【ストーリー紹介】殉職した兄の遺志を継いで刑事になった青年・勝山剛。転勤した三神鉄男に代わって城南署に配属された剛は、数々の事件に体当たりで挑んでいく。
第1話「青春は走る」
放送日:1976/06/07 城南署の新米刑事・勝山剛。暴力を憎み過ぎるあまりのその無鉄砲ぶりな仕事ぶりで時村に叱られてばかり。昔、刑事だった兄は暴力団の抗争に巻き込まれた少女を救うために殉職。今際の際の「刑事というものは……」の言葉の答えを見つける為剛は奮闘していた。そんな時、銃器密売事件を追う風間と島崎は、白柄組と、その陰に隠れている組織を捜査。しかし、白柄組の傍若無人な振る舞いに血がのぼった剛は白柄組に乗り込むが逆に窮地に。それを突然現れた寿司屋が救った。その寿司屋の正体は元城南署刑事で今は本庁刑事の三神鉄男だった。失敗を繰り返す剛に、時村は「兄貴と同じ刑事になると思うな。お前しかなれない刑事になるんだ」と激励の言葉を贈る。剛は白柄組のヤクザを発見、追跡し、取引現場に踏み込むが追跡中に負傷したために再び窮地に。そこへ鉄男が駆け付け二人で組織を一網打尽に。影の組織である関東連合会幹部のイワタゴロウを逮捕するのだった。
『それ行け!カッチン』を挟んで復活した本番組シリーズは、主役を桜木健一氏演じる三神鉄男から星正人氏演じる勝山剛にバトンタッチ。ただし城南署のメンバーは全員続投という珍しいパターンであった。ちなみに長坂氏の作品では(事情はあるものの)「外科病棟 女医の事件ファイル」(1991年)が同じケースといえようか。 第2話「レモン色の涙」
放送日:1976/06/14 密輸ダイヤグループの一味・峰ダイゾウを張り込む城南署。唯一面が割れていない剛が峰の尾行を担当するが、尾行中に女性の悲鳴声を聞いた剛は悩んだ挙げ句悲鳴の方向へ駆け付ける。が、それは単に女性がネズミを怖がっていただけのもので事件性は無かった。時村に叱咤される剛は次に失敗したら辞職すると豪語。翌日峰を尾行する剛だが、怪しげな女に付きまとわれ再び失敗する。剛の辞表を破り捨てる時村は半人前には辞表を書く資格は無いと叱咤、剛は時村の本心を代弁する妙子の言葉や香織の気配りに再びファイトを燃やす。剛は連日尾行の邪魔をした女性が同一人物であると気付き、その時の落とし物から峰の娘・ユリだと突き止めた。脅迫されてるという父を守りたい一心だったと告白するユリの言葉に、峰は剛をアジトへ案内すると決意。アジトに踏み込んだ剛は風間たちの応援を得て、グループを逮捕するのだった。
『刑事くん』シリーズ全体にいえることだが、サブタイトルと本編の意味の関連性があまり無いような回が時折あり、その中でも本作は特に意味が分からない。「レモン色」とは何だろうか? ちなみに「レモン」は関係無し。当時の流行りだろうか……。 第7話「兄の詩」
放送日:1976/07/19 麻薬密売組織オオトネグループの新会長・白馬ノボルの逮捕を目論む城南署であったが、幹部・マツヤマアキラを追跡する剛は、突如現れた謎の女・イナバミキに邪魔をされ失敗。剛はまたもや時村に大目玉を食らってしまう。さらに剛はミキを追跡、問い詰めるが逆に手酷くやられてしまった。しかし、ミキが麻薬取締官であることが判明、5年前にミキの兄・シゲルが麻薬取締官としてオオトネグループを追っている最中に行方不明になり、翌年、ミキは兄の後を追い麻薬取締官になったという。剛はオオトネグループに潜入しようとするミキを止めようと必死で立ち塞がり、同じく兄を失った人間としての気持ちを説く。その後、公安からの連絡でシゲルが白馬だと判明。これから白馬と接触するというミキを心配する剛は、先にシゲルに接触、自首を勧めるが、後から現れたミキに自分の正体を明かしたシゲルはミキに死ぬか仲間になるか迫る。怒りに燃える剛はミキと共に激闘、グループを一網打尽にしシゲルを追い詰めた。ミキの手術代の為に悪に手を染めた自分が弱い人間だったと詫びるシゲルに、ミキは泣きながら手錠をかけるのだった。
本作のゲストは志穂美悦子氏。予告では「主演星正人とゲスト志穂美悦子の息詰まるアクション」と紹介されている。ちなみに、『刑事くん』シリーズで志穂美氏が登場したのは2度、2度とも長坂氏の作品である。(もう一作は第3シリーズ第40話「明日へ駈ける君」) 第9話「白い帽子に青い風」
放送日:1976/08/02 銃器密売の取引現場を張り込む剛。その目前でツバキ組の幹部に突然若い女性・サエコが木刀で殴りかかった。逆に袋叩きにあうサエコを救いに飛び出す剛。彼女の大怪我が自分の責任だと感じた剛はひたむきに毎日見舞いに訪れる。剣道師範だった兄をツバキ組に殺されたサエコは、兄に教えてもらった剣道で仇を討ちたかったという。証拠が無い為にツバキ組を逮捕しなかった警察は信用できないと語るサエコに、必ず逮捕するから二度と木刀は持たないよう懇願する剛。しかし、既に風間と島崎がツバキ組を逮捕した後だった。そして、新たな事件として木刀魔を追う風間と島崎だったが、剛は外されてしまう。捜査に加えさせてもらえない剛は、無断で木刀魔の張り込みに向かうが、剛の為に風間達の張り込みは失敗、またもや時村から大目玉を食らう。一方、剛に好意を寄せるサエコは、自分の為に剛の立場が悪くなっていることを知り身を引く決意を。そして剛への最後のプレゼントだと、木刀を片手に自ら囮になる。3人組の木刀魔と対決するサエコは、苦戦。そこへ駆け付けた剛は3人を逮捕、サエコは剛にさよならを告げ、青森のおじのところへ去っていくのだった。
第7話に続き、本作でもゲスト主役に「兄」が絡むエピソード。本シリーズの主人公・剛が殉職した兄の影響で刑事になったという設定の為、その設定に絡める為であろうか。第3シリーズまでの父との絡みに比べ、本作では兄との絡みが目立つ。 第18話「秋・ふたりの涙」
放送日:1976/10/04 アズマ科学の社長・アズマヨウヘイの娘・ヒカルが誘拐されたとの連絡を受けアズマ家へ急行する城南署の面々。しかし、そこに誘拐されたはずのヒカルが帰宅。事情が飲み込めない一同にかかって来た犯人の電話から、犯人がまだ若い年齢であるヨウヘイの後妻・ユウコを間違えて誘拐したと判明する。一人で来いという犯人の指示に、ヒカルの恋人に扮した剛が身代金を手に指定場所へ向かうが、事情を知らないヒカルが偶然その場所に現れた為、剛が刑事であることがバレてしまい取引は失敗に終わった。自分よりも義母の方が大事だと感じ家を飛び出すヒカル。ヨウヘイは剛に、「妻のことは刑事に任せることが出来るが、娘のことは私にしかできない」と雨の中を探し続け、そんな父の姿にヒカルは心打たれる。犯人から取引の電話を聞いたヒカルは、責任を感じ一人で指定場所に向かう。後を追う剛は、襲われるヒカルを救い犯人を逮捕、ユウコを救い出すのだった。
本作のゲストはアイドルの岡田奈々氏。予告にて「岡田奈々をゲストに迎えて送る」と紹介され、いつものパターンでは劇中でゲストアイドルの歌が流れるところだが、本作の中盤で流れた歌は本番組のヒロイン・浅野ゆう子氏の歌う「セクシーバスストップ」(1976年)。この時期は岡田氏も立て続けにシングルを出していただけに本話でもそれらが流れそうなものなのだが、何か理由があるのだろうか? 第19話「何をためらう若い日に」
放送日:1976/10/11 愛人殺しの犯人・矢尾井は幼児を人質に逃走。その後逃走に使われた車と幼児の絞殺死体が鳥取県米子海岸で発見された。鳥取へ向かった剛は、矢尾井を発見し、あとを追うが矢尾井は車で逃走。そこへ現れた青年・クボカワタカシから馬を借りた剛は追跡するが、慣れない為に落馬の連続。そんな剛を尻目にジープで追跡するクボカワだが、矢尾井に襲われ傷つく。矢尾井の目的が、盗んだ宝石を愛人・ミネヤマアイコが彼女の地元である鳥取のどこかに郵送していたことから、その宝石を追っているのだと判明。そのアイコがクボカワの昔の恋人だと剛は知った。あくまでも自分で仇を討つと息巻くクボカワ。アイコが宝石を元教師のヤギに預けたと判明、クボカワの誕生日に彼の夢だった牧場の資金として渡すよう頼んでいたという。しかし、矢尾井は宝石を強奪、妙子を人質に逃走する。追跡する剛とクボカワ。船で逃げるクボカワだが、剛はクボカワの協力により見事逮捕するのだった。
本作は鳥取県米子海岸ロケ。剛に続いて、島崎、妙子、時村も現地に訪れているが、なぜか風間だけは移動していない。風間役を演じる宮内洋氏が『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年〜1977年)の撮影との掛け持ちである為、スケジュール的に厳しかったということだろうか? どうしても「行動隊長」的なイメージが先行し、留守番役というイメージは無いのであるが……。 第26話「海の青さは明日の色」
放送日:1976/11/29 ヨニヤマ組・イトウブイチが密輸銃器の仲買人として動き出したことを察知した城南署。イトウが接触する連絡屋を突き止める為、喫茶店を張り込む剛。しかし、イトウは誰とも接触せずに即座に店を後にした。イトウを尾行する剛だが、警戒が厳しく気付かれそうに。そこへ「ちびっこ刑事」を自称する少年が剛を刑事だと知り、自分が尾行すると言って強引にイトウの跡を付け、程無くその少年はイトウに撃たれて重傷。自分が止めていればと悔やみ辞表を出す剛を時村は叱咤する。再び同じ喫茶店で張り込むがイトウの動きは無かった。二度ともその場に妙子ととある男がいたことに不審を抱いた剛は問い詰めるが、その男は水上警察の捜査係長である妙子の兄で、密輸グループ側の動きを追っていたのだ。その後連絡屋を突き止めたという妙子の兄の電話連絡を受け彼の元へ駆け付ける剛だったが、妙子の兄は何も知らないと前言を撤回。不審に抱いた剛は、妙子の兄の息子・ススムの命と引き換えに証言拒否を迫られているのだと知る。しかし、喫茶店内での合図の目印に気が付いた剛は連絡員を尋問して取引場所を聞き出し組織を一網打尽に。そして、モーターボートで逃走するイトウを見事逮捕した。それから剛は、妙子の兄が時村に剛が欲しいと強引に懇願した為、水上警察署への栄転の辞令を受け取る。剛は新たな職場にファイトを燃やすのだった。
重箱の隅をつつくようであるが、「昨日、今日」や「一昨日も昨日も」の台詞から喫茶店での張り込みが二日連続ということになるが、映像を見る限りでは、最初の喫茶店の張り込みの翌日に少年が撃たれた後で夜になり、そして翌日を迎え二度目の喫茶店の張り込みをしているように見える為、連続ではなく1日挟んでいるように見える。シナリオでは少年が撃たれた後に夜にならずそのまま喫茶店での張り込みが行われたのではないだろうか? |