「若い!先生」全エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 光ヶ丘高校に赴任してきた新任教師、海堂健太。健太は持ち前の明るさと情熱で生徒たちに接していく。


第1話「日曜日の花嫁」

放送日:1974/05/13
脚本:長坂秀佳
監督:桜井秀雄
ゲスト:降旗文子(城所美代)/村山憲三(宮崎)、江原一哉(雄一)/フィンガー5(雄一のいとこ)

 光ヶ丘高校の新任教師・海堂健太は、教え子の城所雄一が姉の美代と不仲なのを知る。4年前の交通事故で両親を一度に亡くした時に家出した姉に対して「捨てられた」と根に持っているのだ。 4年経った今、久々に戻ってきた美代は、昔の恩師や友人たちに嘘をついてまでしてお金を借る。それは、雄一に許してもらおうと彼が昔から欲しがっていたオートバイを買ってやる為だった。しかし、健太はどんな事情があるにしろ美代が嘘をついたのが許せなかった。結婚資金までもオートバイ購入に使おうと決心した美代は、健太のアイデアで、思い出の詰まった昔の教室で結婚式を挙げることに。挙式当日、健太の熱い諭しでわだかまりをといた雄一が現れ、心から姉の結婚を祝福するのだった。

 当初、この第1話「日曜日の花嫁」は第1話として放送される予定では無かったのだが、番宣の為に人気タレントがゲストの回を先に持ってくることとなり、フィンガー5がゲストであるこの第1話と、桜田淳子氏がゲストである第2話が先に放送されたとのこと。(関連の解説は、本来第1話として制作されたと思われる第5話にも有)
 本作のゲストであるフィンガー5は、ラストで(口パクではあるが)「バラの少女」を披露。単なるBGMではなく、本人達がその場で歌っているというシチュエーションであった。なお、本番組の主人公である海堂健太役の篠田三郎氏が主役を務めた『ウルトラマンタロウ』(1973年〜1974年)第48話「怪獣ひなまつり」でも、ラストに挿入歌として「バラの少女」が使われていた。


第2話「17歳の花ことば」

放送日:1974/05/20
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:劇団ひまわり/桜田淳子(楠本夕子)/福崎和宏(杉浦則夫)、沢田勝美(速見俊介)

 2年B組の楠本夕子に恋をした杉浦則夫。しかし、夕子は新鋭イラストレーター・速見俊介に恋をしていた。学校の欠席が続いていた夕子を心配した健太は、担任でないにも関わらず懸命に夕子の世話を焼こうとする。家を出て、速見の元へと行こうとする夕子だったが、健太の懸命な説得に心動かされた速見は夕子を置いて旅立ってしまう。夕子は、速見が残していった「一輪の白いバラのつぼみ」が書かれた一枚の絵を見つける。―――花言葉は「心にもない恋」。そんな夕子に健太はヤドリギの花を贈る。花言葉は「征服、困難に打ち勝つ」。夕子は、速見と健太が、両親の夫婦仲がよくない家庭から逃げようとする自分を諭そうとしていることを知り、逃げ出さないことを誓うのだった。

 第1話に続くゲスト攻勢第2弾は桜田淳子氏。挿入歌として「黄色いリボン」と「花物語」が使われた。特に、予告でも使われた「花物語」の曲が本編と密にリンクしており、この曲を元に「花」をキーワードに物語を組み立てたのではないかと思われる。なお、サブタイトルになっているほど重要なキーワード「花言葉」であるが、この第2話の脚本を手がけた長坂氏の作品の中には花言葉を扱った作品が多々ある(『ゴルゴ13』(1983年)、『新・女弁護士 朝吹里矢子 逆転の法廷! 不倫愛の男女が狙った法律の抜け穴』(1996年)、『弟切草』シリーズ)また、健太がラストにて「ヤドリギ」の花言葉を語っているが、『若い!先生』の放送(1974年)から約四半世紀後に、長坂氏は『寄生木(ヤドリギ)』(2000年)というタイトルのホラー小説を発表している。
 ゲストの杉浦則夫役の福崎和宏氏は、『(大場久美子の)コメットさん』(1978年〜1979年)のレギュラー・江藤三吉役の役者。長坂氏がメインライターを務めた作品では、『日本沈没』(1974年〜1975年)第19話「さらば・函館の町よ」(長坂作品)のゲスト、『特捜最前線』では第166話「それは、職務質問から始まった!」、第298話「カナリアを飼う悪徳刑事!」のゲスト等がある。


第3話「さわやかな金曜日」

放送日:1974/05/27
脚本:長坂秀佳
監督:桜井秀雄
ゲスト:赤塚真人(堀 大馬)/小林文彦(山本)/小林めぐみ(ミチ子)/加藤茂雄(山口)/片山智博(中西)、茂木 繁(大山)、三野輪香代子(美代子)、築地 博(池田)

 騒々しいまでに明るくさわやかな生徒・堀大馬は、金曜日しか登校しないため「フライデー」と呼ばれていた。彼は亡くなった父の家業を継ぎ働いている為、普段は学校に行けないのだ。騒がしすぎ、また校則ギリギリである一週間に一度の登校しかしない態度が許せない秀才の生徒・山本らは、彼の衣服にタバコの葉を入れ、彼を退学させようと企む。堀を退学させようという声が強い中、健太は山本らがタバコを入れたことを知り、彼らを堀の仕事場に連れて行く。山本に退学届けを差し出す堀だが、健太は「青春は言葉じゃない」と体をはって堀の仕事を手伝い、健太の熱意に打たれた生徒らはわだかまりを解くのだった。

 『男はつらいよ』の寅さんのようなイメージで熱演しているゲスト主役・堀大馬役の赤塚真人氏は、長坂作品では『特捜最前線』(1977年〜1987年)第80話「新宿ナイト・イン・フィーバー」の熱演が印象深い。
 ゲストで秀才の山本を演じるのは小林文彦氏。『へんしん!ポンポコ玉』(1973年)の主役・河井陽一を演じていた役者である。なお、この河井陽一の母親を演じていたのは『若い!先生』のレギュラーである小林千登勢氏であった。
 健太が姉の律子に「恋人もいないくせして」と言われるシーンがあり、この時点では律子にはまだ啓子が恋人だという認識はない模様。実際には第2話で既に啓子が健太の家に来て、律子と談話しているのだが。おそらく第2話がこの第3話より遅く作られていた為、このようなことになったのではないだろうか?


第4話「ふたりだけの道どこまでも」

放送日:1974/06/03
脚本:上原正三
監督:桜井秀雄
ゲスト:山田禅二(水木達人)/津野哲郎(宮田監督)、荻原忠勝(記者)、劇団ひまわり/日吉としやす(水木 勝)/竹下景子(加藤陽子)

 光ヶ丘高校野球部のエース・水木勝の腕に異常の疑いがあることを知った健太は、水木に精密検査を受けることを勧めるが、水木は拒否。そのやり取りを見ていた新聞記者が、水木の腕の故障を記事にし、騒ぎは大きくなってしまう。誤診を訴える監督と水木の父。そして健太が嘘を言いふらしてリベートをもらっているという噂まであがり、健太は窮地に立たされる。しかし、健太は体をはって水木の恋人・加藤陽子と水木を説得し、水木は精密検査を受ける約束をするのだった。

ゲスト主役・光ヶ丘高校野球部エース・水木勝役の日吉としやす氏は、のちに『がんばれ!レッドビッキーズ』の石黒コーチ役として活躍。学生時代に野球の経験があることから、野球に関する役のオファーが来るようである。
また、日吉としやす氏演じる水木勝を支えるマネージャー・加藤陽子を演じたのは竹下景子氏である。


第5話「おれの胸へ飛んで来い」

放送日:1974/06/10
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:

 頭脳明晰・スポーツ万能の優等生・松本志郎は、その優秀な知能で次々と教師を打ち負かしてきていた。次のターゲットとなった健太は数々の挑戦を受けるが、健太は屈服しない。それに腹を立てた松本は健太の椅子に細工をし、怪我をさせようと企むが、代わりにその椅子に座った田丸先生が二針も縫う大怪我をしてしまう。しかし、田丸はそのことを誰にも言わず、何事もなかったように振る舞う。そして、田丸先生と言い争いになった松本は自分に謝らなければ校舎から飛び降りると脅す。教師、生徒らの前で土下座して謝る田丸だったが、「先生はみんなサラリーマン教師だ」という言葉に反発、教師の真剣な態度を訴える。その言葉を受けた健太が「おれが受け止めるから飛んでこい」と松本に語りかけ、飛び降りた松本を見事に受け止める。健太は身をもって、松本の身も心も受け止めたのだった。

 第4話の予告の中でこの第5話のことを「新番組〜」と紹介している他、放送前の新聞記事などではこの第5話のあらすじが第1話として紹介されていることから、当初、この第5話が第1話として放送されることになっていたようである。そのためか、健太がこの学校に進んで赴任してきたくだり等が語られており、他の回と比較して第1話っぽい作りになっている。ちなみに、長坂氏の作品では『少年探偵団』(1975年〜1976年)、『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)も第1話として執筆した作品が第2話以降に後回しにされている。緻密な計算の上で、第1話らしい作品と、それ以降の作品を執筆している筈なのに、このように制作者サイドの事情で放送順が変えられるのは脚本家にとっては不本意なことではないだろうか?


第6話「ほんとうの愛をありがとう」

放送日:1974/06/17
脚本:市川森一
監督:枝川 弘
ゲスト:戸島一実(小川淳子)/三浦 誠(矢ヶ部)/[技斗] 車 邦秀

 2年B組小川淳子は他校の不良番長の矢ヶ部に告白され、番長に健太が恋人だと嘘をついてしまう。そんな時、健太が管理する薬品棚から劇薬であるシアン化鉛が盗まれる。薬の行方を懸命に追う健太を呼び出した小川は、「嘘でもいいから恋人に」と薬を使って脅迫するが、健太は人の気持ちを脅迫で買おうとする小川を許せないと言い放つ。健太は矢ヶ部に会いに行き、矢ヶ部とその仲間たちから暴行を受けるが、健太の熱意に負けた矢ヶ部は逃げるようにその場から立ち去る。そこに、矢ヶ部に対して「嫌いなものは嫌いだ」と言いに来たという小川が。健太の思いは小川に通じたのだった。

ゲスト主役・小川淳子役は『流星人間ゾーン』のゾーンエンジェル・防人蛍役や、『超人バロム・1』の木戸猛の姉・紀子役の北原和美氏。(『若い!先生』時のクレジットは戸島一実。なお、戸島和美名義の時もあり)


第7話「夢のフィアンセ」

放送日:1974/06/24
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:劇団ひまわり/関根世津子(大丘ミカ)

 2年C組大丘ミカは、健太と婚約しているとクラスメートに嘘をついた。ミカはオオカミ少年と呼ばれるほどの嘘つき少女で通っていたのだ。その嘘を信じさせようとしたミカは、健太から勉強を教わる約束を利用して、中野絵美らを尻目に健太の家に押しかける。絵美まで押しかけた健太の家では、ミカが女房気取りで振る舞い、それに嫉妬した絵美らと大激突。家が遺産相続の絡みでモメているため、せめて自由な夢を見たいというミカに対して、健太は「それは夢ではなく嘘だ」と言い放つ。嘘の世界を作って逃げるなと諭されたミカは、強く生きていくことを誓うのだった。

 ゲスト主役・大丘ミカ役の関根世津子氏は、長坂氏がメインライターを務めた作品では『日本沈没』(1974年〜1975年)第3話「白い亀裂」のゲストがある。
 なお、大丘ミカの特徴的な口癖「〜なのだ」は台本の指定通りである。長坂氏のキャラクター付けだろうか? ちなみに、第17話「いま!青い鳥ははばたく」にて中野も特徴的なアクセントで「〜なのだ」と語っているが、当時の流行りだったのだろうか?
 また、ゲスト主役の名前の、大丘ミカ=オオオカミカ=オオカミ……というネーミングはいかにも長坂氏らしいネーミングである。
 予告のラストにて、健太が中野に「先生、ホントに結婚するんですか」と問い詰められ、それを聞いた香月啓子がそっぽを向いて去ってしまうシーンがあるが、本編には存在しない。なお、台本にもこのようなシーンは無い。ちなみに、台本と本編はほぼ同内容。台本を見る限りでも、とても上のようなくだりがあった感じではなく、全く謎のシーンである。


第8話「スバラしい男になれ」

放送日:1974/07/01
脚本:上条逸雄
監督:枝川 弘
ゲスト:宝井宏治(本郷精一)/石井宏明(本郷の父)

 オートバイを乗り回す生徒、本郷精一は健太に対して憎悪をむき出しにして向かってくるが、健太には本郷に恨まれる心当たりがない。その本郷がオートバイで人を牽いてしまうが、本郷の父が金の力で示談にする。本郷は、名門高校から移籍の声がかかっていた健太に対して、自分の父親と同じく金と名誉欲にまみれていると誤解していたのだ。健太は体をはってその誤解を解き、そのまま光ヶ丘高校に残るのだった。

本作で語られる名門高校・朝日山名門高校は、この作品の後、第10話でもその名前が登場する。作品内では、その漢字表記が判明される箇所はないが、台本では「朝日山」となっている。(「旭山」ではない。)


第9話「君が作る明日」

放送日:1974/07/08
脚本:長坂秀佳
監督:桜井秀雄
ゲスト:鹿沼エリ(田紀カオル)/池田生二(笹塚教頭)

 海堂健太は痴漢教師!? 2年C組の田紀カオルと伊部マチ子は、通学中のバスで健太に痴漢されたと言いふらし、話が大きくなった為に健太は職員会議にことの真意を問われる。しかし、健太は会議の場で何も弁解をしない為、辞職勧告を要求されてしまう。ことの重大さに恐れたマチ子は自分たちの狂言だと涙ながらに告白。健太がまじめすぎて面白くないから派手なことをしようとしたという。その事件の後、学校を欠席したカオルを心配して、カオルを探し回る健太。そんな健太を陰でずっと見ていたカオルは、不良に絡まれ傷つきながらも自分を捜し続ける健太に心打たれ、健太の前に涙ながらに現れるのだった。

 ゲスト主役・田紀カオル役は『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年〜1977年)の加藤陽子(007)を演じていた鹿沼エリ氏。
 挿入歌として、ゲームセンターのシーンでは矢沢永吉氏の「ファンキーモンキーベイビー」が、路地裏のシーンでは、『若い!先生』の主題歌も歌っているチェリッシュの「てんとう虫のサンバ」が使われている。
 この回のみ健太がバス通勤をしている描写がある。物語の内容上、バス通勤というシーンが生まれているのだが、他の回を見る限りでは健太の家は学校から徒歩で行ける距離のようである。(第15話にて、中野の家が、「香月医院の前を通って、先生の下宿の先の公園を曲がって、横町をまっすぐ……」と語られている。)


第10話「青空に胸をはって」

放送日:1974/07/15
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:野瀬則子(君子)、三戸悦子(おケイ)、松倉弘子(不良女学生)/荻原 紀(不良学生)、永野明彦(不良学生)、佐藤満寿美(不良女学生)、劇団ひまわり/海野まさみ(桂アキ)

 名門高校からの転校生・桂アキ。彼女は不良グループ「シンデレラグループ」の一員だった。新しい学校で生まれ変わろうとしていたアキだったが、そんな彼女に対して周りの態度は冷たく、アキは自分の殻に閉じこもってしまう。「シンデレラグループ」と共にいたアキを見つけ叱りつける啓子。そんな啓子を痛めつけようとする「シンデレラグループ」に対し、アキは体を張って啓子を守り、グループからの離脱を決意。しかし、アキは学校を欠席し続けていた。劣等生な自分に強いコンプレックスを持つアキに、健太は自信を持たせるため、その運動神経を見込んで学校で未だ誰もなし得なかった女子の10m高飛び込みに挑戦させる。アキは見事成功し、自分に自信を持つのだった。

 科学実験室の隣にある部屋が「プライベートルーム」という名前であることが初めて(唯一)語られている。なお、台本ではこの回以前に既に「プライベートルーム」と表記されている。
 ゲストの不良学生を演じている荻原紀氏は、長坂氏がメインライターを務めた作品『ぼくら野球探偵団』(1980年)で怪盗赤マントを演じている。


第11話「愛がはじまるとき」

放送日:1974/07/29
脚本:長坂秀佳
監督:奥中惇夫
ゲスト:北川陽一郎(巡査)、劇団ひまわり、若駒グループ、[殺陣師] 車 邦秀/鈴木 恒(沖津正一)、原田あけみ(京子)/風吹ジュン(葉山ミキ)

 山岳部のキャプテン・沖津正一は、ホステスとバーから出てくるところを目撃された為に停学処分中であった。そんな彼を学校に戻してあげてほしいと山岳部の葉山ミキに懇願される健太。沖津を探し求める健太は、彼がホステスである姉を迎えに行っていただけなのを知る。しかし、学校に戻る気はないと言い張る沖津。葉山に事情を詳しく聞く健太は、一か月前の登山の時、足を滑らせて落ちた葉山の兄を、一緒に登っていた沖津が助けることができなかった為に、臆病になってしまったことを知る。自己嫌悪に陥った沖津を救う為、健太は沖津に登山の時と同じ高さのビルから同じ条件で降りろと命じる。自分が葉山に好意を持っていたことに気付いた沖津は、勇気を出し、葉山をかついで見事着地。心の病を断ち切るのだった。

 ゲスト主役・葉山ミキ役は風吹ジュン氏。挿入歌は本作のサブタイトルと同名の(漢字と平仮名の違いはあるが)「愛がはじまる時」。なお、予告にて「ゲストに風吹ジュンを迎えて送る……」と紹介された。これは『刑事くん』の時から続くパターンであり、『刑事くん』の時も大物ゲストの時はゲスト出演者の名前をナレーションで語っていた。


第12話「見て下さいお母さん!」

放送日:1974/08/05
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:鈴木光枝(百瀬ヨネ)/坂本 眸(中村和子)、尾美利徳(中村ゲン)/茂木 禎(サンドイッチマン)、劇団ひまわり/せんだみつお(百瀬 満)

 夏休み、健太は誰もいないはずの教室で一人教鞭を振るう男を見かける。その様子を見ていた小学生・ゲンはその男・百瀬満に頼んで勉強を教えてもらうことに。そのユニークな授業に、いつしか大勢の子供達が集まるようになり、勉強が嫌いな子供達も百瀬の授業に夢中。そんな中、中野絵美ら生徒や香月啓子は、百瀬の母に百瀬の授業を見せようと協力。百瀬は、長い間自分が教師だと母親に嘘をついており、自分の教師の姿を母に見せて安心させたかった為に無人の教室で練習していたのだ。しかし、百瀬は母親に嘘を通すことができず真実を告白。健太は、百瀬の母に百瀬が小学生から好かれている、本物の教師よりも立派な教師だと語り、母親は涙を流して喜ぶのだった。

 ゲスト主役・百瀬満役はせんだみつお氏。予告にて「ゲストにせんだみつおを迎えて送る…」と紹介されている。せんだ氏はこの放送の後、『刑事くん(第3シリーズ)』(1974年〜1975年)の第9話「栄光を君のものに」にもゲスト出演。この回も長坂氏の脚本である。なお、この時も予告で「次回『刑事くん』はせんだみつおくんの登場です」と紹介されており、やはり注目のゲスト出演という位置づけであった。
 ラストで、「北海道に行きたくなった」と語る健太だが、翌週である第13話にて、父の命日の為に北海道に行くことになる。


第13話「ただいま!北海道」

放送日:1974/08/12
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:大塚道子(海堂秋乃)/大和田 獏(池田友行)、津村秀祐(池田信也)/村山憲三(チンピラ)、木村元保(飛行機の客)

 健太は父の命日に姉と共に実家・北海道へ帰郷する。そこで、再会した級友・池田から相談を受ける健太。教師を目指している弟の友行が何かで挫折しているというのだ。友行に話を聞く健太は、家庭教師の教え子が自分が憎いとの遺書を残して自殺を図り、それで「教育とは何か」を悩んでいると知る。「教育とは何か」の問いを教えてくれと健太に迫る友行だが、健太には答えが出せない。自暴自虐になり自殺を図ろうとする友行を、健太は命懸けで阻止。友行は、健太の体をはった行動に、「先生とはなにか」の問いを自分の力で体をはって掴み取らなければならないと悟るのだった。

 ゲスト・池田信也役を演じたのは、『ウルトラマンタロウ』(1973年〜1974年)の北島哲也隊員役の津村鷹志氏(クレジットは津村秀祐)。ZATの東光太郎(篠田三郎氏)との再会を果たした。しかし、ZATの隊長である名古屋章氏が『若い!先生』全25話中、この回のみ欠席しており、残念ながらZAT勢揃いは果たせなかった。


第14話「ふるさとへの伝言」

放送日:1974/08/19
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:福山象三(東河銀造)、安東結子(石黒チカ子)、松下昌司(前山組長)/小坂生男(やくざA)、星野富士雄(やくざB)、西山健司(やくざC)/真山譲次(石黒 亮)/大塚道子(海堂秋乃)

 健太は、啓子と中野に北海道を案内している最中、自殺を図ろうとする少女・石黒チカ子を救う。チカ子は、ヤクザに身を落とした兄・亮を連れ戻してほしいと健太に救いを求める。東京に戻った健太は暴力団へ亮を訪ねるが追い返されてしまう。迷った亮は健太を訪ねるが、健太が啓子らを迎えに羽田に行っている間に、亮は暴力団に連れ去られてしまう。暴力団の命を受け、対抗組織の組長の狙撃をはかる亮だが、それを健太が止める。亮が裏切ったと判断した暴力団は、ビルの上から転落死を図るが、間一髪で健太が救出。暴力団も警察に逮捕され、亮は妹の待つ北海道へと帰るのだった。

 ゲスト主役・石黒亮役の真山譲次氏は、長坂氏がメインライターを務めた『人造人間キカイダー』(1972年〜1973年)に登場するハカイダーことサブロー役で有名。
 ゲスト・石黒亮の妹・石黒チカ子役の安東結子氏は『へんしん!ポンポコ玉』(1973年)の主役・立花百合を演じていた女優。第3話の小林文彦氏のゲスト出演に続き、二人の主役が揃った。これは、『若い!先生』、『へんしん!ポンポコ玉』ともに、国際放映・TBSだったことがその理由ではないだろうか。


第15話「信じ合う心とは・・・・・・・・・」

放送日:1974/08/26
脚本:田口成光
監督:桜井秀雄
ゲスト:吉川隆明(先輩)/佐藤典子(生徒B)/小坂生男(痴漢)、[技斗] 車 邦秀、劇団ひまわり/永井秀和(吉行 功)、河西真由美(美山さゆり)

 光ヶ丘高校付近に痴漢が出没、犯人はテニス部のテニスシューズをはいていたという。そんな中、光ヶ丘高校の黄金コンビと言われたテニス部エース・美山さゆりは、相棒の吉行功の不調を心配していた。ある晩、啓子が痴漢に襲われ、その直後に美山までも襲われる。駆け付けた健太が痴漢を捕まえると、その正体は吉行! 美山に惚れている吉行は、最近の美山の辛い態度に腹を立て悪戯心でやったという。他の痴漢は否定する吉行だったが、痴漢に襲われた中野の証言もあって美山は吉行を疑う。疑いを晴らすために健太と共に痴漢を捕まえた吉行は美山との信頼を取り戻し、黄金コンビも本調子を取り戻すのだった。

ゲスト主役・美山さゆりは『アクイマイザー3』第3話「なぜだ?!ガブラが消えた」(長坂秀佳脚本)で先生を演じた河西真由美氏。
なお、吉行功役の永井秀和氏は、「間違いない!」で有名な芸人・長井秀和氏とはもちろん同姓同名(漢字は異なるが)の別人である。


第16話「小さな愛が咲いた」

放送日:1974/09/02
脚本:畑 嶺明、市川森一
監督:榎本冨士夫
ゲスト:菅原慎予(主婦)/松風はる美(安岡妙子)/石山克巳(主人)/頭師佳孝(安岡 卓)、斉藤こず恵(安岡かおり)

 健太は、啓子とのドライブの最中に、高校生・安岡卓を撥ねてしまった。大学病院で精密検査を受けにいこうという健太を頑なに拒否する卓。また、卓の妹・かおりを家へ送ってあげようとする健太だが、家の場所を言わないかおりに振り回される。翌日、健太は卓から治療費を要求されるが、一緒に警察に行こうという健太の前から卓は姿をくらましてしまう。卓は当たり屋だったのだ。真実を知り健太は卓を叱りつけるが、逆ギレした卓は健太の学校へ現れ、教師や生徒の前で「健太が示談ですまそうと持ちかけたと」語る。しかし、嘘をつくことに耐えられなくなったかおりが真実を語り、改心した卓は自分から警察へ行くのだった。

ゲストの安岡かおり役は斉藤こずえ氏。長坂氏の作品では『それ行け!カッチン』の主役・カッチンを演じている。


第17話「いま!青い鳥ははばたく」

放送日:1974/09/09
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:劇団ひまわり/増田順司(中野正郎)/滝 良子(涼子)

 健太は中野の万年筆を壊したお詫びに食事を御馳走することに……。そのレストランで父が若い娘・涼子と一緒にいるのを見た中野は、ショックを受け、思わず涼子に水をかけて店を飛び出してしまう。大好きな父に自分と同じくらいの年の愛人がいたことに動揺する中野だったが、冷静になり、涼子に謝りに行く。しかし、そこで涼子が愛人ではなく自分の異母兄弟であることを知った中野は、さらに大きなショックを受ける。「父は自分だけのものだ。数日後に控えた涼子の結婚式をぶち壊してやる」と泣き叫ぶ中野を、健太は叱る。健太は「青い鳥なんていない」という中野をたしなめ、中野と共に「自分なりの青い鳥」を探し始める。翌日、中野は青い鳥を見つけたと言って、涼子に贈り物を渡す。その中に入っていたカセットテープから「おめでとう、お姉さん」の声が。「お姉さん」――この言葉こそ、中野が見つけた自分なりの青い鳥だった。

 メインキャストである中野絵美(演:坂口良子氏)の、意外にも唯一の主役作品。しかし、この作品で完全燃焼したのか、それともスケジュールの都合なのか、この回を境に出演回数が減り、果てには最終回ですら出演していない。(第18・19・23〜25話欠席)


第18話「ぼくたちの結婚!」

放送日:1974/09/16
脚本:阿井文瓶
監督:榎本冨士夫
ゲスト:山本純一(水野 猛)、朝比奈順子(津田順子)、佐竹明夫(津田)

 健太は、生徒である水野猛と津田順子のカップルから、結婚したいから仲人をして欲しいと頼まれる。二人の真剣な態度から二人の結婚を認める健太。それに感化されて複数のカップルが「結婚したい」と教師らに言い寄り大騒ぎ。健太はそんな彼らのいい加減な態度に怒り叱咤する。猛は順子の父から順子が失明すると聞き、手術費すら出せない貧しい自分が彼女を幸せにすることはできないと悩む。健太は猛から相談を受けどうするべきか悩むが、本当に愛しているのなら彼女の目になってやれと猛を諭す。改めて結婚の意思を強くする二人。実は順子の失明は父が猛を試すためについた嘘だった。そして、父から婚姻届の判をもらう順子。順子の父から許可ももらいケジメもついたという猛は、卒業まで婚姻届を大切にとっておこうと決めたのだった。

脚本は阿井文瓶氏。のちに『ウルトラマン80』の教師編のメインライターを務めることとなり、ある意味『ウルトラマン80』に影響を与えていたのではないだろうか。


第19話「二人だけの秘密」

放送日:1974/09/23
脚本:田口成光
監督:奥中惇夫
ゲスト:渡辺千世(荘司の母)、川野耕司(荘司の父)/古谷 徹(荘司 隆)、大森不二香(山野直子)

 健太の生徒・荘司の父親が脱税で逮捕された。父親に失望し、オートバイに乗って飛び出す荘司を、荘司と同じクラスの山野直子は心配して慰める。「死にたい」という彼の言葉を心配した直子は健太に救いを求める。表向きには明るく振る舞う荘司。しかし、荘司は直子に「さようなら」という手紙を残してモトクロスの試合に。彼は命を賭けるつもりなのだ。レースを見守る直子。荘司は飛び出した子犬を避ける為に転倒し、バイクも故障。動かないオートバイを引きずりながらも何とかゴールする荘司には、生きる気力にあふれていたのだった。

ゲスト主役・荘司役の古谷徹氏は声優としてあまりにも有名で、幼少時代は子役としても活動していた。声優としての代表作は『巨人の星』(星飛雄馬)、『機動戦士ガンダム』(アムロ・レイ)』、『聖闘士星矢』(ペガサス星矢)、『カーグラフィックTV』(ナレーション)など。
ゲストである山野直子役の大森不二香氏は、長坂氏がメインライターを務めた作品に多々ゲスト出演しており、『仮面ライダーX』第30話「血がほしいー しびと沼のヒル怪人!!」(看護婦・くに子)、『忍者キャプター』第14話「火忍キャプターは二度死ぬ」、『超神ビビューン』第10話「手が出て襲う?幸運の古鞄」(ヨシコ)、『快傑ズバット』第23話「大神家一族の三姉妹と天一坊」(長坂秀佳脚本)(大神小雪)、『小さなスーパーマン ガンバロン』5話「怪人ドワルキン!怒りの挑戦状(前篇)」、6話「大ピンチ!あばけ悪魔の正体(後篇)」(先生)等がある。
この回の健太はなぜか他の回に比べると少々性格が異なるような気がしてならない。「名指しで助けを求められてる」とか増長していたり、匿名とはいえ、内密にという手紙の内容を言いふらしたり、軽率な行動が目立つ。決め台詞である「おれは許せない」も、荘司の態度が許るせなかったようにも受け取れるが、ただ単に、自分の大切な腕時計を投げ捨てられて衝動的に怒ったようにも受け取れられてしまう。
健太が姉・律子の子供である治子と勉と怪獣ごっこをするシーンがあり、そこで健太が「ぼくはウルトラマンタロウだ。タロウ〜」と叫ぶ描写があり、「本物」の東光太郎の姿を拝見することができた。『ウルトラマンタロウ』の最終回でバッヂを捨て、その後の『ウルトラシリーズ』でも東光太郎として出演・変身することのなかった篠田三郎氏の「ある意味」貴重な映像である。


第20話「手紙が運んだ恋」

放送日:1974/09/30
脚本:長坂秀佳
監督:奥中惇夫
ゲスト:笹原光子(清川加奈子)、頭師孝雄(押売り)/劇団ひまわり/エバ(大西みどり)

 越智先生のペンフレンド・加奈子が上京することに。越智と健太とのツーショットの写真を見た加奈子が、健太を越智だと思い込んでいるため、越智は健太に身代わりを頼む。友人の大西みどりを連れた加奈子と、4人でデートをする健太ら。しかし、健太のふりをする越智は加奈子に嫌われてしまい、さらにみどりの心まで傷つけてしまう。越智は、加奈子ではなくみどりに許して貰おうと、真実を話す決意を。実は、加奈子とみどりもお互いを入れ替わっていたのだ。越智と、みどりのふりをしていた加奈子は、共に本当の自分をさらけ出し、分かり合うのだった。

 ゲストである清川加奈子役の笹原光子氏は、長坂氏がメインライターを務めた作品では『人造人間キカイダー』(1972年〜1973年)第17話「アカクマバチ恐怖の人質計画」の大山ユミ子役がある。


第21話「両手に一杯夢を・・・・・・・」

放送日:1974/10/07
脚本:田口成光
監督:奥中惇夫
ゲスト:劇団ひまわり

 健太は生徒の花村かおるから「学校を辞めたい」と相談を受ける。かおるは、母が亡くなった為に自分の面倒を見ている姉の負担になりたくないと、「教師になる」という自分の夢を捨てようと決心していた。しかし、健太は「夢は捨てるな」と、自分の紹介で家庭教師の世話をする。勉強をやりたがない生徒・宏に、かおるは自分も努力して苦手な逆立ちをできるようにすると約束、かおるは逆立ちの猛特訓をする。しかし、かおるは宏の母から家庭教師に来た日にお金が無くなったと犯人扱いをされ、鞄の中から無くなったお金が出てきたことでさらに疑いが強まる。そんな時、宏が行方不明になり、健太とかおるは懸命に行方を捜す。かおるの家の前で佇む宏を見つけたかおるは、宏の前で約束の逆立ちを披露。宏は泣きながら、勉強が嫌いだから悪戯してかおるの鞄にお金を入れて辞めさせようとしたと告白、かおるの疑いは晴れるのだった。

ゲスト主役・花村かおる役は『仮面ライダーV3』のヒロイン・珠純子役の小野ひずる氏。また、『緊急指令10−4・10−10』の南和子(前期・第13話)も演じており、『若い!先生』第7話のゲスト・関根世津子氏と合わせ、新旧の南和子が共に出演していたことになる。


第22話「忘れていた朝」

放送日:1974/10/14
脚本:上原正三
監督:枝川 弘
ゲスト:武岡淳一(白石 良)、小倉雄三(岡田先生)

 化学実験室で放火騒ぎが起こり、健太に脅迫状が舞い込んだ。その後も、次々と健太の周りで不審な事故が続き、果ては啓子までもがナイフを持った謎の人物に襲われる。よほど健太に恨みを抱いた人物と思われるが、健太には全く心当たりがない。健太は、自分の前任の化学の教師・岡田も以前に脅迫状を受け取っていたと知り、そこから、犯人が前回の大学入試に失敗した白石良ではないかと疑う。健太は化学実験室に爆弾を仕掛けようとした犯人を取り押さえ、犯人が白石であることを確かめた。白石は化学の試験で失敗したことから、化学に恨みを抱いていたのだ。健太に諭された白石は、入試よりも生きていることのすばらしさを知り、立ち直るのだった。

本作のサブタイトルは、予告のナレーションでは「忘れていた明日」であった。
ゲストである健太の前任の化学教師を演じたのは小倉雄三氏。長坂氏がメインライターを務めた『特捜最前線』では第5、184、293、338、360、386話に出演しており、チョイ役ゲストの(一応)常連であった。


第23話「ふりむくな昨日を!」

放送日:1974/10/21
脚本:阿井文瓶
監督:榎本冨士夫
ゲスト:真夏 竜(本田 太)/佐藤明美(婦人)、菊地正孝(組員)、相沢利郎(組員)/若駒グループ/藤岡重慶(本田)、三角八郎(久門)

 生徒の本田太は、子供達に剣道を教える約束をした。太は、ヤクザに襲われていた女性から救いを求められるが、見て見ぬふりをして去ろうとする。それを見た健太は太を叱るのだったが、翌日、それが元で太が退学届を提出した。太は叔父がヤクザの親分で、どんなことがあってもヤクザと関わりを持ちたくなかった為、昨日も見て見ぬふりをしていたのだ。太を学校に誘う健太だったが、ヤクザの世界から逃げられないと諦めてしまっていた。そんな時、ヤクザの組員が太を人質に大金を要求。駆け付けた健太は、太に子供との剣道の練習の約束を果たせて欲しいと、2時間だけという約束で自分との人質交換を要求し、太を解放させる。子供との約束を果たした太は、帰ってくるなという健太の言葉を無視して戻ってくる。健太は太との連係プレーで組員を倒し、二人とも解放されるのだった。

ゲスト主役・本田太役の真夏竜氏は、『ウルトラマンレオ』の主役・おおとりゲン役で有名。この第23話放送の時は、ちょうど『ウルトラマンレオ』の放送時期でもあった。『ウルトラシリーズ』では東光太郎とおおとりゲンの競演はついに実現できなかった為、『ウルトラマンレオ』放送時でのこのツーショットはファンにはうれしいサービスだったのではないだろうか。


第24話「若者よ.恋をしよう!」

放送日:1974/10/28
脚本:畑 嶺明
監督:榎本冨士夫
ゲスト:千葉 裕(神保)/劇団ひまわり

 健太が啓子にチョコレートを送ったという噂が学校中に広がる。しかし、健太には心当たりが無い。さらに啓子は健太から結婚の申し込みの手紙をもらったといい、大騒ぎ。そのチョコレートも手紙も、啓子に恋をした生徒・神保が出したものだった。少しいじけたところのある神保が恋に情熱をぶつけていることがうれしかった健太は恋の応援をする。絵が好きだという啓子の為に、情熱をぶつけながら彼女の肖像画を書き続ける神保。結局、神保は健太のことが好きな啓子に振られてしまうが、絵に情熱をぶつけることによって一つ成長した神保は失恋の苦しみから見事立ち直るのだった。

最終話直前の本作にて、健太と啓子の色恋沙汰の物語に決着というべきか、健太が啓子に(はずみではあるが)自分の思いを伝えており、(一応)決着をつけている。見方によっては、このまま最終話でさらに大きな展開が待っていて、最終話で大団円か?と思わせる展開ではあるが、実際には最終話は健太の教師の物語として、一つの区切りとなる締めの物語となっている。


第25話「新しい明日へ!」

放送日:1974/11/04
脚本:長坂秀佳
監督:枝川 弘
ゲスト:佐久間 亮(岩知)/今井和雄(警官)、石川隆昭(警官)/田川恒夫(刑事)、鳥井 忍(刑事)、門脇三郎(店主)、劇団ひまわり、若駒グループ

 健太はヤクザ高校と呼ばれる青雲学院の生徒・岩知らに襲われていた人を救った。しかし、襲われた人が仕返しを恐れて健太が犯人だと証言。健太は毎日のように青雲学院へ通い暴力生徒の説得に尽くすが、そのたびに暴行を受ける。その上、PTAまで騒ぎ出し、健太は辞職に追い込まれそうになる。そんな健太の為に陰で力を尽くす田丸だが、それでも騒ぎは収まらない。健太の「よその学校の生徒ならどうなってもよいのか?」という態度に感銘を受けた田丸は、辞職を賭けて岩知らに力ずくで立ち向かう。岩知らは「若いバカな先生に負けた」と言って、田丸に屈服。そして、田丸は光ヶ丘学園を去ることに。田丸は青雲学院の教師になるというのだ。そして、田丸の最後の授業の日。そこには2名の特別聴講生がいた。それは、健太と越智。最後の授業の教室で、健太らと生徒たちの「蛍の光」が鳴り響くのだった。

 ゲストの青雲学院の生徒・岩知役は『魔人ハンターミツルギ』(1973年)の主役、三兄弟の次男・彗星役の佐久間亮氏。
 前週である第24話のラストにて、健太がはずみとはいえ、啓子に自分の「本音」をぶつけており、このまま最終話で「はずみではない告白」があるのではと思わせているが、実際の最終話では相変わらず色恋沙汰に鈍い健太が描かれており、とうとう告白できないまま物語は終了することになる。さらに、中野も第23話以降出演していないため、中野を絡めた三角関係(?)の決着を最後に見ることができなかったのは残念である。しかしその代わり、健太の「教師」としての最終回に相応しい物語が用意され、見る者を大いに感動させた。30分もののTVドラマの最終話として、非常に完成度の高いものに仕上がっているのではないだろうか。