コンピュータと保健活動(1998〜  

 保健室にLANでつながったコンピュータが導入されたのは、1998年11月!待ちに待ったこの1台って感じです。
保健管理に保健委員会の活動にと・・・それはもう大活躍!!!
ここでは、保健室でのコンピュータ活用について、報告するでござりまするぅ!みんな、意見ちょうだいね。
「私もこんなことやったよ」っていうひといたらおしえてね。

保健管理ソフトの使用
保健委員会での取り組み

いのちの学習

いのちの学習でのコンピュータ活用 その1 4年生
いのちの学習でのコンピュータ活用 その2 2年生
いのちの学習でのコンピュータ活用 その3 6年生(エイズ学習)
いのちの学習でのコンピュータ活用 その4 3年生



保健管理ソフトで、子どもたちの来室管理も欠席遅刻の状態が、一目でわかる!


 地区が選んだ保健管理ソフトは「はぐくみ」というソフトです。機能的に多少不満な点はありますが、簡単に操作できるのと、一人一人の来室状態や、
欠席や遅刻の状態もチェックできる点で、これを選びました。
全体的な統計や傾向と同時に、「この子」がどうなのか、という「個」に焦点をあてた継続的な観察ができます。学校教育に「個」の大切さが言われるように、
保健管理においても、全校の平均などにこだわるより、「この子」がどう成長したかこの子がどうあるのかを見ていくことが大切だと考えます。


保健委員会の子どもたちも、コンピュータを使った活動に、夢中です!


保健委員会でも、さっそくコンピュータを使っての活動を試みました。
まずは、委員会発表に向けての、生活リズムのアンケート作成です。これは、6年生で、一太郎を使って行いました。自分たちの作ったアンケートが、カラーで
印刷され、大満足の委員長でした。放課ごとに保健室に来て、アンケートを作成しました。
その集計とグラフ作成は、エクセルを使って、やはり6年生女子が中心に行いました。
6年生といえど、パソコンに触るのは初めて!という子が多く、どきどきしていましたが、要領をつかむと覚えも早く、姫先生の助言を頼りに、がんばってくれました。
 とてもきれいなな仕上がりで、5年生の委員の子達も、「早くわたしたちにもやらせてよ!!!」とのせつなる声が・・・。
12月から3月にかけて、一人1台つかって、コンピュータルームで「わたしのほけんだより」を作成中。すでに完成した子もあり、保健室前の掲示板にカラー印刷した
「ほけんだより」が発行者名入りで掲示されています。掲示板の前には、人だかりができ、PR効果もまずまず。内容は、季節がら、「かぜのよぼう」に集中してしまい
ましたが、「うがいを楽しくする方法」なふぉ、子どもたちの工夫も見られました。
 委員会活動の日は、2週間に1度しかないため、なかなか、進まない子もありますが、何とか全員のほけんだよりを、掲示してあげたいと思います。

いのちの学習:コンピュータで自作教材を作成

 3学期に入って、取り組んだのは、いのちの学習にコンピュータを活用して、授業を行うということ。ホームページ作成ソフトで、教材を作ってみました。以下は、4年生・2年生での取り組みです。(4年生は授業参観で実施しました。)
 担任と養護教諭・そして、おなじみの「すこやかママクラブ」のお母さんたちにも、手伝っていただきました。
○ 題  材       Growing up to be a..............
○ 授業への思い
  この授業では、二次性徴の始まりの時期という4年生の段階において、難しい専門用語の学習ではなく、「思春期と素敵 な出会いをしてほしい。そのために、これからおこる体と心の変化を、プラスの心で、明るく受け止めてほしい」とねがって授業を展開しました。
○ 内 容
      最初は、先生用コンピュ−タのみを起動させ、プロジェクターでスクリーンに映写して、説明します。

第1場面 
  ひとりひとりに名前の書いた紙テープをわたし、「これ、何だと思う?」と問いかけました。
「えー。みんな長さが違うよ。保健室に行った回数をあらわしてるの?」といったのは、いつも保健室に来ているEチャンでした。「ちがうちがう」「生まれたときの背の高さかな」「そんなに小さいわけないよ」
 答えは、「1年生の4月から4年生の9月までの身長の伸び」でした。
 ここで、ご注意!人と比べないで!ひととくらべて「勝った・負けた」は、なしだよ。たくさん伸びたからイイとか少ないからいけないんじゃない。大切なのは、「自分がどれだけのびたか」っていこことだ!(この部分に関してhあ,岐阜大学 近藤真庸先生の授業シナリオ参考)    
  1年生の頃から比べると、身長だけでなく、体重も増えた。でも、成長ってそれだけかな?違うよね。小さい頃できなかったけど今はできるよっていうこと、たくさんあるよね。どんなことある?
  「M君は、好き嫌いばかりしてたけど、今は、がんばってたべれるよ!」「I君は、人にいじわるばかりしてたけど、最近、しないよ」etc.
  「ありがとう。友だちのいいところ、たくさんみつけてくれたね。 みんなは、からだだけじゃなくて、心も成長してきたんだていうこと、わかるでしょ?」

第2場面 
  「みんなのお家の方からも、メッセージもらったよ。みんなの心の成長について書いていただいたんだ。誰かの読んでみようか?」
  スクリーンには、子どもたちの名前の書いた画面が映し出されています。2,3人のメッセージを読むと子どもたちは、『自分のも読みたい』という気になてきました。「先生、自分の読みたい!」 「ちょっとまってね。後のお楽しみ・」「ここまでで、成長には「体の大きさ」と「心」があるってわかったね。これから、『高学年』になるみんなは、もうひとつの成長がくわわるんだ。それってなあに?」さすがに、はずかしくて、なかなか意見が出ま   せん。Aちゃんが、にこにこしながら、「へんなこというからね。」とまえおきして、「毛が生えるんだよ。」といいました。「そうだね。女の子も男の子も。女の子はおっぱいも大きくなる。みんな、恥ずかしそうだから、自分のパソコンで、勉強してみよう。さっき、みんなが見たいっていったお家の人のメッセージも、パソコンに入っているよ。みてごらん。」
 コンピュータ画面で各自が勉強するのは具体的な二性徴について。精子や卵子については2年生の時に学習済みなので抵抗なく、読み進んでいました。クリックすると、画面が変わるホームページ形式の教材に楽しそうでした。
    まだ、パソコンに十分なれていない子もあったので、健康会議のお母さんや参観中のお母さんも一緒になってみんなでわいわいの時間です。自分の名前をクリックすると、メッセージが出てきて、子どもたちは大喜び。

場面3 おかあさんからのことば

  「おかあさんのことば」と画面にあるのに、クリックしても、なにもでてきません。ここでは、すこやかママク  ラブのスタッフの方に、親の思いを前に出てお話していただきました。一人目のお母さん・・・・自分の成長が遅かったことの経験から「遅くって心配いらないよ。みんなひとりひ  とりちがうんだから。じょじょに変わってくる自分をありのままにうけとめてね。親は、みんな子どもの成長が  うれしいんだよ。心配なことは相談してほしいな。心もいっしょに成長して行こうね。体だけしゃ、成長できないんだ」
 二人目のお母さん・・・・「いじめ」の記事を読んでくださいました。「友だちを大切にして、心をうんと成長さ  せてください。」・・・子ども心にじんとくるいいおはなしでした。

まとめ(先生から)
 みなさんが、これから迎える変化は、「命をつなぐための大切な変化です。」今日の授業の題「Growing up to be a .....というのは、「成長して・・・・・・になる」という意味です。「・・・・」のところにどんな言葉が入るかは、みんなのこれからの成長のしかたにかかってきます。からだ   だけでなく心がどう成長するのかも大切な要素です。からだや心のことで、なやんだときは、まわりの大人に相談してください。先生もお家の人も、みんな、いっしょに考えてくれます。」

授業の反省

 どこで、コンピュータを使わせるか、というのは大きな課題です。今はコンピュータが触りたくて仕方ない時期なので、
上手に切り替えてあげないと、操作の楽しさだけに終わってしまいがち。
担任とも相談して、区切ったことがとりあえずよい結果だった。初めての取り組みで、問題点も多く残るが、コンピュータ
だからできる利点をこんごも研究したい。
 内容的には、難しい専門養護の説明より、二次性徴を迎える心や親の思いを前面に出したこととはよかったと思う。

○題 材  男の子・女の子   =性器の大切さを,明るく,伝えたい!=
○ 内 容
 シーン1 赤ちゃん人形を抱いて,1年生の時の学習を思い出そう(担任) 
 赤ちゃん人形「ジョニー君」は,本校のいのちの学習で大活躍する新生児人形です。重さもちゃんと3000g。身長は50cm。(不器用な私が,前任校で,保健主事の先生に協力していただいて作ったもの)
 このジョニー君を,1年ぶりに子どもたちに抱かせながら,1年生の時の学習のおさらいとして,
 「いのちのもと」(精子と卵子)・赤ちゃんが育つ部屋・うまれる道について,確認しました。

 シーン2 男の子と女の子は,体の中が違うの?(担任)
教師; 「いのちの元は,名前や形が違うけど,お父さんもお母さんももってるね。赤ちゃんが育つお部屋やうまれる道も,お父さんはもってるの?」
子ども;「お父さんは赤ちゃん,生まないから持ってないんじゃない?」
教師:じゃ,男と女はからだの中,ちがっているの?」
子ども;
「え〜?見かけはちがうけど・・・」(ちょっと自信がない子もちらほら)
教師;「じゃ,ちょっとみんなで,考えようよ。同じところはどこだろう。」

子ども;「目・鼻・て・足・・・・・・」   たくさんの意見が出ました。
教師:「ちがうところは?」
子ども;「先生。知らないの?おちんちんだよ」「女の子はないんだよ」
教師:「ほんとかな?保健の先生に聞いてみよう」

 シーン3 不思議なレンズで体の中を見てみるぞ!(養護教諭)
養教;「先生,不思議なレンズを持ってきた。このレンズは,コンピュータとつながってる。(HTML教材で,スクリーンにレンズの画像を映し出す)スイッチひとつで,みんなの身体を透き通らせてスクリーンに映し出すよ。だれか,モデルになってよ。」
  (たくさんの子どもたちが,希望して,大変でした。そのうち,男女1ずつに前に出てきてもらいました)
養教;「まずは,Aちゃんの体の中。かけ声とともに,スクリーンに映るよ。チチンプイプイ!」
  (このとき,担任は,養教の合図で「女の子の内性器のページ」へリンクさせる。)
子ども;「あ,うつった」
養教;(むずかしい説明は避け)「ほら,これが,赤ちゃんのたまごがあるお部屋。ここが,赤ちゃんが育つお部屋。ここが,赤ちゃんのうまれる道。大切なものがたくさんしまってあるね。」「次は,男の子だよ」(レンズの画像に戻る)
養教:「次はB君。ちちんぷいぷい」
(養教の合図で「男の子の内性器のページ」へリンクさせる。)
養教:「ほら,みえたよ!」
子ども:「あ,全然違う。」
養教:「ほら,男の子は,赤ちゃんのたねのお部屋が,袋の中にある。大切なもの,はいってるね。」
このあと,ふだん,「おちんちん」とよんでいるものには,「性器」としての役割と「泌尿器」としてのやくわりがあることを,簡単に説明。

 シーン4 自分のパソコンで,今の学習を確認しよう。
 ここでは,各自の画面で,IEから教材を立ち上げ,ここまでの内容を確認しました。クリックひとつで変わる画面に大喜びで取り組みました。

 シーン5 毎日の生活で気をつけることを考えよう。
 
ここでは,性器は,「汚いところではなく,「大切なところ」とであることを確認した上で,日常生活での,「おちんちん」にたいしての意識の変革と注意すべき点について話し合いました。「うんちのあと,おしりをふくときは,前から後ろにふく」という点について,このことを知らない子どもが多いのに驚きました。子どもたちからは,「きれいに洗う」「蹴ったりしない」「きたないてでさわらない」
などの意見が出ました。

授業の反省
 プロジェクターで写しだし,ページをリンクさせて,からだの内部を見せる,という演出はコンピュータとHTML教材ならではのものであり,子どもたちは,
楽しく学習できた。低学年のうちに「性器は大切なもの」という認識を持たせることはその後の性の指導をしていく上で,絶対条件であると考え,本校で
は2年生で,このテーマを取り上げている。不思議レンズの発想は,岐阜大学の近藤先生のアイデァです。昨年までは,このレンズを,黒板上で演出す
るのに,大変な苦労で,子どもたちに仕掛けが簡単に見破られていまいた。
授業後の子どもたちの感想からは,素直な反応が伺えました。「性器」を明るく,プラスのイメージでとらえてくれました。
題材 「ぼくのことわかって」=エイズ学習=
【教材について】
  6年生では,コンピュータ教材を使用して,エイズ学習に取り組んだ。この教材は,岐阜大学の近藤先生のシナリオをもとに作成した。問題の共有化を図るためのプレゼンテーション教材(教師用コンピュータから前面のスクリーンに映し出す)と課題に応じて,各自のコンピュータで自分の考えを反映させるためのHTML教材(各自のコンピュータで使用)の2種類を作成した。

【授業内容の概略】
 子どもたちが先入観にとらわれることのないように,エイズという病名は授業の最後まで出さずにいた。授業の中では,HIVというウイルス名で話を進めた。
  「あと3ヶ月の命と宣告されたライアンが4年も生きることができたのはなぜか。ライアンの病気とはどんな病気だったのか。」を学習課題として提示した。
 プレゼンテーション教材で,ライアン・ホワイト君の発病と死の宣告・母親との会話をもとに,問題の共有化を行った。共有化した問題は,各自のコンピュータに戻って学習画面で考え,さらにこれを全体のものとして説明を加える方法で,授業を展開した。

共有化した問題その1
  HIVは,ライアンの体内に存在する。感染するとすれば,何かとともにHIVが体外へ排出されたときである。では,人間は体外にどんなものを排出しているのだろう。各自のコンピュータで考える。(学習画面は,選択問題)
共有化した問題の解説1
 体外に排出されるものは数多くあり,この中でHIVの感染経路となるのは,「精液」と「血液」であることを押さえた。ここで免疫機能について説明し,HIVは他のウィルスとまったく違う感染のしかたをすることを押さえた。

共有化した問題その2
HIVの感染経路は,実際の生活の場面ではどんなところから,感染していくのか。経路からどんなことがわかるのか。クイズ形式で,さまざまな生活場面の中での感染について,各自のコンピュータで取り組んだ。
共有化した問題の解説2
  クイズを通して,子どもたちが発表したHIVについての特徴をまとめ,HIVは非常に弱いウィルスであり,ふだんの生活では簡単に感染しないことを押さえた。

共有化した問題その3
 医師の許可を受けて久々に登校したライアンを級友たちが,校門でプラカードを持って待っていた。「自分だったらなんと書いてライアンを迎えるか」の課題に,各自のコンピュータに自分の考えを入力した。
共有化した問題の解説3
 ライアンを待ち受けていたことばは,「GET AWAY」であったことを説明し,この病気を理解しない人々によって,ライアンが受けた差別や偏見について補足した。 学習のまとめ  授業の最後に,ライアンの病気がであったことを話し,エイズについての世界の現状にいて 触れ,「共生」を自分の問題として考えていく必要性を話した。
6年生女子の感想
   ライアンが力強く生きていこうとする姿がすごいと思った。パソコンの問題はいじわるだったけど,間違った知識を認識することがなくよかったと思う。いい勉強になった。
授業参観した6年生の保護者@  
コンピュータを使った授業を楽しみにしてきました。エイズという重い問題は,ただ普通に授業をするより,コンピュータで問題形式にしたほうが子どもたちに受け入れやすいのだとわかりました。
授業参観した6年生の保護者A
 HIVの話はとてもわかりやすくて,子どもたちにも理解しやすかったようです。ライアンのことも,自分の身近なことなのだと感じてくれるといいと思います。コンピュータの操作も,上手にできていて,うれしく思いました。時代の流れを感じました。
題材 「テレビ君は泣いている。」 
 3年生では,メディアリテラシー(情報を読み解き,批判的・自律的にかかわること)の関する授業をコンピュータ教材を使用して実践した。コンピュータから話し掛けるテレビ君(自作教材)のことばから,身近なメディアであるテレビについて考えた。
授業の内容 ・食べ物やものを粗末にしたりする番組がある。
・性的な場面が必要以上に多い番組がある。
・暴力や人殺しの場面が多い番組がある。 ・人をばかにして笑いを取る番組がある。  
 テレビ君の「番組やゲームの中には,子どもたちによくない影響を与えるものがある。」ということばを聞き,テレビ番組の影響の大きさを話し合った。
  また,こうした番組を見ているうちに,よい悪いの判断なしにまねをしてしまう危険性について説明し,知らぬ間に影響されることの怖さを説明した。  「ジェットコースターに乗ったことがあるでしょう?はじめて乗るときは怖くてどきどきするけど,なれてしまうと,「もっと刺激的なコースターに乗りたい。」と思うでしょ?それと同じことが脳の中で起こっているんです。」

  続いて,暴力シーン中心のドラマと名作アニメをスクリーンで映し出し,30秒ずつ視聴し,それぞれが心の変化を感じ取った。
 最後に,コンピュータの教材で,自分とゲームやテレビとの密接度と危険度チェックをした。学習のまとめとして,日本の番組は視聴率を優先に作成されたものが多く,子どもたちは自分で番組を選んでいく力が必要であることを,日本の人気アニメが外国で放送禁止になっている例をあげて説明した。