「少年探偵団」全エピソード あらすじ・解説


※俳優のキャスティングは、テロップではなく声から割り出したものの為、誤りがある可能性があります。ご了承ください。尚、もし誤りに気づかれた方がおりましたら、ご指摘いただけると助かります。

【ストーリー紹介】

 少年探偵団・BD7(ボーイ・ディテクティブズ7)。彼ら7人は名探偵・明智小五郎と共に、世紀の大泥棒・怪人二十面相の犯罪に立ち向かう。


第1話「UFO地球を襲う 1」

放送日:1975/10/04
脚本:長坂秀佳
監督:鈴木俊継
ゲスト:小林勝也(コジマ記者)、益田愛子(?)、水沢有美(ピアノ教師)/勝部義夫(アナウンサー)、大島光明(宇宙人)/キャロライン洋子(キャシー/小林の妹・ケイコ(二役))/ ※第1話と第2話のクレジットが逆(本表記は第2話のクレジット)

 東京の空に空飛ぶ円盤が飛来。中から出現した宇宙人が世界的な少女ピアニスト・キャシー中川を襲うが、駆け付けたコジマ記者が阻止した。キャシーの護衛を依頼された少年探偵団=BD7は早速調査を開始。そんなBD7や中村警部らの目前に出現した円盤は「10時間以内にキャシーをいただく」と宣言、その姿を消した。BD7の団長・小林は、キャシーに瓜二つな自分の妹・ケイコを替え玉にすることを提案、メンバーの反対を押し切り実行に移す。しかし、そこへ「中川邸にある時価数十億のピアノ・レッドエンジェルを明日の20時までに頂く」と怪人二十面相が挑戦。二重の危機に騒然となる一同だが、小林はコジマに化けた二十面相の正体を見破った。逃走する二十面相だが、円盤の怪光線を浴び消滅。さらに円盤はキャシーの身柄を要求。身代わりに飛び出したケイコ、そしてその後を追ったオウムを、円盤の怪光線が包み込んだ。

 本番組は、江戸川乱歩原作『少年探偵団』を現代風にアレンジした作品。長坂氏はこの後、1989年に『浅草エノケン一座の嵐』にて第35回江戸川乱歩賞を受賞、また、1998年と2000年に『名探偵明智小五郎』シリーズを執筆するなど、江戸川乱歩氏には縁がある。
 本番組で長坂氏が脚本を担当した回は番組の半数以上である16本。長坂氏による作品は、基本的には団員の誰かがゲストに恋心を抱くというパターンになっている。(第5・6話はマジョを除く全員がゲスト女性に惹かれている中で、比較的キカイにスポットが当たっている。最終話はマジョを除く全員がゲスト女性に惹かれるという描写で、特定のメンバーのみが惹かれているという描写は無い。それ以外の回は団員のいずれかがゲストに惹かれている。)なお、長坂氏がメインライターを手掛けた『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)も、子供達が活躍する作品ということもあってか初期の頃はほとんどの回で恋愛ドラマが描かれており、長坂氏によるこだわりが感じられる。ちなみに、書籍『長坂秀佳術』や1998年に発売されたサウンドトラックCD『少年探偵団(BD7)ミュージックファイル』に掲載されている長坂氏のインタビューによると、「登場人物の“恋愛ドラマ”を必ず入れる」ことと「“前後編”にする」ことを条件に執筆を引き受けたとか。ただし、前後編に関しては、第11話以降はすべて1話完結になり、このパターンは崩れ去っている。
 第1話のケイコの台詞にて、ケイコ(=小林)の父親は既に死亡していることが判明。
 (※キャシー中川の漢字表記は第2話の新聞記事のシーンを参照。コジマ、ケイコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第2話「UFO地球を襲う 2」

放送日:1975/10/11
脚本:長坂秀佳
監督:鈴木俊継
ゲスト:益田愛子(?)、小山 渚(ケイコのボーイ・フレンド)、水沢有美(ピアノ教師)/北浜 昇(宇宙人)、高木 順(宇宙人)/キャロライン洋子(キャシー/小林の妹・ケイコ(二役))/ ※第1話と第2話のクレジットが逆(本表記は第1話のクレジット)

 円盤にさらわれたオウムとケイコ。そして小林は、自分の為に二人がさらわれたと落ち込むが、明智の叱咤と仲間達の姿に励まされる。だが、キャシーが替え玉だと気が付いた宇宙人は小林らに「本物のキャシーを連れに来る」と再び宣告した。一方、オウムとケイコは円盤からの脱出に成功するが、気が付くとそこに円盤の姿は無かった。警察による厳重な警戒がしかれた中川邸に現れた探偵・明智小五郎は、中村警部らに事件の全貌を説明。すべては二十面相による仕業で、ゴム風船製の円盤や円盤内部のセット、ホログラフを使った人間消失のトリックを解明。円盤騒ぎで警察らの気を引きつけている間に、手下が地下道を掘りレッドエンジェルを強奪していたのだ。しかし、明智の指示により強奪されたピアノはすり替えられた偽物。さらに、中村警部に化けた二十面相の正体をも見破るが、二十面相はジェットで大空へ逃走するのだった。

 LDに記載された解説によると、第1話と第2話は制作順番では第5話と第6話とのこと。
 第1話と第2話のゲストであるキャロライン洋子氏は、BD7団長・小林芳雄役の黒沢浩氏の妹である。
 意外にも第1話では明智は登場しておらず、本話が初登場である。
 本番組は、基本的には原作には無いオリジナルのストーリー展開がほとんど。もしくは、登場人物のみが同じでストーリー展開はほぼ異なるというパターンが多い。本第1・2話に関しては原作小説「少年探偵」シリーズの『宇宙怪人』が一応比較的話が似ているといえようか。こちらのストーリーは、各地で円盤が目撃され、そして宇宙人が出現。その騒ぎは実は二十面相による仕業だった……というプロットのみは同じで、他の展開はまるで異なっている。
 第2話冒頭の新聞記事にてオウムの名前が羽柴荘二であることが判明。また、第16話でもゲスト女性に名乗るシーンで判明している。ちなみに、団員の本名が劇中で判明するのは意外に少なく、今回のオウム、第18話と第25話で判明するマジョ、それに複数の回で苗字及び名前が呼ばれる小林の3人のみ。ゴムカンは名前がショウイチであることは第10話で判明するが、苗字は判明していない。ただし、他のメンバーに関しては、当時発売されていた雑誌「テレビマガジン」に掲載されていた記事等で知ることができた。


第3話「影に笑う怪人 1」

放送日:1975/10/18
脚本:長坂秀佳
監督:鍛冶 昇
ゲスト:早川雄三(角田社長)、城 恵美(教育係・令子)、石光 豊(用心棒・オオバヤシ)、車 邦秀(用心棒・キノシタ/実は緑の怪人)/西角正教(緑の怪人)、飯田テル子(家政婦)/斉藤こず恵(みどり)

 謎の影が角田家の娘・みどりの誘拐を予告。角田は警察に知らせるとともに明智に警護を依頼。しかし、やってきたのが小林ら少年らだったために有無を言わさず追い返す。その横暴な振る舞いに警護の辞退を決めるBD7だったが、みどりの境遇に同情したトンボが一人反対。角田邸へ侵入した明智とBD7は、影の正体がスクリーンだと証明、みどりの教育係・令子に化けていた二十面相の正体を見破った。中村警部に捕らえられる二十面相だが、「明日二十時迄にみどりは頂く!!」と予告を残して逃走した。明智の指示でみどりの護衛を担当する小林だったが、トンボの必死の懇願に負け交代。トンボは身代わり作戦でみどりを変装させ屋敷から抜け出すが、二十面相に裏をかかれ二人は捕らえられた。必死に二人の行方を追うBD7だったが、捜索は難航。そして、脱出を図るトンボとみどりは、溢れ出した水により水没の危機に瀕していた。

 明智の妹・ちはるが初登場。ただし、本話にてちはるを演じている沢田ミキ氏は、テロップでは第1話〜第8話まで表記されているものの、実際には第3話〜第5話までしか出演していない。代わって第11話からは藤山律子氏がちはるを演じることになった。
 第3・4話ではマジョとキカイは欠席である。
 本作は初期に制作された作品ということもあってか、本話に登場している4人のメンバーを小林が紹介するシーンがある。
 トンボに両親がいないことが判明。トンボ曰く、本話のゲストであるみどりは3つの時に死んだ妹にそっくりとのこと。
 (※角田の漢字表記は表札のシーン、みどりの漢字表記は二十面相の予告状のシーン、令子の漢字表記はVHSの解説文を参照。)


第4話「影に笑う怪人 2」

放送日:1975/10/25
脚本:長坂秀佳
監督:鍛冶 昇
ゲスト:早川雄三(角田社長)、石光 豊(用心棒・オオバヤシ)、車 邦秀(緑の怪人)、大山由輝子(白崎家の女中)/小鹿 番(白崎大馬)、飯田テル子(家政婦)/斉藤こず恵(みどり)

 トンボが落としていったBDバッチを手掛かりに捜索を続ける明智とBD7。2個ずつ置かれていたことに着目した小林は、Uターンして同じ場所に戻ったと推理。角田邸のガードマンをすり抜け、地下室を発見。入り口を護衛する緑色の怪人を倒したBD7は溺れかかっていたトンボとみどりを無事に救出した。みどりの救出を角田に伝える明智は、事件の真実を説明。角田が、みどりの実の父親である億万長者・白崎大馬から莫大な養育費を得るために、施設にいたみどりを養女に迎えたのだということ、さらに、二十面相の目的が白崎が所有する緑色のダイヤモンド・緑の銀河であるという。そして明智は角田に変装した二十面相の正体を見破った。警察の包囲網を潜り抜け脱出する二十面相だが、アジトを突き止めたBD7が二十面相を追い詰める。だが、二十面相はアジトを爆破させその隙に逃走。白崎と共にオーストラリアへ永住するというみどりを、寂しくも明るく見送るトンボであった。

 書籍『長坂秀佳術』やLDに記載された解説によると、第3話と第4話は制作順番では第1話と第2話とのこと。本話にて、小林らが二十面相のアジトに乗り込んだシーンに登場する時計のカレンダーが「11日土曜日」を示しており、これは実際には第2話の放送日であった10月11日土曜日を指していると思われる。この点からも本話が第2話を想定していたことがうかがえる。このような作品中の日時を放送日に合わせる描写は他作品でもよくあり、例えば、『快傑ズバット』(1977年)では飛鳥五郎の命日(=第1話の設定日)で有名な2月2日が第1話の放送日であったり、『小さなスーパーマン ガンバロン』(1977年)でも主人公・天道輝の誕生日である4月3日6時47分が第1話の日にちに合わせ、時間までほとんど合わせていたりする。また、第1話として制作されていた為か、第3話では小林が4人のメンバーと、そして続けてBD7を紹介。それに、中村が明智やBD7と面識が無いこと、中村が二十面相が外国にいると認識している等、本作品の導入部であることがうかがえる。
 本第3・4話は原作小説「少年探偵」シリーズの『少年探偵団』がベースのようで、似たような描写がいくつか見られる。
 ゲストの斉藤こず恵氏は、長坂作品では『それ行け!カッチン』(1975年〜1976年)の主人公、高木和子=カッチンでお馴染みの子役である。
 (※白崎大馬の漢字表記は表札のシーンを参照。)


第5話「墓場からの使者 1」

放送日:1975/11/01
脚本:長坂秀佳
監督:松林宗恵
ゲスト:大山いずみ(武藤明子)/槙 健太郎(ダテ探偵)/宇留木康二(執事・ヨシオカ)

 三か月前に南米・エクアドルの遺跡で事故死した考古学者。その娘・武藤明子は「忘れ物を返せ」と語る不気味な老人の声に怯えていた。依頼され武藤邸に訪れたBD7の目前で、テレビ画面からその老人はまたも「忘れ物を返せ」とメッセージを残した。武藤家の執事・ヨシオカの話から、その老人が20年前に死んだこの家の先代・蛭田博士で、「妖怪博士」と呼ばれる人物であることが判明。「20年後に忘れ物を取りに戻る」と遺言を残していたことから、武藤邸の改築時に発掘された時価数十億という六地蔵を狙っていると推測。武藤邸に現れた明智は、執事・ヨシオカが二十面相であると明かし、その化けの皮を剥がした。しかし小林は、その明智が二十面相による変装だと見破った。ヨシオカに化けた二十面相は、二十面相の手下が化けたものだったのだ。だが、二十面相は明子、キカイ、ゴムカンをさらい逃走。さらに二十面相の跡をつけたトンボも捕らえられ、彼らに時限爆弾の爆破が迫っていた!

 本第5・6話に登場する妖怪博士と蛭田博士は、原作では「少年探偵」シリーズの『妖怪博士』に同名の登場人物が登場。ただし、ストーリー的には別物といってもよい程異なる。
 本作も第3話と同様、小林が本話に登場している6人のメンバーの紹介をするシーンがある。ただ、キカイだけが予告等で語っている「ラジコンの名人」ではなく、「パチコンの名人」と語っている。パチコンとは何だろうか……。
 (※蛭田博士の漢字表記は写真の裏、武藤の漢字表記は表札のシーン、明子の漢字表記は二十面相の予告状を参照。ダテ、ヨシオカの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第6話「墓場からの使者 2」

放送日:1975/11/08
脚本:長坂秀佳
監督:松林宗恵
ゲスト:大山いずみ(武藤明子)/槙 健太郎(ダテ探偵)/宇留木康二(執事・ヨシオカ)

 さらわれた明子らを夜通し捜索する小林らだが、二十面相に裏をかかれた為に難航。一方、囚われの身の明子らは小さな排水口を発見。キカイはラジコンカーを使って外部へ手紙を送ることに成功。それを偶然発見した子供達の手によりキカイの手紙が明智探偵事務所に届けられ、小林らは監禁場所を割り出すことに成功する。明智、そして明子の恋人である探偵のダテが駆け付け二十面相の手下と格闘、彼らの救出に成功するが、その最中にダテは行方不明に。二十面相はダテの身柄と引き替えに脅迫、六地蔵を20時までに蛭田博士の墓の前に置くよう要求。二十面相は地蔵を見張る中村警部らを尻目にまんまと盗み出した。だが、すべてを見抜いた明智はカラクリを説明。鏡を使って偽物を中村達に見せている隙に本物を運び出したと証明。さらに、BD7に跡をつけさせアジトの場所を突き止め、ダテを救出した。明智はダテに扮した二十面相の正体を見破り、二十面相は逃走するのだった……。

 第5・6話、そして第24・26話の監督を手掛けた松林宗恵氏は、長坂作品では『勝利者たち』(1992年)の監督を手掛けている。


第7話「10億円の埋蔵金 1」

放送日:1975/11/15
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:山下美知枝(倉本香代)、坂本由英(倉本武吉)、加藤 寿(イシガキカズヤ)/加藤新二(幽霊部隊)、平井正博(幽霊部隊)、平図但望(幽霊部隊)、久野 一(幽霊部隊)、河西喜義(幽霊部隊)/井田茂樹(?)、伊藤 博(?)

 歴史研究家・倉本武吉とその娘・香代は、30年前に日本陸軍が隠したという十億円の埋蔵金を探索。その最中、山中で日本兵の姿をした幽霊部隊に襲われるが、麓の村の青年・イシガキカズヤと、付近で偶然キャンプをしていたBD7が駆け付け難を逃れた。倉本邸に引き上げた面々だが、その前に再び幽霊部隊が出現、そしてまた姿を消した。小林は、埋蔵金発掘の依頼主である政府機関のアワグチが二十面相の変装であると見破るが、二十面相は逃走。これ以上娘を危険に晒すのを恐れた倉本は、埋蔵金の在り処の地図を燃やすが、香代とゴムカンは幽霊部隊に連れ去られ、目を覚ますとそこは山小屋の中であった。二人を捜索する小林とガッツは山中で二人と合流するが、香代は幽霊部隊に襲われ絶体絶命の危機に。幽霊部隊の落とした拳銃を拾ったゴムカンは、咄嗟に引き金を引き、幽霊部隊は崖に転落。駆け付けた村人達と崖下に確認に行ったゴムカン達が発見したものは、なんと村長の射殺体だった。村長殺害の疑いをかけられたゴムカンらは、村人に追われ谷底へ転落した……。

 第7・8話、そして第20・22・23話の監督を手掛けた東条昭平氏は、長坂作品では『小さなスーパーマン ガンバロン』(1977年)の監督を手掛けている。
 (※倉本武吉、香代の漢字表記は第7話及び第8話の新聞記事のシーンを参照、イシガキカズヤ、アワグチの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第8話「10億円の埋蔵金 2」

放送日:1975/11/22
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:山下美知枝(倉本香代)、坂本由英(倉本武吉)、加藤 寿(イシガキカズヤ)/加藤新二(幽霊部隊)、平井正博(幽霊部隊)、平図但望(幽霊部隊)、久野 一(幽霊部隊)、河西喜義(幽霊部隊)/井田茂樹(?)、伊藤 博(?)、城山いずみ(?)

 病院で意識を回復したゴムカンら。3日も意識を失っていたという彼らは警察に連行され取り調べを受けた。このままでは死刑だと語る検事に必死に弁明するゴムカンらだったが、テレビでは倉本親子が埋蔵金を発掘したと報道され、警察が明智の事務所に問い合わせたところBD7のメンバー全員が揃っているという。他人の名を騙ったことで責められる彼らに、香代は自分が本物である証明として本物しか知らない埋蔵金の在り処へ案内すると発言。在り処の近くへ案内する香代だが、小林はすべてのカラクリを見破った。すべては二十面相の仕掛けた罠で、村長や警官の偽物を用いて香代から埋蔵金の在り処を聞き出し、さらにBD7を苦しめようとしていたのだ。駆け付けたイシガキの助勢によりその場を逃れるゴムカンら。そして明智は倉本邸に揃った面々の前で、幽霊部隊のカラクリと、イシガキは5年も前に死んでおり初めから二十面相が扮した姿だと証明。観念した二十面相はその場から逃走するのだった。

 LDに記載された解説によると、本エピソードで初めて郊外ロケが行われたとのことで、ロケ地は東京西部の多摩地区だそうである。


第9話「BD7危機一髪! 1」

放送日:1975/11/29
脚本:上原正三
監督:鍛冶 昇
ゲスト:土田里美(杉の子学園の生徒・ルミ)、尾美利徳(杉の子学園の生徒・ケン)、佐竹祥一(?)/山村哲夫(ロボター7)/石崎二郎(スギタ教授)

 キカイはかつて自分が在籍していた施設・杉の子学園の子供らの為に、仲間やスギタ教授の手を借りロボット・ロボター7を完成させた。だが、そのロボター7がひとりでに動き出し、姿を消した。子供達を襲い、そして郵便局を襲撃するロボター7の為、その非難はBD7に向けられた。調査の為にロボター7はスギタ教授に預けられるが脱走。ロボター7を発見したキカイは、偽物であることを見破り挑みかかるが、工事現場の穴に突き落とされ自力での脱出が不能な状態に。続けて宝石店を襲うロボター7を発見したBD7と中村警部。スギタ教授による鑑定でロボター7が本物であると証明され、中村警部はBD7の逮捕に踏み切ろうとするが、小林はスギタ教授が二十面相の正体であることを見破った。正体を現し逃走する二十面相。一方、キカイは頭上から降り注ぐ土砂で生き埋めの危機にさらされていた。

本話から脚本に上原正三氏が参入。上原氏は計10本担当した。なお、本番組で長坂氏がパターン化していた「恋愛ドラマ」は本エピソードでは無く、いきなりパターンが崩されている。「少年探偵団(B7)ミュージックファイル」に掲載されている長坂氏のインタビューによると、「『レッドタイガー』の時もそうだったけど、俺が守っていることはたいてい彼が崩しちゃうんだよな(笑)」だとか……。
 本話よりOP映像の新バージョンが登場。明智の妹・ちはるが沢田ミキ氏から藤山律子氏に交代されているが、実際に藤山氏が登場するのは第11話からである。なお、しばらくの間は旧バージョンのOPと新バージョンのOPが入り乱れて放送される。旧バージョンは第1〜8・11・12・14〜19話。新バージョンは第9・10・13・20〜26話である。ちなみに、第11話以降の旧バージョンのOPはちはるの映像のみ藤山氏に差し替えられ、また、二十面相のキャストが?から団次郎に変更されている。新オープニングで登場する印象的な乗り物「ローラースルーゴーゴー」は、1974年に発売されヒットした商品。ただし、本編では出番は少なく第13・21・24・26話のみである
(※杉の子学園の漢字表記は表札(?)のシーンを参照、スギタの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第10話「BD7危機一髪! 2」

放送日:1975/12/06
脚本:上原正三
監督:鍛冶 昇
ゲスト:三本木美樹(サカタアイ)、土田里美(杉の子学園の生徒・ルミ)、尾美利徳(杉の子学園の生徒・ケン)、佐竹祥一(?)、日笠潤一(ゴムカンの父)/山村哲夫(ロボター7)、安永健司(二十面相の手下)/宗方奈美(サカタ婦人)

 BD7によって無事に救助されるキカイ。警察によって没収されたロボター7は、明智が責任を負うというカタチで釈放、トラックで杉の子学園に運搬されるが、その途中、二十面相によって強奪された。二十面相はサカタ貿易の社長の娘・アイをロボター7によって強奪させ、1億円を要求。身代金の受け渡し現場に現れたロボター7を追跡する中村警部と明智らだったが、発見した身代金を手にしたBD7らを目撃した中村警部は一方的にBD7が犯人だと断定した。その為に世間の非難はBD7に向けられ、彼らの評判は地に落ちた。明智とBD7を社会的に抹殺するという二十面相の目論みは徐々に形成。続けてさらわれたサカタ婦人を追跡した小林だが、二十面相によって捕獲され、続けて残りの6人も捕らえられた。6人の頭上につり天井が迫り、その命と引き替えに、一連の事件の偽りの自供を語らせようと小林に迫る二十面相。だが、間一髪のところで明智が駆け付け阻止。サカタ婦人に化けた二十面相の正体を明かし、無事にアイを救出。BD7の身の潔白は証明されたのだった。

第9話・第10話の前後編で登場したロボター7は、その後第14・18話にも登場。本エピソードも含めすべて上原氏による脚本作品である。
 本話でゴムカンの父親が登場。魚屋であることが判明。なお、BD7の(存命の)家族が出演するのは意外にも本話のみ。(マジョは回想シーンとして母親が第18話に登場。また、おばが第25話に登場している。)他のメンバーは既に亡くなっていると解説されることが多く、BD7のメンバーは基本的に何らかの不幸を背負ったメンバーで構成されているようである。
(※サカタ、アイの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第11話「地獄のエクソシスト」

放送日:1975/12/13
脚本:長坂秀佳
監督:鍛冶 昇
ゲスト:佐藤燿子(トミコ)、石井宏明(ヒラバヤシゴウゾウ)/宮廻夏穂(ヒラバヤシシンイチ)/天本英世(オニザキ教授)

 マジョは落雷を浴び気を失った少年・ヒラバヤシシンイチを発見。そしてヒラバヤシ邸に訪れたマジョと小林、中村警部は、突如、シンイチが豹変する様を目撃。シンイチに乗り移ったという平清盛の霊は、シンイチの父・ゴウゾウが保管する金の鎧を二十面相が狙っているとシンイチの口を通じて語った。エクソシストとしてヒラバヤシに呼ばれた心霊研究家のオニザキ教授は、除霊を試みるも失敗、「金の鎧を返せ」と語るシンイチの言葉に従うよう勧める。しかし、小林はオニザキが二十面相であることを見破り、二十面相は逃走。霊に乗り移られやつれるシンイチを心配し見舞いに訪れるマジョだが、シンイチはまたも豹変、金の鎧を持ち出そうとした。だが、そこに現れた明智はすべては二十面相の仕組んだトリックだと説明。二十面相が、シンイチが決まった言葉で催眠術にかかるよう仕掛け、その言葉をヒラバヤシ邸のお手伝い・トミコに化け、発していたのだ。正体を現した二十面相は逃走。そして、シンイチは元気な姿に戻ったのだった。

 本話のサブタイトルにもある「エクソシスト」とは、本話内の説明にもある通り悪魔払いという意味。本作品の前年である1974年に公開されたアメリカの映画『エクソシスト』のヒットにより、当時はその言葉が有名になっていた。(アメリカ公開は1973年で、日本公開は1974年。)
(※ヒラバヤシシンイチ、ヒラバヤシゴウゾウ、トミコ、オニザキの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第12話「バリハイの魔術師ガルダ」

放送日:1975/12/20
脚本:長坂秀佳
監督:前川洋之
ゲスト:寺本 梢(美川イチコ)、布田康博(サクマ探偵)/杉野公子(美川さわ子)、富士野幸夫(支配人)/車 邦秀(バリハイ団)

 宮城県にあるバリハイセンターでバリハイの魔術師ガルダによる魔術ショーを観覧するBD7。その目前でガルダによって一人の少女・美川イチコがさらわれた。駆け付けたイチコの姉・さわ子の話によると、バリハイ国の秘密結社が、イチコが持っているという純金のガルダ像を狙っているという。その後、オウムはイチコを預かっているという二十面相の脅迫に従い捕らえられた。ガルダの正体は二十面相だったのだ。二十面相はオウムを危険に晒し、イチコからガルダ像の在り処を示す暗号「地獄の釜の蓋は赤い」を聞き出した。オウムとイチコは水攻めの危機に晒されるが、BD7によって救出。二十面相より先にガルダ像を入手すべく探索するBD7は、蔵王の御釜にある赤い石の下にあると推測、像を発見するも、そこを二十面相の手下が襲いかかる。その窮地を、東京から明智の依頼で来たという探偵・サクマが救った。しかし、小林はサクマが二十面相だと指摘。が、実はサクマは明智が変装した姿で、明智はさわ子が最初から二十面相が化けた姿だと見抜き、二十面相は逃走するのだった。

 宮城県柴田郡川崎町ロケ作品第1弾。(バリハイセンター、蔵王の御釜、桜地蔵)
 本話のサブタイトルにもあるバリハイとは、本話のロケ地である宮城県にあったバリハイセンターから。このバリハイセンターは1973年にオープンし現在は廃業。特撮作品では『宇宙鉄人キョーダイン』(1976年〜1977年)第20話「南海のリズム! 恐怖の夏休み」でもロケが行われている。このバリハイセンターの名前の由来は、日本では1959年に公開された映画『南太平洋』に登場する架空の神秘の楽園の名称からとのこと。このモデルとなったタヒチのモーレア島にあるモウアロア山(モウルア・ロアとも呼ばれる)は、バリハイ山とも呼ばれるようになったという。
 また、同じくサブタイトルにもあるガルダは、おそらくインドの神話に登場する神の鳥の名称がモチーフであろうか。ガルダはガルーダとも呼ばれ、例えば、本話の数か月後から放送が開始されたTVアニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976年〜1977年)に登場した人気悪役キャラクター・大将軍ガルーダなど、鳥や鳥人間をモチーフにしたキャラクターの名称になることが多かった。
 今まで幾度となく二十面相の正体を見破って来た小林だが、今回は珍しく推理をミス。ただし、裏をかいたのは二十面相では無く明智なので、明智の方が遙かに一枚上手ということか。(第22話や最終話も同様に明智に裏をかかれて(?)いる)。
(※美川さわ子の漢字表記は御宿泊カードのシーンを参照、イチコ、サクマの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第13話「標的はBD7」

放送日:1975/12/27
脚本:上原正三
監督:近藤一美
ゲスト:古賀真佐代(シラトリユキエ)、大屋祥三(ガッツの友人)/根上 淳(シラトリ教授)

 東都大学のシラトリ教授は、麻酔銃に代わる電気ショック銃を開発。副作用無しで神経機能を麻痺させるという画期的なものだった。その電気ショック銃を二十面相が強奪。最大8万ボルトの電圧の威力で警察を翻弄する。二十面相から現金輸送車襲撃の挑戦状が明智とBD7の元に届くが、明智はその危険性からBD7に待機を命令。しかし、シラトリ教授の娘・ゆきえから電気ショック銃奪還を懇願されたガッツは命令を無視、仲間と共に出動するが、その最中小林は二十面相の手にかかり重傷。再び待機を命じる明智に反したガッツはバッチと手帳を返却し、二十面相を追う。しかし、その目前でゆきえがさらわれ、ガッツも捕らえられた。ガッツらを餌に明智をおびき出す二十面相。二十面相の前に姿を現した明智は、その銃口の前に倒れた。だが、ウエットスーツで絶縁し難を逃れた明智はBD7と共に二十面相を撃退。そこにシラトリ教授が現れるが、明智はその正体が二十面相だと見破り、二十面相は逃走するのだった。

LDに記載された解説によると、本話の制作順は第22話とのこと。本話で車に撥ねられて重傷になった小林が、このすぐ後のエピソードで出演したり、入院という設定で欠席(第21・25話)したりしているのは、この放送順の入れ替えが原因である。第21・25話の入院は、あくまでも本話の負傷のことを指して制作されていたと思われる。ちなみに、第16話でも足を負傷しているが、これは同話中に歩ける程までには回復しているようである。
 ゲストの根上淳氏といえば、やはり『帰ってきたウルトラマン』(1971年〜1972年)の伊吹隊長役が印象深い。同じく、主人公である郷秀樹を演じた団次郎氏との競演はファンを喜ばせたのではないだろうか。
(※シラトリ、ユキエの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第14話「七色の皇帝時計」

放送日:1976/01/03
脚本:上原正三
監督:鈴木俊継
ゲスト:細井雅男(警察官)、車 邦秀(ロボター7)/団 巌(プリンス・マホメ・オイラー)

 ナポレオン一世が愛用していたという七色の皇帝時計を所有するアングラ王国のプリンス・マホメ・オイラーが来日。二十面相はその時計の強奪を予告、明智とBD7はその護衛の任に就いた。護衛を拒否された中村警部は、警官から受け取った手配書によりプリンスが手配中のギャングのボスと判断、逮捕しようとするが、警官が二十面相の変装であることを見破った明智が、制止。ロボター7の活躍で二十面相を撃退する。さらに、ショー観覧中のプリンスをガスを用いて急襲する二十面相だが、再びロボター7の活躍で失敗。しかし、二十面相は入浴中のプリンスから強奪に成功し、ボートで逃走。ヘリコプターで追跡する明智と小林だったが、その二十面相は偽物だった。逃げられたと落胆する一同だが、明智はロボター7に化けていた二十面相の正体を見破り、二十面相は逃走。時計を守りきったBD7らに見守られ、プリンスは帰国するのだった。

三重県桑名市(撮影時は三重県桑名郡)ロケ作品第1弾。(長島温泉)
 第9・10話に登場したロボター7が再登場。キカイは杉の子学園の後輩達に贈呈したような描写であったが、贈呈ではなく、貸し出しただけなのか? それとも借りたのであろうか? もしくは、同型の2号機か……。


第15話「大入道三百年の呪い」

放送日:1976/01/10
脚本:長坂秀佳
監督:前川洋之
ゲスト:矢島洋子(ミズサワメグミ)/鹿地史郎(トヤマコウイチ)、富士野幸夫(支配人)/車 邦秀(?)

 友人のミズサワメグミを訪ね宮城県の青根温泉を訪れた明智の妹・ちはる。その後、ちはるとメグミは伝説の大入道を目撃、BD7に救いを求めた。そして、BD7の前に大入道が出現、「袈裟懸け地蔵に刀を捧げよ」と語り、姿を消した。その刀が、大入道を袈裟懸けに斬ったとの説もある伊達政宗拝領の刀だと説明するメグミの前に、さらに二十面相からその刀を頂くと予告が。安全な場所に隠すというメグミの恋人・トヤマコウイチに不審を抱いた小林はその正体を見破り、二十面相は逃走。しかし翌朝、小林が消失。小林を処刑するという大入道の声に従い捜索するBD7だったが、BD7の面々もメグミと共に行動していたトンボを残し全員消失。メグミは、皆を助けるため刀を捧げることを決意。袈裟懸け地蔵の元へ向かうが、そこへ明智が出現。ちはるに化けていた二十面相の正体を見破り、明智によって既に助けられていた小林らが二十面相を包囲。二十面相は逃走するのだった。

 宮城県柴田郡川崎町ロケ作品第2弾。(不動滝、青根御殿、天守閣自然公園、バリハイセンター)
 メグミがちはるに語っている梁川庄八(ヤナガワショウハチ)が大入道を切り倒したという袈裟懸け地蔵の話は、実際に宮城県で伝えられている伝説である。また、メグミの家だという湯元不忘閣の青根御殿。伊達政宗ほか、伊達藩主の保養所と利用していた温泉宿というのも実話で、現在も一般客も宿泊できる宿泊施設。伊達ゆかりの品も展示されており、BD7が訪れた部屋も実際の青根御殿の部屋である。ただし、湯元不忘閣にメグミという名の娘がいたかどうかは定かではないが……。
 ちはるに化けていた二十面相が正体を現すシーン。特撮作品で数々の悪役を演じていた藤山律子氏だけあって、その不敵な笑みは堂々たる物。さすがの貫禄である。
(※ミズサワメグミ、トヤマコウイチの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第16話「アフリカの謎」

放送日:1976/01/17
脚本:上原正三
監督:鈴木俊継
ゲスト:高橋英三郎(熊野)、駒場真佐男(?)、西川ひとみ(ノブヨ)/山本 廉(オダ隊長)

 キングソロモン展から世界一のダイアモンド「アフリカの星」が盗まれた。犯人の熊野は逮捕されたが、隠し場所は黙秘。熊野の残した暗号から中村警部は三重県桑名市のサニーワールド長島にあると推測。サニーワールドで合宿していたBD7も捜査に合流、そこでアフリカ探検隊のオダ隊長とその娘・ノブヨと知り合った。ノブヨは、記憶喪失になった父の記憶を取り戻す為、記憶を失った時の環境を再現する為にこの地を訪れているという。深夜、何者かがBD7のキャンプに侵入、後を追う小林は仕掛けられた猪の罠にはまり足を負傷した。侵入者の姿からノブヨを疑ったBD7はノブヨを監視。一人ノブヨの無実を信じるオウムに、ノブヨは身の潔白を訴える。暗号の謎を解いたという明智は皆の前でありかを解説し、さらにノブヨに変装した二十面相の正体をも見破った。だが、二十面相は明智の推理によって発見されたアフリカの星を強奪、逃走した。しかし、そのアフリカの星は明智が用意した偽物だったのだ。正しく暗号を解読してみせた明智はアフリカの星を発見。その輝きによりオダ隊長の記憶が蘇るのだった。

三重県桑名市ロケ作品第2弾。(サニーワールド長島)。
 長島熱帯植物園にある旅人の木のくだり、葉が東西に広がって生育することや旅人が方位の目印として利用、樹液で喉の渇きを潤していたくだりは事実である。二十面相が狙うお宝など、本番組では架空の設定が多いが、ロケ作品では実際の舞台や話に、架空のお宝のエピソードを交えていることが多いようだ。
(※熊野の漢字表記は新聞の報道シーンを参照、オダ、ノブヨの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第17話「鬼のすむ教室」

放送日:1976/01/24
脚本:上原正三
監督:戸田康貴
ゲスト:田辺節子(日野みゆき先生)、新井 実(?)/里見たかし(校長先生)、新 みのる(?)

 日野みゆき先生の指導の下、放課後の教室で英語の補習を受けていたゴムカン。そんな時、図書室で校長先生が鬼女に襲われた。それを目撃したゴムカンは、鬼女を追跡するも、姿を見失う。校長は、初代校長が残した高価な切手・ホワイトペニーの保管を明智に依頼。再び図書室に出現する鬼女を追跡するBD7だったが、鬼女はまたも姿をくらました。鬼女に襲われ怪我をしたみゆきを、みゆきの部屋で手当てするゴムカン。そのままテープによって英語の教育を受けるゴムカンは、夢心地な状態で切手のありかを喋り、我を失う。そして、鬼女は明智に対しゴムカンの命と引き換えにホワイトペニーを要求。明智は指示に従い飛来したラジコンヘリに切手を乗せた。ラジコンヘリを追跡するBD7。救出されたゴムカンによって剥がされた鬼女の素顔、その顔はみゆきだった。鬼女に脅迫されたと弁明するみゆきだったが、小林と明智はすべてのカラクリを解明。みゆきに化けていた二十面相は正体を現し逃走。奪われたホワイトペニーも明智が用意した偽物だった為、無事に守られたのであった。

1840年に発行された世界最初の郵便切手「ブラック・ペニー」は実在する切手。ただし、さらに前に草案されていたという「ホワイト・ペニー」があったかはどうかは定かではない。
 本話のサブタイトル「鬼のすむ教室」であるが、本話の脚本を手掛けた上原氏は、『UFO大戦争 戦え!レッドタイガー』(1978年)第34話で「鬼のすむ村」という作品を執筆している。共に上原氏のネーミングかどうかは定かではないが、気になる偶然(?)である。
 本話及び第21話にてBD7の小学生メンバー(ゴムカン、オウム、トンボ、キカイ、マジョ)が通っている学校が白鳥台第四小学校だと判明する。ちなみに、ゴムカンが6年1組であることも判明する。
(※日野みゆきの漢字表記は表札のシーンを参照している。)


第18話「涙を流すマリア像」

放送日:1976/01/31
脚本:上原正三
監督:鈴木俊継
ゲスト:鈴木治夫(トクベイ)、杉村和子(?)、鍛冶 昇(?)/高樹蓉子(マジョの母・クミ)

 三重県桑名市のナガシマスパーランドで訓練を続けるBD7。一方、この付近が故郷であるマジョは一人物思いに耽っていた。そこに二十面相が出現、マジョの実家である秋吉家に伝わる涙を流すマリア像を頂くと迫った。だが、その窮地をちはるが救った。マジョの昔からの知り合いであるトクベイの話によると、6年前にマジョの父が死亡したことをきっかけに財産争いが起こり、母は価値のあるマリア像を狙ったおじから守る為にその最中に命を落としたという。二十面相からマリア像を守る為に、マリア像のありかを聞き出そうとする明智だったが、マリア像の為に母が死んだと思い続けていたマジョは、マリア像について何も語ろうとしなかった。そんなマジョをちはるが説得。形見であるロザリオからマリア像のありかの地図が発見された。その地図を元に御在所岳へ向かう明智。だが、マジョを捕らえた二十面相はその命と引き替えに地図を要求、取引に応じた明智から入手した。だが、明智は二十面相に偽の地図を渡し、その隙に二十面相より先にマリア像を発見した。トクベイに化けていた二十面相の正体を明かす明智だったが、二十面相はマリア像を奪って逃走。しかし、本物のマリア像は明智がすり替えていた為に無事に守られ、マジョは母の代わりに大事に守り続けると誓うのだった。

三重県桑名市ロケ作品第3弾。(ナガシマスパーランド、御在所岳)
 マジョの故郷が本話のロケ地(三重県桑名市)であることが判明。マジョの母親と父親が5〜6年前に既に死亡していることが判明し、当時6歳だったマジョが東京のおばさんのところへ引き取られたと語られている。なお、このおばは第25話に登場する。
(※トクベイの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第19話「密室から消えた光子V−1」

放送日:1976/02/07
脚本:上原正三
監督:戸田康貴
ゲスト:松山昭夫(ニシワキ警備長)/西田昭市(小野博士)、椎名祥子(?)

 東都大学ロケット研究所の小野博士が電子、陽子、中性子などを強力な公子エネルギーに変換するレンズ・光子V−1を開発。そのレンズを用いた公子ロケットの実験の最中、二十面相からレンズ強奪の予告状が舞い込んだ。ロケットのパイロット志望のガッツはBD7のメンバーと共に護衛を開始。二十面相は金庫の裏側に穴を開けて強奪するが、BD7の活躍によりレンズは無事に守られた。だが、その最中に警備長のニシワキが怪我を負った。そして二十面相は再び強奪を予告。レンズはガラス張りの容器に入れられて密室の中に収められ、その容器を密室の窓から中村警部らが見守っていた。しかし、天井から開けられた穴からケースごと吸引され、明智らの目前でレンズは奪われた。建物の外に二十面相が逃走していないと知った明智はすべてのカラクリを見破り、ニシワキに化けた二十面相の正体を明かした。逃走する二十面相。無事に守られたレンズを改良したV−2を用いたロケット実験の中、宇宙パイロットになると誓うガッツだった。

ガッツの父親が3年前に交通事故で死亡したことが判明する。
(※小野の漢字表記はロケット発射試験場の看板のシーンを参照、ニシワキの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第20話「歌うヴィーナス」

放送日:1976/02/14
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:本田みき(シミズキヨコ)、車 邦秀(?)/高樹蓉子(ホテル支配人)

 長野県茅野市の蓼科を訪れていたBD7は、歌うヴィーナス像を見つけたという女子大生・シミズキヨコから、持ち主を探して届けてほしいという依頼を受けた。しかし、そのヴィーナス像を狙った二十面相がBD7の乗るロープウエイを占拠、彼らからヴィーナス像を強奪する。二十面相に偽物を渡し難を逃れた小林らは、持ち主がホテルの支配人だと知り、無事に受け渡すことに成功する。キヨコに恋心を抱いたキカイは、持ち主に返したことをキヨコに連絡しようとロープウエイに乗り込むが、そこに二十面相が出現。本物のキヨコとキカイを閉じ込め、時限爆弾をセット、キヨコに化けた二十面相はヴィーナス像を狙い支配人に近づいた。一方、キカイの行方を捜すオウムとトンボはキカイの乗るロープウエイを発見。キカイは手旗信号の指示に従い、組立式のラジコンヒコーキを駆使して爆弾を除去した。キカイと合流した小林は二十面相の正体を暴露。さらに瓶に化けるものの明智に正体を見破られた二十面相は、その場から逃走するのだった。

 長野県茅野市ロケ作品第1弾。(縞枯山、ピラタスロープウエイ、坪庭、縞枯山荘、サンバレー蓼科)
 第18話に続き高樹蓉子氏がゲスト出演しているが、別役での出演である。高樹蓉子氏といえば、『愛の戦士レインボーマン』(1972年〜1973年)に登場する女幹部・キャシー役が印象的。ちなみに、『少年探偵団』のちはる役の藤山氏も女幹部・オルガ役で出演している。なお、第18話では高樹氏は出演しているものの、藤山氏との同シーン出演は無かった。
(※シミズキヨコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第21話「宇宙人が書いた聖書」

放送日:1976/02/21
脚本:上原正三
監督:鈴木俊継
ゲスト:堺 左千夫(校長先生)、広田雅美(トンボのクラスメート)/山崎純資(若林 徹先生)、池田恭子(校医)

 トンボの学校の先生・若林徹は、UFOに詳しくUFO先生と呼ばれていた。その若林が宇宙人の姿をした何者かに襲われる現場を目撃するトンボだったが、若林は否定。不審に思ったトンボは若林を追跡、そこで若林が消失する現場を目撃した。若林のアパートに向かったトンボは、そこでガッツとゴムカンと共に宇宙人の姿を目撃。駆け付けた明智はその部屋で謎の粘土板を発見した。翌朝、学校の資料室で発見される若林。そこに現れた明智は、昨日発見した粘土板から真相を解明。宇宙人が書いたとされる旧約聖書のノアの箱船の物語が記された粘土板の原板が資料室から発見され、それを二十面相が狙っているという。明智は、校医に化けていた二十面相の正体を明かし、二十面相は逃走。その後、二十面相はトンボをさらい、若林を脅迫。若林は二十面相に原板を渡した。責任を感じたトンボは、仲間と共に二十面相のアジトを探索。潜入を果たしたトンボは原板の奪還に成功する。二十面相の手下に追われ窮地のところを、駆け付けた明智と中村警部が救出、そして、若林と校長も駆け付けた。明智は若林に化けた二十面相の正体を見破り、二十面相は逃走するのだった。

トンボが5年3組であることが判明。5年3組といえば、『魔法使いサリー』(1966年〜1968年)や『5年3組魔法組』(1976年〜1977年)などの影響からか、5年生の登場人物のクラスが3組という設定の作品が多い。なお、ゴムカン役のすのうち滋之氏はガンモ役で『5年3組魔法組』にレギュラー出演している。
 旧約聖書のノアの箱船のくだり、ノアの一生が950年だった等のくだりは、実際に旧約聖書に書かれていることである。
 トンボが、若林先生の影響で宇宙人がいることを力説しているが、トンボ役の辻辰行氏は、本話の数か月後より放送開始された『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)にてラビット役でレギュラー出演。宇宙人(ブキミ星人)と日夜戦い続ける様は、両作品、ダブって見えるのである。
 本話にて、小林が退院するまでガッツがリーダーだと語られている。……のだが、第13話の解説でも記しているとおり、制作順と放送順が異なる為、第13話で負傷した小林は第14話〜第20話までは怪我も無く出演。そして、第22話〜第24話も小林は怪我無く出演しているが、再び第25話で入院中であったり等、ややこしいことになっている。
(※若林徹の漢字表記は、若林先生が手掛けた論文のシーンを参照している。)


第22話「天才少年ゴルファー危機」

放送日:1976/02/28
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:田鍋友啓(ヤマノゲンタロウ)、鈴木治夫(老人)/車 邦秀(人喰い熊)/小林昭男(プペ・チョロリゲス)

 マジョのペンフレンドである天才少年ゴルファー・ヤマノゲンタロウに招かれて蓼科を訪れたBD7。そんなBD7を目がけて黒いゴルフボールが次々と飛来。そのボールをゲンタロウがたたき落として彼らの危機を救った。そんな時、マジョ宛てに二十面相からゲンタロウの持つゴルフクラブを強奪すると予告が入った。それはゲンタロウにとっては父の形見であると同時に、初代テネシー・スミス作の高価なクラブだった。その為、マジョとゲンタロウのデートを監視するBD7。そこで怪しげな老人を発見した小林は老人を追跡。その間、二人を人食い熊が襲った。団長代理のガッツは、人食い熊が二十面相の手によるもの、さらに馬車の御者に化けていた二十面相の正体を見破った。翌日、ゲンタロウとプペ・チョロリゲスの試合の最中、またもや黒いボールが急襲。その間、いつの間にかクラブがすり替わっていることが発覚する。小林はキャディが二十面相の正体だと指摘するが、キャディの正体は明智だった。明智はプペに化けた二十面相が一瞬の隙にすり替えていたと解明。そして、前日出現した老人は明智による変装で、その時にクラブをすり替えていたと明かした。偽物をつかまされた二十面相はその場を逃走するのだった。

 長野県茅野市ロケ作品第2弾。(サンバレー蓼科、乙女滝、蓼科高原カントリークラブ)
 ゲストの田鍋友啓氏は、本話の数か月後より放送開始された『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)にてドラゴン役でレギュラー出演。『少年探偵団』のオウム役の辻辰行氏もラビット役で出演しており、両者は兄弟という設定である。
(※ヤマノゲンタロウの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第23話「青い縄文土器の秘密」

放送日:1976/03/06
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:斉藤里花(クサカフユコ)、油谷誠至(?)/花巻五郎(クサカクマゾウ)

 訪れた蓼科で親しくなった少女・クサカフユコの案内で尖石の遺跡を見学するBD7。そして、クサカ家の家宝である損傷の無い青い縄文土器を狙って二十面相が強奪を予告。フユコに恋心を抱いたガッツは護衛を約束。ガッツは一人でその土器を宿泊しているホテルのどこかへ隠した。外に出たガッツとフユコを除いたBD7のメンバーは、フユコのおじ・クマゾウから謎の招待状を受け取り、パーティー会場へ。二十面相の罠にはまったBD7は催眠術をかけられ身動きを封じられた。その隙にフユコを捕らえた二十面相は、その身と引き替えにガッツに対して土器を要求。催眠術をかけられたガッツは、BD7らのいる場へと訪れた。正気を取り戻す面々の前に明智が出現。明智は、クマゾウに化けていた二十面相の正体を看破。土器を奪い取る二十面相だったが、ガッツの手によりあらかじめ偽物とすり替わっていた為、土器は無事に守られたのだった。

 長野県茅野市ロケ作品第3弾。
 本話では、オウムが全26話中唯一の欠席。また、キカイの出番は屋内(サンバレー蓼科)のみで、屋外のシーンはキカイとオウムを除いた5人しか登場していない。
(※クサカフユコ、クマゾウの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第24話「はばたく純金の小鳥」

放送日:1976/03/13
脚本:長坂秀佳
監督:松林宗恵
ゲスト:村上不二夫(和尚)、土屋靖雄(二十面相の替玉)/小坂知子(朝倉ミユキ)

 パチンコの練習に励むゴムカンは、二十面相の罠にはまり誤って墓参り中の女性・朝倉ミユキに向かって誤射し、傷つけてしまう。その場に現れた二十面相はミユキが所有する純金のカラクリ鳥・ハッピーバードを頂くと予告。だが、和尚の活躍により二十面相はその場で捕らえられた。素顔を晒され中村警部に連行される二十面相。しかし、捕らえられたはずの二十面相から再び強奪の予告が舞い込み、ハッピーバードは博物館に寄附するまでの間、中村警部によって警察の手で保管されることに。その後、博物館の人間が受け取りに現れるが、小林はそれが二十面相の化けた姿だと見破った。二十面相は奪い取ったハッピーバードがあらかじめゴムカンがすり替えた偽物だと知り激怒。ゴムカンを捕らえ、催眠術にかけた。催眠術をかけられたゴムカンはピストルを持ってミユキを襲い引き金を引き、ハッピーバードを奪い取った。しかし、そこに現れた明智はすべてのカラクリを解明。明智は直前にゴムカンの催眠術を解き、撃たれた演技をミユキにさせていたのだ。和尚に化けていた二十面相は観念し、逃走するのだった。

 ゲストの小坂知子氏は、『キカイダー01』(1973年〜1974年)第41話「天下無敵 空中戦艦爆破!!」のゲスト(クレジットは小板知佐子)や『仮面ライダーX』(1974年)のレギュラー・チコ役(クレジットは小板チサ子)等に出演。ちなみに、共に長坂氏が参加していた番組であるが両作品とも長坂氏が手掛けた脚本作品では無い。ちなみに、LDに記載された解説によると、この小坂氏の役はアフレコ時に出演できなかったため、急遽、声優が代役を務めているとある。テロップ表記は無いが、声を聞く限り『キカイダー01』でビジンダーの声を演じた江川菜子氏だと思われる。
(※朝倉の漢字表記は墓石のシーンを参照、ミユキの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第25話「ミイラは真夜中にくる」

放送日:1976/03/20
脚本:上原正三
監督:鈴木俊継
ゲスト:夏海千佳子(マジョの叔母・トシ)/山下則夫(ヤマシタ)、車 邦秀(ミイラ女)

 マジョはおば・トシと二人暮らし。そのトシが会社の慰安旅行でハワイへ向かうが、その夜、飛行機に乗り遅れたと言って突然帰宅した。その夜から、マジョの元にミイラが出現、「香炉を返せ」と迫った。マジョは仲間にそのことを訴えるが、誰にも信用されない。そして深夜、ミイラに怯えうなされるマジョは40度の熱を出して倒れた。見舞いに訪れた明智は、トシに化けていた二十面相の正体を見破った。マジョを香炉による催眠ガスで幻覚症状に落とし込み、秋吉家に伝わるの香炉のありかを聞き出そうとしていたのだ。見破られた二十面相は逃走。本物の香炉は、トシが旅行に旅立つ前に明智に預けていたのだ。トシが帰国し、明智は友人である金庫喫茶のマスター・ヤマシタの元へ訪れるが、明智はヤマシタに化けた二十面相の正体を看破。香炉を奪った二十面相は逃走を果たすが、香炉は明智があらかじめ偽物とすり替えており、無事に守られたのだった。

LDに記載された解説によると、本話は第13話の次に制作されたエピソードだとか。
 本話にて、第18話にてその存在が語られたマジョのおばが登場する。また、同じ上原氏の脚本の作品ということもあってか、第18話のエピソードで登場した涙を流すマリア像のことが少々ふれられている。
(※トシ、ヤマシタの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第26話「黄金仮面の謎」

放送日:1976/03/27
脚本:長坂秀佳
監督:松林宗恵
ゲスト:加東三和(婆や)、車 邦秀(?)/森田めぐみ(綾小路ミヨ)

 BD7の元に「マジョを預かった」という挑戦状が舞い込んだ。指示に従い幽霊屋敷へ訪れた小林達は二十面相の罠にはまり閉じ込められるが、黒こげ寸前のところを乗馬中の女性・綾小路ミヨに救われた。一方、二十面相を発見、跡をつけたマジョは、二十面相がミヨに扮装する現場を目撃する。綾小路家に招待されたBD7は、ミヨから二十面相が綾小路家にあるピカソ作の黄金仮面を狙っていると聞く。一方、マジョとちはるは、ミヨに扮した二十面相がBD7抹殺を企んでいると思い、ミヨの行動を阻止し、BD7にそのことを伝えた。直後、BD7を二十面相の手下が急襲。だが、その窮地を一人の男が救った。その男の正体は、映画スターの団次郎! 突然現れたスターの姿に舞い上がるBD7。団は黄金仮面の所有者が自分だと訴え、奪われた黄金仮面を取り返してほしいとBD7に依頼。BD7は綾小路家から黄金仮面を持ち出そうとするが、ミヨがそれに気付いた為、小林はミヨが二十面相の正体だと解いた。そこに突然二十面相が出現。しかし、その正体は明智だった。明智はすべてのカラクリを解説。二十面相がマジョらにミヨが二十面相だと思い込ませ、小林らに黄金仮面を盗ませようとしたのだ。綾小路家の婆やに化けていたことを見破られた二十面相は逃走。明智は格闘の末、二十面相の仮面を剥ぐことに成功。そこに現れた素顔は何と団次郎だった! 再び逃走した二十面相を追跡する明智らだったが、途中、二十面相の車は炎上。その後の二十面相の行方は分からずじまいに……。そして、BD7のメンバーは明日に向かって進むのであった。

 二十面相の正体は映画スターの団次郎でした……という衝撃の展開で当時の視聴者の度肝を抜き、本番組といえばこのエピソードが未だに語られるほど、多大なインパクトを与えている。長坂作品で例を挙げれば、『超神ビビューン』(1976年〜1977年)の大魔王ガルバーの正体や『特捜最前線』(1977年〜1987年)の四課・西岡の最終話のどんでん返しに匹敵する衝撃度であろうか。
 本話のサブタイトルは「黄金仮面の謎」であるが、本話を見る限り「黄金仮面」に「謎」があるようには見えず、そこがポイントでは無いように思える。ただし、本筋と離れたところに謎が一点。「黄金仮面」といえば、江戸川乱歩氏による小説「黄金仮面」「仮面の恐怖王」「かいじん二十めんそう」(「たのしい二年生」昭和34年10月号〜昭和35年3月号版)に登場。(「黄金仮面」は明智作品であるが、少年探偵団と二十面相は誕生する前の作品であり登場していない。「仮面の恐怖王」は明智、少年探偵団、二十面相すべて登場。黄金仮面=二十面相である。「かいじん二十めんそう」は明智は出張の為に不在で、代わりに少年探偵団が活躍。本作でも黄金仮面=二十面相である。)そして、1970年に放送された『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』では第3話「黄金仮面」、第11話「復讐鬼・黄金仮面」、第19話「呪いの黄金仮面」の3作品に登場。この時に黄金仮面を演じていたのも団次郎氏。果たしてコレは偶然なのであろうか? 黄金仮面=二十面相? そして、=団次郎氏なのか? 確かに、黄金仮面の謎ではある……。
 本話のゲスト・綾小路ミヨ(演:森田めぐみ氏)の出で立ちは、乗馬が趣味ということもあってか、長坂ファンには『華の嵐』(1988年)のヒロイン・朝倉柳子(演:高木美保)を彷彿とさせるものである。ちなみに、本番組で本話の前に長坂氏が手掛けた作品(第24話)のゲストヒロインの苗字は朝倉。惜しい偶然である……。
(※綾小路の漢字表記は表札のシーンを参照、ミヨの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)