「ぼくとマリの時間旅行」エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 20世紀の東京――。突然タイムパトルールに任命されてしまった戸田タツオと秋辺マリ。ふたりはロッカー型タイムトンネルを使って過去・未来を駆け巡り時間犯罪者を取り締まる。


第1話「もう1人のぼく」

放送日:1980/08/12
脚本:長坂秀佳
監督:佐藤和哉
ゲスト:大塚周夫(浪人)/丹古母鬼馬二(原人)/倉富勝士(作業員)、草薙良一(悪人)、湯川 勉(悪人)、大辻鉄平(悪人)/相原巨典(その他)、和久井節緒(その他)、荒瀬寛樹(その他)、平光琢也(その他)、須藤優子(その他)、銅 鑼(その他)

 探偵志望の若者・戸田タツオは、自分と瓜二つの姿をした「もう一人のぼく」に出会った。状況が理解できないまま、彼にネアンデルタール原人の捕獲を依頼されるが、逆に原人に襲われ気を失ってしまう。目を覚ましたタツオは、偶然出会った女性・秋辺マリと共に、「もう一人のぼく」から貰った名刺に書かれた場所に行く。そこで待っていた時間管理局所長・ムタイからタイムパトロールに任命されてしまう二人だったが、そこへネアンデルタール原人やマンモスが出現し大パニック! どうやらタイムトンネルの回路がショートしたらしい。原因追究の為にその日の朝まで時間を遡る彼らだが、突如現れた密売組織にムタイとマリが拉致されてしまう。タイムトンネルの故障の原因は、彼らが闇ルートでネアンデルタール原人を売るために仕組んだことだったのだ。タツオは、その時間軸にいる「もう一人のぼく」の力を借りて二人を無事に助け出し、黒幕と共に組織も逮捕。時間軸の混乱は収束されたのだった。

 本作『ぼくとマリの時間旅行』の放送枠は10年に亘り続いた『NHK少年ドラマシリーズ』で、本作はその92作目にあたる。
 原作は小松左京の『時間エージェント』。「戸田がマリと共にタイムパトロールとして活躍する」という大筋は原作通りであるが、ドラマ版のムタイ所長は原作には登場せず、代わりに原作ではマリが20世紀日本東京支部の所長である等、特にキャラクター設定や性格に変更がなされている。
 本作である第1話「もう1人のぼく」の原作は、第一話「原人密輸作戦」。この第1話と第2話は1977年に発表されたモンキー・パンチ氏によるコミック版でも同じく第1・2話として発表、話の大筋はほぼ原作通りである(ちなみに、コミック版は全3話。第3話は原作の第三話「幼児誘拐作戦」である。)


第2話「江戸の一ツ目小僧」

放送日:1980/08/13
脚本:長坂秀佳
監督:花房 實
ゲスト:岡田可愛(おせん)、片岡五郎(和助)/上田忠好(権八)、金原亭駒八(金七)/前沢迪雄(町人)、菅沼 赫(町人)、辻 シゲル(一ツ目小僧)/若 駒(その他)、八星プロ(その他)

 音信不通になったタイムパトロール隊員・和助を探して江戸時代に向かったタツオとマリは、そこで火の玉と一つ目の化け物を目撃。慌てて現代に逃げ帰った二人だったが、後からついてきた化け物が時間管理局に乱入し、リモコン機械を奪って元の時代に逃亡した。再び江戸時代に向かったタツオとマリとムタイの3人は、火の玉の正体が機械仕掛けだと知り、さらに化け物の住み処を突き止める。そこに居たのは和助。一つ目小僧の正体はエリザヌス星から来た宇宙人で、和助は故障した宇宙船を直す手伝いをしていたという。時間管理局からリモコンを奪ったのはその為だったのだ。宇宙船の修理を終えた宇宙人は、無事に自分の星へと帰って行った。

 本作の原作は第二話「一つ目小僧」。
 タツオを追う岡っ引だが、「黒門町の親分」だと名乗っている。「黒門町の親分」といえば、長坂氏も脚本を執筆していた『伝七捕物帖』が有名である。もちろん原作にはこのようなくだりは無い為、長坂氏のお遊びだろうか?
(※ゲストの役名の漢字表記は、オープニングテロップの表記を参照。)


第3話「ぼくらのウラトレマン」

放送日:1980/08/14
脚本:長坂秀佳
監督:佐藤和哉
ゲスト:梅沢昌代(メイ)、知念正文(リー)、生島 斎(ハブ)、佐久間宏則(トン)/田村元治(監督)、戸辺 淳(ウラトレマン)、西村淳二(怪獣)、山口純平(怪獣)、マネージャーズ(そのほか)、ひまわり(そのほか)/ベンガル(非行乳児)、高田純次(非行乳児)、小形雄二(非行乳児)、綾田俊樹(非行乳児)/古関安広(非行乳児)、鈴木稚英子(非行乳児)、永田裕子(非行乳児)、[振り付け] 渡辺安章

 10年前に放送されていた特撮ヒーロー番組「ウラトレマン」。「ウラトレマン」の大ファンであるタツオとムタイ所長の前に、謎の覆面集団がタイムトンネルより出現。「ウラトレマン」を誘拐しにきたという。架空のヒーローだと信じてもらえず、タツオとマリは覆面集団を伴って10年前の撮影現場に向かう羽目に。そこで「ウラトレマン」の衣装を手に入れ、誤魔化そうとするタツオとマリだったが、衣装を身に付けたタツオは24世紀に連れて行かれてしまった。覆面集団の目的はかっぱらいの自慢会へ「ウラトレマン」を出すことだったのだ。ニセ者だとばれ殺されそうになったタツオは、マリとムタイ所長によって無事救出され20世紀に帰還。その後、強盗集団の正体がまだ1歳にもならない「非行乳幼児グループ」であったと判明したのだった。

 本作の原作は第四話「タイムトラブル」。ただし、強盗集団が誘拐するのは「ウラトレマン」ではなく、20世紀の日本の首相である。
 20世紀最大のヒーロー「ウラトレマン」……ということであるが、もちろん『ウルトラマン』がモチーフ。『ウルトラマン』によく似たテーマソングに着ぐるみ。それに、謎の2体の怪獣。流用とかではなくすべて新規造形だろうか?


第4話「ドロボウたち大混戦」

放送日:1980/08/15
脚本:長坂秀佳
監督:花房 實
ゲスト:大谷 淳(岩上)/兼松 隆(貞)、岩手太郎(哲)/宇南山 宏(医師)

 3人組の強盗が時間管理局に忍び込み、ロッカー型タイムトンネルを金庫だと勘違いした強盗のリーダー・岩上がタイムトンネルに閉じ込められてしまった。強盗はやって来たタツオを殴り倒し、タツオはそのショックで記憶喪失に。タイムトンネルを奪い去った強盗らは、閉じ込められた岩上を救出する為、タツオを拉致しタイムトンネルを開けさせようとするが、その目前で岩上が10年前の地図を持って帰還。無事にタイムトンネルを取り返したムタイらだったが、未来の地図を使って値上がりする土地を察知し土地成金を企む強盗らに、100年後の地図を手に入れてくるよう要求される。要求をのまないとタイムトンネルの秘密をマスコミにばらすという。しかし、マリの機転とタツオの活躍により強盗一味は撃退、タツオの記憶も無事に戻り事件は解決したのだった。

 本作の原作は第五話「地図を探せ」………であろうが、「未来の地図を悪用」という大筋以外はかなり話の流れが異なる。原作では、既に未来の地図を悪用し、ある財閥が一財産を築いたあと。その地図の噂を嗅ぎ付けた複数の組織が地図を狙い、タツオとマリを巻き込んでの大争奪戦へと展開している。
 なお、本話が最終話ではあるが、最終回らしい終わり方は特になっていない。また、原作も最終話である第八話は特に最終回らしい終わり方にはなっていない。これはコミック版も同様である。
(※ゲストの役名の漢字表記は、オープニングテロップの表記を参照。)