「忍者キャプター」長坂作品エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 忍術によって日本征服を企む風魔烈風率いる風魔忍群。 しかしその中の一人、出雲大介は風魔忍群のやり方に反発して抜忍となった。風魔と同じく、忍者の血を現代まで守りつづけていた天堂家の主・天堂無人は、出雲大介を仲間に迎えて「忍者キャプター」を結成。風魔忍群の悪事と闘うのであった。


第24話「火忍をあやつる地獄笛」

放送日:1976/09/15
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:井原幹雄、菅野園子/藤原哲也、籠瀬富美子/平井公彦、樋山雅子、加藤敏和

 風魔一族・ハガクレに襲われる5人の子ら。子供たちをガードするキャプターの7人は、子供らの一人・メグミを襲うハガクレと対決。しかし、その隙に分身の術を使ってもう一人の子供・ケン太を襲うハガクレ。間一髪のところを救ったのはなんと出雲大介!? メグミの側にいた大介は、実は天童無人の孫娘・美樹の変装だったのだ。ハガクレの目的がケン太の持つ笛だと知るキャプター。その笛は、笛の音を聞いた者は悪魔の心になるという地獄笛だったのだ。笛を預けるようケン太に迫る大介だが、ケン太は母の形見であるその笛は渡せないという。死んだはずのケン太の母に化けてケン太を捕らえるハガクレは、大介、そして残る6人のキャプターを笛の音で操り、キャプターの7人は仲間同士争い始める。しかし、いつの間にかキャプターの手により子供達は救われる。実はハガクレが奪った笛は大介がすり替えた偽物だったのだ。ハガクレを撃退し、笛を取り返す大介だったが、ケン太は笛を真っ二つにへし折る。これからは母の想い出の笛に頼らず、強く生きることを誓うケン太だった。

 本作『忍者キャプター』では長坂氏は1作のみを担当。中盤である第24話(全43話)の本作しか執筆していないのだが、『忍者キャプター』の設定を活かした傑作となっている。
 吹き方によっては聞いた者が悪魔の心になるという地獄笛。笛を持つケン太が語る通り、「この笛は悪くない。間違った吹き方さえしなきゃ、きれいな笛の音が出る」「きれいな笛の音は人の心をきれいにする」なのである。有名なところでは『鉄人28号』の「いいも悪いもリモコン次第」、『マジンガーZ』の「神にも悪魔にもなれる」等に見られるテーマであるが、長坂氏はこれに「少年の成長」というテーマを盛り込み見事昇華。それに、キャプターと風魔の騙し合いなど、短い時間の中に数々の見所を盛り込んだ娯楽作に仕上げている。
 大介がハガクレに化け、そして三郎兵衛が真田巡査に化けてケン太を守っているシーン。メグミを襲うハガクレと戦う他のメンバーだが、その後大介は天童美樹の変装だと判明するが、三郎兵衛の説明は無い。しかし、台本上ではこのくだりの説明もきちんとされており、美樹が変装を解いた後に真田巡査が雷忍の格好をしていたと判明するシーンがある。真田は「何のマネです? 何かの宣伝ですかァ?」と語っており、何も理解せずに変装させられたようである。
(※ケン太、メグミ、ハガクレの漢字表記は、台本を参照)


 ――この闘いの後、キャプターの7人は風魔一族の頭・風魔烈風を倒し、風魔一族は滅亡。しかし、新たに現れた敵、甲賀・暗闇忍堂。アメリカに旅立った桜公路マリアに代わって花忍になった天童美樹を迎え、キャプターは暗闇忍堂と闘い続けるのだった。