佐伯孚治
ゲスト:柴田美保子/滝波錦司、谷藤知子/猪野剛太郎、和泉喜和子

 鉄男の顔見知りの少女・アコが何者かに誘拐された。しかし、その母親は心配するそぶりも見せず、そんな態度に鉄男と吉本は憤慨する。一方、犯人の居所を宗方が突き止め、犯人を包囲。しかし、犯人は替え玉を囮にして鉄男達の目をそらし、その隙にパトカーを奪い逃走。鉄男らの必死の追跡により犯人は逮捕されるが、アコの姿はどこにもなかった。子供の居場所を黙秘する犯人。膨大な捜査陣により周囲の徹底捜査が行われるが、アコを見つけることは出来なかった。焦り、自分を責め続ける鉄男。そんな状況にも関わらず平常通り仕事に出かけたアコの母親に苛立つ鉄男。母親は、若くして亡くした夫の連れ子であるアコがいなくなって、これで再婚もできるからせいせいすると息巻く。下水道にまで及ぶ徹底的な捜査にも関わらずどうしても見つけることが出来ない状況の中、閃いた鉄男は犯人が逃走に使ったのとは別のパトカーのトランクの中からアコを発見。それでも娘に駆け寄ることもない母親だったが、真っ先に母親の元へ駆け込む娘の姿に泣きながら「もう離さない」と訴えるのだった。

 ゲストの柴田美保子氏はこの放送のほぼ1年前(1972年5月末)に結婚したばかり。そのお相手は本番組のメインライターでもある市川森一氏である。
(※アコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第10話「誓いの夜明け」

放送日:1973/06/18
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:山下雄三/竹下景子、神田正夫、竹口安芸子/沢田浩二、飯塚 実、川原崎洋夫、中村 裕

 喧嘩に明け暮れるクリーニング屋の店員・キドユウスケの自暴自棄な生き様を心配する鉄男。そのキドの同郷の親友・アイザワタケシの妹・マサコが地元である宮城県のバーで客を刺し、東京へ向かったという。鉄男はキドの過去の調査を吉本に依頼。1年前、キドの父が経営する会社のトラック運転手だったアイザワが、無謀な勤務状況により事故死。キドは反省の色が無い父を恨み、故郷を捨て上京したことが判明。鉄男は、キドにかかって来た電話からマサコの居場所を推理。キドより先にマサコの元へ向かった鉄男はマサコを自首させた。それを知り、怒り狂い鉄男に殴りかかるキドだったが、鉄男が二人を会わせる為にずっと待っていたと知り、鉄男の心を知る。マサコは執行猶予の可能性も出、喜ぶ鉄男であった。

 本話のタイトル「誓いの夜明け」は、ゲストである山下雄三氏がこの放送の前月に発売したばかりのシングル曲と同名。なお、山下雄三氏といえば、『必殺仕掛人』(1972年〜1973年)の主題歌「荒野の果てに」が有名である。
(※キドユウスケ、アイザワタケシ、マサコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第13話「白鳥は強くはばたく」

放送日:1973/07/09
脚本:長坂秀佳
監督:小松範任
ゲスト:西山景子、奥村公延、田中 浩、佐藤京一/蜂村 銀、池上明治、清水智子、菅野直行/相馬剛三、山浦 栄、五野上 力、柿崎修司、内田 嵐/比良元 高、山口 亨、川辺知香、佐藤吉蔵

 チンピラのミタが仕入れ屋のマサを連れて関西系の暴力団・山沢組の元へ密輸ダイヤを運ぶという情報を入手した時村は、マサがミタの顔を知らないことを利用、ミタに年格好が似ている鉄男を化けさせる。関東ムラサキ組、そして刑事の顔にも詳しいミタの役目は、関東ムラサキ組の見張り及び警察の目を避けることだ。マサに接触を図る鉄男だったが、しかしそこに現れたのはマサの娘のサエ。偶然通りかかった吉本の為に正体がバレた鉄男は、刑事であることを告げサエから事情を聞き出す。マサは娘に懇願され足を洗う決心をしたが山沢組に捕らえられ、代わりに父の命を盾にサエが運び屋を任されたのだ。時間までにダイヤを届けなければサエの父・マサは殺される。監視する宗方らの目をすり抜け待ち合わせ場所へと向かう鉄男。山沢組の監視、そして包囲する警官を利用して時間ちょうどに指定場所にたどり着いた鉄男はそこで山沢組と激闘。そこへ鉄男からの連絡を受けた宗方らも駆け付け山沢組は一掃されるのだった。

 チンピラに扮して待ち合わせに向かうシチュエーションといえば、強烈なインパクトを持った作品『特捜最前線』(1977年〜1987年)第129話「非情の街・ピエロと呼ばれた男」が思い出される。ちなみに、こちらでは桜木氏演じる滝二郎が変装を志願しているものの、特徴が異なるということで却下されている。
(※山沢組の漢字表記は鉄男の残したメモのシーンを参照。サエ、マサ、ミタ、関東ムラサキ組の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第14話「小鳥の声にさそわれて」

放送日:1973/07/16
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:西崎 緑/岸 久美子/石橋雅史、山口 譲、板倉祥子、森 烈、大野剣友会

 新聞記者が殺され、容疑者としてその新聞記者が追っていた暴力団・ヒデマル組の名が挙がった。目撃者の少女・朝霧シズカから証言を得ようとする鉄男だったが、ヒデマル組関係者の写真を見せられたシズカは頑なに口を閉ざした。シズカが誰かを庇っていると確信する鉄男だったが、小鳥だけが友達だという無口な少女であるシズカを気遣い聞き込みを中断。しかし、宗方はシズカを騙し、シズカが慕っている男・ヒデマル組のオオセシンゴの名前を聞き出した。鉄男にまで騙されたと誤解し、小鳥がいる山へと籠もるシズカ。そこへ、オオセを始末したヒデマル組がシズカの口を封じる為に山へ向かった。そして、鉄男達もその後を追う。無事にシズカを保護する鉄男だったが、すぐに大勢のヒデマル組に包囲される。森の中、相手がどこから攻めてくるか分からず苦戦する鉄男に、シズカは人間が近づくと警戒して泣き方を変える小鳥の習性で人が近づく方向が分かると訴える。先手を打って攻める鉄男、そして駆け付けた島崎らの応援によりヒデマル組を一網打尽に。鉄男達の姿に感化されたシズカは人に対しても心を開くようになるのだった。

 『刑事くん』全4シリーズの中で出演者のオープニングクレジットにて大野剣友会の名前が見られるのはこの第2シリーズのみ。その中の7本のうち、長坂氏の作品はこの第14話と第16話のみである。なお、本話にて大野剣友会が演じるのは暴力団、そしてそれを率いるのは石橋雅史氏。なんとも貫禄のある暴力団である。ちなみに、この7作以外では、大野剣友会名義ではないが、岡田勝氏(第12話・第18話)や、河原崎洋夫氏(第18話)など役者の個人名義でメンバーがクレジットされることもあった。また、出演のクレジットが無い場合でも登場していることがあるが、これは擬斗としてのクレジットが出演も兼ねているということだろうか?
(※朝霧の漢字表記は表札のシーンを参照。シズカ、オオセシンゴ、ヒデマル組の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第16話「心の詩をギターで・・・・・」

放送日:1973/07/31
脚本:長坂秀佳
監督:佐伯孚治
ゲスト:マイケル中山/河野和子/吉野恒正、藤基治久、今井美久、大野剣友会

 暴力団的な組織作りを進めている不良大学生グループが賭場を画策。その組織に出入りする若者・通称ギタカツを城南署は追っていた。鉄男は、そのギタカツが吉本自慢の弟・カツヤであると気が付くが、吉本に言えず独自に捜査を開始。カツヤに全うに生きるよう説得を続ける鉄男だったが、カツヤは心を開かない。捜査に積極的に加わろうとする吉本を必死に止めながら、カツヤを追う鉄男。姉達の過大な期待に耐えられず、自分の好きなギターもやれなかったと嘆くカツヤを、自分が弱かったせいだと鉄男は叱咤。そんな中、捨てられていたギターを手に歌うカツヤの姿に、近所の病院の患者が歌を聞きたいとリクエストを。翌日、鉄男に連れられ病院で演奏するカツヤの姿に、大勢の患者の顔に笑顔が浮かんだ。その後、賭場の現場が押さえられるがそこにギタカツの姿は無かった。自分の弟の不祥事に責任を取ろうとする吉本だったが、それまでの鉄男や時村らの配慮に気が付き、心打たれるのだった。

 ゲストのマイケル中山氏は、本番組にて吉本真琴役でレギュラー出演している中山麻理氏の実兄。本作とは兄、弟の立場が逆である。なお、マイケル中山氏はこの放送の数か月前まで放送されていた『ワイルド7』(1972年〜1973年)にて世界役でレギュラー出演。この第2話「死を呼ぶヘル.キャット」では逆に中山麻理氏がゲスト出演していた。
(※カツヤの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第18話「越前岬に幼い夢は」

放送日:1973/08/13
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:高柳三枝子/宇南山 宏、木島慶子/池田一臣、宮内順子/岡田 勝、河原崎洋夫、中本竜夫、乾 忠義

 10年前に足を洗った金庫破り・清川は、指名手配犯・梶田繁から強盗の共犯の誘いを断った為、報復として娘・ミチ子の命を狙われていた。福井に住む姉に預けたというミチ子を保護する為に福井に飛ぶ鉄男。だが、ミチ子は姉の元を離れ、清川の別れた妻・アケミの元へいるという。鉄男は、学校の校庭で両親の揃った絵を描いていたミチ子を発見、保護。だが、目を離した隙にミチ子は姿を消し、梶田に連れ去られてしまった。鉄男を責め立てるアケミだが、鉄男は逆に娘をたらい回しにしてきたアケミを叱咤。そして梶田の車を発見、追跡する鉄男は、ミチ子を盾にされ窮地に陥るも逆転。モーターボートで逃走する梶田を追跡し、ついに逮捕した。娘に好かれるような母になると誓うアケミ、そして駆け付けた清川の元に、ミチ子は笑顔で駆け寄るのだった。

 福井県越前岬ロケ。なお、劇中にてこの越前岬は吉本の実家だと語られている。
(※清川ミチ子の漢字表記はランドセルのシーンを参照。梶田繁の漢字表記は指名手配のビラのシーンを参照。アケミの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第20話「瞼の母は夕焼け空」

放送日:1973/08/27
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:山田隆夫、目黒幸子/綾川 香、伊藤 健/大月優子、高尾良枝、古村 真、豊岡 晋

 城南署に届いた一通の手紙。その手紙には、暴走族・ハヤテ組の少年・伊達タカシが先月起こした老婆の轢き逃げが無実だと訴えられていた。しかし、事件の目撃者は犯人のヘルメットがタカシが愛用しているものと同じ赤色だと証言。本人も犯行を認めていた。鑑別所にいる伊達を訪ねる鉄男だったが、タカシの態度、そして彼の心理テストの答案からも、凶暴性が現れていた。しかし、鉄男はタカシが手にしていた紙きれを目撃。それが、獄中の非行少年が母を想う様を詠った詩だと知る。タカシの母を訪ねる鉄男だったが、厳格な性格の母は「不良少年は厳重に処罰すべき」との思想で、息子を勘当し、一度も面会に行っていないという。鉄男は、目撃者が赤と緑が逆に見える色弱だと突き止め、さらにタカシの外出許可を取りタカシを母の元へと連れて行く。博打に手を出し自殺しただらしのない夫みたいにならないようにとの思いで行った厳格教育が裏目に出たのかと嘆く母の言葉に、タカシは母の想いを理解。タカシの証言により、ハヤト組の兄貴分マエジマが逮捕されるのだった。

 劇中で扱われている詩は吟詠漢詩家・松口月城氏による「母」。この詩は非行少年が獄中で作ったある詩に感激して、作詩されたといわれている。
(※伊達の漢字表記は表札のシーンを参照。タカシ、マエジマ、ハヤテ組の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第23話「ハダカになれば・・・・」

放送日:1973/09/17
脚本:長坂秀佳
監督:小松範任
ゲスト:柄沢英二、舟久保信之、山下 望、大坂 憲/石田英二、山本 緑、五野上 力、矢野 宏/藤間文彦、河村弘二

 ガケジマ商事社長・ガケジマハンゾウの脱税の証拠をつかんだという役人・ハザマがガケジマに殺された。その様を目撃したハザマの弟・リョウジはガケジマの犯行を証言、ガケジマは逮捕されるが、ガケジマのアリバイを証明する証人が13名も出現。ガケジマを即刻釈放するしかなかった。嘘の証言であることは明白なものの証拠は無い。ガケジマは警察にボディガードを依頼し、時村の命令で鉄男は屈辱に耐え、ガケジマのボディガードをすることに。復讐の為にガケジマに襲いかかるリョウジを止める鉄男。怒り狂い、剣道で勝負に挑むリョウジの竹刀を鉄男は受ける。再びガケジマを襲うリョウジを身体をはってとめる鉄男だが、ついに我慢の限界に達した鉄男はガケジマを殴り飛ばす。そこへ駆け付けた時村に鉄男の暴力を訴えるガケジマだったが、時村によってアリバイは崩され逮捕状が付きつけられる。ガケジマはついに逮捕されるのだった。

 『柔道一直線』(1969年〜1971年)、そして本番組でも頻繁に柔道技を披露している桜木氏。そんな桜木氏が本話では剣道を披露。物語上では初段の腕前だと語られている。
(※ハザマ、リョウジ、ガケジマハンゾウの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第24話「ふたりのカレンダー」

放送日:1973/09/24
脚本:長坂秀佳
監督:村山新治
ゲスト:純 アリス/大和田芳朗/鶴賀二郎、北浦照義/大矢兼臣、守山竜二、植田灯孝

 鉄男のおかげで更生した元チンピラ・ナカダイは今はまじめに働き、恋人である看護婦・ミヨコとの結婚を控え幸せな日々を送っていた。しかし、ミヨコからの知らせで、ナカダイがドスを持ち血相を変えて飛び出したと知る鉄男。鉄男は、医者のアキグチがインチキ金融・タニグチに脅され、ナカダイにミヨコが胃癌で余命三か月だと伝えたことを突き止める。そして、一か月前に昔の仲間から100万で人を殺さないかと誘われていたというミヨコの言葉から、ナカダイがつかの間の幸せをつかもうとしていると知る。人殺しをさせない為、必死にナカダイの行方を追う鉄男。聞き込みから鉄男は、タニグチの金を意図的に焦げ付かせたアオハト興業の社長・ヤナギダが標的だと推理。ヤナギダを襲うナカダイを発見した鉄男は事件の真相を伝えるが、逆上したナカダイはタニグチを襲う。鉄男はナカダイを止め、タニグチを逮捕するのだった。

 ゲストの大和田芳朗とは大和田獏氏の本名である。
 本話では次郎が剣道の真似ごとをしているが、前話の影響なのだろうか、それとも単なる偶然だろうか?
(※ナカダイ、ミヨコ、タニグチ、アキグチ、ヤナギダ、アオハト興業の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第25話「ちぎれた愛」

放送日:1973/10/01
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:西城秀樹/戸島和美、井上博一/田中筆子、松尾文人、山崎亮一/大川哲也、大家 博、上田敬二

 強盗傷害犯・山岸進を追う鉄男は、その舎弟・野毛山三次をマーク。野毛山を目撃したという洋品店の店員・牧原和美の情報により山岸の潜伏先を知った鉄男は山岸を逮捕した。山国育ちの為に今まで海を見たことがなかった和美は、恋人・西垣基樹と共に海へデートに行くのを楽しみにしていたが、その当日、山岸の逮捕が和美の通報によるものだと知った野毛山が和美の前に出現。基樹を庇った和美は野毛山に刺殺された。目撃者の情報で現場に駆け付けた鉄男だったが、そこには基樹の姿も和美の遺体も無かった。復讐に燃える基樹は野毛山を拉致、和美と行くはずだった海の見える別荘へ向かう。基樹は和美に、海と、そして野毛山の殺害を見せようとするが、駆け付けた鉄男が阻止。隙を見つけ基樹を刺し逃走する野毛山を追う鉄男は必死の追跡で野毛山を逮捕。基樹は傷ついた身体で和美に海を見せるのだった。

 ゲストは西城秀樹氏。予告では「青春のアイドル西城秀樹をゲストにお送りします」と紹介された。ちなみに台本では劇中でも使われた西城氏の歌「ちぎれた愛」の歌詞まで書かれている為、最初から西城氏を意識して書かれたホンだと思われる。その為、役名も西垣基樹という少々似せた名前にしたのであろうか? なお、出演者の欄は空白である。
 ヒロイン・牧原和美役は戸島和美氏(北原和美)。特撮ファンには『超人バロム1』(1972年)の木戸紀子(木戸猛の姉)役や『流星人間ゾーン』(1973年)のゾーンエンジェルこと防人螢役等で有名。西城氏同様、こちらも役名がよく似ているので、ヒロインも戸島氏を想定して書かれていたのだろうか?
 基本的には台本と映像は同じ展開だが、台本の尺が長かったのか、ところどころカットされているシーンもある。ただし、クライマックスの展開が大きく異なり、劇中では鉄男が駆け付けた後、基樹が刺されているが、台本では鉄男が到着する前に基樹が野毛山に刺され息絶えている。なお、劇中では刺されたものの死んではいない雰囲気であった。また、曲の流れるタイミングも異なり、劇中では野毛山に刺されてから、和美を海の見える窓辺へ連れていくシーンで流れているが、台本では基樹が野毛山らに袋叩きにされるシーンにて「M”ちぎれた愛”inして――」の後に1番の歌詞が、それと、三次を脅しながら和美との想い出を回想するシーンで「M inして来る――歌詞一番から」、その後刺されてから「M大きくなって――」の後に2番の歌詞が書かれている。
 野毛山三次は台本では「通称野狐三次」と記されている。『街』(1998年)の狐島三次=キツネの三次を彷彿とさせるネーミングである。
(※西垣基樹、牧原和美、野毛山三次、山岸進の漢字表記は台本を参照。)


第28話「明日を信じて」

放送日:1973/10/22
脚本:長坂秀佳
監督:佐伯孚治
ゲスト:大川栄子/後藤健二/安藤三男/五野上 力、東映児童演劇研修所、振付:秋山七絵

 とある男性の死体が発見された。城南署では被害者は別の場所で殺され運ばれたと推測、車から投げ捨てられたと見て捜査が開始された。死体発見現場の近所にある私立の養護施設「しあわせの家」に聞き込みに行く鉄男は、施設の保母が何かを知っていると直感。そして鉄男は悲しい真実を知った。事件の真相は、施設の子供・マサシの父親がはした金で息子を売る為に施設を訪れ、それを止める保母と争いになるうちに弾みで後頭部を打ちつけ即死したのだった。投げ捨てられたと推測された遺体は、保母が咄嗟に死体を運ぶ最中、死体が崖から転げ落ちたものだった。子供を残しておけず自首出来なかった保母。入院中の園長が3日後に退院して帰ってくるまで待ってほしいと訴える保母の願いを聞く鉄男。しかし、自分の捜査のミスに気が付いた宗方が「しあわせの家」にたどり着いた。鉄男は子供達を先導して共に踊り、その間、宗方はそっと保母を連れて行くのだった。

 養護施設にて保母及び鉄男が子供達と共に体操する時に流れるのは『ウルトラマンタロウ』(1973年〜1974年)の主題歌。鉄男と保母がウルトラマンタロウの格好に似せたコスプレのようなものまで着用している。なお、この放送の時はちょうど『ウルトラマンタロウ』の放送中であり、時期的には第29話「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」の直後であった。ちなみにこの第29話は、1か月程前に放送された『刑事くん』第24話「ふたりのカレンダー」に出演したばかりの大和田獏氏がゲストで出演している。また、『ウルトラマンタロウ』の主役を演じていた篠田三郎氏は『刑事くん』オープニング及び第17話「朝日に誓って・・・・」に出演、そして『ウルトラマンタロウ』のZAT隊長の朝日奈勇太郎役は、『刑事くん』で時村重蔵を演じていた名古屋章氏である。
 ゲストの保母役の大川栄子氏は当時放送中であった『走れ!ケー100』(1973年〜1974年)にて岡本節子役でレギュラー出演中であった。その他の作品では『キイハンター』(1968年〜1973年)の谷口ユミ役が有名である。
(※マサシの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第35話「大空に翼はきらめく」

放送日:1973/12/10
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:堀越光恵/灰地 順/大坂 憲、藤竹 修

 鉄男は大島近辺を本拠とする貴金属密輸グループを捜査、組織に動きがあった日すべてに大島方面へフライトしていた女性パイロット・シラミネレイコの元へ向かった。そのレイコは、行方不明になった婚約者・モチヅキオトヒコと瓜二つの容姿を持つ鉄男を見て動揺する。その後の調査でモチヅキもレイコと同じ日程でフライトしていたと判明、そして、白骨死体として発見されたばかりだったと知る。宗方は密輸前科三犯・クロイシを発見、離陸する彼の飛行機を、行き先を突き止めるために鉄男とレイコの乗る軽飛行機・ヤンキーが追う。だが、マシンガンの銃弾がヤンキーを襲う。繰り広げられる大空中戦。レイコは巧みな操縦技術でクロイシが乗る軽飛行機の死角に入り、安心したクロイシは軽飛行機を着陸させる。モチヅキに扮した鉄男は取引現場を押さえ、逃走するクロイシの仲間を逮捕。大空へ逃げようとするクロイシの軽飛行機に飛び乗った鉄男はクロイシを逮捕。操縦桿を握った鉄男はレイコの誘導で無事帰路に就くのだった。

 ゲストのシラミネレイコ役の堀越光恵氏は長坂作品では『特捜最前線』(1977年〜1987年)第136話「誘拐1・貯水槽の恐怖」・第137話「誘拐II・果てしなき追跡」に出演。
 レイコが操縦する軽飛行機はグラマンのAA-1・ヤンキー。機体番号はJA3613で、これと同じ機体は現在では航空科学博物館(千葉県山武郡芝山町)の入り口に展示されている。(機体番号も、映像で確認できるJA3613である)
 本作では次郎が怪獣の真似をして「ZATのやつらめ」と語っている。本作の一作前の長坂作品である第28話と同様、『ウルトラマンタロウ』(1973年〜1974年)ネタである。
(※シラミネレイコ、モチヅキオトヒコ、クロイシの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第36話「愛と憎しみの彼方に」

放送日:1973/12/17
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:岩崎信忠/松尾悦子、石光 豊/神戸泰子、大坪日出代、松下麻美子

 1年程前、鉄男が城南署を辞めた直後に起こったピストル強盗事件。宗方が逮捕した凶悪犯・スドウアキラが刑務所から脱走した。その事件で恋人・ミスギヨウコを殺された宗方は我を忘れスドウの行方を追っていた。2〜3時間起きに発作を起こす重度の狭心症に冒されていたスドウは町医者を襲い、看護婦、そして訪れた宗方を捕らえる。スドウは、自分の恋人ミドリが町医者・田中の誤診で死んだと思い、復讐の為に田中を狙う。スドウが目を離した隙にスドウの薬を砕く宗方。薬を失い苦しむクドウは看護婦に薬を要求、渡されるクドウだが偽物かもしれないと疑い薬を飲めない。意を決して薬を飲んだスドウはそれが本物だと知る。実は田中の娘だったその看護婦は「人の命を救うのが仕事だと父に教えられた」と語る。しかし、娘だと知ったスドウは矛先を娘へ向け、命を狙う。そこへ駆け付ける鉄男は、スドウとの格闘の最中、宗方に手錠を投げる。宗方の目前には手錠と、スドウが手放した拳銃があった。宗方は拳銃をしまい、手に取った手錠をスドウの手にかけるのだった。

 本作では、城南署に配属されたばかりの頃の宗方の初手柄となった事件のことが描かれており、その時宗方が恋人を失ったということになっている。そして、殺したい程憎い男を目前にし、目の前には「拳銃」と「手錠」が……というシチュエーションが絶妙である。
(※田中の漢字表記は看板のシーンを参照。スドウアキラ、ミスギヨウコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第38話「輝やかしき道へ」

放送日:1974/01/07
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:福岡正剛、御影伸介、津野哲郎/高杉 玄/本田龍彦/高橋清彦、甘利由美子、竹村清女/千葉真一

 本庁の銃器密輸組織特別捜査本部へ応援要員として派遣されることになった鉄男。城南署の仲間の期待を受け意気揚々と意気込む鉄男だったが、与えられた仕事は電話番ばかり。自分の力を見せようと独自に容疑者・オカダサカエを追う鉄男。だが、少女の命を救うためにオカダに逃げられ、本庁の捜査を妨害してしまう結果となった。自分の役目が、組織のアジトが城南署の管轄にある為の道案内だったと知り落ち込む鉄男に、立ち寄った時村は励ましの言葉を贈る。子供からの通報で拳銃の隠し場所とされる場所へ向かう鉄男だったが、そこにはおもちゃの拳銃しかなかった。嘲笑い立ち去る本庁刑事を尻目に、子供の言葉を信じて捜査する鉄男は本物の拳銃を発見。そして、組織に潜り込んでいた本庁刑事の矢吹と協力して組織を一網打尽にするのだった。

 第1シリーズ第31話「きらめく星は我が胸に」、第2シリーズ第1話「ぼくたちの春」(脚本:佐々木守氏)に続いて千葉真一氏が本庁刑事・矢吹役でゲスト出演。本話の予告編でも「ゲストに千葉真一を迎えて送る」と紹介された。
(※矢吹の漢字表記は第2シリーズ第1話の放送当時の新聞記事を参照。オカダサカエの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第40話「夕焼け小焼け」

放送日:1974/01/21
脚本:長坂秀佳
監督:佐伯孚治
ゲスト:中井啓輔/芹沢常法/阿部希郎、平松慎吾/古能成二、藤崎英幸、江守文吉

 鉄男らは麻薬組織の幹部・シングウゴロウと運び屋・三条等が行きずりの子供を運び屋に仕立てていることを知った。麻薬を隠したぬいぐるみを持たせ、所定の場所へ届けるように指示する手口である。三条は動物好きの少年・テルオに狙いをつけ接触を図るが、鉄男がそれを妨害。そこに現れた警視庁保安2課・クボは鉄男を非難する。子供を追えば組織にたどり着けると考えるクボと、子供の安全を第一とする鉄男は対立。クボは5年前に麻薬の為に妻を亡くし、異常なまでに麻薬撲滅に対して執念を燃やしていたのだ。鉄男はテルオがクボの息子だと知り、自分の子供まで使っての捜査に驚きを隠せなかった。そして、組織からぬいぐるみを渡されたテルオはシングウの待つ指定された場所へと向かった。それを追う、鉄男とクボ。テルオが刑事の息子だとバレ、シングウらと乱闘になるが、鉄男は相手が多勢の為苦戦。子供のことを忘れて戦えと言う久保の言葉を無視する鉄男は、袋叩きにあいながらもテルオを必死に庇い続ける。そして、島崎たちが駆け付け組織は逮捕されるのだった。

 鉄男の弟の名前が「次郎」という名前からの発想からなのか、本作では南極観測隊のタロ・ジロ兄弟がネタになっている。
(※三条等の漢字表記は書類のシーンを参照。クボ、テルオ、シングウゴロウの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第43話「お父さんとのデート」

放送日:1974/02/11
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:佐藤明美/遠藤 薫/幸田宗丸、黒部 進/松永五郎、平野超人

 島崎は関東リョクシン会会長・イワタモトキチのアジトを聞き出す為、情報屋のマサに明後日行われるリョクシン会へのガサ入れ、通称「D5号作戦」の機密の一部を漏らしてしまった。機密漏洩に激怒する時村。島崎は娘・アキコとの約束も放り出し捜査へと出かけた。翌日、呼び出し電話に誘い出された鉄男は、捕らわれた島崎を発見。リョクシン会は島崎の命と引き換えにD5号作戦の機密書類を署から盗み出すよう要求する。見張りの女を連れ城南署へ戻る鉄男。しかし、時村や宗方の目がある為に書類が入ったロッカーに近づけない。タイムリミットが迫り焦る鉄男。隙を見つけた鉄男は書類を盗み出し城南署を後に。鉄男の行動に不審を抱き立ち塞がる宗方を殴り飛ばした鉄男はアジトへと急ぐ。そして、書類を手にしたリョクシン会は鉄男と島崎を始末しようと二人に迫る。だが、そこに時村達が駆け付け組織は一網打尽に。鉄男の動きに不審を抱いていた時村が跡を付けていたのだ。事件は解決し、島崎は一日遅れになった娘との約束のデートへと出かけるのであった。

 島崎の娘・アキコが登場。普段では地味なポジションであまりメインで取り上げられることのない島崎だが、本作ではその地味なキャラクター性を強調、取り上げている。
(※アキコ、イワタモトキチ、マサ、関東リョクシン会の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第45話「花束をどうぞ」

放送日:1974/02/25
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:林 靖子、岡田奈津子、北 九州男/前川真弓、翁長和男、篠田敏夫/井上正広、芦沢龍介、板橋恵美子

 町で少女による強引な花の押し売りが蔓延、はるやあゆみも被害にあっていた。タダ同然の萎れた花をパラフィン紙で包み誤魔化して高額で売りつける悪質な手口に憤慨するあゆみの言葉を受けて捜査する鉄男は、花売り娘である不良グループのリーダー・アキメグミを更生させようと行動する。そんな時、恐喝で手配中のナベカワ組幹部・ヤマウチゴロウを追う鉄男はヤマウチのアパートがメグミの行動範囲に近いことからメグミも関係しているかと疑う。アパートに残された指紋とパラフィン紙の指紋が一致、暴力団の資金稼ぎに利用されていたと確信し、メグミにヤマウチの居場所を問う鉄男。しかし、メグミは嘘の居場所を教え、ヤマウチの手下が待ち構えている場所へ何も知らない鉄男が向かった。一部始終を見ていた吉本は、鉄男がメグミを騙して尾行するやり方をとらず、敢えて直接本人の口から居場所を聞くやり方をとったとメグミに説いた。鉄男を理解したメグミは鉄男に教えた場所を告白。袋叩きにあっていた鉄男の元に城南署の応援が駆け付け、ヤマウチの手下を逮捕、そしてヤマウチも逮捕されるのだった。

 「押し売り」をテーマに、「何かの宣伝でただで差し上げますって感じで手渡す」という手口を示し、買う側=引っかかる方にも問題があると提議。「いらないってはっきり言う」重要性を語っている。日常でも遭遇しやすい身近な事件を視聴者に訴えている。
(※アキメグミ、ヤマウチゴロウ、ナベカワ組の漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第47話「おむすびと味噌汁」

放送日:1974/03/11
脚本:長坂秀佳、森 展久
監督:富田義治
ゲスト:今井美佐子/赤塚真人/松原光二、長島隆一/伊藤 漠、池田力也

 内縁の妻・イガラシマリを殺害したナガタゴロウを追い張り込みを続ける鉄男。殺されたマリは鉄男の高校生時代の同級生であった。ナガタの弟分、鉄砲のシンジことマトバシンジにナガタの居場所を聞く鉄男だったが、恩義があるナガタを裏切れないシンジは口を割らない。鉄男は張り込み中に知り合ったおにぎり屋の娘・マサミに婚約者を紹介されるが、彼はシンジだった。マサミに堅気なサラリーマンだと嘯いていたシンジに、鉄男はマサミをマリのようにしないよう堅気になれと説き、足を洗う決意をしたシンジはマサミに書き置きを残し姿を消した。だが、シンジがヤクザだと知っても彼を追うマサミは家出、以前シンジに教えられた場所を訪ねるが、そこはナガタのアジトだった。ナガタに捕らえられたマサミはマリのように薬漬けにされかけるが、そこに鉄男とシンジが駆け付け、ナガタは逮捕。連行されるシンジにマサミは「何年でも待つ」と告げるのだった。

 ゲストの赤塚真人氏は長坂作品では『若い!先生』(1974年)第3話「さわやかな金曜日」や『特捜最前線』(1977年〜1987年)第80話「新宿ナイト・イン・フィーバー」、今井美佐子氏は『アクマイザー3』(1975年〜1976年)第4話「なぜだ?!イビルの裏切り」に出演している。
(※マトバシンジ、マサミ、ナガタゴロウ、イガラシマリの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第48話「爆発一秒前」

放送日:1974/03/18
脚本:長坂秀佳
監督:富田義治
ゲスト:倉石和旺/高野真二、山口 譲/菅沢恵美子、塙 郁子/安藤純子、木挽輝香

 喫茶店で鉄男を待つ宗方――、その喫茶店が突如大爆発を起こした。宗方を含め6名が重傷を負い、宗方は意識不明の重体。この事件の為に本庁から派遣されたベテラン刑事は、本件が宗方を狙ったものだと推測、宗方への怨恨の線で捜査をするが、鉄男は対立。命令を無視し、独自に捜査を続けた。鉄男は、ウエイトレス・野川が一週間前に客の態度から思わず笑い、先ほどもその客から異様な目で睨みつけられていたと知り、その男・山室忠を問いただす。その後、野川のアパートを張り込む鉄男はアパートに爆弾を仕掛けようとする山室を逮捕。城南署へと連行した。だが、刑事部屋へ連れていかれた山室は取調室での尋問を激しく要求する。その態度を不審に思った鉄男は、刑事部屋に爆弾が仕掛けられたと推理。鉄男宛てに届けられていた荷物を見付け、その中から時限爆弾が発見される。爆発まであと数分! 焦る中、1秒を残し鉄男は爆弾の解体に成功するのだった。

 タイトルを見ても一目瞭然な「爆弾」を扱った作品。その後の長坂氏の『特捜最前線』爆弾シリーズでは「○○分前」「○○秒前」というフレーズが多用された。(第17話「爆破60分前の女」、第30話「核爆発80秒前のロザリオ」、第110話「列車大爆破0秒前!」、第348話「爆破0秒前のコンピュータゲーム!」 ちなみに、爆弾以外では第85話「死刑執行0秒前!」、第99話「悲劇のシンデレラ・復讐0秒前!」がある)
(※野川は表札のシーンを参照。山室忠は表札のシーンを参照。)


第50話「頑張れ!豆記者くん」

放送日:1974/04/01
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:浜田ゆう子/吉原正皓、高橋 仁/肥土尚弘、石黒正男、木村 一/石川 敏、高鳥 洋、池田力也、翁長和男

 鉄男は心臓手術を一週間後に控えた少年・マサトシと知り合った。亡くなった父と同じ新聞記者に憧れるマサトシは鉄男を新聞記者だと思い込んでいた。そんな時、三富不動産によって寿司屋の出前持ちが暴行を受け、その事件の目撃者達が城南署に呼ばれた。その中にマサトシの姿を見つけた鉄男は咄嗟に新聞記者に扮し、正体がばれないよう誤魔化した。結局、マサトシ以外の目撃者である大人達はお礼まいりを恐れ全員嘘の証言をする。その後、手術ミスを報じる新聞記事を見て手術が怖くなったマサトシは生きているうちに悪い奴らを懲らしめたいと、三富不動産のガラスを割り、逆上した三富不動産のチンピラ達に襲われるが、それを鉄男が救った。手術までに事件の解決を誓う鉄男は、新聞記者に扮しマサトシと共に聞き込みを続ける。十分な証拠を得る鉄男だったが三富不動産に囲まれ、刑事であることを隠す鉄男は殴られ続ける。そして鉄男は刑事であることを明かし、反撃。見ているだけだった住民たちも立ち上がりチンピラは一掃。その後、マサトシは手術を受けるのだった。

 細かい突っ込みではあるが、予告では少年が「唯一の目撃者」と語っているが、映像を見る限りでは唯一ではなく大勢の目撃者の一人であり、少年以外は目撃しているものの嘘の証言をしているのである。
(※三富不動産は入り口のシーンを参照。マサトシの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第55話「限りなき希望の道へ」

放送日:1974/05/06
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:丹古母鬼馬二/葛巻輝彦、菅原慎予、本田龍彦/溜 健二、三橋幸男、森山田石/江藤昭之、勝 光徳、上原繁樹

 時村にかかって来た電話を受け取った鉄男。鉄男を時村と勘違いしたその相手は「殺す」と告げ電話を切った。時村の身の危険を感じた鉄男は時村の身を守る為に電話の主に接触。指定場所に向かった鉄男だったが、そこでは鉄男が説明した目印の格好をした別人が射殺されていた。新聞を見た犯人が人違いに気付けば次こそは時村が狙われる。決意した鉄男は再びかかって来た犯人からの電話を受け取り、再度犯人の元へと向かう。宗方の捜査により、窃盗で逮捕された後に刑務所で病死したナガノの弟が、時村が兄を殺したと勘違いし、時村を殺そうとしていると判明。鉄男が自らの身代わりになって出かけたと知った時村は懸命にナガノと鉄男の行方を追う。「死ぬな」――そう繰り返し、ひた走る時村。だが、時村の目前で鉄男は銃弾に倒れた。宗方と島崎によりナガノは逮捕。そして、辛うじて命を取り留めた鉄男だったが完治には長い時間が必要だった。休むことを知らずひたすら走り続けた鉄男は、ひとまず身体を休めるのであった。

 第2シリーズ最終話。第1シリーズでは目的を達成した鉄男が退職というカタチで幕引きしているが、本作は後番組『若い!先生』の後に再度復活することを想定してのことか、長期入院というカタチでとりあえずの幕引きをしている。
(※ナガノの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)