【ストーリー紹介】大物弁護士・保坂正国を父に持つ夏子は、女性のための、女性だけの弁護士事務所を設立した。夏子は6人の仲間と共に数々の事件に立ち向かう。
第1話「女子大生レイプ殺人の華麗な推理 有罪率99%の逆転法廷!」
放送日:1991/01/10 雨の夜に起こったレイプ事件。女弁護士・保坂夏子は、その事件の犯人として逮捕された伊橋健一の母・栄と出会い、母親の言葉を信じ事件に取り組むことを決意、私選から国選へと回された事件を取得した。夏子は父・正国から弁護士事務所を受け継ぎ、新しいメンバーが夏子の元に集結、共に事件に取り組み始める。しかし、いくつかの証拠が健一を不利にしていた。友人によるアリバイの証言、現場に残された健一のナイフ、健一の主張では濡れるはずのないジャンパーが濡れていたこと。警察の強引な尋問により心を閉ざしていた健一の心を解きほぐす夏子は、一つ一つ手掛かりを追い事件を解決へと導いていく。アリバイは警察の強引な尋問によるもの、濡れていたジャンパーはストーブを焚いていた部屋で窓ガラスのそばにかけていた為に水滴がついたもの、ナイフは友人がトラックに隠し、そのトラックが犯行現場通過時に段差による揺れで落としたものと、不利だった材料を解決。結果、無罪を勝ち取り、3か月後、真犯人は逮捕された。ここに、夏子が目指す「女による女の為の」法律事務所「七人の女弁護士事務所」は誕生した。
本番組『七人の女弁護士』は1991年より1997年にかけて全3シリーズ及び2時間スペシャルが、そして2006年よりリメイクとして2シリーズが作られている長寿シリーズ。そのうち長坂氏は1991年に放送された第1シリーズの6作品を手掛けている。ただし、長坂氏が手掛けていない他シリーズでも「原案」とテロップ表記されていることから、本作はかなり長坂氏の手による設定だと思われる。『刑事くん』『特捜最前線』で長年刑事ドラマを手掛けてきた長坂氏が1990年に『都会の森』にて事件ドラマを「弁護士」という視点で捉え、今度はその弁護士のドラマを「女性」という視点で捉えカタチにしている。 第2話「美人スチュワーデス殺し!覗かれた危険な密会」
放送日:1991/01/24 ある晩、スチュワーデスが絞殺された。容疑者として逮捕された笹島清彦の妻・千佐子に依頼され、行動する夏子ら。調査によって、被害者・矢川真利子に彼氏の存在があったことが発覚。作りかけの男もののセーターにある「IM」の文字、そして、被害者が音楽クラブで使っていたステージネーム「白井今日子」がいい人の名前を合成したものだと分かるが、その相手が誰だかは分からない。そんな中、千佐子が証言していた夫のアリバイが嘘だということが判明、そして、清彦が犯行時刻付近に被害者の元に訪れレイプしていたことが分かる。清彦の行為に女弁護士の面々は憤慨し意気消沈。しかし、夏子はその妻の為に働くのが自分達の役目だと説き、行動を再開。すべての謎を解いた彼女らは、セーターに記された「IM」の文字と「白井今日子」の名前を組み合わせた文字が、清彦の保護司・垣見義朗のアナグラムであると説明、彼を追い詰め、清彦の無実は証明された。しかし、千佐子は最後に離婚を決断。それは、清彦にとっては何よりも重い判決だった。
台本タイトルは「疑惑の夫、美人スチュワーデス殺し!」(仮題)。放送タイトルは「美人スチュワーデス殺し!覗かれた危険な密会」。作品を見る限り「危険な密会」では無いと思われるが……。 第3話「古都金沢・加賀友禅殺人事件!罠に落ちた人妻」
放送日:1991/01/31 加賀友禅の職人・宮川町子は、起床時に夫の死体を発見。解剖の結果、右鎖骨付近の筋肉内に出血があることから警察は扼殺と断定、状況から町子を逮捕した。母の無実を信じる娘・明子は夏子に弁護を依頼、心動かされた夏子は依頼を受け、調査を開始する。その結果、害者が患っていた突発性心筋症による急性病死と、警察及び検察が主張する急性窒息死とでは、死体の所見が非常によく似ていると判明。法医学者・梶山則夫による誤診と判断した夏子らは、突然死と主張する別の鑑定人を法廷に呼び戦う。しかし、裁判所は権威ある医師による第3の鑑定を実施するとして、検察側に有利な医師・高石重民教授を選定。事前情報でその鑑定結果が他殺だと知った夏子らは奇策で対抗。第4の鑑定人として実績ある宇都宮佐継教授を法廷に呼ぶ。首筋に首を絞めた痕があると主張する高石教授に対し、宇都宮教授はそれがストロボの反射だと反論。結果、町子の無罪が決まった。
本作の決定稿台本タイトルは「古都金沢・母と娘の哀歌」(仮)。稿表記はないが、おそらく準備稿と思われる台本のタイトルは「古都金沢・母と娘の哀歌が流れる」(仮)である。放送タイトルは「古都金沢・加賀友禅殺人事件!罠に落ちた人妻」で、作品を見る限り「罠に落ちた」では無いと思われるが……。1、2、3話と続けて意味不明なタイトルが続く。視聴者の興味をひく為には仕方無いことなのだろうか? 第5話「ママハハvs実母!娘はどちらの手に?涙の決断」
放送日:1991/02/21 娘・ひかりを産んだ直後、夫を事故で亡くした女、津山好子。好子は、経済的理由から親友・竹澤京子に娘を譲った。3年後、ひかりが虐待されているのを目撃した好子は、ひかりを連れ去ってしまう。好子の弁護をする夏子だったが、経済的理由かつ両親が揃っている等あらゆる理由で好子より京子にその資格があるとし、状況は圧倒的に不利。裁判所の決定で、育ての親・京子へ娘を引き渡すという仮処分が下された。しかし、その後の調べで京子の周辺に夫の影がないことが分かる。ひかりが原因で夫婦関係に破綻が生じ、夫は別居中だったのだ。形勢は逆転し、不利になる京子。その京子の元へ事実を確認に行った玲子と美樹は、「娘無しでは生きては行けない」と残し自殺を図る京子の姿を見て、京子の弁護を引き受ける。事務所内で対立する夏子と玲子、美樹。子供にとっての幸せという観点で考えた彼女らは、子供との心中を図ろうとした好子よりも、育ての親である京子が適任であると判断、好子も同意し、ひかりは育ての親の元へ戻っていった。
「育ての親」と「生みの親」の、どちらが親として適任かという重いテーマを真っ正面から取り扱い、登場人物達の立場、状況、過去を絡め描いた作品。「女性による女性の為の」と掲げた作品らしい仕上がりとなった作品である。 第7話「疑惑のトリカブト殺人!密会写真トリックの罠」
放送日:1991/03/07 花屋の妻・関根里子が殺害され、容疑者として夫の英輔が逮捕された。英輔の娘・英里の話によると、殺人現場である部屋の合い鍵を持っているのは、家族以外では英輔の恩人でもある区会議員の沼田正憲だけだという。沼田の名前を聞いて顔色を変える玲子。沼田は玲子の父を死に追いやった張本人だったのだ。しかし、沼田には完璧なアリバイがあった。犯行があった日、沼田の近所に住む夏子が朝晩偶然出会っており、カメラの最初には夏子の手により沼田が、最後には沼田による撮影で夏子が映されていた。そして、その間に登山中の沼田が映されている為、とても犯行現場に行ける余裕はなかった。その後の調査で動機が発覚。沼田が4年前に妻を殺害した際に用いたトリカブトが、英輔の店で買われたことに里子が気付き、その為に殺害されたのだ。そして、写真のトリックも、1枚目だけ同じ型の別のカメラで夏子によって撮らせ、既に最後の1枚を残して前の日に撮影した別のカメラに、最後の1枚だけ犯行日に撮影したものだと突き止めた。しかし、証拠としては弱く、起訴はできない。勝ち誇る沼田だったが、その時、里子が好きだった花の花びらが開いた。一か月に一度しか花を開かないという妖花「フェリュス・マンドラ」。その花の中から証拠となるトリカブトの領収書が出てきたのであった。
本作の台本タイトルは「トリカブト疑惑・写真トリックの罠」(仮)。放送タイトルは「疑惑のトリカブト殺人!密会写真トリックの罠」。「密会写真」とはなんのことであろうか? 関根里子と沼田正憲の間に密会の疑惑があったのは間違いないが、写真トリックとは関係がない。ましてや夏子と沼田正憲が関係する写真トリックは密会でも何でもない。相変わらず意味不明なサブタイトルである。第2話・4話・7話と第1シリーズ全10作中3度に亘りサブタイトルに「密会」とつけられているが、当時「密会」という言葉が流行っていたのだろうか? 謎である。 第10話「非行主婦殺人事件!」
放送日:1991/03/28 夫を正当防衛で殺したと主張する女・芦辺千波。しかし、千波の姑・芦辺静は正当防衛では無いと主張。静の証言から、夫がいながら2年の間に3人の男と関係を持ち、ウソツキ、浪費化、アルコール依存症といった、千波の悪妻としての悪いイメージが明かされていく。千波を弁護する夏子らは死体の傷が左利きによるものから、右利きである千波が犯人ではないと断定、千波が誰かを庇っているものだと推測。その後の調査で、千波が庇っていたのが静だと判明する。静が2年前に交通事故を起こし、その身代わりとして千波が事故の被害者と接触。その被害者・志乃田直人が2度名前を変え3人の男として千波から金を巻き上げ、それを知った夫・豊が母に詰め寄ることも出来ず酒に溺れてしまったのが真相だった。そして、芦辺家に家庭教師として潜り込んだ志乃田は豊を殺害、千波を脅迫し犯人に仕立て上げていたのだ。自分の証言により静が傷つくのを恐れ、証言を拒否する千波だったが、すべてを知った静の説得と、そして子供たちの言葉に心動かされ真実を告白するのだった。
本作の台本タイトルは「嫁姑・裁かれるもの」(仮) |