「快傑ズバット」全エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 2月2日、青年科学者・飛鳥五郎が殺された。親友である私立探偵の早川健は、その仇をうつため、飛鳥が宇宙探索用に開発中だった強化服と特殊自動車の開発を受け継ぎ、「ズバットスーツ」と「ズバッカー」を完成させた。こうして早川はさすらいのヒーロー「快傑ズバット」となり、親友・飛鳥を殺した真犯人を探す旅に出たのだった。


第1話「さすらいは爆破のあとで」

放送日:1977/02/02
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:上野山功一(ランカーク)/依田英助(声)/[拳銃指導] 横山信一/江藤昭之(ダッカー幹部)/岡崎二朗(飛鳥五郎)

 平和な日常――戯れる幼稚園児を犯罪組織・地獄組が襲った。そこへ助けに現れた青年・飛鳥五郎だが、地獄組組長・地獄竜の用心棒・ランカークにより窮地に。その時、突如流れるギターの調べ。颯爽と登場した私立探偵・早川健は、ランカークを早打ち勝負で打ち負かした。無二の親友同士であった早川と飛鳥は、再会を喜び合う。だが、幼稚園バスに仕掛けられた時限爆弾により飛鳥は重傷。病院に運ばれた飛鳥は、謎の男の銃弾を浴び絶命した。復讐を誓った早川は、飛鳥が開発中だった強化服と特殊自動車を完成させた。病院を爆弾により脅迫し身代金を手にした地獄竜は、飛鳥の妹・みどりと少年・オサムを盾に早川を捕らえ、3人を拷問にかける。だが、一瞬の隙に早川が消え、代わりに参上したさすらいのヒーロー・ズバット! ランカークと地獄竜を倒したズバット=早川健の旅は今、はじまったのだ。

 台本では、冒頭の早川の出現は偶然ではなく、飛鳥を探偵に誘う為に訪れたことになっている。
 ランカーク役の上野山功一氏は、長坂作品では『超神ビビューン』(1976年〜1977年)にてダイマ博士を演じている。ほぼ同じ時期の作品だが、とても同一人物とは思えない演じ分けである。
 ラストシーンに見られるズバットカードのくだり。用心棒及びボスが退治されない第16話と第31話を除いた全話にある描写だが、第7話までは毎話東条がズバットカードを見るシーンがあるが、第8話以降は東条が登場しないパターンも見られるようになる。また、第1話から第3話まではカードに記された文章を東条が読み上げているが、第4話以降は早川が読み上げている。また、第3話と第4話のみ、カードにバラの花が添えられている。


第2話「炎の中の渡り鳥」

放送日:1977/02/09
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:柳谷 寛(彦左)/今井淳子(良子)、香山リカ(ミチ)/湯浅洋行(ブラックスター)、北山年夫(声)/江藤昭之(ダッカー幹部)/天本英世(風流之介)

 とある町にやって来た早川は、ブラックハート団に襲われていた彦左老人を救い、ブラックハート団のボス・ブラックスターの用心棒・風流之介との居合斬り勝負に勝利した。大賭博場を建設する為に彦左一家が経営するレストランに立ち退きを迫るブラックスター。深夜、レストランに火が放たれ、下手人を追った彦左が殺害される。そして、その晩から姿を消した早川は、ブラックスターの用心棒として、彦左の孫娘・良子とミチの前に現れる。早川に失望し、悲しみに暮れる姉妹。下手人を探す為にブラックハート団に潜り込んでいた早川だったが、すべてを見抜いていたブラックスターは良子とミチを捕らえ早川を誘き出し捕らえた。ギロチンにかけられるミチ。だが、一瞬の隙に早川が消え、代わりに登場したズバットが風流之介とブラックスターを倒すのだった。

 本話の舞台は西部劇を意識したような町、早川やみどりらも馬に乗って移動しており、その印象が非常に強い。本作品誕生のイメージとして影響を与えたといわれる映画『ギターを持った渡り鳥』(1959年)でも、主人公である小林旭氏演じる滝伸次が馬に乗って移動する様が印象深く、両作品のイメージがダブって見える。
 台本では、ブラックハート団はスペード団となっている。
 ズバット参上時の台詞「あまつさえ……」はこの第2話より語られるようになった。また、予告での「ズバットの真似は絶対にしないで下さい……」のフレーズもこの第2話の最後に流れる第3話の予告より使われるようになった。
 映像では、みどりとオサムが共に旅をしているような描写だが、台本ではそのシーンの直前に偶然出会うシーンがあった。全話を通し、みどりとオサムは二人一緒に登場するケース(第2・5・6・7・8・10〜12・14・15・18〜21・25・26・28・31・32話)が多いが、旅先で偶然出会うというケース(第3・4・9・30話)もある。


第3話「悲しき純金の天使」

放送日:1977/02/16
脚本:長坂秀佳
監督:奥中淳夫
ゲスト:大関優子(しずか)、水村泰三(山根)/森 裕介(殺し屋ジョー)、藤本伸仁(チンピラ)、鵜川貴範(一郎)/島田 彰(声)

 金バッチ連合に襲われていた女性・しずかを救った早川。早川は、金バッチ連合のボス・金仮面の用心棒・殺し屋ジョーをナイフの早投げ勝負で制した。そんな時、レオナルドダビンチ作という時価300億円の「純金の天使」を持つ山根親子が金仮面に襲われた。親子の窮地を救った早川は、「純金の天使」運搬の護衛の任に就くが、早川らしか知らないはずの運搬ルートを金バッチ連合に知られ、親子は襲われ負傷する。金バッチ連合のスパイだったしずかは、輸送車運転中の早川に銃口を向けるが引き金が引けず、代わりに自分に銃口を向ける。だが、すべてを把握していた早川がそれを止めた。直後、何者かの放ったナイフを受けしずかは絶命。犯人が殺し屋ジョーだと睨み問い詰める早川だが、真犯人であった金仮面がジョーを殺害。続けて早川を襲うが、参上したズバットが金仮面を退治。「純金の天使」は東条刑事により無事に運ばれたのだった。

 本話からタイトルコールが変更。今までのものより、より力強いコールとなった。また、本話よりズバットの決め技である「ズバットアタック」の掛け声が入るようになった。
 今回、早川が金仮面の「D」マークに気が付き、第1話、第2話と共通の組織(ダッカー)の存在を知る。なお、第4話でも同じように気が付くシーンがある。ただし、ダッカーという名称を知るのは本番組のクライマックスである第31話である。
 本話、オサムがホテルのボーイのバイトをしている描写がある。旅費や生活費を稼ぐ為なのか、度々バイトをする姿が見られる。(第3話=ホテルのボーイ、9話=貸しボート、28話=プールの売り子)なお、みどりは第9話にて花屋でバイトする姿が、第30話では看護婦の手伝いをする姿が見られる。
 しずか役の大関優子氏はのちに佳那晃子に改名。長坂作品では『騎馬奉行』第11話「怪盗白羽矢組・女体の罠」(1979年)、『十津川警部シリーズ5 会津高原殺人事件』(1994年)に出演している。
 台本と映像の主な相違点・描写は以下。
 ・しずかの苗字は白峰。
 ・台本では、しずかは金仮面に殺すと脅されていたという描写がある。映像でもおそらく同じだと思われるが、具体的に分かる描写は無い。
 ・台本では、ジョーは殺害されない。
 ・ズバットが金仮面に対して、Dマークの正体を問い詰める描写がある。
 ・東条が、ズバットの正体が早川だと知って語りかけるシーンがある。


第4話「涙の敵中突破」

放送日:1977/02/23
脚本:長坂秀佳
監督:奥中淳夫
ゲスト:菅野直行(沢村 誠)、大杉雄太郎(ワルツ・リー)/高杉 玄(勘三)、久地 明(村人A)/佐川二郎(村人B)、高橋晴雄(村人C)

 病で倒れていたみどりを助けた青年・沢村誠。イカサマ博打で村人の土地を巻き上げていた鬼勘一家の鬼の勘三は、誠を博打へ引き入れる為、みどりを痛めつけ脅迫するが、それを早川が救った。そして早川は勘三の用心棒・ワルツ・リーとの拳法勝負に勝利する。博打場に乗り込みイカサマを暴露する早川だったが、村人を人質に取られた為に手が出せず、囚われの身となった。一方、誠は、ワルツ・リーによって重傷を受けたみどりを医者に連れていく為、村には鬼勘一家にしかない車を借りようと権利書との引き換えを決意するが、脱出を果たした早川がそれを制止。早川が手配した車で病院へ急ぐ誠だが、その前に立ちはだかるワルツ・リー。ワルツ・リーを撃破する早川だが、その間に誠は鬼勘一家の砲撃を浴び命を落とした。鬼勘一家の砲撃を潜り抜けたズバットは、鬼の勘三を倒し、みどりは一命を取り留めたのだった。

 本番組の基本として、用心棒が早川に対して「二番目だとぉ」と返すのが定番だが、今回のワルツ・リーは日本語が話せない設定なのか、代わりにボスである鬼勘が代弁するというレアなパターンになっている。
 東条がズバットカードを見て「早川」と呟く描写があり、東条がズバットの正体に気が付いているように見える表現がはじめてなされた。
 ワルツ・リーのモチーフは、アクション俳優・ブルース・リーと思われる。ワルツではなく、ブルースである。


第5話「花売り少女と白い粉」

放送日:1977/03/02
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:佐久間真由美(ミチル)/中 庸介(紅蜘蛛)、日高晤郎(必殺ハスラー)/小沢章治(刑事A)/高野隆志(客)

 寒空の中、マッチを売る少女・ミチルに同情したミドリとおさむ。ミチルからマッチを買おうとする二人だが、そこを紅バラ連盟が襲った。みどり達の窮地を救った早川は、ミチルを救い出す為に紅バラ連盟に乗り込む。早川は紅バラ連盟のボス・紅蜘蛛の用心棒・ハスラーをビリヤード勝負で負かすが、その後ミチルが麻薬の売人であったことを知る。再び紅バラ連盟に乗り込んだ早川は紅蜘蛛を叩きのめしミチルを連れ帰ろうとするが、育ての親である紅蜘蛛を恩人と感じているミチルが紅蜘蛛を庇った。手が出せず袋叩きにあう早川。ミチルを邪魔に感じた紅蜘蛛はミチルの殺害を決意。ミチルを囮に誘き出された早川は、紅蜘蛛の銃弾を浴び窮地に。だが、そこにズバットが参上、ハスラーと紅蜘蛛を倒し、ミチルは無事に救い出されるのであった。

 ミドリ役の佐久間真由美氏は『ケンちゃん』シリーズのトコちゃん役や、『がんばれ!!ロボコン』(1974年〜1977年)の大山みどり役があまりにも有名。長坂作品では『キカイダー01』(1973〜1974年)第4話「怪奇!幽霊ロボット消滅!?」にミドリ役で出演している。
 オサムが早川に対して「やっぱり東京に戻ってたんだね」と語っていることから、それ以前の数話(第2話〜第4話か?)は東京ではないどこかの町が舞台だったようである。ちなみに、第30話でも「東京に知らせてある」という台詞から舞台が東京では無いと推測できる。


第6話「海にほえるマシンガン」

放送日:1977/03/09
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:松風はる美(香代子)、岩城力也(海賊キット)/滝波錦司(レッドボワ)、長谷川 誉(三太)、鈴木敦子(アケミ)/江藤昭之(ダッカー幹部)

 覆面姿の銀行ギャングが銀行を襲撃。駆け付けた早川は、華麗なる拳銃さばきで覆面を剥ぎギャングを一掃するが、ギャングのボス・海賊キッドの罠にはまり重傷を負った。海賊キッドは首領Lの命によりギャングの目撃者を次々に殺害。早川は、自分がギャングの素顔を晒したことが原因で被害者が増えていくことを知る。目撃者・アケミを守る早川の前に現れた海賊キッドの用心棒・レッドボワ。早川はトマホーク投げ勝負でレッドボワを打ち負かした。次に海賊キッドは目撃者・香代子の息子・三太を誘拐。誘き出された早川は罠にはまり三太と共に磔にされ、そして縛られたまま崖から海に落下。続けて三太の命が奪われようとしたその瞬間、ズバットが参上、レッドボワと海賊キッドを倒し、三太は無事に助け出されるのだった。

 早川が、飛鳥五郎殺しの真犯人の笑い声を聞くシーンがある。最終話に登場する真犯人が現場にいたのか、それとも海賊キッドの笑い声が似ていただけなのか? 書籍『快傑ズバット大全』によると、シナリオでは飛鳥殺しの真犯人が現場にいたということだが、映像ではそのような描写は無い為、どう解釈してよいものだろうか……。
 ロケ地は伊東温泉・秀水園。エンディングテロップでも協賛と表記されている。ちなみに、最終話も伊東温泉ロケである。
 今回の悪の組織の名称は、LD・DVDの解説書や書籍等では「海賊党」とあるが、本編ではそれが分かる描写は無い。
 香代子役の松風はる美氏は、長坂作品では『特捜最前線』(1977年〜1987年)第44話「非情の罠・金、女、賭博!?」に出演している。
 海賊キッドは、オープニングクレジットでは「海賊キット」になっているが、書籍『快傑ズバット大全』によるとシナリオでは「海賊キッド」とのことである。


第7話「悪い風だぜ港町」

放送日:1977/03/16
脚本:滝沢真里
監督:田中秀夫
ゲスト:溝口舜亮(英次)、久野四郎(大倉)/ミスター 珍(グレートコング)、関山耕司(道斎)/藤原哲也(ワタル)、中道 剛(ツトム)、隼田勇蔵(団員)

 早川は、偶然知り合った少年・ワタルの兄・英次が襲われる現場に遭遇。英次を救った早川は、英次が勤めるホテル秀水園がマイナス団に脅迫されていることを知る。ワタルを連れ去ろうとするマイナス団の前に立ちはだかる早川は、マイナス団の団長・不死身の道斎の用心棒・グレートコングと対決。怪力勝負でグレートコングを制した。しかし、マイナス団はホテルを停電させ、その隙にワタルを誘拐、英次に5億円の身代金を脅迫する。そして早川は、英次の代わりに身代金の受け渡し現場へ向かった。金を隠したという早川を拷問にかけ口を割らせようとする道斎は、早川とワタルを船に閉じ込め時限爆弾をセット。だが、船内から早川が消え、そしてズバットが参上。グレートコングと道斎を倒し、ワタルは無事助け出された。

本話の脚本は滝沢真里氏が担当。その為か、ズバットの決め文句の中で恒例となった「あまつさえ」のくだりが無い。


第8話「哀しみのプロパン爆破」

放送日:1977/03/23
脚本:長坂秀佳
監督:奥中淳夫
ゲスト:三夏 伸(地獄市)/鈴木 恒(新吉)/萩原奈穂美(美樹)、小甲登枝恵(おかみさん)、山本 緑(婆や)/幸 英二(若者たち)、遠藤重夫(若者たち)、岩澤こづ江(若者たち)、立野まり子(若者たち)/堺 三千夫(ミッキー蛇山)

 市長選挙に立候補したまむし平和会社長・ミッキー蛇山に反対する青年団体が小屋ごと爆破された。現場に居合わせた早川は、爆破の瞬間を偶然撮影した青年で被害者の仲間でもあった新吉が撮った写真を追うが、ネガは既にまむし平和会に奪われた後だった。ネガを求めまむし平和会に乗り込んだ早川は、ネガを賭けてミッキー蛇山の用心棒・地獄市と仕込み杖で勝負。勝利しネガを入手した早川は、ネガに映っていた女性・美樹が事件を目撃していると推測し彼女の元に訪れるが、まむし平和会によって美樹の目は潰され、証言不能と化していた。まむし平和会に歯向かい、逆に窮地に陥る新吉を救う早川だったが、新吉を盾にされ絶体絶命の危機に。そこにズバットが参上し、地獄市とミッキー蛇山を退治。そして、美樹の目は無事回復するのだった。

 美樹役の萩原奈穂美氏は、長坂作品では『特捜最前線』(1978〜1987年)第148話「警視庁番外刑事!」に出演。特撮ヒーローファンには、『バトルフィーバーJ』(1979〜1980年)の二代目ミス・アメリカ=汀マリアが有名。
 冒頭、早川はブルドーザーの上に座って登場。このブルドーザーであるが、一体誰が運転しているのだろうか? 誰かに依頼したのか、それともズバッカーのように自動操縦に改造したのであろうか?
 用心棒・地獄市は、その名前の通り座頭市をモチーフとしており、出で立ち等も酷似している。


第9話「涙の河を振り返れ」

放送日:1977/03/30
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:長島隆一(中根丈太郎)/三島新太郎(釣師 十兵衛)、原田君事(鉄の爪)/打越章之(花屋の店主)、猪股裕子(少女)

 3度の殺人事件の現場に居合わせた謎の男。彼は、殺された少年少女の写真を持って事件直前に現れたという。その男をつけ狙うTTTから彼を救う早川。早川は、TTTのボス・鉄の爪の用心棒・釣師十兵衛を釣り勝負で負かした。その男・中根丈太郎博士から事情を聞いた早川は、博士が癌の特効薬を研究中に偶然完成した毒薬を狙ったTTTが、無関係の子供を殺害すると脅迫していたことを知る。TTTの次の標的がみどりだと知った早川は、TTTにさらわれたみどりを救うため、鉄の爪のマシンガン地獄に飛び込む。銃弾を浴び絶体絶命の早川。そこにズバットが参上、釣師十兵衛と鉄の爪を叩きのめした。

 TTTのボスの名前は鉄の爪。鉄の爪といえば、『ジャッカー電撃隊』(1977年)に登場する犯罪組織「クライム」の首領・アイアンクローと同じ名称である。早川健を演じる宮内洋氏は、この第9話の約半年後、『ジャッカー電撃隊』第23話(1977年10月1日放送)より行動隊長・番場壮吉役でジャッカーに参入。アイアンクローと戦うことになる。なお、長坂氏は1作品(第32話)手掛けている。


第10話「野球の敵を場外へ飛ばせ」

放送日:1977/04/06
脚本:長坂秀佳
監督:奥中淳夫
ゲスト:藤井智憲(トミー)、小沢章治(黒やもり)/佐野光洋(竜一)、若尾義昭(川口)/田川勝雄(アナウンサー)、木村 修(アナウンサー)、大栗清史(テツオ)/石森章太郎(特別出演 石森選手)

 早川は、親友・飛鳥五郎が作曲した「二人の地平線」を演奏するバンド「ホワイトゴーグルズ」と出会い、意気投合。だがその直後、バンドのトランペット吹きが何者かに殺害された。下手人を追う早川は、黒やもりの用心棒・トミーとトランペットに仕込んだ吹き矢で勝負、見事打ち負かした。黒やもりは、少年達の憧れの的である元名プロ野球選手・石森選手の誕生パーティーの生放送中に彼を殺害、少年達の夢を壊そうと企んでいたのだ。トランペット吹きの後釜に入り込み、殺害を企むトミーであったが、トランペット吹きは弟想いの青年・竜一に決定していた。その為、執拗に命を狙われる竜一。竜一は、入院中の弟・テツオを勇気づける為に演奏を熱望するが、早川がそれを制止。トミーはトランペット吹きに成り代わり石森選手を狙うが、竜一と早川が阻止。そして、黒やもりに捕らわれ処刑寸前の石森選手を、ズバットが駆け付け救出。トミーと黒やもりを退治した。

 今回の悪の組織の名称は、DVDの解説書や書籍等では「黒やもり組」とあるが、本編ではそれが分かる描写は無い。
 「二人の地平線」が、飛鳥五郎が作曲した曲だと判明。
 竜一役の佐野光洋氏は、長坂作品では『ウルトラマンA』(1972〜1973年)の吉村公三隊員役でレギュラー出演している。
 原作者である石森章太郎(石ノ森章太郎)氏が特別出演。予告では、「原作者・石森章太郎さんをゲストにお送りする次回、快傑ズバット……」と紹介された。
 カードを見た東条が「早川、またか」と呟くシーンがあるが、これは第4話に続き、東条がズバットの正体に気が付いている描写である。


第11話「死ぬな友よ!危機一秒前」

放送日:1977/04/13
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:守屋俊志(黒のゴルファー左丹)/夏木 章(ゴット タイガー)、斉藤 弘(ヨシオ)

 東条が、悪の組織・タイガー団に入団する為、その証明としてみどりとオサムを射殺した!? だが、それは3人が仕掛けた囮作戦だった。そこへ乱入した早川は、囮作戦を妨害し、東条のやり方の甘さを指摘した。そして、タイガー団に侵入を図る早川と東条。早川は、タイガー団のボス・ゴッドタイガーの用心棒・黒のゴルファー左丹をゴルフ勝負で負かすが、マシンガンの嵐に追い込まれ、無数の銃弾から東条を庇い負傷。早川は、改良したズバットスーツを東条に披露するが、改良テストは失敗。5分間の活動時間の限界の壁は超えられなかった。一方、悪の大組織ダッカーも、過去のデータの分析によりズバットの活動時間が5分であることを知る。そしてタイガー団は、東条をさらってズバットを誘き出す。誘き出されたズバットは左丹を倒し、ゴッドタイガーの仕掛けた罠を突破。東条を救い出し、ゴッドタイガーを倒した。

 黒のゴルファー左丹役の守屋俊志氏は、『刑事くん』全4シリーズに島崎刑事役でレギュラー出演、早川健役の宮内氏も、第3・4シリーズに出演していた。なお、守屋氏は第31・32話にも別役で出演している。
 本話にて早川がズバットスーツの秘密を東条に説明。ダッカーも、過去のデータの分析によってズバットが5分しかもたないこと知る。次の長坂氏の作品である第13話以降からは、悪の組織が5分の活動限界を意識する描写が見られるようになる。(第13・14・16・18・31話)
 ゴッドタイガーは、オープニングクレジットでは「ゴット タイガー」になっているが、書籍「快傑ズバット大全」によるとシナリオでは「ゴッドタイガー」とのことである。


第12話「死刑執行10秒前」

放送日:1977/04/20
脚本:田口成光
監督:田中秀夫
ゲスト:中田博久(警察署長 暗闇組々長)/五藤雅博(山本良介)、石川 敏(ブーメランジャック)/田村みどり(夕子)、五野上 力(警官)、奥村真悟(新治)

 西町郵便局々員・中山新治と許婚の夕子が、暗闇組々長の用心棒・ブーメランジャックに襲われた。そこに参上した早川はブーメラン勝負でブーメランジャックを負かした。夕子の父であり郵便局長の山本良介は、町民会館を建設する為の金・2億7千万円をその晩のみ預かるが、偽警官が襲撃。金が奪われ、新治が殺された。そして、強盗殺人の容疑で逮捕される良介。良介の身の潔白を証明する為に調査を開始する早川。早川は、警察署に乗り込み、警察署長に化けていた暗闇組々長の正体を明かすが、捕らえられ、留置場に監禁される。処刑場に連行され、処刑寸前の良介。そこにズバットが参上。ブーメランジャックと組長を倒した。

脚本家は田口成光氏。
 翌年放送された長坂氏脚本作品『特捜最前線』第85話(1978年11月15日放送)のタイトルは「死刑執行0秒前!」。脚本家は異なるが非常によく似たタイトルである。


第13話「少年殺し屋のバラード」

放送日:1977/04/27
脚本:長坂秀佳
監督:小西通雄
ゲスト:中井啓輔(虚無僧三郎太)/西塚 肇(京介)、谷川みゆき(美枝子)、松本敏男(毒さそり)/稲川善一(町の人)、近松敏夫(町の人)、飯田テル子(町の人)、山本 武(町の人)/小甲登枝恵(主婦)、伊藤慶子(主婦)、大西芳夫(不良高校生)、豊岡 晋(不良高校生)

 世間から人殺しと言われ、恐れられ忌み嫌われている高校生・京介。さそり組は、彼に関わる人々に京介がさそり組の仲間だとふれこみ危害を加える。そこに現れた早川は、さそり組を蹴散らし、ボス・毒さそりの用心棒・虚無僧三郎太と尺八ボウガンの腕で勝負、見事打ち負かした。早川は、東条から京介に父親殺しの容疑がかかっていることを聞く。京介の友人・美枝子から京介の救いを求められた早川は、子供を救った彼の心を信じ、世間の冷たい目から荒んでいく京介を更正させるべく接していく。京介の天才的な運動神経を見込み、有能な殺し屋に育て上げようと企むさそり組は、父親殺しの濡れ衣を着せ、さらに美枝子を射殺、罪を京介になすりつけた。だが、早川の指示で防弾チョッキを着て難を逃れた美枝子の証言により毒さそりの企みは露呈。生き証人を処分しようとするさそり組の前にズバットが参上。町の人々を救い、毒さそりと三郎太を倒した。

 美枝子役の谷川みゆき氏は、『スターウルフ』(1978年)でヒメを演じている。
 今回、ズバットの活動限界時間を知らせるタイマーが残り1分を知らせてから、最後にタイマーを解除するまで1分20秒程経過している。(物語上の時間ではなく、実時間)
 オープニングテロップには表記されているが、今回はみどりとオサムは登場していない。他にも第22・23・27・29話でも同様に登場せず。また、第16・17話はみどりのみが登場していない。


第14話「白羽の矢 涙の別れ」

放送日:1977/05/04
脚本:長坂秀佳
監督:小西通雄
ゲスト:遠藤真理子(美登)、立花直樹(繁樹)/藤山浩二(赤耳)、加地健太郎(甚十郎)/槙 ひろ子(美登の母)、田口 弘(町の人)、畑沼 茂(町の人)、高橋ナナ子(町の人)

 とある町で、狒(ヒヒ)大権現という神様の使いを名乗るヤクザ・赤耳一家の赤耳が、若い娘を捧げるよう要求。それは、若い少女の密輸出で大儲けする為だった。白羽の矢によって示された少女・美登を連れ去ろうとする赤耳一家の前に立ちはだかる早川。早川は、赤耳の用心棒・カーペンター甚十郎を大工勝負で負かした。だが、赤耳は矢文によって美登の差し出しを要求。拒否する場合は祟りにより30人の子供が死ぬと脅迫。子供たちを見殺しに出来ない美登は自らの命を投げ出す決意をするが、お互い心を寄せ合っていた繁樹が共に逃亡することを懇願。一方、赤耳一家に乗り込む早川だが、美登の母を盾にされ手が出せず逆に痛めつけられる。意を決した美登は、ツヅラに入れられ赤耳に差し出される。しかし、そのツヅラの中に入っていたのは早川! 赤耳一家と戦う早川、そしてズバットが参上し、甚十郎と赤耳を倒した。

 繁樹役の立花直樹氏は、長坂作品では『刑事くん(第1シリーズ)』(1971〜1972年)にて第30話から板垣一彦役でレギュラー出演。特撮ヒーローファンには『ジャンボーグA』(1973年)の立花ナオキ役や『ザ・カゲスター』(1976年)の姿影夫役が有名。
 美登役の遠藤真理子氏は、長坂作品では『特捜最前線』(1977〜1987年)第188話「プラットホーム転落死事件!」に出演している。
 早川の台詞にある「岩見重太郎」とは、狒々(ヒヒ)退治の伝説で有名な実在の人物。本作のヒヒ退治に引っかけての台詞である。
 通常、ラストシーンでゲストやみどり、オサムらが「早川さーん」と見送るパターンが多いが、この第14話及び第15話のみ町の人々が「ズバットさーん」と叫んでいる。
 狒大権現の漢字表記は、のぼりに記された漢字を参照。なお、白矢に添えられた手紙には「ヒヒ大権現」とある。


第15話「哀しき母の子守唄」

放送日:1977/05/11
脚本:長坂秀佳
監督:小西通雄
ゲスト:新村礼子(すえ)、金井進二(ウルフガイ)/佐藤久美子(駒太夫)、星野晶子(おかみさん)/高杉哲平(おやじさん)、清水大介(子供たち)、道祖土 勝(子供たち)、藤木武司(子供たち)

 町で暴れまわる狼党が「嘘つき婆さん」の名で通っているすえを襲った。すえの窮地を救った早川は、狼党のボス・ウルフガイの用心棒・駒太夫と曲駒勝負をし、打ち負かした。すえは行方不明の娘を心配していたが、早川はその娘が駒太夫だと知る。再び襲われたすえを守る早川。そこに立ちはだかる駒太夫だったが、相手が実の母だと知り動揺、早川に戦いを挑むが敗れ意識を失った。すえに助けられ看病を受ける駒太夫は母の心を知り、改心。一方、すえは娘の為にウルフガイの元に直談判に行き、囚われの身となった。救いに行く早川だったが絶体絶命の危機に。辛くも脱出した早川の前に、母の身を救うために再び用心棒として戻った駒太夫が立ちはだかる。母が無事と知った駒太夫はウルフガイを裏切って早川を救い、ウルフガイの銃弾を浴びる。そこにズバットが参上、ウルフガイを倒した。そして、駒太夫は命を取り留め、すえの看病を受けるのだった。

 本番組初の女性用心棒登場。そして、ボスを裏切り改心するというレアケースな展開である。


第16話「殺しのぬれぎぬ 哀しみの健」

放送日:1977/05/18
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:倉石 功(大月春彦 ナチスジャガー)/大山いづみ(大月しほり)、滝川 潤(橋本刑事)/菊地 太(バーテン左京次)、相原巨典(綾小路)、大東梁佶(五条)/倉石一旺(松島勇作)、相沢治夫(下田署長)、宮田 光(安田刑事)

 松島勇作刑事がナチス連合会に襲われ、早川がそれを救った。早川は、ナチス連合会のボス・ナチスジャガーの用心棒・バーテン左京次をダイスとグラス使いの勝負で負かし、松島刑事を救出、松島の親友である町長の大月春彦宅へ運び入れる。東条から、松島刑事がナチスジャガーの犯罪の証拠を収めたマイクロフィルムを所有していると聞いた早川は、松島の元へ駆け付けるが、既に射殺された後だった。そして松島刑事殺しの濡れ衣を着せられた早川は警察に逮捕される。取調室から脱走を果たした早川は、大月とその妹であり松島の婚約者だったしほりの安全を約束。しかし、早川は町の人々に誤解され迫害を受け、その隙に襲われた大月は重傷。そして、早川の偽物が現れしほりを襲うが、そこにズバットが参上。早川の偽物、そして、バーテン左京次と一戦交えるが時間切れの為に敗退。傷つき洞窟に隠れる早川の前に、ナチスジャガーの追っ手が迫っていた。

 結果的には本番組の中間地点(32話中16話目)で、かつ本番組最初の前後編。なお、前後編はこの作品以外だと第31話と第32話(最終話)のみである。
 前後編の前編ということでラストにてボスを退治していないため、本番組のお約束である最後のズバットカードのくだりは無し。
 大月しほり役の大山いづみ氏は、長坂作品では『少年探偵団』(1975〜1976年)第5・6話「墓場からの使者」、『アクマイザー3』(1975〜1976年)第18話「なぜだ?! 狙われたイビル」に出演している。
 今回の用心棒・バーテン左京次は、早川健に「凄腕の大酒飲み。その腕前は日本じゃ二番目だ」と紹介(?)されているが、実際に早川と勝負したのは大酒飲み勝負(?)ではなく、ダイスとグラス使いの勝負である。


第17話「嘆きの妹 ふたりの健」

放送日:1977/05/25
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:倉石 功(大月春彦 ナチスジャガー)/大山いづみ(大月しほり)、滝川 潤(橋本刑事)/菊地 太(バーテン左京次)、相原巨典(綾小路)/大東梁佶(五条)、相沢治夫(下田署長)、宮田 光(安田刑事)

 ナチス連合会によって囚われの身となった早川。その間、町では早川の偽物による無差別殺人が起こっていた。脱走を果たした早川は、しほりをナチス連合の手から守るが、早川に恐怖を感じたしほりは逃げ出す。町の人に追われながらもしほりを追う早川の前に早川の偽物が出現。偽物と戦い追い払う早川に、しほりはその無実を信じた。そして早川は、しほりが松島刑事から貰ったというロケットにマイクロフィルムが隠されていることを知る。その秘密を知ったバーテン左京次が再び早川に戦いを挑むが、早川はナイフとフォーク投げで打ち負かす。大月宅へ戻った早川としほりだが、ちょうど大月が何者かに襲われた後だった。そこに早川の偽物が出現。その正体が大月でありナチスジャガーであることを見抜いた早川だが、警官に化けていたナチス連合会により、東条、しほりと共に囚われの身に。そして、早川は車ごと崖から落下、東条らには時限爆弾の爆破が迫るが、その窮地をズバットが救い、左京次とナチスジャガーを倒すのだった。

 ナチスジャガーが仕掛ける時限爆弾であるが、第11話でタイガー団が使用したものと同じものである。「D」マークが付けられているが、もしかするとダッカーが各組織に支給しているものなのかもしれない。
 大月春彦とナチスジャガーが同一人物であることは秘密というカタチで物語は展開しているのだが、第16話のオープニングクレジットにて同一人物であると表記されており、ネタバレになってしまっている。


第18話「危うし!シャボン玉の恋」

放送日:1977/06/01
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:松川 勉(栗須 伸 黒ひげ)/嶋 めぐみ(露草アンヌ)、高橋英郎(白野紅児)/辰馬 伸(死神サミー)、結城なほ子(マチ子先生)/上田かほり(京子先生)、近藤秀樹(園児A)、吉田利香(園児B)

 露草アンヌが園長を務める草の実学園の花壇に毒ガスが仕掛けられた。それを目撃した青年・白野紅児は、犯人が黒ひげ党であることを知り、命を狙われる。その窮地を救う早川は、黒ひげ党の用心棒・死神サミーとアメリカンフットボールで勝負、勝利した。アンヌに心を寄せていた白野は、アンヌと園児の為にと毎週人知れず学園の花壇に苗を増やしていたが、アンヌはそれが栗須伸という紳士の行為だと思い込んでいた。そんな中、栗須の正体であった黒ひげ党のボス・黒ひげは、アンヌに残された数十億の遺産を狙い、アンヌに接触、学園に毒ガス入りのロバの人形を送り込み子供たちの殺戮を企む。その秘密を知った白野は、その為に黒ひげ党に袋叩きにあう。深夜、病院を抜け出し怪我した体で学園の花壇に苗を増やす白野。その光景を目撃したアンヌは心打たれる。そして、黒ひげにさらわれた白野を追う、アンヌと早川。罠にはまり窮地に陥る早川だが、そこにズバットが参上。サミーと黒ひげを倒した。

 本作は、フランスの作家・エドモン・ロスタン著『シラノ・ド・ベルジュラック』(Cyrano de Bergerac)をモチーフにした作品。登場人物のネーミングは、シラノ・ド・ベルジュラック=白野紅児、ロクサーヌ=露草アンヌ、クリスチャン=栗須伸である。
 京子先生役の上田かほり氏は、長坂作品では『円盤戦争バンキッド』(1976〜1977年)第5話「テルーン型宇宙記号の謎」に出演している。


第19話「悲恋 破られたラブレター」

放送日:1977/06/08
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:遠藤 薫(八鹿いぶき)、寺泉哲章(石上新也)/阿藤 海(セントデビル)、横山 繁(レッドフォード)、山田禅二(石上 厳)/木村 修(警官A)、鳥井真弓(ミチ)、福原ひとみ(勝子)、幸 英二(警官B)

 テニス仲間である青年・石上新也に片思い中の八鹿いぶきは、10日もかけて書いたラブレターを渡せずにいる自分の気の弱さにくじけていた。そんな時、石上の父がデビル団のボス・セントデビルに殺害される様を目撃、その為デビル団に追われる。窮地のいぶきを救う早川。早川はセントデビルの用心棒・レッドフォードと鎖鎌の腕で勝負、見事負かした。セントデビルは、石上を撃った拳銃にいぶきが落とした定期入れについてた指紋をつけ細工、彼女に罪をなすりつけようと企む。石上に自らの無実を訴えるいぶきだが、石上はその言葉を信じずに警察に通報。それを知ったいぶきはショックを受ける。セントデビルは、警察に捕らわれ護送車で連行されるいぶきを狙い、その移動ルート上のマンホールにダイナマイトを仕掛け抹殺を謀るが、護送車に乗り込んでいた早川がそれを阻止。だが、マシンガンの嵐に窮地の早川。そこにズバットが参上、レッドフォードとセントデビルを倒した。そして、いぶきは出せず仕舞いだったラブレターを破り捨てるのだった。

 八鹿いぶき役の遠藤薫氏は、長坂作品では『仮面ライダーX』(1974年)第7話「恐怖の天才人間計画!」に出演している。
 今回より第30話まで、悪の組織のボスがズバットに2月2日のアリバイを問われ、自らのアリバイ(その時刻にいた地名)を説明するくだりが追加された。


第20話「女ドラゴン 涙の誓い」

放送日:1977/06/15
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:毬 杏奴(加村令香)/三谷 昇(十文字清兵衛)/川村真樹(レッドドラゴン)、はい(くさかんむりに配)島博之(令香の弟)

 青十字軍の本部に侵入し、発見され窮地に陥った女性を救う早川。しかし、その女は青十字軍が新たに雇い入れた用心棒・レッドドラゴンを名乗り早川に戦いを挑んだ。だが、早川は戦いの最中に女が落とした警察手帳を発見、彼女が女刑事・加村令香であることを知った。青十字軍・十文字青兵衛の命令により早川を襲う令香。早川は、令香が青兵衛に殺された弟の仇を討とうとしていることを知る。そして早川は本物のレッドドラゴンと接触、中国拳法の腕前でレッドドラゴンを負かし、町から去るように約束させた。青十字軍の本部に侵入した早川は青兵衛の前で令香と決闘。その最中に青兵衛を狙う令香だったが、レッドドラゴンが早川との約束を破り密告していた為に失敗、窮地に陥る早川と令香。だがそこにズバットが参上、レッドドラゴンと青兵衛を倒した。

 十文字青兵衛は、オープニングクレジットは十文字清兵衛だが、映像では「あおべい」と呼ばれているため、「青兵衛」の誤記だと思われる。


第21話「さらば 瞼の母」

放送日:1977/06/22
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:福田公子(鶴間千代)/斉藤浩子(鶴間冴子)、平野 稔(夜叉丸)/丸岡奨詞(コック伊魔平)、槙 ひろ子(老女中)、前原美代子(若い女中)

 財界の大物・鶴間社長の妻・千代が、30億円の献金を狙う夜桜組に襲われ、その危機を早川が救った。夜桜組の組長・夜叉丸の用心棒・地獄のコック伊魔平を、皿と包丁投げ勝負で制した早川は、自らが助けた婦人の顔を見て衝撃を受ける。それは、22年前に生き別れになった母親であった。母との再会に上機嫌の早川は、花束とプレゼントを持って鶴間邸を訪問するが、娘・冴子の手前母親であることを名乗れない千代は早川に赤の他人であると告げた。ショックを受ける早川だが、それでも鶴間母娘を守るため一晩中護衛。だが、夜叉丸は身代金目的で冴子を誘拐。駆け付ける早川だが、冴子を盾にされた為、夜叉丸の指示に従い自らダムの上から身を落とす。身代金を入手し、用済みになった冴子を射殺しようとする夜叉丸だが、そこにズバットが参上。伊魔平と夜叉丸は倒された。早川を自らの息子だと認め駆け付けた千代だったが、早川は「俺のお袋はいつでも瞼の奥に居る」と伝言を残し旅立った後であった。

 早川が4つの時に生き別れた母と再会するエピソード。どのような理由で生き別れになったのかは明かされなかったが、早川には4つの時の思い出が鮮明に記憶に残っていた。
 冴子役の斉藤浩子氏は、長坂作品では『人造人間キカイダー』(1972年〜1973年)第29話「カイメングリーンは三度甦える」、『キカイダー01』(1973年〜1974年)第14話「怪談 ギルの亡霊が地獄で呪う」、『宇宙の勇者スターウルフ』(1978年)第14話〜第17話、『ぼくら野球探偵団』(1980年)第10話「赤マントに消された美少女チーム」に出演している。


第22話「少年ボクサー 涙の父」

放送日:1977/06/29
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:武内 亨(矢川丈二)/若尾義昭(ミスターZ)、大谷 進(矢川 元)/戸塚 孝(カネアスドレイ)、加瀬悦孝(四才の元)、原口信行(青西俊二)

 世界ライト級のタイトル戦を翌日に控えたボクサー・矢川元は、酒浸りでだらしない父・丈二を軽蔑していた。Z団は、元に喧嘩させて警察沙汰にしようと、元の目前で父を襲うが、その企みを早川が阻止。早川は、世界をまたにかけた悪の用心棒・カネアスドレイをボクシングの腕で勝負、負かした。Z団のボス・ミスターZは、息子に八百長をさせる為に丈二を痛めつけ、時限爆弾=地獄ベルトを取り付け脅迫。一方、早川から父が自分の看病の為にタイトル戦を棄権しボクサーの道を閉ざしたと知らされた元。そんな元に、ミスターZは父の命と引き替えに八百長を強要。父を救う為に試合を捨てようとする元を早川が諭し、早川は丈二の元へ。爆弾を外そうとする早川だが、ミスターZが妨害し、窮地に。そこにズバットが参上。ミスターZを倒した。そして、元は対戦相手であるカネアスドレイを倒しチャンピオンの座を勝ち取ったのだった。

 ボクサーが題材ということで、ゲストの役名もそれに因んだ名前がモチーフとなっている。元の父親・矢川丈二は、『あしたのジョー』の矢吹丈、カネアスドレイは、元プロボクサーであるモハメド・アリの本名かつ旧名のカシアス・クレイであろう。
 矢川丈二が取り付けられる「地獄ベルト」。「地獄ベルト」といえば、『キカイダー01』(1973年〜1974年)第27話「秘境の激戦!!ザダムの地獄の罠」でも同じ名前のベルトが登場する。
 長坂作品でボクサーを題材にした作品といえば、ほぼ同時期の作品『透明ドリちゃん』(1978年)第3話「涙のラーメン勝負」でもボクサーにスポットを当てている。


第23話「大神家一族の三姉妹と天一坊」

放送日:1977/07/06
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:南城竜也(ダンディハリー)、大森不二香(大神小雪)/芝村洋子(大神嵐子)、牧 次人(大神)、山田光一(横山)/小林勝彦(紅フォックス)、小野恵子(大神霧子)

 莫大な遺産を残してこの世を去った大神与右衛門。彼は遺言状にて、遺産を3歳の時に誘拐され行方不明となった長男・天一に全額、1年経っても天一の消息が分からない場合は20億円を施設に寄附、残りを三姉妹で等分と記していた。長女・霧子は遺産独占の為、紅狐党に妹の殺害を依頼。そのために紅狐党に襲われる次女・嵐子を早川が救出、紅狐党のボス・紅フォックスの用心棒・ダンディハリーを手品勝負で打ち負かした。続けて襲われる三女・小雪を、早川、そして謎の覆面の男が救った。遺産の為にいがみ合う姉を悲しむ小雪は、覆面の男に天一になりすますよう依頼。そんな中、霧子が殺害された。早川は、覆面の男がダンディハリーであることを見抜き、小雪を殺害しようとするハリーに対し彼が本物の天一であることを告げた。遺産の横取りを狙う紅狐党は小雪を襲うが、そこにズバットが参上。ズバットを追い詰めるハリーだが、紅フォックスの銃弾から小雪を庇い絶命。怒りのズバットが紅フォックスを退治。小雪と嵐子は遺産すべてを寄附するのだった。

 横溝正史著『犬神家の一族』、それに「天一坊事件」をモチーフにした作品。なお、この題材は(おそらく偶然ではあるが)後に共に長坂氏による脚本で映像化されている。「犬神家の一族」=『犬神家の一族』1990年3月27日放送、「天一坊事件」=『徳川風雲録 八代将軍吉宗』2008年1月2日放送。
 ダンディハリーはアクション映画『ダーティーハリー』シリーズ(1971年〜1988年)をもじっていると思われるが、そのキャラクター描写には特に類似点は見られない。
 大神小雪役の大森不二香氏は、長坂作品には『刑事くん(第1シリーズ)』(1971年〜1972年)第24話「真心は涙に濡れて」、『特捜最前線』(1977年〜1987年)第131話「6000万の美談を狩れ!」に出演、ダンディハリー役の南城竜也氏は『変身忍者嵐』(1972年〜1973年)の主人公・ハヤテ役や、『鉄人タイガーセブン』(1973年〜1974年)の主人公・滝川剛役等、特撮ヒーロー作品の主人公役として有名。


第24話「涙の健 見知らぬ街の恋人」

放送日:1977/07/13
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:後 珠美(白鷲れい子)/宇田郁馬(ウリ・ケラー)/富田仲次郎(ドン・天山)

 何者かの罠にはまった早川は赤ん坊型爆弾で負傷。直後、崖から転落せんとする女性・白鷲れい子を発見するが、罠と感じ躊躇。その為にれい子は転落する。傷ついた体で救いに行く早川だが、力付き気を失った。そして、れい子に介抱される早川は、彼女に淡い恋心を抱いた。天山会がはびこる黒谷市に向かうというれい子を止める早川だが、大事な用があるというれい子は早川の忠告を無視。町入りしたれい子は、天山会のボス・ドン・天山に目をつけられ狙われる。天山会に襲われるれい子を救う早川は、天山会の用心棒・ウリ・ケラーと筮竹使いで対決、勝利した。再び襲われたれい子を救った早川は、れい子を町の外へ逃がすが、町へ引き返したれい子は再三天山会に襲われる。危険を承知で婚約者に会いたいと訴えるれい子。その婚約者が東条と知り驚く早川。だが、東条は悪の大組織の追跡が優先とれい子を冷たく突き放す。直後、れい子がさらわれ、うろたえた東条は早川に救いを求める。そしてズバットがウリ・ケラーとドン・天山を倒し、れい子を救い出すのだった。

 本作は、早川が恋をするエピソード。意外にも本番組での早川の恋愛のエピソードはこの1本だけである。
 ドン・天山役の富田仲次郎氏は、『キカイダー01』(1973年〜1974年)第30話「悪魔?天使?ビジンダー出現!!」にて公害ナマズの人間体を演じている。
 ウリ・ケラーのモチーフは、超能力者として名を馳せたユリ・ゲラーであろう。


第25話「荒神山 涙の別れ」

放送日:1977/07/20
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:池田駿介(吉良崎直也)/林 美樹(希久子)/北町嘉朗(鬼大尉)、小沢章治(ダルタニアン)

 爆薬・ウルトラマイトの開発に成功した青年科学者・吉良崎直也。それを知った血起党のボス・鬼大尉が吉良崎を襲うが、吉良崎の窮地を早川が救った。早川は、血起党の用心棒・ダルタニアンとフェンシングで対決、勝利した。吉良崎は、恋人・希久子の身を案じ、彼女に辛くあたり追い返す。ショックを受け自殺を図る希久子を救う早川。そんな希久子を護衛する早川だが、その隙に吉良崎が捕らえられた。早川は、吉良崎を救うもののダムから転落。一方、吉良崎が血起党に狙われていると知った希久子は引き返し、捕らえられる。磔にした希久子の周囲をウルトラマイトで取り囲み、吉良崎に罠をかける鬼大尉。助けに来た吉良崎がウルトラマイトに触れようとした瞬間、ズバットが参上。二人を救い出し、ダルタニアンと鬼大尉を倒した。

 ダルタニアンのモチーフは、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説シリーズ『ダルタニャン物語』(D'Artagnan)から。
 吉良崎直也役の池田駿介氏は、『キカイダー01』(1973年〜1974年)の主人公・イチロー役が有名。他の長坂作品では、『帰ってきたウルトラマン』(1971年〜1972年)の南猛隊員役、『宇宙の勇者スターウルフ』(1978年)第16話「二つの顔のサイモナイト」のパルス副官役がある。
 希久子役の林美樹氏は、『超神ビビューン』(1976年〜1977年)にて明智リサ役でレギュラー出演している。


第26話「許せ我が子よ!」

放送日:1977/08/03
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:穂高 稔(小山内勇治)/長谷川 誉(小山内きよし)、桜山規夫(男)、加藤敏和(子供)、町田一義(子供)/鮎川 浩(ドクウッディ)、小笠原 弘(ムッシュ神)

 正義感の強い町医者・小山内勇治。彼の存在を邪魔に感じたブラック連合のボス・ムッシュ神は、小山内の息子・きよしを襲うが、それを早川が救出。早川はブラック連合の用心棒・ドクウッディをメス使いの勝負で負かした。ドクウッディは、噛まれた人間がドラキュラ化する狂犬病の薬をきよしの愛犬・カクに打ち、それを知った東条はカクの射殺を命令。早川の説得に応じたきよしは、自らカクを処分する。しかし、きよしはカクに噛まれ既に狂犬病になっていた。現代医学では治療法が無い為、自ら息子を射殺する決意をする小山内。それを止める早川だが、早川はブラック連合の銃弾の餌食に。ムッシュ神は、小山内に自分で息子を殺したという遺書を書かせ、自殺に見せかけようとするが、そこにズバットが参上、ドクウッディとムッシュ神を倒した。

 「かく」という名の犬といえば、長坂氏のデビュー作『ものを言う犬』(1968年)の主人公・長二の犬の名前も「かく」である。また、『円盤戦争バンキッド』(1976年〜1977年)第5話「テルーン型宇宙記号の謎」にも「かく」という名の犬が登場する。
 映像では、きよしの狂犬病が治ったという描写はない。ラストにて元気に走るシーンはあるが、具体的にどうなって治ったかという説明もないため、映像を見る限り、その後の生死はよく分からない。ただし、書籍「ズバット大全」によると、台本では早川がきよしを東京の大病院に連れていったという記述があるとのことである。


第27話「意外!飛鳥殺しの犯人?!」

放送日:1977/08/10
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:種村まり子(綾子 かみなりの左近)/高杉 玄(ボス蛇丸)/山本昌平(風の右近)

 とある町に来た早川は、オロチ党に四六時中襲われ疲労困憊。そんな中、オロチ党に襲われていた女性・綾子を救い、殺し屋・風の右近と弓の腕前で勝負、勝利した。早川は、飛鳥五郎が殺された現場を綾子が撮影した為にオロチ党に狙われていると知り驚愕。フィルムを確認した早川は、その中に東条の姿を見る。東条を問い詰める早川。だが、その瞬間を狙い、綾子の業が早川を捕らえた。綾子は、風の右近の妹、かみなりの左近だったのだ。左近のフィルムを使った攻撃によってダムから転落する早川。捕らえられ処刑寸前の東条。そこにズバットが参上。右近、左近を破ったズバットはオロチ党のボス・ボス蛇丸を追い詰めた。だが、ボス蛇丸は飛鳥殺しを参考にしただけで真犯人では無かったのだった。

 風の右近役の山本昌平氏は、長坂作品では『スターウルフ』(1978年)のハルカン司令でレギュラー出演している。


第28話「そして、誰も居なくなる」

放送日:1977/08/24
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:伴 直弥(川奈和彦)/西田昭市(吉村)、山崎純資(剛田)、紺 あき子(圭子)/森 裕介(阿久根)、桐島好夫(ブラックローズ)、滝波錦司(悪天坊)

 吉村教授率いる5人組の海底地質調査団が、ウラン鉱を発見した。だが、教授らはウラン悪用を企む邪悪党に襲われる。そこに登場した早川は邪悪党を蹴散らし、邪悪党のボス・悪天坊の用心棒・ブラックローズを手裏剣勝負で負かした。早川は、5人のメンバーである吉村教授、川奈助教授、圭子、剛田、阿久根の中にスパイがいると推測、彼らは疑心暗鬼にかられる。調査船が爆破され、辛くも海岸にたどり着いた彼らは剛田の死体を発見。続けて阿久根、吉村教授も殺害され、早川は崖から転落した。川奈は、吉村教授の忠告で恋人である圭子を疑うが、スパイは殺されたフリをしていた吉村教授であった。悪天坊は、吉村教授からウラン鉱の在り処を聞き出し殺害、そして川奈と圭子を襲うが、そこにズバットが参上。ブラックローズと悪天坊を倒した。

 川奈和彦役の伴直弥氏(伴大介→伴直弥→伴大介に改名)は、長坂作品では、『人造人間キカイダー 』(1972年〜1973年)の主人公・ジロー役、『忍者キャプター』(1976年〜1977年)火忍キャプター7=出雲大介役、『勝利者たち』(1992年)がある。
 本作のモチーフは、アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』。
 阿久根役の森裕介氏は、本番組第3話「悲しき純金の天使」にて殺し屋ジョーを、悪天坊役の滝波錦司氏は、本番組第6話「海にほえるマシンガン」にてレッドボワを演じていた。


第29話「父母なき子 涙の復讐」

放送日:1977/08/31
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:外野村 晋(岩造)、山吹まゆみ(レナ)/藤原哲也(タケル)、蝦名由紀子(ミチ)、田川勝雄(湯川技師)/畠山 麦(陣太郎)、堀田真三(黒兵衛)

 赤永会に捕らえられていた湯川技師夫妻が脱走。赤永会のボス・闇の黒兵衛は、夫妻を捕らえる為に息子のタケルを人質にするべく襲うが、その窮地を早川が救った。赤永会の用心棒・殺しの陣太郎をテニス勝負で負かす早川。タケルは、祖父・岩造から両親が別荘に隠れていることを知り駆け付けるが、父は既に絶命。瀕死の母・レナは、命懸けで赤永会から持ち出した秘密兵器の書類をタケルに託し、命を引き取った。書類を手に警察へ急ぐ早川らだが、赤永会の銃弾に追い込まれ土砂採掘場の作業小屋に身を隠す。陣太郎は、タケルのガールフレンド・ミチ他7人の子供たちを人質にタケルを脅迫。子供達を救う為に奮闘する早川。だが、早川が倒れたと思い込んだタケルは、作業用のダイナマイトを体に巻き付け、命をかけて赤永会に乗り込んだ。黒兵衛の銃口に晒され窮地のタケルをズバットが救出、陣太郎と黒兵衛を倒した。

 陣太郎役の畠山麦氏は、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年〜1977年)の初代キレンジャー・大岩大太役で宮内氏と共演。長坂作品では、『ジキルとハイド』(1973年)第11話「愛は罪深くとも……」、『少年探偵団』(1975年〜1976年)のナレーターがある。
 黒兵衛役の堀田真三氏は、長坂作品では『忍者キャプター』(1976年〜1977年)の風魔烈風及び暗闇忍堂役、『特捜最前線』(1977年〜1987年)第459話「挑戦・この七人の中に犯人は居る!」第460話「挑戦II・窓際警視に捧げる挽歌!」がある。


第30話「悲しき生と死の間に」

放送日:1977/09/14
脚本:長坂秀佳
監督:田中秀夫
ゲスト:有吉ひとみ(乙部美樹)/河合絃司(乙部医師)、杉田明夫(青山医師)、田所千津子(ガラバー)/大泉 滉(キングボー)

 ぐれん団はとある町で細菌兵器・BRGペストの実験を開始。町医者・乙部の診療所でも患者が溢れていた。そして、看護婦不足の為に手伝うみどりにも感染、発病すると一日も持たないという。東京の大学病院にいる乙部の娘・美樹がワクチンを運搬するが、ぐれん団が妨害。襲われる美樹を早川が救った。早川はぐれん団の用心棒・ガラバーと槍の腕で勝負、勝利し、逃走した。ワクチンを手に町へ急ぐ早川だが、ぐれん団とガラバーの猛攻で苦戦。追い詰められる早川だが、美樹が命をかけて気をそらし、ワクチンを無事に東条に託す。美樹の仇に燃えるズバットはガラバーとキングボーを退治。患者は無事に救われたのだった。

 乙部美樹役の有吉ひとみ氏は、長坂作品では『だから大好き!」(1972年)の二条エミ子役、『特捜最前線』(1977年〜1987年)第129話「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」、第230話「ストリップ スキャンダル!」がある。


第31話「対決!真犯人首領L?」

放送日:1977/09/21
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:矢吹二朗(神竜伸介)/松木 聖(理沙)、守屋俊志(竜山丸)/仙波和之(竜天丸)、佐々木 功(刑事)

 飛鳥の恋人だった水奈川理沙が、ズバットスーツより10倍の強さを持つ特殊合成繊維シルベールを完成させた。その為に謎の組織に襲われる理沙を、早川が救出。早川は、謎の組織の用心棒・竜山丸をマシンガンの腕前で制す。そして、早川と理沙の前に現れる謎の人物。それは、東条の親友であり国際秘密警察の神竜伸介だった。神竜より悪の大組織・ダッカーの存在を知らされた早川は3人でダッカー本部に乗り込むことを決意、侵入を果たすが、東条と神竜は捕らえられた。ズバットに変身した早川は、ダッカーのボス・首領Lを激闘の末倒すが、首領Lは真のボスは他にいると言い残し、絶命。そこに、竜山丸他、ダッカー三大最高幹部・天海山三兄弟が出現。活動限度を超え変身を解いた早川は、東条、神竜と共に絶体絶命の窮地に……。

 神竜伸介役の矢吹二朗氏(1976年に千葉治郎から矢吹二朗に改名)は、長坂作品では、『キカイダー01』(1973年〜1974年)第43話「ビジンダーに恋した若者」、第44話「ビジンダーの美しく悲しき別れ」、『ザ・ボディガード』(1974年)の倉田治郎役、『ザ・ゴリラ7』(1975年)の萬年正役、『アクマイザー3』(1975年〜1976年)の島一平役がある。
 理沙役の松木聖氏は、長坂作品では『人造人間キカイダー』(1972年〜1973年)第30話「アカネイカ美人女子大生を狙う」、『キカイダー01』(1973年〜1974年)のミサオ役がある。


第32話「さらば斗いの日々、そして」

放送日:1977/09/28
脚本:長坂秀佳
監督:広田茂穂
ゲスト:矢吹二朗(神竜伸介)/松木 聖(理沙)、守屋俊志(竜山丸)/仙波和之(竜天丸)

 窮地に陥った早川ら三人。神竜を救おうとして崖から落下した早川は、生死不明に。残された東条らは、合成式の書かれたメモを半分にし、それぞれを東条と神竜が死守、理沙を身代わり作戦でガードする。しかしマシンガンで撃たれた神竜は行方不明に、みどりに扮した理沙も身代わりがバレてピンチを迎える。理沙の窮地を満身創痍の早川が救うものの、三兄弟と対決し苦戦。その窮地を東条が救った。そして、一人で最後の戦いに赴く早川。だが、その前にシルベールを身にまとった三兄弟が現れ、早川は海底に落下。一方、みどり、オサム、理沙の前についに姿を現したダッカーの総元締・総統D! その前に立ちはだかったズバットは三兄弟を倒し、総統Dと対峙。ズバットは、飛鳥殺しの真犯人であると暴露した総統Dと激闘を繰り広げる。一方、活動限界時間を過ぎたズバットを心配する東条らは必死に捜索、ズバットスーツの残骸と、倒れている総統Dを発見する。彼らが見た総統Dの正体は、神竜だった。神竜は、合成式の書かれたメモを切り裂いた時に合成式を記憶していたのだ。ズバットの安否を心配する東条らは、飛鳥の墓に添えられたズバットカードを発見、その無事を確かめたのだった。

 本作は、1985年に発売された長坂氏のシナリオ集『さらば斗いの日々、そして 長坂秀佳シナリオ傑作集』に、第5・21・31話と共に収録。本話はシナリオ集の表題にもなっている。