更生保護制度施行70周年記念全国大会
 令和元年10月7日東京国際フォーラムにおいて更生保護制度施行70周年記念全国大会が天皇皇后両陛下ご臨席のもと、5000人が参加し執り行われました。
 南保護区からは松岡直治保護司(桜学区)、河合勝己保護司(大生学区)、岡庭邦彦保護司(白水学区)の3名が法務大臣表彰を授賞しました。また、細江正保護司(道徳学区)が全国保護司連盟会長賞を授賞しました。
 ここに天皇陛下のおことばを始め来賓各位の祝辞をご紹介します。
 天皇陛下のおことば
 安倍晋三 内閣総理大臣 祝辞
 大島 理森 衆議院議長 祝辞
 山東 昭子 参議院議長 祝辞
 大谷 直人 最高裁判所長官 祝辞
 菊池祐太郎 日本弁護士連合会会長 祝辞

天皇陛下おことば
 更生保護制度施行70周年記念全国大会に日頃より更生保護の活動に尽力されている皆さんとともに出席できることをうれしく思います。
 我が国の更生保護は、保護観察官の他に保護司、更生保護施設、更生保護女性会、BBS会、協力雇用主など多くの民間篤志家の努力によって支えられてきました。
 社会奉仕の精神と思いやりに基づいたこれらの人々の努力が過ちを犯してしまった人の社会復帰と再犯防止のための力となり平和で安全な社会を創るために果たしてきた役割には誠に大きなものがあります。
 本日表彰を受けられた方々を始め長年に渡り人知れぬ苦労を重ねながら地道にそれぞれの地域の力となり献身的に更生保護を支えてきた多くの関係者の努力に深く敬意を表します。
 近年高齢化の進展や人間関係の希薄化など更生保護の仕事にも新たな難しさが加わってきていると伺っています。
この70年にわたる歴史を通して積み重ねてきた良き伝統を引き継ぐとともに 皆さんが力を合わせて、この制度の一層の充実を図り、明るい地域社会の実現を目指して、さらに貢献していかれることを願い大会に寄せる言葉といたします。

安倍晋三 内閣総理大臣 祝辞
 本日ここに天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国の更生保護関係者の多数のご参列を得て更生保護制度施行70周年記念全国大会が、このように盛大に開催されますことをお喜び申し上げます。
まずは本日お集りの皆様方をはじめ更生保護を支える民間の方々が今日に至るまで社会奉仕の精神をもって献身的に活動を続けられ多大なる成果を上げてこられましたことに対し、深いそして  と感謝の意を表する次第でございます。
また多年のご功績により本日栄えある表彰を受けられました方々に対し心よりお祝いを申し上げます。
政府としましては、世界一安全な国日本を目指し、再犯防止の総合対策を強力に推進しておりますが、皆様から強力なお力添えを得ました結果、刑法犯認知件数は戦後最小となり、刑務所出所受刑者の2年以内再入率も着実に減少するなど目に見える成果があがってまいりました。
 この間,私自身も現職の総理として初めて更生保護施設を訪問させていただき、また更生保護ボランティアの方々や次代を担う子供たちを総理官邸にお招きし意見交換を行うなどいたしました。そこで安全で安心な国造りのためには犯罪や非行からの立ち直りに取り組む人たちを再び社会に受け入れ地域の中で適切な仕事や居場所を確保するなどにより誰もがやり直せる社会、RE・スタートの社会を構成することの重要性を実感いたしました。
 現在、政府が重要施策として進めている1億総活躍社会の実現とは、まさに一度失敗を経験した人でも みんなが受け入れられ活躍できる社会の実現であります。
 また 犯罪や非行のない安全で安心な地域社会こそが、その基盤となるものです。保護司の方々をはじめとする地域の力によって支えられた我が国の更生保護制度は世界に誇れるものと確信しております。未来に希望の持てる日本を築いていく上で皆様のご活動は、極めて重要なものであり国民の大きな期待が寄せられて 更生保護の諸活動がより一層充実するよう私も取り組んでまいる決意です。
 終わりに皆様方のますますのご健勝とご活躍を祈念いたしまして私の祝辞といたします。
   令和元年10月7日 内閣総理大臣 安倍晋三

大島 理森 衆議院議長 祝辞
 本日 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ更生保護制度施行70周年記念全国大会が挙行されるにあたり一言お祝いのことばを申し上げます。
 我が国の更生保護の源流は、明治21年 金原明善 による 保護団体の設立にあるといわれております。以来 地域社会の 刑務所出所者等の 民間の活動によって支えられてきました。
 昭和24年には犯罪者予防更生法が施行され、民、官共同による更生保護制度が本格的に そこから数えて70年という節目を迎えるにあたり慈愛に満ちた活動を献身的に続けられている皆様に深く敬意を表します。様々な生きづらさをかかえ支援を必要としながらも孤立し犯罪や非行に 人々 適切に処遇し再び社会に受け入れていく きわめて重要な取り組みであります。2015年国連サミットにおいて採択された持続可能な 誰一人取り残さないが理念とされております。更生保護の着実な推進はこのような国際社会が目指す方向性に  平成19年に更生保護の基本法である更生保護法が成立し 犯罪や非行をした人の再発防止と改善更生の実効性を高める観点から制度の充実強化は格段に また更生保護関係予算大幅に増加してきております。この制度に寄せる国民の期待に応え、誰一人取り残さない社会を実現するためには、地域の様々な関係者と連携して更生保護を担われている皆さま方の取り組みが不可欠です。 我々国会議員は、 人は変われるという信念に基づき、 信頼 更生保護のさらなる発展のため、制度の改善と充実に力を注ぐべく決意を新たにする次第です。皆さまにおかれましては、より安全安心で明るい社会を 次の世代に伝えるために、なお一層のご尽力を賜わりますようお願い申し上げます。
 結びに長年のご功績により本日栄えある表彰を受けられた方々に対し心からお喜び申し上げますとともに、関係者の皆様のますますのご活躍とご健勝を記念して私のお祝いの言葉といたします。
   令和元年10月7日 衆議院議長 大島 理森

山東 昭子 参議院議長 祝辞
 天皇皇后両陛下のご臨席のもと、この素晴らしい大会が盛大に開催されましたこと、また更生保護の道でご尽力された皆さまが栄えある表彰を受けられたことに心からお喜び申し上げます。
 この制度ができ70年が過ぎる間に地域の人間関係や家族の在り方は大きく変わってしまいました。この道に携わる方々のご苦労は、外からは計り知れないことでしょう。 反省は一人でできるけど、更生は一人ではできません。
 罪を犯した人、非行に走った子たちは、みな精神的に敏感であり 形式的なことは直ぐに見破ります。 すでに相手と同じ側に立ち心に寄り添っていくことが何よりも大切なのではないでしょうか。
だからこそ皆様方の今日までの地道な活動が尊い 参議院といたしましても議論を尽くし、 しっかり立法活動を果たすことで皆様方の活動を支えてまいります。
 犯罪や非行に走った人が、皆様の力でもう一度やり直せる人生をつくるため、本日ご臨席された全ての方のますますのご活躍を期待してお祝いのことばといたします。
   令和元年10月7日  参議院議長 山東昭子

大谷 直人 最高裁判所長官 祝辞
 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、更生保護制度施行70周年記念全国大会が開催されるにあたり、一言お祝いの言葉を申し上げます。
 我が国の更生保護制度は、明治以来の民間慈善事業によって培われた伝統を礎として昭和24年に発足し平成、令和と受け継がれ、本年を持って70周年を迎えました。
この間、関係する多くの方々が犯罪や非行に陥った人の更生と犯罪の予防という地道な活動に熱意を持って取り組まれ更生保護制度の充実発展に大きな成果を収めて来られました。そのご努力に対し心から敬意を表します。
戦後最大の刑事司法の改革として平成21年に創設された裁判員制度は、施行から10年を迎え、これまで数多くの国民に刑事裁判に参加していただきました。
実際に裁判員を経験された方のお話を伺うと、裁判員手続きだけでなく犯罪の発生から刑の執行、更には犯罪や非行に陥った人の社会復帰に至るまでの全ての過程に深い関心を抱くようになったとの声が聞かれます。
 また平成28年に導入された刑の一部執行猶予制度は、刑の評定を行なう裁判所としましても、改めて更生保護制度の重要性を再認識する契機となりました。
こうした中で皆さま方の活動に対する国民の期待はますます高まってきているものと存じます。
 本日の記念すべき大会にあたり全国の更生保護関係者が相集われたことは誠に意義深いものがあります。
 皆様方におかれましては、今後とも国民の大きな期待に応えるべく英知と経験を結集され活動の一層の充実に努められますよう心からお願い申し上げます。
 終わりに、本日顕彰を受けられた方々の多年にわたるご功績に対して、深い敬意を表しますとともに、そのご栄誉に対し心から 申し上げまして私の祝辞といたします。
   令和元年10月7日 最高裁判所長官 大谷 直人

菊池祐太郎 日本弁護士連合会会長 祝辞
 本日、天皇皇后両陛下のご臨席のもとに、更生保護制度施行70周年記念全国大会が開催されるにあたり、日本弁護士連合会を代表し、お祝いのことばを申し上げる機会を得ましたことは誠に光栄とするところでございます。
 本日ご参集の皆さま方が幾多の困難を克服しながら、人間愛と社会奉仕の精神をもって罪を犯した人々の更生に多大なる成果をあげて来られたことに対し、ここに心から敬意を表します。
 豊かで安心して暮らせる社会の実現こそが国民一人一人がこの祈りを実現できるよう、しっかりと社会と向き合っていく必要がありますが、 更生保護に携わる皆さま方は、まさにこのような 方々で、 くしくも本年は日本弁護士連合会の創立70周年を迎える節目の年であり、更生保護制度の歴史と歩みを共にしてきました。
 当連合会は刑事裁判制度の改革や受刑者処遇の改善などに努めているところではありますが、それとともに罪を犯した人々の受刑後の人生に光をあたえる諸施策も極めて重要であると考えています。
 更生保護は本人や家族のためだけでなく、犯罪のない安心して暮らせる地域社会の実現にも寄与する重要な施策であることに鑑み、当連合会としても今後とも必要な連携協力を行うなど、その実現に努めてまいりたいと存じます。
 この記念すべき大会にあたり、あらためて更生保護の果たす役割の重大さと、その崇高な使命に想いを 合わせて国民の期待に応えるため、皆様方の一層のご活躍をお願い申し上げる次第でございます。
 終わりに臨み、多年のご功績によりまして本日表彰の栄に輝かれました方々に心からの敬意とお祝いを申し上げまして私の祝辞といたします。
   令和元年10月7日 日本弁護士連合会会長 菊池祐太郎