【ストーリー紹介】女教師・小糸亜弓は、渋谷の街でパトリック・ダンディと名乗る米軍兵の格好をした風変わりな男と出会う。ダンディの話によると、彼は米軍の大佐で貴族出身、さらに元宇宙飛行士だというのだが……。
第1話「−」
放送日:1997/09/02 10月11日、渋谷・ハチ公前――緑山学院高校教師の小糸亜弓は、アメリカ空軍パイロット・パトリック・ダンディと名乗る米軍兵の格好をした風変わりな男に声をかけられた。舞踏会出席の為、南平台にあるフィリピン大使館への道を問うダンディは亜弓に一緒に出席するよう懇願。ダンディの常識外れな話の数々にあきれる亜弓。待ち合わせの相手に約束をすっぽかされ沈んでいた亜弓は、その素っ頓狂な彼の態度に自然に笑みを浮かべるのだった。
本番組は、1998年1月に発売されたセガサターン用ソフト『街』発売に先駆けて放送されたラジオドラマ。ラジオ番組「佐竹雅昭・林原めぐみの無法塾」内の一コーナーとして放送された。毎回、ドラマの最後に3つの選択肢(A、B、C)が示され、その直後、リスナーより募集した「あなたの街の自慢話」を毎週2通紹介、パーソナリティーが面白いと思った方のハガキに記されたアルファベットの物語が次週展開されていくという形式をとっていた。その選択肢は、第1話〜第10話は亜弓の台詞の三択、第11話はダンディの台詞の三択である。ドラマ自体は約10分。選択肢の読み上げと「対決街自慢」コーナーは計約3分程度であった。 第2話「−」
放送日:1997/09/16 喫茶店へと強引に誘うダンディを断り立ち去る亜弓。だが、赤信号で立ち止まった亜弓は「これも何かの運命か」と思い直してUターンし、ダンディと共に喫茶店へ。だが、ダンディの常識外れな話はさらにエスカレートし、宇宙飛行士の経験があるとまで言い出す始末。そして、亜弓はからかわれたと思い怒って席を立った。喫茶店の代金を払うというダンディだが、日本円の持ち合わせは無いと言う彼に苛立った亜弓は、代わりに二人分の代金を払い喫茶店を飛び出した。
本話の喫茶店のシーン。ラジオドラマでは描写されていないが、ゲーム上では同時刻(11:40)の同場所(センター街のカフェ・ラ・ミル)には篠田正志と日曜日もいる。 第3話「−」
放送日:1997/09/23 喫茶店を飛び出した亜弓。しつこく付きまとうダンディを振り切る亜弓は、爆弾事件を追う渋谷中央署の刑事・雨宮桂馬と麻生しおりの怪しげな振る舞いに頭を抱えた。再び亜弓の前に現れたダンディは、歯の浮くような甘い台詞を連発。900億ドルの財産を持つというダンディは、我が王室の王妃として迎えたいと亜弓に告白。さすがにあきれ苛立つ亜弓。喫茶店の代金を返す為に住所を強引に聞き出そうとするダンディに、学校の住所を伝えた亜弓はその場から立ち去るのだった。
本話のゲスト・雨宮桂馬と麻生しおりが登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。 第4話「−」
放送日:1997/09/30 ダンディの前から立ち去った亜弓。そして10月12日の放課後――。緑山学院高校の校門前では、学校中の嫌われ者・青井則生が女生徒のアイドル・飛沢陽平を脅迫、おしゃべりな女子高生トリオ・マチーズに陽平の秘密をチクろうとしていた。そんな彼らの前に宇宙服の格好をしたダンディが現れた。亜弓に好意を寄せる教師の谷瀬田は、ダンディから亜弓が婚約者だと聞かされ愕然。慌てて現れた亜弓はその場を誤魔化しダンディを連れ出した。プロポーズの返事を求めるダンディは、亜弓に花束を差し出すのだった。
本話のゲスト・飛沢陽平、青井則生、マチーズ、谷瀬田が登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。ほぼ同時刻、飛沢陽平とマチーズは公園通りのミスタードーナツで複数デートを(15:30・15:40)、青ムシは取材の為にセンター街をうろついている(15:00)。逆に、ラジオドラマ版では描写は無いが、ゲーム上では12:30にダンディは青ムシと遭遇している。また、宇宙服姿のダンディと亜弓が出会うシーン、ラジオドラマ版では放課後のような描写だが、PSP版のダンディの追加シナリオでは亜弓の「六時限まで授業がない」という台詞から放課後ではないことが分かる。 第5話「−」
放送日:1997/10/07 ダンディの振る舞いに怒って立ち去る亜弓。一方、秘密結社「七曜会」のリーダー・日曜日は、金曜日こと篠田正志に、人気スター・デューク浜地を強請るよう指令。そのデューク浜地が主役を務めるテレビドラマ「独走最善戦」のロケ現場でデュークを見つけた亜弓は、昨日の朝に自分との約束をすっぽかしたデュークを責める。しかしデュークは、公然の前で女優・香月ミカレとの仲を見せつけ亜弓を辱める。その場に現れ亜弓を庇うダンディ。続けて現れた正志に脅迫されたデュークは、慌ててその場を逃げ出すのだった。
本話のゲスト・篠田正志、日曜日、デューク浜地、香月ミカレが登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。 第6話「−」
放送日:1997/10/14 信じていたデュークに裏切られ深く傷ついた亜弓を、おでん屋の屋台に誘うダンディ。酔った亜弓は身の上話や貯金の話までもダンディに語り出した。そして、甘い言葉を亜弓にかけ続けるダンディ。ダンディは、車に撥ねられそうになった亜弓を救い、さらにプロポーズを繰り返す。果てには、中世ヨーロッパのナイトが騎士道精神で愛の告白する時の愛の証しであると、バラの花を口から血を出しながら食べ出した……。
本話のゲスト・運転手が登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。この運転手がゲーム上で存在する人物かどうかは不明。ゲーム上で運転手と呼ばれる人物は5日間渋谷から出られないタクシー運転手・田中秀樹、馬部が乗ったタクシーの運転手・松下光茂(3日目15:10・バットエンドNo.51)、トラックの運転手・虎駆運太くらいであるが、同一人物かどうかは不明。なお、この運転手は、CD版には出番があるが、ラジオドラマ版では出番は無い。 第7話「−」
放送日:1997/10/28 口から血を出しながらバラの花を食べるダンディを心配する亜弓は、その姿に心打たれる。そして、「さよなら」を言う亜弓に明日も会おうと告げるダンディ。10月13日、ハチ公前――。諦めかけていたダンディの前に現れる亜弓。一晩一生懸命考えたという亜弓はダンディのプロポーズを快諾。そんな二人の前に、売れっ子のプロットライター・市川文靖が接近。意味不明なことを呟く彼に気味悪がる亜弓。そして、ダンディと共に代々木公園に向かった亜弓は、夢見ていた結婚を現実に感じ夢心地。ダンディは亜弓に目に見えない指輪を贈るのだった。
本話のゲスト・市川文靖が登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。ただし、近い時刻(11:30)に同じ場所(ハチ公前)から電話をかけている。 第8話「−」
放送日:1997/11/04 ダンディは亜弓を誘ってレストランで食事を。そこへ、5日間で17kg痩せないと彼氏に振られる為にダイエットに励んでいる女性・細井美子が現れ、二人の料理をうらやましく見つめる。そんな美子を、同僚の秋山薫がその場から連れ去った。ダンディとの食事中、沈んだ顔を見せるダンディを心配した亜弓は、ダンディがスイス銀行にある全財産が引き出せなくなり、さらに部下を救う為に急遽お金が必要だと聞く。亜弓の預金が450万円だと聞き出したダンディは、必要な金額がちょうど同額だと語った。店を出た亜弓はダンディに450万円使ってほしいと進言。そこに偶然現れたデューク浜地と監督のカバ沢に居心地の悪さを感じた亜弓は店を後にした。
本話のゲスト・デューク浜地とカバ沢が登場するくだりは、ゲーム上では市川文靖のシナリオにて描写がある(12:10・12:40)。ただし、カバ沢はCD版には出番があるが、ラジオドラマ版では出番は無い。 第9話「−」
放送日:1997/11/11 レストランをあとにし、街を歩く亜弓とダンディの前で火事が。そこに現れたヤクザの牛尾政美と狐島三次。宝石強盗として鯨井刑事に追われる二人は火事に飛び込むふりをしてその場を立ち去る。直後、牛尾と同じ容姿をした役者の馬部甚太郎とADのサギ山が現れ、牛尾と勘違いした鯨井刑事に追われる羽目に。一方、ダンディは、自分たちを見つめる鋭い視線に気が付き、慌ててあゆみを帰した。一人で帰宅したダンディに、跡をつけてきた町田アイ子が出現。亜弓と同じ手口で財産を騙し取られた被害者であったアイ子は警察に連れて行くとまくし立てるのだった。
本話のゲスト・牛尾政美、狐島三次、鯨井刑事、馬部甚太郎、サギ山が登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。また、CD版には出番があるが、ラジオドラマ版ではこの火事のくだりがまるごとカットされている。なお、この火事の場所は、PSP版のダンディの追加シナリオでは円山町の一角と語られている。 第10話「−」
放送日:1997/11/18 何とかアイ子を追い払ったダンディ。そして10月14日――。450万円を用意した亜弓はダンディとハチ公前で合流。だが、その場でアイ子を発見してうろたえたダンディは、亜弓のアパートへ行こうと亜弓を誘う。アパートで二人っきりになったことに舞い上がる亜弓。しかし、ダンディは450万円を亜弓から受け取らず、そして亜弓にも手を出さず、亜弓を焦らすだけ焦らして、「帰らないで」という亜弓の懇願を背に立ち去ろうとするのだった。 本話で採用された選択肢はBである。 第11話「−」
放送日:1997/11/25 亜弓を焦らすだけ焦らして立ち去るダンディ。再びダンディの前に現れたアイ子は、金を用意させていらないフリをし体にも手を付けず紳士的に帰り相手を焦らせるいつもの手口を責め立てる。そして、亜弓に全部バラして二人で警察へ行くと息巻いてその場を去った。観念して夜逃げをしようとするダンディに亜弓から電話が。アイ子にすべてを聞いたという亜弓は、数々の言い訳をするダンディを制止し、そして、さよならを告げるのだった……。
本話の選択肢は、第1話〜第11話までの中で唯一亜弓ではなくダンディの台詞である。その中に「実は私は怪人二十面相だったのだ」という選択肢があるが、実際は選ばれなかった。もし選ばれていたら、最終回ではどのような展開になっていたのだろうか? 「最終話で怪人二十面相の正体が明かされる」、そして、「ダンディのシナリオでも重要なポジションであるデューク浜地をゲーム上で演じていたのは団時朗氏」といえば……やはり長坂氏が脚本を手掛けた『少年探偵団』(1975年〜1976年)を連想せずにはいられない。 第12話「−」
放送日:1997/12/02 ダンディは自分の本当の姿を見せると亜弓に懇願。10月15日、ハチ公前――。バッキンガム宮殿の衛兵の格好をしたダンディは、約束の時間を過ぎても亜弓が来ない為、開き直って女性に声をかけ始めた。ぶつかった外人部隊の傭兵・高峰隆士に喧嘩をふっかけるダンディ。父親のことにふれられキレた高峰はダンディに暴力を振るい続ける。隠れて様子を見ていた亜弓は、飛び出してダンディを庇う。そして亜弓は、450万円をダンディに渡してさよならを告げ立ち去った。そんな亜弓に、すべてを見ていたアイ子が話しかけた。二人とも彼の純粋さに惹かれていたと……。そして、明日から新しい人生を歩まねばと決意する亜弓の元に、花屋から膨大な数の赤いバラと450万円が届けられた。「8時になったら窓の外を見てくれ」という伝言に従い空を見上げると――秋の夜空に花火が舞い上がっていたのだった。
本話のゲスト・マチーズ、高峰隆士が登場するくだりは、ゲーム上では描写は無い。 |