「ザ・ボディガード」長坂作品エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 正義のためなら、どんな仕事であろうと引きうける株式会社「ザ・ボディーガード」。伊達正率いる彼ら6人が、敢然と悪に立ち向かう。


第2話「よみがえる栄光の日々」

放送日:1974/04/11
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:沢村 忠/川島育恵、河村弘二/北原義郎、角 友司郎/金田 治、打田康比古

 高利貸し会社社長・朝田森の秘書兼ボディガード・一文字竜が殺人事件の参考人として手配された。竜の恋人・サエコは、ボディガード事務所に竜を救うよう依頼。事件の真相は朝田森が殺人の濡れ衣を竜に着せようとしていたものだった。依頼を引き受けた鷲見は、朝田森から手を引くよう竜を説得するが、竜にとっては親代わりである朝田森を裏切ることは出来なかった。しかし、朝田森の手によってサエコを殺された竜は、復讐に燃え朝田森の命を狙う。一方、朝田森のボディガードとして朝田森に接近した鷲見は、朝田森にとって重要な書類を手に入れる。何度も朝田森の命を狙う竜だったが、竜に人殺しをさせたくない鷲見は、竜の復讐を阻止。だが、竜は朝田森によって捕らえられてしまう。朝田森は鷲見らに対し、竜の命と引き替えに書類を要求するが、朝田森邸に潜り込んだ鷲見は竜を救出、竜と共に朝田森を追い詰めた。そして、鷲見の捨て身の説得に応じた竜はいずこかへと去っていくのだった。

 千葉真一氏主演による東映・テレビ朝日制作のアクションドラマシリーズ。1974年から1976年かけて4番組が放送。この番組はその第1弾である。
 ゲストの一文字竜役は「キックの鬼」で有名な元キックボクサーの沢村忠氏。空手家として、千葉真一氏と激闘を繰り広げた。
(※一文字竜の漢字表記は新聞記事のシーンを参照、朝田森の漢字表記は表札のシーンを参照。サエコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第6話「狙われた人妻」

放送日:1974/05/09
脚本:長坂秀佳
監督:竹本弘一
ゲスト:入江若葉/国 景子、中井啓輔/宇近晴見、多田秀一、伊藤慶子、栗原 敏/井上誠吾、酒井 努、山岡淳二、春田三三男、高橋健二/美原 亮、高野隆志/山岡徹也、中田博久/根上 淳

 選挙運動中の田沼広通が過去に起こした不動産詐欺の身代わりで、5年間刑務所に務めた女・トコロザワチヨコが出所。そのチヨコを田沼はカッとなって殺してしまう。チヨコの死体を田沼のバックについている暴力団が処置するが、平凡な主婦・レイコが偶然その場に居合わせていた。レイコには目撃したという意識は無いが、暴力団は目撃者を消そうと暗躍。身の危険を感じたレイコはボディーガード事務所に相談するが、理由もなく狙われることはないと拒否される。過剰に怯えノイローゼになるレイコを心配し、ジュン、そして鷲見はボディガードを引き受けた。同業者・黒沢から、チヨコが田沼の選挙事務所で姿を消したという情報を入手、田沼をマークする。一方、レイコの夫が殺され、そのショックを忘れる為に、誘われるまま田沼の事務所で働き始めるレイコ。暴力団に接触する鷲見は、暴力団組長を叩きのめすが、田沼に関しては証拠がない。そこで鷲見らは、田沼の演説中に、警察に扮して秘書に田沼の犯行を暴露させ、田沼の悪事は露呈されるのであった。

(※トコロザワチヨコ、レイコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第12話「女が死を選ぶとき」

放送日:1974/06/20
脚本:長坂秀佳
監督:降旗康男
ゲスト:町田祥子、中山昭二/高野真二、蓮見里美/日高ゆりえ、野村光絵、白山英雄/横井 豊/郷 ^治

 警察からとある人物・通称Mr.43(フォーティースリー)の護衛を依頼されたボディガード事務所は江本と倉田を派遣、任務に就く。しかし、倉田はMr.43の秘書・通称Ms.24(トゥエンティフォー)によって気を失わされ、拳銃で脅された江本は、江本らが用意したシナリオを無視して言いなりに車を走らされる。一方、ボディガード事務所に姉を捜してほしいという依頼が入る。その行方不明者である婦人警官・キタヅキレイカがMs.24だった。妹の話では、危篤状態の母がレイカに会いたがっているのだ。レイカの指示により蒲郡の三谷温泉に用意した別荘に身を隠す江本ら。自分たちがわざと狙われるよう仕向け、「任務の為には死ねる」と言うMr.43とレイカに対して苛立ちを覚える江本。江本らの跡をつけて来た組織は、江本が護衛するMr.43が影武者だと見抜くが、見抜いたことを気付かせない為、命を狙い続ける。だが、助けに来た鷲見と倉田の活躍で組織の殺し屋は撃退された。レイカは、母の墓前で江本に「警官を辞め、自分にとって大切なものが何か考え直す」と告げるのだった。

 舞台は、作品中の台詞によると愛知県蒲郡市の三谷温泉。テロップ等によるロケ地協力の表記はないが、風景から見ておそらく蒲郡ロケである。その為か、江本が乗った車が、蒲郡の最寄りである豊川インターチェンジを降りるシーンがある。愛知県豊川市といえば長坂氏の出身地。台本に指定があるのか、単なる偶然か、気になるところである。(豊川インターチェンジのシーンも、風景から見ておそらく豊川ロケと思われる)ちなみに、長坂氏がメインライターを務めた『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)の第25・26話(最終話)もこの蒲郡ロケである。(第25・26話は長坂作品では無いが)
(※キタヅキレイカの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第14話「愛と死の空中ぶらんこ」

放送日:1974/07/04
脚本:長坂秀佳
監督:吉川一義
ゲスト:水原麻記/酒谷明良、綾川 香、団 巌/タミ・モナス、ケビン・バーンズ、弘松三郎/酒井 努、栗原 敏、大谷 進/三上 剛/今井健二

 スペイン人の少年・フランシスコは、何者かに追われ逃走する男・ツヅキからある鍵を渡された。ツヅキの恋人・オカエリエコは、組織に脅迫され、サーカスにいると思われるフランシスコの行方を追う。一方、サーカスからフランシスコのガードの依頼を受けたボディガード事務所のメンバーは、行動を開始。倉田は、昔、フランシスコと同じくらいの年齢の弟を、ヤクザの喧嘩に巻き込まれて殺された過去があり、その面影をフランシスコに見る。ボディガード事務所の面々は、組織に追われたフランシスコを事務所に匿い、フランシスコから鍵を預かった倉田は、コインロッカーからある書類を入手する。その書類は、企業が価格操作していた証拠の品だった。組織はサーカスの少年・サンチョと引き替えにフランシスコを要求。倉田がサンチョに扮し要求に応じるが、正体がバレ逃走。そして、サーカスに乗り込んで来た組織を、サーカスの団員に扮していた鷲見らが叩きのめし、黒幕は逮捕されるのだった。

(※ツヅキ、オカエリエコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第17話「復讐に来た女」

放送日:1974/07/25
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:山科ゆり/富田仲次郎、絵沢萠子/ミッチ・ラァブ、大川義幸、桔梗恵二郎/木村 一、松本松江、井上清吾、春田三三男/益田哲夫

 拳銃とニトログリセリンを手にした女がボディガード事務所を占拠。彼女の要求は鷲見らの同業者・黒沢竜吾の身柄だった。彼女は、姉の死体を目撃、黒沢が犯人だと思い込んでいたのだ。黒沢の命を狙う彼女は、鷲見らを脅迫し、2時間足らずの時間で黒沢を連れてくるよう要求。鷲見と倉田は黒沢を探して街へと出る。一方、黒沢はある組織に追われていた。女の姉から入手した書類を、組織が狙っていたのだ。そして、鷲見と倉田は捕らえられた黒沢を救出、ボディガード事務所に連れて行く。黒沢を殺そうとする女だったが、鷲見と黒沢の口から、女の姉の死は自殺だったという真実が語られた。最後まで妹のことを思い、そして死んでいった姉の真意を知り、女は泣き崩れるのだった。

 ゲストとしてデビュー当時のミッチー・ラブが出演。
 今回は江本が不在である。


第18話「吠えろ!北海の女ドラゴン」

放送日:1974/08/01
脚本:長坂秀佳
監督:若林 幹
ゲスト:南 道郎、千波丈太郎/柴田鋭子、島田幸子/藤山浩二、三夏 伸、斉藤一之/上木美佳、南川 直、桜田千恵子/益子隆充

 イトコの北浜百合に会う為に北海道へと旅立ったジュンは、旅先で謎の一味に狙われた。知らせを聞いた鷲見は江本と倉田を北海道へ派遣、ジュンと合流するが、直後、ジュンが連れ去られてしまった。江本の調査で、組織の狙いがジュンでは無く、百合であることが判明。組織の一味だった蟹江信吾がヘロインを持って脱走、そのヘロインの行方を愛人の百合が知っているのだという。しかし、百合にはヘロインの行方の心当たりは無い。倉田の活躍で無事にジュンは救出されるが、蟹江の息子・オサムが誘拐され、引き換えに百合の身柄を要求される。先手を打つ為に先に組織に乗り込もうとする倉田らだったが、それより先に組織よりオサムの死体が届けられた。怒りに燃える倉田は組織に乗り込み、黒幕を撃退。合流した鷲見は、蟹江が残したオートバイの中からヘロインを発見、すべて灰にするのだった。

 北海道ロケ作品。
 ドラマ上では、鷲見は事件が解決した後に、ラストシーンにて先行したメンバーと合流しているが、台本では、ジュンが連れ去された直後に、鷲見が先行した江本と倉田に合流している。そのシーンの直後、事件の真相を語る台詞は江本ではなく鷲見の台詞、その後、子供との触れ合い、復讐のくだりも、倉田では無く鷲見である。台本時は鷲見メインの話だったようだが、千葉真一氏のスケジュールの都合の為か、大分変えられている。
 今回は伊達が不在である。
(※北浜百合、蟹江信吾、オサムの漢字表記は台本を参照。)