【ストーリー紹介】公儀介錯人・拝一刀は、柳生一族総帥・烈堂の陰謀によって一族を惨殺され、失脚。一刀は唯一残された一子・大五郎を連れ、刺客道の旅を続ける。冥府魔道に生き、そして、いつの日か柳生烈堂を倒すために。
第3話「来ない明日へ」
放送日:1976/04/18 高額の賞金がかけられた拝親子に、次々と襲いかかる刺客達。一刀は、賞金稼ぎ・地獄造りの竜左が仕掛ける「裏地獄・茶店地獄」「本地獄・地獄流秘伝爆裂人形」をも破る。そんな中、一年前に一刀と出会い、事を構えた木颪の忘八者・酉蔵は近くに一刀がいることを知る。一刀に想いを寄せる酉蔵は、一刀に接触。一刀に酉蔵らと同じ格好をさせ改め番所を突破する。一刀に協力した為に捕らえられた酉蔵は、松崎代官所代官・佐久間軍兵衛から、義父・尾形三郎兵衛の命と忘八者存続を引き替えに一刀を討ち果たすよう脅迫され、やむなく一刀と対決。酉蔵は、すべてを察した一刀によりその命を絶った。産まれてからずっと男として生きてきた酉蔵は、初めて女として死んでいったのだった。
萬屋錦之介氏主演『子連れ狼』の最終シリーズであるこの第3部にて、長坂氏は脚本を7作担当。ただし、書籍『長坂秀佳術』によると、『子連れ狼』ではゴーストで何作か執筆しているとのこと。(P127) それが、第何部で何作手掛けているのかは不明。 第10話「魔道旅道しるべ」
放送日:1976/06/06 守山代官・刈谷将重の命により賞金稼ぎが集められ、選りすぐりの者に隠密手代として黒房黒十手が与えられた。一刀は、黒房黒十手を持つ鉄弓三兄弟と対決。三兄弟の放つ鉄の矢により傷ついた胴太貫を研ぐ為、研ぎ師・鏡の右近の元へ赴く。一方、元やくざの弥吉は賞金に目が眩んで一刀を狙うが、恋人・お峰の説得と、偶然出会った大五郎との触れ合いで心が揺らいでいた。黒房黒十手者を次々に手をかけ、一刀を狙う黒房黒十手者・風の玄内は、一刀と対決。丸腰と見せかけ、義手に仕込んだ剣で襲いかかる玄内だが、一刀に見破られ絶命。その対決を見ていた弥吉は、一度は足を洗う決心をしたものの、一刀の強さを目の当たりにして、自分の強さを試してみたいと感じて一刀と対峙。しかし、一刀に勝てるわけもなく、敗北。一刀は弥吉の命をとらず、いずこかへと去っていくのだった。
本作は魅力溢れる賞金稼ぎが大集合。六連銃の名手・六連の弥吉(演:松山省二氏)、かまいたちの如く見えない刀で相手を切る旋毛風無刀流・風の玄内(演:石橋雅史氏)、鉄製の弓矢を使う鉄弓三兄弟・山彦(演:八名信夫氏)・谷彦(演:晴海勇三氏)・海彦(演:北村晃一氏)、棒槍の達人・諸刃流の棒槍天海(演:大前均氏)、長坂氏らしいバラエティー溢れる賞金稼ぎが続々登場。共に自慢の技を披露しており、『快傑ズバット』の用心棒のようでもある。ただし、今福正雄氏演じる鏡の右近は、いかにも用心棒のような名前だが研ぎ師である。(『快傑ズバット』(1977年)第27話には風の右近(演:山本昌平氏)なる名前の用心棒もいる。まさに、「風の玄内」と「鏡の右近」を足して二で割った名前である) 第13話「胸底の月」
放送日:1976/06/27 柳生に決戦を挑む為に旅を続ける一刀はついに江戸を目前にした。江戸への道は陸路と海路の二つ。柳生総帥・烈堂は陸路に柳生一門を配置、海路に幕府の御船手目付・向井将監を向かわせる。しかし、一刀は海路を守る為に出航した将監の船・麒麟丸に近づき乗り込んだ。一刀の狙いは陸路でも海路でもなく、追っ手の船を乗っ取り江戸入りすることだったのだ。一刀よって斬られた将監の死の間際の命で江戸へ向かう麒麟丸。そんな中、船員が一人ずつ謎の死を遂げた。麒麟丸の中にむら雲柳生の手のものが紛れ込んでいたのだ。遭難者として乗り込んでいたむら雲柳生の女・おりょうを討ち、船屋敷に到着する麒麟丸。亡き父の命により一刀を送り届けた将監の息子・主悦は、一刀に戦いを挑み、そしてその命を絶つ。ついに江戸入りを果たした一刀であった。
原作はドラマと同タイトル「胸底の月」。原作では二人の女、荒海水軍黒若衆小頭・千鳥とむら雲柳生の女・おりょうのくだりは無し。また、将監の息子・主悦も登場せず、将監を中心とする「父と子」のドラマは長坂氏のオリジナルである。 第17話「香りを着て」
放送日:1976/07/25 烈堂に追われながら一刀の足取りを追う頼母。一方、一刀は亡き妻・あざみに長年使えた下僕・竹阿弥より、預けていた刺客料、しめて四万二千両を受け取る。その足で廻船問屋・長崎家に向かった一刀は、その金で禁制品・投擲雷を入手。投擲雷――それは、恐るべき威力を持つ爆薬であった。続けて呉服太物・丹後屋へ向かう一刀。主人・丹後屋仁兵衛に白羽二重を譲っていただくよう懇願する一刀だが、丹後屋は子供に売る死装束は無いと拒否。しかし、死装束の意味を知る大五郎は、仏壇の前で白羽二重の反物を羽織り身をもって訴える。その心に打たれた丹後屋は精魂込めて白羽二重を織る。すべての準備を終え浄満寺に向かう一刀。しかし、そこには和尚に化けて毒殺を謀る頼母が待ち構えていた。
原作は「火と水と毒と」「香りを着て」の2作。ほぼ忠実にシナリオ化、そして映像化されている。原作ではこのあたりに殺陣のシーンがない為、原作には無い阿部一門毒草狩り衆との戦いが冒頭に加えられたと思われる。その為、他の回に比べると殺陣のシーンは少ないが、その分、一刀と接するゲストとのドラマ描写に重点が置かれている。一刀が貯めてきた刺客料を守る竹阿弥との別れ、一刀に「男の中の男」の姿を見る長崎屋、一刀に対し武士の心遣いで接する丹後屋。原作通りの展開ではあるが、その完成度の高い原作を見事にまとめあげ、密度の濃いドラマに仕上がっている。 第18話「父と子と投擲雷」
放送日:1976/08/01 浄満寺で一刀を待ち構えていた頼母は、姿を現した一刀に毒入りの汁を馳走する。しかし、毒入りを見抜いた一刀は、「八丁河原で待つ」と烈堂に伝えるよう残して去った。続いて頼母の前に現れた烈堂もまた、八丁河原へと向かう。烈堂を待つ一刀は長崎家から投擲雷を受け取り、大五郎に与える。大五郎に、自らの力で柳生一族と構えさせる為である。ついに対峙する一刀と烈堂。熾烈を極める決戦。投擲雷を使う大五郎の活躍で血路を開く一刀は柳生一族を看破、残るは烈堂ただ一人。しかし、その前に血相を変えた長崎家の姿が。八丁河原を洪水にし、一刀と烈堂を亡き者にしようと企んだ頼母が、勘違いして別の水門を開いた為に江戸中が大洪水の危機に晒されているという。その危機を救う為には、一刀の投擲雷を使って土手の片側を爆破し洪水を止める他はない。江戸を救う為、一刀と烈堂は刀を置き、土手へと急いだ。
原作は「九仞の功」「投擲雷」「天と地と」の3作。ほぼ原作通りの展開である。 第21話「あるいは死参」
放送日:1976/08/22 大五郎の傷も癒え、三たび相まみえることを誓う一刀と烈堂。烈堂の元から一刀は去り、また、烈堂には将軍から召喚の命が下っていた。奥祐筆組頭・中川市兵衛の娘・おかんの報告により異変を感じ取った烈堂は、天下六十余州に散った柳生草の招集を命じ、江戸城へと赴く。一方、一刀は大五郎と共に妻・あざみの墓参りを済ます。大五郎にとって四年ぶりの母との対面であった。その一刀を狙う旗本・狼組二番隊であったが、一刀に敵うはずも無く、命を落とす。江戸城から下城しない烈堂の言葉に従い、おかんはその身をもって奔走の狼煙を上げ、爆発に傷ついた体を引きずり一刀に烈堂からの伝言を伝える。「あるいは死参」と。烈堂の身に何かが起こっていることを知る一刀であった。
原作は「残り花」「石積みの中で」「あるいは死参」の3作。ほぼ原作通りの展開であるが、狼組のくだりはテレビオリジナルである。 第22話「父子草大五郎」
放送日:1976/08/29 一刀に討たれた二番隊の仇を討とうと、狼組一番隊は一刀の隙をうかがい、狙いを大五郎に定める。大五郎と仲良くなった乞食の少女・おかねを囮に大五郎を呼び寄せるが、一刀に阻止される。一方、奔走の狼煙により、今までの生活に別れを告げ江戸へ向かう者達がいた。武州川越藩では川越藩馬廻り役・小山田典膳が、館山藩名古寺では住職・無生が、そして、信州小諸藩では、御影新八郎が旅立とうとしていた。御影新八郎が所在する信州小諸藩は大飢饉に見舞われており、新田開発の為の用水工事に取りかかっていたのだが、軽石地帯の為に水を引いてもすべて吸い取られてしまい、完成できずにいた。そんな時、奔走の狼煙により江戸へ起たなくてはならなくなった新八郎は、草であった痕跡を消す為、息子・小一郎までも自分の手で殺め、江戸へと旅立つ。残された妻・うずみが、水死した息子の為へと、寒かろうと川へ綿を流すのを見た藩主・内膳正は、綿を底に敷き詰め水漏れを防ぐことを思いついた。実は、この綿埋の水流し法は柳生草の秘伝なのであった。
原作は「石積みの中で」「奔草記之一 小山田主馬の場合」「奔草記之二 名古寺無生の場合」「奔草記之三 今日もつつがなく」「ちゃのこにアシヤエ ひるコビリ おちゃずにヨメシ」「その手に」、第21話と同様、狼組のくだりはテレビオリジナルである。 |