「小さなスーパーマン ガンバロン」全エピソード あらすじ・解説


※俳優のキャスティングは、テロップではなく声から割り出したものの為、誤りがある可能性があります。ご了承ください。尚、もし誤りに気づかれた方がおりましたら、ご指摘いただけると助かります。

第1話「出たぞ!オソロシゴリラ」

放送日:1977/04/03
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:フォーリーブス(特別出演)/大泉 滉(警官)、曽我廼家一二三(警官)、三浦こういち(オソロシゴリラ)

 僕らの町に突如として現れた身長50メートルの怪猿オソロシゴリラと、謎の怪人ドワルキン!コンサート会場が襲われ、男性アイドル歌手グループのフォーリーブスがコンテナの中に囚われてしまう。そこに「全世界の人々の味方」と名乗る小さなスーパーマン・ガンバロンが登場!ガンバロンの愛機トブーンの活躍で、催眠ガスをかがされたオソロシゴリラは優雅に「白鳥の湖」を踊りながら昏倒。フォーリーブスも無事救出される──。

 主人公の少年・天道 輝が執事のムッシュと二人暮らしという設定は、どことなくバットマン風。ムッシュが大旦那様(輝の祖父)の遺言である「ジグソーパズル」を完成させた瞬間、その後ろの壁から巨大コンピューター・ゴエモンが現れ、作動を開始するというアイディアがカッコイイ。輝は「選ばれた太陽の子」として、ゴエモンからガンバロンになる使命を授かるのですが、『特捜最前線』のナレーター・中江真司さん演ずるゴエモンの声がまたイイのです!


第2話「オソロシゴリラの逆襲」

放送日:1977/04/10
脚本:長坂秀佳
監督:東条昭平
ゲスト:ザ・リリーズ(特別出演)(リリーズ動物病院・獣医)/染野行雄(警官)、三浦こういち(オソロシゴリラ)

 警察によって、倉庫内に囚われていたオソロシゴリラが忽然と姿を消した。 実は彼の正体は「デカノビル注射」によって変身させられた普通の子猿であり、ドワルキンがその大きさを自在に変化させていたのだ。ガスタンク爆破の使命を帯びて、再び現れるオソロシゴリラ!だが、リリーズ動物病院の双子の女医との交流が、その心に優しさを呼び戻した。ところが怒ったドワルキンが「最高級電気ショック」を照射。オソロシゴリラを完全凶暴化させてしまう──。

 「一芸に秀でた者たちの集合」という構図を好む長坂先生らしく、レギュラーの少年タイムズのメンバーであるケン玉の「ケン玉」、チーコの「独楽回し」の腕前を生かす描写が登場。また、怪人ドワルキンの正体が町の怪しげな発明家・ワルワル博士であることが、この回で初めて視聴者に明かされます。因みにこの回の冒頭、何故か当時の日本テレビ系の子供向けバラエティ番組「おはよう!こどもショー」のテーマ曲が使われています。(ところでオソロシゴリラ役の「三浦こういち」って、あの三浦浩一さんと同一人物?)


第3話「危うし!SL・新幹線」

放送日:1977/04/17
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:宇佐美 淳(友情出演)(桂木ケイゴ博士)/立枝 歩(娘・冬子)

 リモコン玩具にダイナマイトを抱かせた「爆弾戦車」で、大井川鉄道のSL爆破を企むドワルキン!だが、5百倍に強化したガンバロンの聴力に時限装置のセコンド音を聞きつけられて計画は失敗。ドワルキンは、今度は「イニシャルがK.K、7月7日生まれの医者を殺す」と予告してきた。ゴエモンの電子頭脳は、それを医学博士の桂木ケイゴ氏と断定。大阪に向かう博士の乗った新幹線「こだま」を守るべく、ガンバロンは直ちに急行する──。

 長坂先生お得意の「爆弾もの」が早くも登場! 冒頭でワルワル博士がミニチュアで予行演習をする所は、映画『サイレンサー殺人部隊』みたいです。第1話のトブーン、第2話でガスタンク火災の消火に登場したバクシーンに続き、今回は主人公の第3のメカ・ヒライダーが新幹線救助に活躍。各メカの活躍を3週に渡って上手く見せているわけですが、次の第4話では3機総登場による連携作戦が展開。この辺りの、長坂先生の話数構成がナイスです。


第4話「負けるな!ナマズ大地震」

放送日:1977/04/24
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:三木聖子(特別出演)(先生)/小塙謙士(オサム)、藤島ジュリー(インタビュアー)

 鋼鉄製のロボット・ナマズが地面の下で大暴れ! 地震で人を驚かせて死なそうというドワルキンの陰謀だ。 事件の渦中で、一昨年の伊豆大地震で両親を亡くしたという少年・オサムに出会った輝は、寂しさにひねくれ、周囲の人に当たる彼を一括する。「引っ込み思案の亀に成るな! 男だったらライオンに成れ!」その言葉に目覚めたオサムは、百獣の王の心を得るべく一人孤独な登山に挑戦する。だが、その山にドワルキンのロボット・ナマズの魔手が──。

 劇中、輝がオサムにムッシュを紹介するとき「この人は絶対に笑わない人なんだ」と言うのが意味深です。長坂流「男の美学」が炸裂する回ですが、『ガンバロン』では他にも、泣き言を言いに帰ってくる輝をゴエモンが一括するという描写がやたらと出てきます。『仮面ライダーX』の神ステーションにも通じる所ですが、やはりそこには「父と子」という構図が重ねられています。上原正三さん脚本による次の5、6話のゴエモン像と比較してみると面白いです。


第5話「怪人ドワルキン!怒りの挑戦状(前篇)」

放送日:1977/05/01
脚本:上原正三
監督:深沢清澄
ゲスト:伊藤 司(晃月さやか)、大森不二香(先生)、高樹容子(晃月テルミ)/河原崎洋夫(警官隊)、田村純一(警官隊)、上田弘司(警官隊)

 あと40日しか生きられないという薄幸の少女、晃月さやかと友達になる輝。だが彼女は、ドワルキンの作った磁力線を武器にするアンドロイドであり、その罠に落ちたガンバロンは放火犯として警察に追われるはめに──。

上原正三さん得意のメカ少女モノで、ガンバロン=輝ではないかと疑うドワルキンが「アンドロイドさやか」を使って二重三重の罠を張る!
 『SFドラマ・猿の軍団』の深沢清澄監督が、さり気ない怖さを演出してます。


第6話「大ピンチ!あばけ悪魔の正体(後篇)」

放送日:1977/05/08
脚本:上原正三
監督:深沢清澄
ゲスト:伊藤 司(晃月さやか)、大森不二香(先生)、高樹容子(晃月テルミ)/河原崎洋夫(警官隊)、田村純一(警官隊)、上田弘司(警官隊)

 輝の学校に転入して来たアンドロイドは、級友達に見えない所で彼に陰湿な苛めを繰り返す。だが「晃月さやか」が実在の人物であることを突き止めた輝は、本物をアンドロイドと対峙させることで逆転を試みる──。

この回で、輝たちが通う学校が「白鳥台第四小学校」という名であることが判明。さやかとドワルキンが仕掛けた「浮力装置」によって小学校が校舎ごと宙に舞い、それをガンバロンとヒライダーが救う活躍も見所です。


第7話「恐怖!ガリバー大作戦」

放送日:1977/05/15
脚本:田口成光
監督:東条昭平
ゲスト:山田禅二(紙芝居屋)/岩本 巧(ケンダマの弟・ジロウ)

 「ガリバー旅行記」に憧れるワルワル博士が、「デッカイ光線発射装置」で巨人と化して大暴れ。だがガンバロンに野望を阻止された彼は、今度はケン玉の弟・ジロウを巨大化して少年タイムスのアジトであるバスを襲わせる──。

田口成光脚本による大傑作。「ワシは王様じゃ」とか言いながら過失でビルをブッ壊すワルワル・ガリバーに、磯間署長が「貴様、それでも王様か!」と言って怒るのが可笑しいです。でも人間の巨大化って、実は映像的に一番怖いかもしれません。


第8話「大爆発!涙のサッカーボール」

放送日:1977/05/22
脚本:田口成光
監督:東条昭平
ゲスト:亀井和子(浜本の妻)、中立奈美(ユカ)/達 純一(浜本選手)

 サッカーの浜本選手の娘ユカは、休日も多忙で遊んでくれない父を軽蔑した。ガンバロンは、彼女に名選手たる父の姿を見せる事で理解を得ようとするが、そんな折、子供を欲しがるワルワル博士によってユカが誘拐されてしまう──。

これも脚本は田口さん。ワルワル博士は、ニセの浜本選手に化けてユカを騙そうとします。大小様々なリモコンの「ボール爆弾」が登場。また、この回でチーコの父の職業は大工、輝の父は現在アメリカに滞在中という事が描かれます。


第9話「見たぞ!ダイヤを吐く西洋人形」

放送日:1977/05/29
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:小山麻美(北原レミ)/金月真美(インタビュアー)

 ドワルキンは、歩く西洋人形を使って怪しいネックレスをバラまく「ワルワルダイヤ作戦」を敢行。ネックレスの正体は「首締め機械」であり、それを首にかけてしまったチーコを絞殺すると脅された輝は、明朝8時に磯間署長をピストルで射殺することを強要される。ゴエモンのアドバイスで、ネックレスを操作する無線の範囲に限界があることに気づいた輝は、一か八かガンバロンに変身し、チーコをその圏外に連れ出そうと試みるが──。

 輝の小学校の生徒会長・北原レミがスーパーで謎の万引きを働く導入部から転がり出す本作は、無線操縦のカラクリ→受信圏外への脱出 →いくら逃げても届く電波の謎→無線発信の意外なカラクリといった逆転、また逆転の連続で飽きさせず、次作の第10話と並んで物凄く密度の濃い作品。『ガンバロン』とほぼ同時期に放映が始まった長坂先生の代表作、『特捜最前線』における筆の冴えが、相乗効果で本作にも流れ込んで来てる感じです。


第10話「驚き!歩くドラム缶バクダン」

放送日:1977/06/05
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:薄田拓巳(タケル)

 ケン玉と対立する悪ガキ、タケルの予告通りに展開する事件。少年タイムズのアジトの爆破未遂、歩くドラム缶の出現‥‥‥ それは両者の対立激化を狙う、ドワルキンの企みだった。その誤解がようやく解けた矢先、今度は当のケン玉が誘拐され、東京駅地下に仕掛けられた「ドラム缶爆弾」に鎖で繋がれてしまう。爆破リミットは明朝8時! その唯一の解除方法を知るドワルキンを捕らえ、ケン玉を救うべく、タケルとガンバロンが北海道に飛ぶ!──。

 悪ガキのタケルは両親が共働きで、弟の送り迎えや食事の支度で遊ぶ時間がなく、それが原因でなかなか友達が出来ないという設定。タケルに疑惑を抱くケン玉は、ドラム缶が暴れていた時刻に、彼が弟の夕食のカレーを作っていたという事から、その無実を悟ります。そんなケン玉にタケルが「いいさ。それより、お前もカレー食ってくか?」と優しい声をかけ、己の非を恥じたケン玉が、いたたまれなくなってその場から駆け出すという下りが上手いです。


第11話「あっ!化けタヌキのビックリ作戦」

放送日:1977/06/12
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:岩本和弘(ケイスケ)、芦葉京子(ケイスケの姉)/田川勝雄(医師)

 ドワルキンが作った置物ロボット「たんたんタヌキ」の吐き出すシャボン玉に操られたデスクは、親友のケイスケを崖から突き落としてしまう。幸いにも軽傷と診断されたケイスケだったが、彼には何故か生きる気力がなく、その体は日増しに衰弱していく。日本一の科学者を夢見るケイスケは、折しも家庭の経済的事情で高校進学への道を絶たれ、人生に絶望を感じていたのだ。デスクは、そんな彼を立ち直らせるため、ある行動に出る──。

 デスクは、自分がケイスケを突き落としたのは過失ではなく、学業成績を妬んでの故意であったと告白。もちろんそれは嘘で、自分に憎しみを向けさせることで親友に生きる活力を与えようという、友情ゆえの孤独な芝居なのです。それを知ったケイスケは、進学だけが勉強じゃないと悟り、ラストで自分のメガネを投げ捨てます。「僕は今まで、レンズの中の世界しか見ていなかったんだ──」長坂先生の、この小道具の使い方は抜群です!


第12話「大暴れ!誕生日の人くいグマ」

放送日:1977/06/19
脚本:田口成光
監督:深沢清澄
ゲスト:団 巌(ガードマン)、東 冶幸(ガードマン)

 一片の生命のカケラから生き物を再生するという、ワルワル博士の世紀の発明「もどるマシン」を、少年タイムスのオーナー「大将」こと西郷大蔵が手品呼ばわり。怒ったドワルキンは、大将の誕生日に装飾品の熊の毛皮を生き返らせ、少年タイムスを襲撃させる!──

この回でワルワル博士は60歳になり、おまけに誕生日が何故か大将と同じ日であることが語られます。沢庵が大根、鰐皮の財布がワニになったりする「もどるマシン」のアイディアが抜群で、相変わらず田口成光さんの脚本はイイ味を出してます。劇中でドワルキンが大将のことを「このキューピー野郎め!」と言う台詞が有りますが、キューピーというのは大将役の石川 進さんのニックネームであり、そのお遊びです。


第13話「助けて!凧にさらわれたチーコ」

放送日:1977/06/26
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:金月真美(インタビュアー)、大小原 繁(ミチヒロ)、渡辺真介(子供たち)/野田利明(子供たち)、南谷洋一(子供たち)

 入院していた父を亡くしたミチヒロ少年を励まそうと、チーコは輝に「ガンバロン凧」を作って貰い、プレゼントする。だが、ドワルキンはその凧をリモコンで自在に操作できるニセ物とすり替え、それを使ってアリス、チーコの姉妹とミチヒロを誘拐。巨大な「ドワルキン凧」に吊るしたゴンドラに3人を乗せ、無限の高空に飛ばせてしまう。このままでは3人は窒息死だ。ガンバロンは自分の聴力を1千倍にして、ゴンドラの行方を追った!──

 この当時、子供たちの間でゲイラ社のカイト(三角凧)が流行しており、それを即座に取り入れるという、時代に敏感な長坂先生ならではのアイディアと言えるでしょう。その一方で、物語は「凧」よりも少年タイムズの面々の心の葛藤がメイン。ミチヒロの事情を知らなかったばかりに、凧を欲しがるチーコにお小遣いを貸してやらなかったアリスの後悔と、自分の作った凧が悪用されたことに対しての責任を感じる輝との、複雑な感情の絡み合いが物語を形作って行く構成が見事です。


第14話「でっかいぞ!ダイバロン登場」

放送日:1977/07/03
脚本:上原正三
監督:東条昭平
ゲスト:鹿島信哉(荒木編集長)、湯川泰男(編集者)/三浦こういち(ジャイアントゴリ)

 ワルワル博士の製造した巨大ロボット「ジャイアント・ゴリ」が東京に出現。そんな折、輝はゴエモンによって謎の殺人的トレーニング・プランを課せられる。ゴエモンが語る新戦法「合身ダイバロン」とは何か?──

上原正三さん執筆の、この「ダイバロン登場」前後篇からシリーズはガラリと衣替えします。
@少年タイムスに秀才風の少女・ロングと、活動的な少年・カッパが新たにメンバー入り。
Aケン玉は父の転勤で九州へ、アリスは塾通いで多忙との理由から姿を消してしまいます。
Bガンバロンの声が西越 司さんから、輝役の安藤一人さん自身の担当になりました。
C磯間署長ら警視庁の面々の制服が、夏服に衣替えしています。


第15話「やっつけろ!無敵ダイバロン」

放送日:1977/07/10
脚本:上原正三
監督:東条昭平
ゲスト:三浦こういち(ジャイアントゴリ)

 ガンバロンのメカであるトブーン、バクシーン、ヒライダーの三機は合体し、巨大ロボット「ダイバロン」が完成。だがその操縦桿は異常に重く、ゴエモンの特訓の真意は悟った輝は、ジャイアント・ゴリを打倒するため自らを鍛え直す決心をする──。

原発を襲い、チーコを人質にして暴れるジャイアント・ゴリに対し、磯間署長たちが ♪ゴ、ゴ、ゴーリラちゃん、こっちのバナナ甘いぞ〜、チーコの肉はスジだらけ〜、と歌う怪しげな「ほたる作戦」が登場(笑)。最後は、ダイバロンが光に弱いジャイアント・ゴリを胸からの「ダイバロン・フラッシュ」で退け、両肩のノコギリ「必殺ダイバロン・クラッシュ」で見事葬ります。


第16話「怪談シリーズ!バケ猫騒動」

放送日:1977/07/17
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:−

 得意だった鉄棒で失敗し骨折して以来、カッパは自分の運動神経に自信を無くしていた。そんな彼を立ち直らせようと修善寺サイクル・スポーツセンターを訪れた少年タイムスのメンバーの前に、怪しげな怪僧が現れて「猫の祟りの相が出ておる」と告げる。宿舎に戻った一行は、突然お互いの顔が化け猫に見えるという錯覚に陥り大パニック。あの僧が怪しいと睨んだ輝たちが彼を追い詰めると、その網笠の下の顔は奇怪な怪人「猫男」であった──!

 自転車に跨がり、5キロ・サーキットを華麗に疾走するシーンが妙に可笑しい猫男。その追撃を見事かわしたカッパは、スポーツに対する自信を取り戻します。猫男の正体は、もちろん怪人ドワルキン。彼が、猫の祟りに見せかけて繰り出す様々な科学兵器のアイディアで見せる、長坂先生お得意のトリック編でもあります。また新しい仲間、ロングとカッパにさり気なくスポットを当てている部分にも、新レギュラーへの心遣いを感じます。


第17話「怪談シリーズ!ユーレイ屋敷」

放送日:1977/07/31
脚本:長坂秀佳
監督:古澤憲吾
ゲスト:世樹麻理子(一条ミサ)、大野悌尚(コウイチ)、山本恵子(ユーレイ女)/尾崎八重(ユーレイ女)

 湯川先生の別荘に招待され、夏休みを満喫する少年タイムスのメンバーたち。そこで彼らは、車がエンコして雨宿りさせて欲しいという、一条ミサとユウイチの姉弟を迎え入れる。たちまち打ち解ける一同だったが、そのとき突然、別荘に二人組の女ユーレイが出現。次々に起こる怪現象‥‥‥一大事だ! ユウイチは心臓が悪いのだ。ショックを与えたら死んでしまう。輝たちは、あの手この手でユーレイの祟りを誤魔化すハメに──。

 ユーレイ女の正体は又々ドワルキンで、湯川先生の別荘というのも真っ赤な嘘。実は科学の粋を凝らしたカラクリ屋敷で、ラストでは空まで飛んでしまいます。どんどんエスカレートする怪現象を、だんだん誤魔化し切れなくなっていく一同というシチュエーションが傑作。ユウイチ少年は何とか精神力で乗り切り(笑)、最後は心臓の手術を受ける決意を胸に颯爽と去っていきます。ところで、ひょっとしてこの回の元ネタは、ちょうど同時期に公開された大林宣彦監督の映画『HOUSE』?


第18話「グァム島シリーズ!マゼランの宝」

放送日:1977/08/07
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:フローラ ブラウス(チチ)/宗方みどり(磯間の姪・ミドリ)

 全国子供新聞コンクールで、最優秀賞を受賞した少年タイムスの一行はグァム島を訪問。彼らはそこで偶然、磯間署長の姪・みどりと遭遇し、グァムに隠されているという「マゼランの宝」探しに協力する事になる。だが地元の子供新聞の編集長である少女・チチは、宝を探そうとする者には「魔神チャイフィ」の呪いがかかると警告。案の定、一行の前に奇怪な出で立ちのチャイフィが現れ、魔力でタタラグアンの山を噴火させてしまう!──

 スタッフ&キャストの慰安を兼ねて作られたと思われる「グァム島三部作」。子供新聞コンクールの主催がユリの新聞社だったので、彼女と大将も輝たちに同行、また磯間は姪の宝探しに付き合わされる形で等々、長坂脚本は巧みな理由づけでレギュラー全員を見事にグァム入りさせている。当然、ワルワル博士と番頭ワルベエも宝を狙う形で現地入りするが、二人は劇中で何故か海中から登場(科学力を駆使して日本から海底を歩いて来た!?)。『仮面ライダーX』第1話の海神ネプチューン登場シーンを連想させますが、スーツ姿で海に漬かった天本英世さんと花巻五郎さんはご苦労さまです。


第19話「グァム島シリーズ!伝説の魔神」

放送日:1977/08/14
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:フローラ ブラウス(チチ)

 タタラグアン噴火の危機を救うため、ムッシュがガンバロンの三大メカを伴ってグァムに参上。ダイバロンの活躍で、溶岩流は無事食い止められた。ところが、喜ぶ輝たちの前にムッシュがもう一人出現。伝説によれば、魔神チャイフィは岩から人間そっくりの「人形」を作りだす力を持つという。つまり、どちら一人が「にせムッシュ」なのだ! その一方が語る「アメリカにいる両親が午後の飛行機でグァムに来る」という言葉に揺れ動く輝。果たしてそれは本当か嘘か?──

 長坂先生お得意の「偽物ネタ」が登場。二人のムッシュが、輝をはさんでナイフで決闘するという「大岡裁き」の変形シチュエーションが妙に可笑しいです。魔神チャイフィは例によってドワルキンの変装ですが、そのマスクは同じ日本現代企画制作による特撮もの『アイアンキング』に登場する「不知火族」のヘルメットを改造したものです。また、この回でムッシュが「世界料理2万4千種、作れぬものは無い」という腕前の持ち主である事が語られますが、偽物の「でまかせ」かも知れずイマイチはっきりしません。


第20話「グァム島シリーズ!怒りの巨人」

放送日:1977/08/21
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:フローラ ブラウス(チチ)/宗方みどり(磯間の姪・ミドリ)

 魔神チャイフィのバケの皮がはがれたドワルキンは、今度はグァム島のシンボルである「ラッテストーン」を強奪。グァム島知事に1千万ドルを要求する。この愚行に同じ日本人として激しい憤りを覚えた磯間は、日本警察の威信をかけて単独で事件を捜査中、重症を負わされてしまう。その仇を討とうと立ち上がる輝たちの前に、ドワルキンが操縦する岩石巨人「バッチィーズドーン」が出現!その頭頂部の王冠には、盗まれたラッテストーンが!──

 グァム島シリーズの完結編。この三部作に登場した「魔神チャイフィ」「ラッテストーン(伝説の巨人のお墓だそうです)」といったものは、おそらく長坂先生が実際に現地をシナリオ・ハンティングして仕入れたネタと思われますが、今回の「バッチィーズドーン」というのも、地元の伝説か何かに準じているのかもしれません。ちなみにバッチィーズドーンの着グルミは、これも日本現代企画作品『マッハバロン』に登場した「ハインケルSS」という敵ロボットの改造です。


第21話「すごいぞ!天才塾の子供たち」

放送日:1977/08/28
脚本:上原正三
監督:東条昭平
ゲスト:小山柳子(デスクの母)、大栗正史(松崎君)、藤木武司(平田君)、近藤克明(小山君)/中道 剛(他の塾生)、高安真弓(他の塾生)、阿部由起(他の塾生)

 ドワルキンの天才科学者という肩書に踊らされ、彼の主催する天才塾に我が子を通わせる大人たち。ドワルキンは右手の指に仕込んだ「催眠光線発射装置」で、子供たちをガンバロン打倒用の「無敵軍団」に変えてしまう──。

上原正三さん御得意の洗脳塾ネタです。冒頭でワルワル博士がオソロシゴリラ、メカコング(ジャイアント・ゴリ)、バッチィーズドーンを弔うシーンが登場。オソロシゴリラの墓碑銘が「おそろしゴリラ」となっていますが、これは当時の月刊「テレビマガジン」等でも一部そういう表記で紹介されていたようです。また、@デスクの本名は「シンイチ」といい、東大を目指す小学六年生である Aユリが働く新聞社名は「日報社」である・・・・等が語られます。


第22話「たたりか!暴れだした地獄魔神」

放送日:1977/09/04
脚本:上原正三
監督:東条昭平
ゲスト:松沢 勇(泥棒)、赤石富和(泥棒)/池上明治(現場監督)、原田昌樹(警官)

 寛永19年(=335年前)の大飢饉の記録に記されている巨石像「地獄魔神」の、全長35メートルもある頭部が地中から出現し、空を飛び、町を襲いはじめた。地獄魔神は300年に一度動きだすと伝えられ、「今年あたりが回り年じゃ」と語るワルワル博士の説は本当か?──

──もちろん真っ赤な嘘で、石像内部でワルベエが「風起こし機」「稲妻発生装置」などを操作し、破壊活動を行っているのです。脚本は、これも上原正三さんですが、話の元ネタは外国映画『未来惑星ザルドス』? また、田舎に疎開しようとする大将の台詞から、彼の郷里が信州であることが判明(笑)。


第23話「つかまえて!赤ちゃん大脱走」

放送日:1977/09/11
脚本:田口成光
監督:古澤憲吾
ゲスト:菅原靖人(小泉シンゴ)、寒竹洋介(その弟・太郎)/那須のり子(シンゴの母)

 母の留守中に、弟の赤ん坊・太郎の面倒を見る小泉シンゴ君。ところが、ドワルキンによって「ベビーマシン」を取り付けられた太郎の乳母車が、町中を大暴走! マシンにはさらに、赤ん坊の泣き声に反応してマシンガンが乱射される仕掛けが──。

又しても、田口成光さん脚本による怪作。レギュラー全員の突然の「赤ん坊」化や、恐怖のガンバロン爆弾など、長坂脚本への対抗か?と思わせるほどの予測不能の展開が連発します。また、この回によるとワルワル博士は犬が大嫌いだとか。


第24話「本当?!狼が街にやってきた」

放送日:1977/09/18
脚本:田口成光
監督:古澤憲吾
ゲスト:猪股優子(田村アユミ)、都家歌六(アユミの父)/竹田寿郎(狼男)

 長年の、まじない研究の成果によって、宇宙をさすらう「狼男」を地球に呼び寄せたワルワル博士。ところが超能力を持つ少女・田村アユミにその存在を勘づかれた狼男は、犯行を予知されることを恐れて彼女を消そうとする──。

これも田口さん脚本。狼男のマスクは、何故か東映の『ザ・カゲスター』に登場する「オオカミ怪人」の流用です。今回の狼男は、改造手術で額に特殊チップを埋め込まれており、ガンバロン・ビームを受けると巨大化するという設定。最後はダイバロンと格闘し、「銀の弾丸」を打ち込まれて葬られます。


第25話「謎!謎?怪人ドワルキン二人」

放送日:1977/09/25
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:山本真一(警官)、金子雪生(警官)/小田島 隆(ロボット ドワルキン)

 ドワルキンとワルワル博士が同一人物であることを確信した少年タイムスの一同は、ついにその事を警察に訴えて出た。だが、博士は名誉棄損であると居直ったばかりか、逆にドワルキンの正体は輝であると言い出した。その直後、ワルワル博士の他にもう一人のドワルキンが出現。それを追跡した一同が着いた先はタイムスのアジトの編集車であり、中には輝と、バラバラに分解されたドワルキンのパーツが‥‥‥。これを見た磯間は、ドワルキンの正体はロボットであり、それを操っていたのが輝であると思い込む──。

 「超高性能スーパー操縦機」で操られる身代わり怪人「ロボット・ドワルキン」の暗躍を描くエピソード。その活躍のバックに初めて「ドワルキン・ブルース」の歌入り(歌うのは「スティーブおとうさん」こと、ゴダイゴのスティーブ・フォックス氏)が流されます。この回では、ワルワル博士は警視庁の上層部とつながりが有り、磯間署長は手が出せない云々といった黒い癒着の構図? が描かれており、気分はまるで『特捜最前線』!(ウソウソ!)また、彼のトレード・マークであるシルクハットは30年間愛用している物だということ等も語られます。ラストで、とうとう主人に愛想を尽かしたワルベエが辞職を願い出て、ドワルキンが大慌てするという傑作な一幕も有りますが、次回の第26話にワルベエが再登場しているところを見ると、どうやら思い止まったようです。


第26話「巨人ドワルキン!対ダイバロン!!」

放送日:1977/10/01
脚本:長坂秀佳
監督:深沢清澄
ゲスト:大栗清史(ガン太)、鵜川貴範(その子分)、木戸口康顕(その子分)

 悪ガキのガン太にイジメられて、いつも年上の輝に泣きつくチーコ。輝は「自分の事は自分でやれ。やたらに人を頼りにする奴は大嫌いだ!」と、あえてチーコを突き放す。彼女のそんな「言いつけ魔」的部分が、ガン太は気に入らなかったのだ。その事を悟ったチーコは自立心を持つことを決意し、自ら進んでガン太と和解する。だが、そこにドワルキンが現れ、特殊な薬液を口にするや天を突くような「巨人ドワルキン」と化した!──

 長坂先生の、子供たちに対するメッセージを色濃く感じさせる一編。力の差があるチーコと対等になるために、自らの手足を縛って決闘を申し込むというガン太の男気が、彼を単なるイジメっ子キャラに終わらせておらず流石です。また、自分より大きな上級生である輝に逆らえないガン太の姿を見て、ドワルキンが自らを巨大化する事を思いつくという話の絡め方もすごく奇抜。ダイバロンを徹底的に研究した彼は、その弱点が操縦席のあるヘソであることを突き止めますが、彼もまた自分の弱点が「頭の角」で有るということをガン太に知られてしまいます。


 本作『ガンバロン』は驚くべき事に、この第26話をもって「大人側」のレギュラーが全員降板してしまいます。第27話以降の6本はフォーマットを大きく変更し、番組の最初と最後に大将役の石川 進さんがストーリーテラーとして登場し、毎回の物語を解説するという形にスタイルを一新。ストーリーも、少年タイムスのメンバーとドワルキンのみ(変身後の姿で終始し、ワルワル博士には戻らない)で展開する一種「番外編的」な物に変わります。 加えて本放送時には、第25話から放送時間が変更されており、27〜32話は旧話数の再放送6本に混ぜられる形でオンエアされました。 つまり本番組の実質的な最終回は第26話であるとも言え、1982年の関東の再放送もこの26話で終了していました。当時、一体どうしてこのような形を取ったのかは全くの謎です。3クール目を作るには予算が足りず、かと言って2クールで終わらせるには予算が余った‥‥‥と言う事でしょうか?(グァム島ロケとかにも行ってるし‥‥‥)


 御宿のホテル「ニューハワイ」を舞台に展開する第27〜32話は徹底的な低予算体制による製作。サブタイトルのナレーションも中江真司さんではない別の人(明らかに本職ではない)に代わっているし、ゲストも地元のエキストラらしき人たち(あるいはスタッフ?)が参加する程度で一切有りません。
 また、クライマックスではドワルキンが必ず「巨人ドワルキン」と化してダイバロンにやっつけられるというパターンが取り入れられる様になりますが、これも映像は第26話のライブを使用し、戦闘の際の両者の台詞も毎回まったく同じ! それにしても、後の東映の戦隊シリーズを思わせるようなクライマックスを先取りしていたという点では特筆に値するのでは無いでしょうか。(ちなみに、東映が「巨大化した怪人VSヒーロー・ロボットの決戦」という、現在でもお馴染みの展開を子供番組に初めて取り入れたのは、この『ガンバロン』の翌年に始まった『スパイダーマン』からです。)
 こういった予算的な制約が課せられた分、逆に登場人物たちのぶつかり合い(=脚本)で番組を観せることに力を入れているので、ある意味ではこの第27〜32話の方がドラマ的にはかなり面白かったりします。 脚本のクレジットがすべて長坂さんと田口成光さんの連名に成っていますが、実際はどのような分担で執筆が行われたのか、ファンとしてはぜひ知りたいところではあります。 ちなみに、私は本編(御宿ロケ部分)が長坂さん、石川 進さんの解説(スタジオ撮影部分)が田口さんという意味だと踏んでいるのですが‥‥‥。


第27話「見たぞ!デスクがロボットに」

放送日:1977/10/08
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 御宿に赴いた少年タイムスの一行は、ドワルキン特集号を発行してその悪事の数々を告発しようと計画。ところが宿泊先のホテルでデスクがドワルキンに拉致され、ニセの「ワルワルデスク」と入れ換えられてしまう。編集会議の席で 突然タイムスの解散を宣言し、一流大学目指してガリ勉すると語るデスクの言動に一同は唖然。だが、御宿の各町内に貼られた「ドワルキン特集号」の壁新聞を、彼が密かに回収している姿を発見した輝たちは、そのデスクの正体がロボットである事を突き止める!──

 この回で、ロングがデスクにほのかに好意を寄せていることが描かれます。彼女はデスクのジャケットの綻びを縫ってあげるという女の子らしい一面を見せるのですが、それを「ワルワルデスク」が無下にした事にショックを受けてしまいます。この非情な「ワルワルデスク」が、裏に回ればドワルキンに巨大なゼンマイを巻いて貰って動いているというギャップが何とも可笑しいです。ラストの石川 進さんの解説部分では、新聞記事と新聞記者についてのウンチクが語られます。


第28話「大変!輝がドワルキンの味方?!」

放送日:1977/10/22
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 オリエンテーリングの最中に拾った双眼鏡を覗いていたデスク、ロング、カッパの3人は、輝とガンバロンがドワルキンと仲良く歓談している場面(!?)を目撃し、衝撃を受ける。実は彼らが拾ったのは、ドワルキンが作り上げたニセ映像を受信する「インチキ双眼鏡」だったのだが、その計略にまんまと乗せられた3人は輝を疑惑の目で見るようになってしまう。唯一、双眼鏡を覗かなかったチーコだけは輝の無実を信じ、ドワルキンのカラクリを証明しようと孤軍奮闘するのだが──

 劇中のインチキ映像に於ける悪夢の歓談シーン(笑)で、ドワルキンの声をアテている飯塚昭三さんが「おおっ、ガンバロンお坊ちゃま!」とか何とか喋ってる台詞(たぶんアドリブ)が可笑しいです。この歓談シーンに登場する「月の砂漠」なる場所(ラクダの彫像が有る)や、インチキ映像発信アンテナはどうやら御宿に実在する物がロケに使われているようです。ホテル「ニューハワイ」ともども、今でも健在ならばロケ地巡りなどしてみたいものですね。石川さんの解説部分では「君も、有りもしない噂を信じて友達を疑ったりするなよ」云々といったことが語られます。


第29話「飛び出せ!僕らの力を試す時」

放送日:1977/11/12
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 大人が最近の子供たちを指して言う「もやしっ子」なる汚名を返上するため、輝たちは自分たちだけの力による一泊二日の「歩け歩け運動」を展開する。これが面白くないドワルキンは、逆に彼らが「もやしっ子」である事を証明するべく暗躍。「車に乗らんか」と誘惑したり、巨大磁石で一行のコンパスを狂わせたり、ニセの台風情報で脅したり‥‥‥。大変だ! このままでは日頃から「な〜に、いざとなればガンバロンが来てくれるさ」等と言っている、他力本願のカッパが危ない!──

 冒頭「泳ぎは巧いが、歩くのは苦手」と自ら語るカッパが、ドワルキンの誘惑に揺れ動く様が、本作品の縦糸になっています。物語のクライマックスに「一同が川を渡らなければならない」という局面を用意することで、カッパが自分の特技である泳ぎを使って皆を導き、己の弱さを克服するという構成が非常に上手いです。山中でコンパスが狂って一同が道に迷ったとき、輝が「木の切り株」から方位を測定するシーンが有り、石川さんの解説部分で「木の切り株の、年輪の幅が広いほうが南。君たちも覚えておこう」といった事が語られます。


第30話「あぶない!拳銃に狙われた四人」

放送日:1977/11/26
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 釣りの最中、勝手に単独行動を取ったカッパがドワルキンの罠にかかってしまった。「少年タイムスの4人を、3時間以内に拳銃で射殺せよ。しかも輝、デスク、ロング、チーコの順番で殺し、しくじった時は自殺しろ!」‥‥‥こう催眠をかけられたカッパは、ピストルを授かり解き放たれた。ところが、第一のターゲットである輝になかなか接触できず、時間は刻一刻と迫っていく。4人が運良くその手を逃れたとしても、その時はカッパが死ぬ時なのだ。どうする、輝──

 又してもカッパがメインの話。ドワルキンは、自分が持つトマホークの柄に付いているドクロ・マークの目の輝きを催眠術に使います。その暗殺指令を実行するため暗躍するカッパと、催眠の現場を見てしまい一同に知らせようとするチーコ、それを追うドワルキン、そして何も知らない輝たちが、一つの山の中で別々に動き回り、誰と誰がいつ鉢合わせするかというサスペンス編。劇中、ドワルキンが酒瓶片手に登場するシーンが有りますが、ひょっとしたら収録前夜にスタッフ一同が飲み食いした時のボトルをそのまま現場に持ってきたのでしょうか!? ラストの石川進さん解説は「君たちは催眠術を真似するなよ!」(笑)。


第31話「バクハツ!黄金のカブト虫」

放送日:1977/12/17
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 ドワルキンが、10年がかりで改良に改良を重ねた黄金色の「バクダン・カブト虫」。その甲に、ちょっとでも触れれば大爆発が起こるのだ。「讃岐の森」の土中に眠るそれら3万匹は、3日後のドワルキンの誕生日、彼が誕生したのと同じ時刻に一斉に活動を開始する! その事実を知ってしまったロングは、ドワルキンの執拗な追跡を受ける。その時、偶然水の中に逃れたロングは、ドワルキンが自分を追って来なかった事から「泳げない」という彼の意外な欠点に気づく──

 ロングが主役の話です。今回、ドワルキンのトマホークには「逃亡者探知レーダー」なる機能も有る事が判明。それは警察犬の10倍の臭覚、つまり臭いで相手を探すという珍妙な物で、その凄まじい威力の前に(笑)もはや逃げのびられないと諦めかけるロングを、ガンバロンが「バロン・テレパシー」を使って励ますという描写も出てきます。劇中に登場する「バクダン・カブト虫」は、本物のカブト虫に金のスプレーをぶっかけ、半死半生の物を糸で釣ったりして撮影(ム‥‥‥ムゴイ)。また、ロングが石を3つ重ねるボーイスカウトの暗号(懐かしい!)で危機を知らせる下りも有り、ラストで石川さんが「これは世界共通のSOSサイン。君たちも覚えておこう!」と言っていました。


第32話「ぶっとばせ!嘘つきドワルキン」

放送日:1977/12/24
脚本:長坂秀佳、田口成光
監督:東条昭平、深沢清澄
ゲスト:−

 隣村の「キルワド神社」(笑)に出現するという、「頭に角が100本有る鬼」の話を聞き込んだタイムス一行はさっそく取材に急行。神社に祭ってある御神体は、案の定ドワルキンだ! 伝説を利用し、10年ほど前から鬼に成りすましていた彼は、毎年5百万円と米一俵を村人に差し出させるなどして荒稼ぎしていたのだ。村人に真相が露呈することを恐れたドワルキンは、彼らに「チーコという少女を生贄に捧げよ」というお告げを下し、少年タイムスの面々を襲わせる──

 長持ちに入れられて神社に運ばれるチーコ。ところが、その時中から出てきたのは‥‥‥という、お馴染み「岩見重太郎・ヒヒ退治」ネタを元にした一編。石川さんは最後に「でも、昔は本当にこう言うことが有ったんだよ」と語ります。この話をもって『ガンバロン』全編は終了するわけですが、ラストで石川さんが「また来週!」と言うなど、他の回の途中に混ぜても良いような構成に成っています。 ただし、最後の「つづく」の文字が、この作品だけ入ってなかったりもします。





執筆(ALL):T.Yoshikiさん