【ストーリー紹介】「動物のことなら何でもご相談を」――動物センター「夢ランド」のスタッフは、動物が絡んだ様々な事件を解決していく。
第1話「象が逃げてSOS!」
放送日:1986/09/21 運搬中の子象が逃げ出した。動物がらみの何でも屋「動物センター夢ランド」のメンバーは、捕獲の依頼を受け、象の行方を追う。象を目撃した飼育技師・猪狩は、象の目撃現場に居た少年・左右田鉄兵に象の行方を尋ねるが、彼は知らないという。鉄兵の振る舞いに不審を抱いた猪狩は、鉄兵が隠し匿っていた子象を発見。小さい時に母親が家出した過去を持つ鉄兵が、母親に会う為に逃げ出したという子象に感情移入し、子象を母親象に会わせようとしていたのだ。鉄平の気持ちを考え、一緒になって象を匿う猪狩。その夜、センターの所長・草岡と猪狩は鉄兵の父・鉄五郎から鉄平の母親の真相を聞く。実は、家出の直後、鉄平の目の前で車に轢かれ即死、鉄平はそのショックで記憶を消してしまったのだ。その話を立ち聞きした鉄平はショックで家を飛び出す。翌日、子象が工事現場にて鉄骨に挟まれ身動きがとれず、その頭上には今にも落ちてきそうな鉄骨が! しかも、鉄平は気が動転して子象の側から離れようとしない。その間、子象の母親象を呼び寄せる草岡。母親象によって鉄骨が除去され、無事に助け出される子象。そして、母親象と子象の別れ。草岡は、この別れを鉄平に見せたかったのだ。すべてを理解した鉄平は子象に自分も頑張ることを誓うのだった。
本番組は、長坂氏が『特捜最前線』(1977年〜1987年)で出会った五十嵐文郎プロデューサーとタッグを組んだ作品。この作品の後、五十嵐氏とは数多くの作品を共に手掛けることになる。 第3話「アライグマの贈り物!?」
放送日:1986/10/05 センターに瀕死のチャボが運ばれ、診察する草岡は独断で安楽死させた。ショックを受けた飼い主の少女・有紀は、部屋に閉じこもり、両親や草岡に辛くあたる。草岡は毎日、有紀のところに通い続けるが有紀の態度は悪化し、自殺未遂にまで発展する。センター内でも安楽死に対しての反感が募る中、草岡とは昔からの友人である納田から草岡の過去が語られる。草岡は昔、娘・兎月が飼っていた鳩を手術中に死なせてしまい、兎月はショックで外に飛び出し、その時に車に撥ねられて死亡。その手術の際、手術を見ていた兎月に「どうせ死なすなら、なぜこんなに痛い目にあわせたのか」と抗議されたのだ。動物好きの兎月が夢見ていた「動物いっぱいの国」、それを奔走して実現させたのが「動物センター夢ランド」だったのだ。そんな中、チャボを殺した犯人がアライグマであることが判明。そのアライグマは車に轢かれて既に死んでおり、その子供が取り残されていた。草岡は有紀を立ち直させる為、アライグマの子供を有紀に預ける。このままでは栄養失調で死んでしまう為、面倒を見てほしいと頼む草岡。チャボにとっては仇の子であるそのアライグマだったが、有紀は気持ちに整理を付けその命を救う。そして、それをきっかけに有紀も元気に立ち直るのであった。
本作では草岡の過去が明かされる。第1話でも意味深なカタチで描かれた「絵」の秘密や、船のカタチをしたセンターの意味など、すべて理由づけて説明されており、それらの基本設定など、本番組のかなりの部分の設定を長坂氏が作り出したのではないかと思われる。草岡の呼び名の「セン長」が、「センター長」と「船長」の引っかけというくだりなど、いかにも長坂氏らしいのではないだろうか。 第9話「ハートのサインが見えますか?」
放送日:1986/11/30 「動物センター夢ランド」に迷い込んだ一匹のチンパンジー。時を同じくして、動物研究員・佐々本から行方不明になったチンパンジーの捜索依頼がセンターに舞い込む。そのチンパンジーの竹田君は、佐々本の研究で手話を教えさせられていたが、研究の成果は芳しくなかった。チンパンジーをセンターに隠したのが佐々本の不良息子・雄大だと推測した納田は、直接雄大を問い詰めるが、雄大は反抗的な態度をとる。名門への養子だからとペコペコし、親戚・家族から軽蔑されていた父親に対して、反発的な態度をとる雄大を、それが父親への愛情の裏返しだと感じた納田は体当たりで接する。納田は雄大に対し、自分で猿を返しに行くよう説得、父親に自分の罪を認める雄大だったが、佐々本は息子を告訴すると息巻き、親子の関係はさらに悪化する。そんな中、センターの面々はチンパンジーが手話であることを訴えていることに気付く。それが、「佐々本の元に戻りたい」ことだと推測した納田は、それを佐々本ら家族に解く。自分に逆らってばかりで好かれていないと思っていた佐々本は、チンパンジーの態度を理解し、交流を果たす。同じように、父子の交流が不器用だった二人もお互いを理解、二人はわだかまりを解いたのだった。
本作は、長坂作品では恒例である「父と子」がテーマ。「不器用な父子の交流」という定番中の定番であるが、今作では、言葉が話せないチンパンジーに対して手話で交流を図る研究をする男とそのチンパンジー、そして、お互いに不器用で交流が図れないでいる父子をオーバーラップさせ、お互いを理解するまでを描いている。「不器用な父子の交流」というのはよくあるテーマではあるが、「チンパンジーと手話で会話する」という一見滑稽な着眼点が、見事なまでにテーマを描ききり、そして着地させている。 |