「外科病棟 女医の事件ファイル」長坂作品エピソード あらすじ・解説

【ストーリー紹介】

 女性外科医・鮎川朝子は、とある事件をきっかけに検視官・武藤一作に警察医になるよう依頼され、そして二人は共に数々の事件を解明していくことになる。その後、二人は別の所属に移り、後任として女性外科医・相沢環と検視官・木暮京介が事件に立ち向かう。


第1話「美人モデル殺し!死体の復讐 産婦人科医が一家心中!?」

放送日:1991/07/11
脚本:長坂秀佳
監督:一倉治雄
ゲスト:岩本千春(岡田明子)/森次晃嗣(伏見乙彦)/ロミ山田(河本アキ)/須永 慶(岡田義郎)、唐木ちえみ(岡田和枝)、矢島亜由美(ひとみ)、五十嵐麻子(水島リエ)、中野壽年(ホテル支配人)、古賀プロダクション

 とあるホテルのプールでモデルが突然苦しみ出し、倒れた。偶然その場に居合わせた外科医・鮎川朝子は即座に死因を判断。その功績から検視官・武藤一作は彼女に産婦人科医の無理心中事件の法医解剖を依頼。朝子は無理心中したと思われる医師・岡田義郎が他殺だと診断する。岡田が勤めていた病院が、誤診によって健全な子宮を摘出された女性から告訴されようとしていたことが判明。その女性が、プールで毒殺したモデルだった。殺人現場の電話器の下にも血痕が残っていることに気付いた武藤は、犯行時に電話器が動かされたと推理。そして、電話器を使ったのが、岡田が勤める病院の医院長・伏見乙彦だと突き止め、彼を尋問。しかし、その最中、病院の理事長・河本あきが殺害された。彼らの目前で犯人はドアを閉め、窓から逃走する。武藤はそのトリックが、空気によるドアの開閉だと見破り、また、朝子は河本あきの爪から採取された皮膚のDNAが伏見のものだと突き止め、伏見は逮捕されるのだった。

 本番組、『外科病棟 女医の事件ファイル』では長坂氏は第1・2・5話の3作品を担当。『刑事くん』、そして『特捜最前線』と長年「刑事ドラマ」を書き続けてきた長坂氏が、新たな視点より描いた「事件もの」ドラマ。遺留品の捜査により「現場の声」を聞く武藤と、法医解剖により「死者の声」を聞く朝子のコンビという設定が、今までの「刑事ドラマ」に無かったドラマを描き出している。
 朝子らのいる病院名は「海浜中央病院」、武藤は「神奈川県警察」ということが判明。
(※ゲストの役名の漢字表記は、エンディングテロップの表記を参照。(2・5話も同様))


第2話「魔性の女の完全犯罪!死体の罠」

放送日:1991/07/18
脚本:長坂秀佳
監督:山口和彦
ゲスト:鈴木 実、渡 洋史/浅利香津代(京極暁子)/新井量大(門田三郎)、恩田恵美子(水口八重)/高尾由美(岩本清見)、真鍋 敏(大谷)、新井敏也(佐山)、久保晴輝(木田)、田村元治(警備員)、海東剛哲(フロントマン)、古賀プロダクション

 何者かが、自然保護で有名な門田三郎を火事による焼死に見せかけ殺害した。門前家では、8年前に門田の息子、そして3年前には娘・双葉子と不審な死が続いていた。双葉子の婚約者だった武藤は、犯人が有名な建築デザイナーの京極暁子だと特定していたが、証拠が無かった。朝子は、門田が別の場所で焼死させられ、遺体が移動された他殺だと突き止め、そして、武藤は殺害現場を発見する。しかし、犯人が暁子だという証拠は無く、また、武藤と朝子は暁子に名誉毀損で告訴され、窮地に立たされる。が、武藤は執念で証拠を見つけ、暁子に叩き付ける。門田の眼鏡に、双葉子が暁子に贈った口紅の油による焼付効果によって、暁子の指紋が焼き付いていたのだった。暁子は逮捕され、武藤は長年の呪縛から解き放たれたのだった。

 第2話は武藤の暗い過去が明かされる話。朝子と瓜二つの容姿を持つ門田双葉子という婚約者がいたことが語られ、彼女を殺害した犯人との対決が描かれている。今作で昔の婚約者の事件に決着をつけ、同じ容姿を持つ朝子とのドラマが第3話以降描かれる……はずだったのだろうが、朝子役の古手川祐子氏が細菌性肺炎のためこの話を最後に急遽降板、それに伴って時任三郎氏も降板した為、朝子と武藤のドラマの続きが描かれることは無かった。非常に残念である。


 ――アメリカに研修に行った朝子に代わり外科医の相沢環が警察医に、そして、科警研に引き抜かれた武藤に代わって木暮京介が検察官に着任。共に事件に立ち向かって行く。


第5話「整形複顔の美女!疑惑の二人妻」

放送日:1991/08/08
脚本:長坂秀佳
監督:山口和彦
ゲスト:大出 俊(白峰孝明)/友竹見枝(村崎久子)、越村公一(村崎国夫)/沢井伽名子(白峰瞭子)、沢 ちかこ(ヨーコ)、小林学文(作業員)、田村 園(花屋の店員)、古賀プロダクション、セントラル子供タレント

 工事現場で女性と赤ん坊の白骨死体が発見された。環は恩師・白峰孝明から教わった手法で白骨死体の女性の年齢を36〜37歳という狭い範囲まで特定。しかし、その条件の行方不明者の中には該当者はいなかった。また、白峰が用意したプログラムで復顔が進められ、完成するが、完成された顔に医師達はしっくりこない。そんな中、白峰の妻が死亡。一方、医師らは復顔をやり直すが、完成された顔は、死んだばかりのはずの白峰の妻。2年前、死産のショックでノイローゼになった白峰の妻がよその赤ん坊を連れ、そして死なせてしまい、その妻を白峰が衝動的に殺害し、埋めたのが真相だった。2年もの間、妻の替え玉を使い、ノイローゼの妻ということでほとんど外出させずに世間を騙してきていたのだ。すべてを知った環は白峰に自首をすすめ、事件は解決した。

 降板した古手川祐子氏と時任三郎氏に代わり、第3話より中原理恵氏と草刈正雄氏が登板。ドラマ上では第3話の台詞にて、古手川側は「鮎川君がアメリカに研修に行った後……」、時任側は「科警研に引き抜かれた武藤君に代わって……」と語られている。 主役の二人以外は舞台、キャストともに変更は無い。
 キャスト変更後長坂氏が執筆した作品はこの第5話のみである。
 なお、木暮京介の娘・香織はこの第5話が初登場である。