「それ行け!カッチン」エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 船長である父が長い航海の為、叔母の家に預けられることになった少女・カッチン。カッチンは父からもらった大事な壷を叔母の二人の子供達から守る為に、担任の英子先生に預かってもらう。壷を預かった英子が何気に花を差すと、そこから妖精・ボビンが飛び出した!三つの願いを叶えるボビンの力を借りた、英子の魔法の教室が始まった……。


第3話「はばたけ折鶴」

放送日:1975/12/08
脚本:長坂秀佳
監督:山際永三
ゲスト:坂本 香、平井幸代/堀川和栄、安藤名津枝、加藤茂雄

 いつも元気なカッチンは今日も教室に一番乗り……と思いきや、そこには見知らぬ少女が。それは、長い間病気で学校を休んでいたアオヤマケイコだった。カッチンは、事故で親を亡くした為に自閉症になったケイコの病気を治そうと、おもちゃを使って励まそうとするが、それを見たケイコの兄は大激怒。ケイコはおもちゃを見ると両親を思い出してしまう為、おもちゃを見せたくないのだという。そんなケイコの為になんとかしようと頑張るカッチンだったが、なかなかうまくいかない。カッチンは良太・正太と共におもちゃの家と折り鶴を作って励まそうと。そこへ、ボビンの魔法によって、カッチン達はおもちゃの家の中に入り込んでしまった。驚き、騒ぐカッチン達の前に、大きな折り鶴が襲いかかる。怯えるケイコの前で必死に応戦するカッチン達だが、折り鶴の攻撃はやまない。ケイコは勇気を振り絞って折り鶴に立ち向かって撃退。カッチン達と一緒に戦い、笑顔を取り戻したケイコを、後からやってきた折り鶴が乗せ大空を遊泳。その後、ケイコはカッチンと共に元気に登校するのであった。

 『刑事くん(第3シリーズ)』(主演:桜木健一氏)と『刑事くん(第4シリーズ)』(主演:星正人氏)の間の期間に放送されたのが本番組。『刑事くん』に続き、本番組でも長坂氏は脚本を執筆している。
 今作・第3話のテーマは「自閉症との闘い」。子供向け番組ではよく見られるテーマであるが、そこに本番組特有のファンタジー色の強い世界観と長坂氏の作風が見事にマッチし、カタチになっている。
(※アオヤマケイコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第5話「サンタがロバでやって来た」

放送日:1975/12/22
脚本:長坂秀佳
監督:湯浅憲明
ゲスト:大野雄二、丸山詠二/佐藤満寿美、橋本恵美子、井熊典子、石井京子、中野いずみ

 クリスマスまであと4日。カッチンたちはサンタクロースの為に交通標識や煙突を作ってクリスマスの準備に大慌て。その晩、谷川家にサンタが現れた。その正体は牧童の源さん。カッチン達に頼まれてサンタの格好をして来たのだ。しかし、そんなことを知らない良太・正太の父・準司は理由も聞かず源さんを追い返してしまう。翌朝、サンタが追い返されたことを知ったカッチン達は準司に詰め寄る。カッチンたちは、クリスマスの楽しさを知らないという近所に住む子供・トシオの為にクリスマスをしてあげようとしていたのだ。トシオは今日、北海道に引っ越してしまう為にチャンスは昨晩しかなかったのだ。そんなカッチン達にボビンの魔法が。サンタの家に迷い込んだカッチン達は、たくさんの食べ物と優しいサンタの姿に大喜び。しかし、そのサンタの正体は子供達を食べようとする鬼だった。逃げ出すカッチンらは皆で協力して鬼達を撃退した。その中で、人に迷惑をかけず、自分達の力でクリスマスをしようと悟ったカッチン達は、自分たちだけの力でクリスマスツリーを作り、トシオに贈るのだった。

 今作は、クリスマス定番であるサンタクロースネタが取り上げられている。カッチンたちが、引っ越していく友達の為に力を尽くしていく姿に対し、さらに一歩掘り下げ、「人に迷惑をかけずに、自分たちの力だけで」というテーマが含められている。
 なお、ファンタジー色の強い本番組らしく、魔法によってサンタクロースが登場……なのだが、実はそのサンタの正体は、子供達を騙して食べようとする鬼だったという展開は、いかにも長坂氏らしい視聴者を飽きさせないどんでん返しだった。
(※トシオの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第7話「先生のお年玉」

放送日:1976/01/05
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:水沢アキ/梅田智美/益子隆充

 正月。カッチン、良太、正太の3人はあの手この手を使ってお年玉集めに精を出す。貰ったお年玉の金額の競争をしていたのだ。英子先生はボビンの手を借り、すごろくを使ってお金の大切さを教えようとする。しかし、3人は誤ってすごろくの中へ。その世界は、500円もあれば一生楽して暮らせるという世界。そんな世界で、カッチン達が数万円もの大金を持っていると知った住民達はカッチン達を捕まえようと襲いかかる。働き者だった大人達までお金の力で変わってしまったのだ。逃げるカッチンを救ったのは病気の弟と二人暮らしの女性・チロル。カッチンたちは、チロルの家の屋根を壊してしまい、その為にチロルの弟は寒さに苦しむ。カッチンは自分たちのお金で屋根と病気をなおすよう訴えるが、チロルはそれを拒否、お金の尊さをカッチン達に諭す。チロルの心を感じ取ったカッチンは、壊れた屋根をなんとかしようと知恵を絞り、3人で力を合わせ、お金を貼り合わせて屋根の穴を塞ぐ。また一つ成長したカッチンは元の世界に戻るのだった。

 「お金の尊さ」を取り上げた作品。今回は、普段に比べ魔法の力によるファンタジーの世界の描写が多く、その中で「お金の尊さ」だけではなく、「人を見た目だけで判断しない」ことなどをカッチン達、そして視聴者達に伝えようとしている。


第12話「身代りママさん」

放送日:1976/02/09
脚本:長坂秀佳
監督:湯浅憲明
ゲスト:吉田義夫/夏木 章

 京子おばさんが法事でしばらく留守にする為、谷川家ではカッチンがママ代わりになると大張り切り。そんな中、準司の父・威作が上京してきた。威作に喜んでもらおうと奮闘するカッチンだったが、すべて空回りして、頑固者の威作を怒らしてしまった。落ち込むカッチンを見た英子先生は、ボビンの魔法で父親の幻影を見せ、父親の言葉に励まされたカッチンはもう一度頑張ることを誓う。早朝、英子先生の元に訪れたカッチンはビーフシチューの作り方を教えて欲しいと懇願。威作においしいビーフシチューを作ってあげる為、時間をかけ、自分の力で頑張るカッチン。完成したビーフシチューを差し出すカッチンだったが、威作は洋食も嫌いでまたもや怒り出してしまう。英子先生はそんな威作に対して、カッチンの頑張りを伝える。苦手な洋食を食した威作は、カッチンに対して「ありがとう」の言葉を返すのだった。

 基本的にはどんな逆境にもへこたれずに奮闘するカッチンだが、今回は特にへこたれてしまい、シミジミ、そして父親に対して泣き言を見せる。そんなカッチンに対して、英子先生はボビンの魔法によって「辛いときに、もう一度頑張る」ことを諭す。主人公の逆境を描き、そしてそこから成長するくだりを描くという、「良質な」ドラマとしては当たり前の展開であるが、その当たり前のことを分かりやすく丁寧に描いている。本番組は、「子供向け番組」ということもあってか、特に、主人公、そして視聴者に教える・伝えるという展開が多い。英子先生の「魔法の教室」の生徒達は、カッチン達だけではなく、視聴者達も含まれていると感じさせるのである。
(※威作の名前は、DVDの解説書を参照。)