「超神ビビューン」長坂作品エピソード あらすじ・解説


※俳優のキャスティングは、テロップではなく声から割り出したものの為、誤りがある可能性があります。ご了承ください。尚、もし誤りに気づかれた方がおりましたら、ご指摘いただけると助かります。

【ストーリー紹介】

 妖怪が現代に復活した。そのことを予言していた超神研究所のダイマ博士は「破軍星の儀式」を行い、3人の若者がアクマイザー3の魂を受け継いだ。月村圭にはザビタン、渡部剛にはイビル、菅一郎にはガブラが乗り移り、彼らはそれぞれ超神ビビューン、バシャーン、ズシーンとなって、大魔王ガルバー率いる妖怪達と戦うのだ。


第5話「呼べば答える?不思議な山彦」

放送日:1976/08/10
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:鈴木美咲(エイ子)、台座あけみ(姉・ナオコ)、日高久美子(姉・?)/藤原哲也(子供探検隊)、中野宣之(子供探検隊)、谷部勝彦(子供探検隊)、赤木秀行(子供探検隊)/細井重之(妖怪コダマーンの声)

 エイ子率いる子供探検隊は、妖怪出現の噂がある山へ探検に向かった。「引き返せ」という月村の言葉を無視した彼らは、木霊の呼び声に答えた為に枯れ木に食べられてしまう。10万人の人間を食べ終わった枯れ木は妖怪・コダマーンに変身、自由に動ける姿へと形を変えた。女の子を食べれば寿命が1年伸びるというコダマーンは、エイ子にその牙をむける。その前に現れたビビューンはコダマーンと対決。呼び声に答えた為にコダマーンに吸い込まれてしまうが、体内で大暴れ。バラバラに切り刻んで薪にし、炭焼きにして退治した。しかし、復活したコダマーンがエイ子とその二人の姉、そしてリサを狙う。その窮地を三超神が救い、見事撃破。スカイケンで仏像の姿にして山奥へと送り込むのだった。

 本番組は『アクマイザー3』の後番組。長坂氏は『アクマイザー3』に引き続いてメインライターとして活躍する。ただし、『アクマイザー3』では全体の7割近くを担当しているのに対し、本番組では4割にも満たず、また、『アクマイザー3』と異なり第1話、最終話ともに手掛けていない。
 妖怪の戦闘員「ヨウキ」は、台本によると「妖鬼」と書く。
 第5話と第6話の準備稿台本では、明智リサ役の林美樹氏の名前が、本名である「梶原隆子」になっている。
 準備稿台本のタイトルは「呼べば答える 妖怪コダマーン」、話数は第六話である。準備稿と映像の違いはほとんど無し。ビビューンが一度目にコダマーンを倒した後、超神ルームに戻った月村の肩についていた種が妖鬼になって襲いかかるシーン、直後、エイ子についていた種が妖鬼になって襲いかかるシーンが映像ではカットされている。
 エイ子の姉の名は、準備稿台本ではリエ子(20)とチズ子(18)、稿表記無し台本(おそらく決定稿)では尚子(20)と千恵子(18)である。
 (※エイ子の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第6話「鏡の中に消えた?白いドレスの少女」

放送日:1976/08/17
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:立花りえ(秋代)、高尾礼子(鏡子)、岡田亜美(少女)、中井貴美子(?)/瀬能礼子(妖怪カガミラーの声)

 神隠し――不気味な洋館へと姿へ消す少女たち。催眠術にかけられた少女・秋代を追う月村とリサは、洋館にある鏡の中に吸い寄せられようになる秋代を救い出した。一方、アクセサリー屋の店員・鏡子に恋をした渡部は、その店の手鏡を購入。その後、催眠術にかけられ夢遊状態の鏡子を目撃し、後を追う渡部と菅。だが、鏡子の正体は妖怪・カガミラーだった。自分より若く美しい女性が許せない為、その魂を吸い取っていたのだ。立ちはだかる三超神の前に逃走するカガミラー。直後、渡部が買った手鏡を手にしたリサが操られ姿を消す。手掛かりの無い月村達は、秋代を囮に尾行。カガミラーを発見した三超人はカガミラーと対決。ビビューンは、スカイケンによって作り出した鏡によってカガミラーの攻撃を反射、そしてとどめをさし、鏡に捕らわれていた少女達を救い出したのだった。

 準備稿台本のタイトルは「妖怪カガミラーと美少女たち」、話数は第五話である。準備稿と映像の違いはほとんど無し。ビリンとベニシャークがダイマ博士をからかうシーンで、「おーたんこなす」「ボーケナス」とからかわれたダイマ博士が「わしゃ、ナスは大キライなンだッ!」と言い返す台詞があるが映像ではカット。そんな設定があったのか……。
 (※秋代、鏡子の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第11話「壁が人をのむ?ステレオの秘密」

放送日:1976/09/28
脚本:長坂秀佳
監督:小山幹夫
ゲスト:今井美佐子(お手伝い・お花)、竹中ゆりか(アケミ)、脇谷 透(ヨシヒロ)/佐藤 純(ユーゾー)、武満美砂枝(女の子たち)、三清直美(女の子たち)、村井祥子(女の子たち)/池水通洋(妖怪カベヌリの声)

 部屋でステレオを聴いていた少年・ヨシヒロの目前で、壁に妙な青いシミが現れた。そのシミから覗く不気味な目。怯えるヨシヒロの前で、お手伝いの花子が姿を消した。それは妖怪・カベヌリの仕業だった。鳴り響くステレオの音で眠りを覚まされたその復讐として、周りの人間を一人一人食い殺し、最後にヨシヒロを殺すと宣告するカベヌリ。一方、壁に不思議なものを目撃した月村は調査を開始。ダイマ博士が発明した妖怪閉じ込め液を壁に塗布するが、カベヌリは既にヨシヒロの学校へ向かった後だった。次々とヨシヒロの友達を壁の中へ取り込むカベヌリは、次にヨシヒロを襲う。そこへズシーンが助けに現れるが、壁の中に閉じ込められてしまった。駆け付けたビビューンとバシャーンはズシーンを救助、しかし、カベヌリは姿を消した。次に、花子に姿を変えたカベヌリがヨシヒロの友達・アケミを狙うが、三超神が阻止、カベヌリを退治するのだった。

 準備稿台本のタイトルは実際のものと同じ、話数は空白である。
 本作は準備稿と映像とでは相違点がいくつかある。
 ・冒頭、月村が三太にレコードを買ってやるシーンがあるが、映像ではカット。その後、ヨシヒロが同級生のA子、B子、C子と共にレコードを購入。ユーゾーが「アイツばかりが何故もてる?」とすね、それをアケミが「4チャンネルがモテてるだけ」だと慰める。そこへヨシヒロがアケミを家に誘うが、アケミは「ユーゾーと一緒なら」と返事し、ヨシヒロがふてくされ、映像の冒頭であるレコードを聴いているシーンへと繋がる。ここはすべてカットされた。(※4チャンネルとは、当時最先端であったオーディオ規格の名称)
 ・台本では、授業が終わった後、アケミとユーゾーがヨシヒロを守ると告げるが、ヨシヒロは「おれ、もう少し本当の強い男になんなくっちゃな」と言って走り去るシーンがあるが映像ではカット。
 ・台本では、ユーゾーのことをト書きで「寅さん的な顔の持主」と表している。
 お手伝いのお花さんこと花子を演じているのは今井美佐子氏。前番組『アクマイザー3』(1975年〜1976年)でも長坂作品にゲスト出演している(第4話「なぜだ?!イビルの裏切り」) 妖怪・カベヌリの声は池水通洋氏。今井氏と池水氏といえば、『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)第25話「来るなら来い!グザレ」のベルーヌとビイゴメス少将でもある。
 冒頭、ヨシヒロたちがレコードで聴いている曲はベートーベンの「運命」、それに、西城秀樹氏の「ジャガー」(1976年6月発売)である。ギャップが激しい組み合わせではある。
 準備稿台本によると、アケミ、ヨシヒロ、ユーゾーはすべてカタカナ表記である。
 (※ヨシヒロ、アケミ、ユーゾー、花子の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第13話「ハニワが歩いた?怪奇な足跡」

放送日:1976/10/12
脚本:長坂秀佳
監督:小山幹夫
ゲスト:蝦名由起子(葉子)、中島隆彦(ケン一)、世樹まゆ子(姉・美枝子)/立川とも子(通りがかりの女)、高瀬ゆり(通りがかりの女)/納谷六朗(妖怪ハニワーンの声)

 考古学クラブ研究発表会の為に山へ採掘に出かけた小学生、ケン一と葉子。そこでハニワを発見、持ち帰るケン一。その夜ハニワが姿を消し、いつの間にか大きな足跡と共に庭に落ちていた。価値のあるハニワを誰かが狙っていると思ったケン一は、葉子にハニワを預ける。その頃、近所で女性が襲われる事件が発生。事件を追う月村たちは、犯行現場の直線上にケン一の家があることを知る。そしてそのハニワの正体が妖怪で、葉子を狙っていると推測し、急行。その妖怪・ハニワーンは、自分の三千年の眠りを覚まし、汚した葉子の命を狙っていたのだ。襲われる葉子を三超神が救出、ハニワーンは撤退する。翌日、リサを葉子の替え玉にして護衛、本物の葉子をケン一の姉・美枝子に託すが、その美枝子はハニワーンが変身した姿だった。襲われる葉子を間一髪で三超神が救出、ハニワーンを倒すのだった。

 準備稿台本のタイトルは実際のものと同じ、話数は空白である。準備稿と映像の違いはほとんど無し。
 女性を襲い葉子の家まで来たハニワーンが、車が近づいた為に立ち去るシーン。車=人が近づいたから逃げ出したように見せておいて、実は、車のヘッドライト=強い電気の光の為に逃げたという伏線。さりげなく伏線を張り巡らせるその手腕はいかにも長坂氏らしい。
 (※ケン一、葉子、美枝子の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第16話「柱が動く?何だかヘンなツトム君」

放送日:1976/11/02
脚本:長坂秀佳
監督:田口勝彦
ゲスト:長谷川 誉(平山ツトム)、小池朱実(その姉)、石原百代(母親)、関 悦子(百恵)/大木民夫(妖怪サカサバシラの声)

 新居に住む平山家の子・ツトムは、親に怒られた腹いせに部屋の柱に傷をつけた。ちょうどその日、その柱に住みついていた妖怪・サカサバシラが目を覚まし、体に傷を付けたツトムに迫る。気の弱いツトムは、不気味な柱の前に、好意を寄せているモモエの前でもビクビクと怯えるばかり。ツトムの母を呪い柱にかけたサカサバシラは、ツトムの姉に化けツトムを襲うが、ビビューンが阻止。次に、サカサバシラは柱に護符を貼ったモモエを襲う。勇気を振り絞り勇敢にモモエを庇うツトム。窮地の2人を三超神が救い、サカサバシラを葬った。ツトムはこれからは強い男になると誓うのであった。

 本作は、当時『みんなのうた』で放送され大ヒットした歌『山口さんちのツトム君』の影響をかなり受けている。(レコードの発売は本番組と同年である1976年。) 子供の名前を「ツトム」に設定、サブタイトルや、本編の台詞でも「ツトム君、なんだかこの頃ヘンよ」と言わせるほど、かなり意識している。なお、ツトム君の苗字は「山口」ではなくて「平山」。おそらく、「山口」をもじった名前を考えたのだろうが、そこで、本番組のプロデューサーである平山亨氏の苗字が抜擢されたということであろうか? また、この曲は同じく長坂作品である第11話「壁が人をのむ?ステレオの秘密」でも三太が聴くレコードとして流れている。
 (※ツトムの漢字表記は、サブタイトルの表記を参照。モモエの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第18話「古銭から煙が?ヒネクレ少年の初恋」

放送日:1976/11/16
脚本:長坂秀佳
監督:田口勝彦
ゲスト:国 睦子(母親)、松岡まり子(先生)、寺嶋浩昭(テルオ)、杉本敦子(マユミ)/大栗正史(マサル)、石橋功次(子供たち)、野田利明(子供たち)、近藤克明(子供たち)/仁内達之(妖怪カネダマの声)

 いつも素直になれないヒネクレ者の少年・テル男に古銭の妖怪カネダマが取り憑いた。人間に恨みを持つカネダマは、取り憑いた子供の恨みを吸い取り、子供が発言したことを現実としてしまうのだ。心にもないテル男の言葉の通り、母親は逆さ磔にされ、友人は石の下敷きになってしまった。次に、先生に対して「池にはまって死んじまえ」と暴言、続けて友達のマユミには「八つ裂きになって死んじまえ」と吐き捨てるテル男。その言葉通り襲われる先生を、間一髪でズシーンとバシャーンが救う。月村から、一連の事件がカネダマの仕業だと聞かされたテル男は、マユミへの暴言を思い出した。次はマユミが危ない! 襲われたマユミを救い、カネダマを倒す三超神。テル男はこれから素直になることを誓うのだった。

 ゲストの教師役・松岡まり子氏は、『アクマイザー3』(1975年〜1976年)でもゲスト出演、第29話「なぜだ?!裁かれるザビタン」(長坂作品)にてコマイヌーンにアクマ裁判をかけられるミネカワミサキである。
 (※テル男、マユミの漢字表記は、台本を参照。)


第22話「蛙が娘になる?ごめんね母さん」

放送日:1976/12/14
脚本:長坂秀佳
監督:佐伯孚治
ゲスト:小野恵子(義母・千代子)、香山リカ(娘・ちとせ)/柄沢英二(父親)/加藤 修(現・加藤 治)(妖怪ガマガンマの声)

 病気になった妖怪ガマガンマが目を付けたひとりの少女・ちとせ。ヒネクレ者の体になら乗り移ることが出来るガマガンマには、義母を「あんた」呼ばわりし、反抗ばかりしているちとせが格好の餌食だった。早速乗り移り、目撃したちとせの義母・千代子を襲うガマガンマだが、事件を嗅ぎ付けた月村達に阻止され、ちとせの体から離脱して逃走。再びちとせを襲うガマガンマに、千代子は娘を助けてくれと懇願。ガマガンマの要求が女の生き血で代用できると知った千代子は自分の命を提供すると直訴。ガマガンマに連れ去られた。義母の心を知ったちとせは月村たちに母を助けてほしいと懇願。生き血を吸わんとするガマガンマの前に三超神が駆け付け、ガマガンマを退治した。再会した母子ははじめて心を通わすのであった。

 準備稿台本のタイトルは「ガマが娘に?ごめんね母さん」、話数は空白である。準備稿と映像の違いはほとんど無し。映像ではちとせの父が妻に対してある程度理解を示しているが、準備稿台本では、一方的に妻を責め立てている。
 準備稿台本では、ちとせの苗字は上条。義母の名が千代子で父の名が靖介である。
 義理とはいえ母親を「あんた」と呼ぶ娘。親に反抗している様を効果的に表現するこの描き方。長坂作品では、例えば『特捜最前線』(1977年〜1987年)第506話「橘警部・父と子の十字架」にて、橘刑事が息子に「あんた」と呼ばれ、苦悩する様を描いている。また、親子ではないが、同じく『特捜最前線』の第50話「兇弾・神代夏子死す!」にて津上刑事が神代課長に対し憎しみを込め「あんた」呼ばわりしているが、この津上刑事を演じたのは『超神ビビューン』で月村を演じた荒木しげる氏である。
 (※ちとせ、千代子の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第24話「妖怪も恐がる?大魔王ガルバー出現!!」

放送日:1976/12/28
脚本:長坂秀佳
監督:内田一作
ゲスト:村野奈子(通りすがりの女)、蔭山英美(すず子)/沢 りつお(妖怪ネコマタの声)

 女性を襲った妖怪ネコマタは、月村達に追われ咄嗟に近くにいた猫に乗り移った。その猫は三太の友達・スズコの飼い猫のチロ。ネコマタがチロに乗り移ったとスズコを諭す月村らだが、チロを亡くなった母親の生まれ変わりとして大事にしているスズコはチロを離そうとしない。その為にスズコを監視する月村だったが、出現したガルバーに襲われ危機に。そして、その隙に逃げ出したネコマタがスズコを襲う。スズコを救出するリサ、そしてバシャーンとズシーン。だが、バシャーンとズシーンはネコマタの妖怪猫マントに苦戦。そこへ駆け付けたビビューンの活躍により形勢は逆転。ネコマタを葬り去った三超神の前に、ついに大魔王ガルバーがその姿を現し宣戦布告を告げるのであった。

 今作にて、前作『アクマイザー3』(1975年〜1976年)よりその名前だけは登場していた悪の総大将「大魔王ガルバー」がついにその姿を現す。(その驚愕の正体は第26話にて語られる。)なお、本作では「大魔王ガルバー」と名乗っているものの、登場しているのはガルバーではなく「大魔王」の方である。また、それに伴い、妖怪パトロールが放つ「赤矢」も今作より毎回登場するようになる。
 (※スズコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第25話「初夢を食べられた?謎の妖怪城」

放送日:1977/01/04
脚本:長坂秀佳
監督:内田一作
ゲスト:菅原由美(千鶴)、田中和洋(三太の友達)/峰 恵研(妖怪バクバーの声)

 三太達の良い夢が気に入らない妖怪バクバーは、子供達の夢に入り込んで良い夢を吸い取り、変わりに悪い夢を見させてダイマ博士を殺すように仕向けた。操られダイマ博士の命を狙う三太達だが、三太の友達・チズルだけはなぜか操られなかった。三太の不審な動きに気付き、バクバーを追い詰めた三超神だったが、バクバーはチズルの夢の中に逃げ込んでしまった。このままではチズルの命が危ない。ダイマ博士によって夢の中に侵入する三超神。夢の中でチズルを屈させようとするバクバーだが、チズルは医者になるという自分の夢を捨てなかった。急病で妹を亡くしたチズルは、立派な医者になるという夢が人一倍強かったのだ。バクバーと対決する三超神だが、夢の中ではバクバーには敵わない。チズルの夢の中のビビューンは、彼女の気の持ちようで強くも弱くもなると諭す。チズルが「負けない」と気を強くした時、三超神はバクバーを倒したのだった。

 前回登場した大魔王ガルバーに続き、今作ではその根城である妖怪城が登場。
 子供達の夢の中で大暴れするダイマ博士の怪演が印象的な本作。「ワシはダイマ博士じゃ」のフレーズは、まさに夢にまで出てきそうである。
 (※チズルの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第26話「妖怪城に地獄が?!見たぞガルバーの正体」

放送日:1977/01/11
脚本:長坂秀佳
監督:平山公夫
ゲスト:佐野仲寿(ヒロシの兄)、佐野大介(ヒロシ)/沢 りつお(妖怪ノブスマの声)

 いつも喧嘩ばかりしている兄弟が妖怪ノブスマに襲われた。ノブスマの目的は、喧嘩好きの子供達の魂が好物だという大魔王ガルバーにその魂を献上することだった。さらわれた兄弟を追って妖怪城に乗り込んだ三超神の前に現れる大魔王、そしてガルバー。大魔王ガルバーとは、大魔王とガルバーの二人の名前だったのだ。ガルバーの攻撃を退けた三超神は兄弟を救出し、妖怪城から脱出。ノブスマを打ち倒した。助け出された兄弟は、喧嘩をせず仲良くなることを誓うのであった。

サブタイトルでも語られているとおり、大魔王ガルバーの正体が判明。第24話より登場していたのが「大魔王」で、その背後に、妖怪世界の総統「ガルバー」がいたことが語られる。実は連名であったという驚愕の事実。『特捜最前線』(1977年〜1987年)第54話「ナーンチャッテおじさんがいた!」の「小倉さん」と「義男さん」の逆バージョンといったところか?


第27話「月村がのっぺらぼうに?やったぜベニシャーク」

放送日:1977/01/18
脚本:長坂秀佳
監督:平山公夫
ゲスト:小貫千恵子(ミチヨ)、和久井節緒(八百屋)、夏海千佳子(ミチヨの母)/高田竜二(妖怪のっぺらぼうの声)

 三太の友達・ミチヨはお使いの帰りにおいてけ堀で「魂を置いていけ」という不気味な声を聞き逃げ出した。通りがかった月村に助けを求めたミチヨだったが、その顔はなんとのっぺらぼう! さらに、出会う人すべてがのっぺらぼうと化していた。それは、大魔王の命令で3000人の魂を狙う妖怪ノッペラボーの仕業だった。襲われたミチヨを救う月村達だが、ミチヨは月村たちを警戒。その隙にノッペラボーにさらわれてしまった。三超神はベニシャークの追跡でノッペラボーの隠れ家を突き止め、出撃。ノッペラボーを倒し、ミチヨを救い出すのであった。

 本番組のサブタイトルはすべて2行。最初の行は「?」「!」「?!」のいずれかが附属する。不思議なネーミングが多い本番組の中でも今作のサブタイトルは特殊で、2行目が1行目に直接関連していると思い込むと混乱してしまう。決して、月村がのっぺらぼうになったのに対して、ベニシャークが「やったぜ」という訳では無い。1.のっぺらぼうの姿をした月村が登場 → 2.ベニシャークの活躍で状況を打破 → 3.やったぜ! ……なのである。
 (※ミヨコの漢字表記は不明の為、ここではカタカナ表記で表している。)


第31話「影を食べられる?泣くなガキ大将」

放送日:1977/02/22
脚本:長坂秀佳
監督:加島 昭
ゲスト:テレサ野田(先生)、八幡洋之(伸吉)、松木 聖(切手売りの女)/高杉哲平(医師)/村松康雄(妖怪カゲオトコの声)

 意地悪なガキ大将の伸吉は、言うことを聞けば切手をあげるという美女の言葉に従って呪文を唱えた。すると、子供たちの影が次々と瓶の中に吸い込まれ、影を吸い取られた子供たちは皆、意識不明に。美女の正体が妖怪カゲオトコだと知った伸吉は逃げ出そうとするが、召使いとしてもっとたくさんの影を集めるよう脅迫される。泣きながら影を集める伸吉を発見した月村はカゲオトコの隠れ家に乗り込むが、それを察知したカゲオトコは影を吸い取った子供たちを操り月村を襲わせる。危機を脱した月村はビビューンに変身し、カゲオトコを撃退。伸吉は意地悪をしないと誓うのであった。

 準備稿台本のタイトルは「影を食べられる?いじめっ子を救え!!」、話数は三十一である。準備稿と映像の違いはほとんど無し。ダイマ博士がカゲオトコの説明をするシーンで、映像では「意地悪な子でなければよいがなあ」と語っているが、準備稿台本ではその後に、「妖怪に目を付けられる子供は概して悪い心の持主じゃ…(略)…その子がもしヒネクレていたり、イジワルだったりすると……」とある。長坂氏の脚本作品である第18話や第22話にも「ヒネクレ」というキーワードがあるが、「ヒネクレ少年・少女は妖怪に狙われやすいからよい子になりましょう」というメッセージが、この『超神ビビューン』という番組に隠されているのかもしれない。
 カゲオトコの化身は準備稿台本では美女と表記。その美女役の松木聖氏は『キカイダー01』(1973年〜1974年)のミサオを演じていた。
 テレサ野田氏が演じた先生の名前は、準備稿台本では美沙子先生である。
 (※伸吉の漢字表記は、準備稿台本を参照。)


第32話「シンドが死ぬ?大魔王覚悟」

放送日:1977/03/01
脚本:長坂秀佳
監督:内田一作
ゲスト:五十嵐五十鈴(子供たちの母親)、本庄和子(子供たちの母親)、横田輝樹(子供たち)、高橋秀典(子供たち)、下村和男(子供たち)/峰 恵研(妖怪ハンニャの声)

 三超神を襲うハンニャ部隊。だがそれは、妖怪ハンニャによって操られた子供たちの姿だった。その為、三超神は手も足も出せない。そして、ハンニャによって面を被らされた月村は、苦しめられ、さらにビビューンへの変身も封じられてしまった。破軍星の力を借りて面を外そうとするダイマ博士だが、それを知ったハンニャと大魔王が妨害。祈りの為に手が出せない月村を必死に護衛するバシャーン、ズシーン、リサの活躍で月村は見事復活、祈りに破れたハンニャは石となった。今まで幾度となく襲いかかって来た赤矢を撃った犯人を追った月村たちは、その犯人がシンドとビリンであったことを知る。大魔王に脅されてやむなく撃っていたと告白するシンドだが、秘密を喋った為に大魔王によって殺害される。悲しみに暮れる三超神は激闘の末に大魔王を撃破、そしてハンニャも倒した。しかし、ガルバーによって蘇った大魔王は、ガルバーより与えられたマントで10倍にパワーアップ、三超神への復讐を誓うのだった。

 長坂氏による本番組最終作。長坂氏によって第24話より描かれた妖怪パトロールの「赤矢」の真実が、レギュラーキャラクターのシンドの死と共に描かれる。最終話まで残り4作。クライマックスを間近に控え、物語は激しさを見せるが、残念ながらその最終話は長坂氏による筆のものではない。また、今まで目玉しか登場しなかったガルバーが、ついにその実態を現した。この後、第34話にてシンドに続きビリンが命を絶ち、次の第35話で大魔王を撃破。最終話である第36話にてガルバーを倒し、その物語は幕を閉じた。